第6話「The simple 2000 前編 ~トーゼンメイワク~」
 
いきなりですが、今、戦闘の真っ最中です。
「弾幕薄~い! 真祖ビーム発射だよー!」
「びーむ」
「びーむ」
「びーむ」
森さんが拾ってきた生物(なまもの)は何か細胞分裂して、ついでに分裂して今では十匹になりました。
その戦闘力を神人退治に役立ててる訳です。
まぁ、森さんの意向であくまで支援戦力なんですけどね。でも、ぐっと楽になりました。
口から火炎放射とか、眼からビームとか生物学的にはありえない攻撃のおかげで。
生物(せいぶつ)じゃなくて生物(なまもの)なんですけどね。
まぁ、おかげで神人退治の度に新人超能力者が死ぬという事態もなくなりました。
しかし、そんな生物(なまもの)達を従えてる森さんはどれだけ強いんでしょうか。
「よし、神人退治終了。帰還するか」
全裸に葉っぱ一枚股間につけただけの格好の新川さんがすっと降りてくる。
いい加減、その戦闘スタイルどうにかなりませんかね。
「無理だな」
「人の心読まないで下さい、変態」
神すら打ち負かせるんじゃないでしょうか、この人達。
閉鎖空間から機関のオフィスに戻った僕達。
休憩時間となり、思い思いの事をして過ごす。
多丸兄弟は合いも変わらず赤い兄と緑色の弟の格好をしている。
新川さんはと言えば、横たわって熟睡。
森さんはそれに付き添う形で寝ている。
なんだ、その組み合わせ。ってか新川さん、貴方ゲイじゃなかったんですか?
ふと暇になって窓から空を見上げた。そして、
「・・・・・・。・・・ん・・・え・・・えぇぇぇっ!?」
思わず驚いた。
 
朝比奈さんが空を飛んでいたのだ、ゲロを吐きながら。
 
「み、み、みらくるオゲェレレレレレ、みっくるんるオロロロロロ!!」
そのゲロを浴びた人々は一瞬にして溶かされ消えていく。
・・・って、凄まじい兵器じゃないですか! 放置できないですね。
「何やってるんですか、あの人・・・!」
僕は自分で言うのも難ですが颯爽と飛び出した・・・はずなのに。
 
ドンッ、
 
「きゃっ!」
で、何故か扉を開けたら扉があるという訳の解らない状態に出くわし、顔面をぶつけた。
思わず悲鳴を上げてしまったじゃないですか。
「~~~~~ッ!」
おでこが痛いですよ・・・うぅ。
誰ですか、こんなもの此処に設置した人は。
「―――ハロー」
ふと、九曜さんが現れた。何処から出てきやがったこの昆布。
「何でここに居るんですか貴女ですかこれは貴女ですか?」
「―――そうですよ。にぱ~☆」
くっ、なんだこの波動は・・・! 似て無くないから余計に腹が立つ・・・!
頭が揺さぶられる。そうか、これが殺意ってものなんですね。
「―――落ち着いて聞いてにょ―――にぱ~☆」
「まず貴女のご乱心を収めたらいかがですか」
「―――このままじゃ朝比奈みくるのゲロによって世界は崩壊する―――」
「スルーですか。そして、何ですかその大ピンチは」
「―――だから、みんなで協力して朝比奈みくるをソーラ・レイで殺す必要があるです?―――」
「何で疑問詞なんですか。僕はなんて応えたら良いんですか」
「―――Yes、と」
「とりあえずソーラ・レイに関してはNoと言います」
「じゃあ・・・―――ヘルシアのカテキンで朝比奈みくるを消毒して駆除する―――」
「何でも良いのでさっさと止めませんか?」
「―――私は、貴女と友達になりたいのに・・・だからまだ話したい・・・ぐすっ―――」
「・・・九曜さん」
「―――うっそぴょーん」
「後で殴り飛ばしてさしあげます」
「―――さぁ、アリス。・・・―――朝比奈みくるを追いかけよう」
「どこのチェシャ猫ですか」
その後数分そんな意味の無い会話をして、僕と九曜さんと起きていた多丸兄弟の四人で朝比奈さんの爆撃阻止に出ました。
 
・・・・・・。
 
あぁ・・・面倒くさい。そして、ゲロ臭いです。
「・・・あれ? 九曜さんは?」
「さっき向こう行った」「黒執事の二巻買うだってさ」
自分から言い出しといてなんですか、あの九曜とかいう女は。
ぜってぇ、ぶっ殺してやる、あの黒モップ女が。
「仕方ないですね。僕と多丸さんで何とかしましょう」
「しかしな・・・」「難しいな・・・」
多丸兄弟と僕は唸るしか出来なかった。その時、
「そこで救いのヒーローのあちしの登場にゃ」
何か訳の解らない展開で壁にぶち当たっていた僕達の前に生物(なまもの)が現れた。
よけいに何か訳の解らない展開になった気がしないわけでもないです。
が、まぁ、この生物(なまもの)強いですからね。
「助かります」
一応、その助力に甘えましょう。
「あの娘を殺せば良いんだにゃ?」
「いえ・・・殺さなければいけないというほどでもない気が・・・」
あんなキチガイでも一応SOS団のマスコットキャラですしね。
殺したら涼宮さんが何をしでかすか解ったものではありません。
「・・・少女よ。世の中は常に非情にゃのだよ」
この生物、中々解ったように言いますね。
・・・いえ、実際確かにそうなんですけどね・・・。
「まずは」「俺達が行く」
多丸兄弟はそう言ってキノコを食べて大きくなった。もはやコスプレの域を凌駕した二人ですね。
どすんどすん、と町を破壊しながら悪役の如く進む正義の味方の格好をした二人でしたが急にぴたっと立ち止まりました。
何事かと思っていると、
「・・・・うっ」「毒キノコだった」
と呟いていました。バカヤロー。
そんな二人に朝比奈さんの直下型ボムが命中した。
「多丸さん!!」
あれを食らった人は溶かされてしまう。ってことはこの二人も?
「うわぁぁあぁぁああっっ!」「マカロニになっちまう!体が、体がマカロニにぃぃいいい!!」
・・・この人達は一般ピーポーじゃないですよね。失礼しました。
そして、二人はトマトになりました。どこがマカロニだ。
「仕方ないですね、僕達で頑張りましょう」
「少女、よろしく頼むぜ、ベイビー」
「はい!」
こうして朝比奈さん退治が始まったのです。
 
あさひなみくる が あらわれた!
 
コマンド。魔法。メテオ。
古泉一樹(♀)のメテオ! だが朝比奈みくるには効果がないようだ・・・。
 
コマンド。特技。真祖ビーム。
生物(なまもの)の真祖ビーム! だが朝比奈みくるには効果がないようだ・・・。
 
コマンド。特技。ゲロ。
朝比奈みくるのゲロ。北高の生徒十人が溶かされ死んだ。
 
 
「全く駄目ですね」
「ん~・・・あちしにこれ以上何が出来るか・・・・・」
僕と生物(なまもの)による話し合いスタート。
「どうしましょうか」
「やっぱりソーラ・レイで抹殺するのが一番いいんじゃないのかにゃ?」
「僕達も死にますよ」
「あ、それは勘弁して欲しい」
「でしょう?」
「じゃあ、デスノートにゃ」
「それで死ななかったら絶望的ですね」
「・・・想像したら怖っ・・・やめる・・・」
「はぁ・・・どうしたら・・・」
もう溜息しか出ませんね。
「あっシエルにやらせ―――」
「機関は機関でも違う機関は絶対却下」
っていうかあの人よく出てきますね。
「ならゲヴェルやゲーヴァスに頼むのは如何かにゃ?」
「グローランサー知らない人には辛いのでやめて下さい。しかも頼んでもどうしようもないです」
しかも世界を潰しかねません。
「やっぱりあのモップが言ってたようにヘルシアの高濃度茶カテキンで除菌かにゃにゃにゃ?」
「・・・出来るんですか?」
「知らない」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
沈黙。そうですよね・・・信用できませんもんね・・・あのモップ。
「物は試し、ですね」
「・・・うん」
僕は機関に急いで戻りましたよ。新川さんが開発した巨大水鉄砲を取りに。
しばらく見ない間にまたでっかくなった気がしますが、気にしたら負けかなと思ってます。
「これにヘルシアを注ぎましょう」
「でかい水鉄砲だねぃ、少女」
「一人これに実験的に当たって脳髄弾けて死んでます」
「へぇ~・・・・・・怖っ!」
「さぁ、急ぎましょう」
「銃口こっちに向けるのやめてくれないかにゃ?」
 
―――十分後。
 
「満タンだにゃ」
「では、さっそくこれを朝比奈さんに向けて・・・一発目、発射!!」
勢いよく人すら殺せる水鉄砲は飛んでいき、朝比奈さんの横を通り過ぎて、その先にあるジャンボ旅客機に。
ズドーンッ!!
爆発炎上し、そのまま何処かへと堕ちていく飛行機。
あぁ、どうか一人くらいは無事に生き残ってくれますように。南無南無。
「次!」
「二発目、発射!!」
再び勢いよく発射した殺人ヘルシア光線が朝比奈さんに飛んでいく。
お、今度は良い感じに当たりそ―――
「甘く~香る~お茶はいかガロロロロロロロロ!」
あちゃー。ゲロと相殺しちゃった。
散らばってますね。広範囲に散らばってますね。
「次!」
「三発目、発射!」
三度発射された殺人カテキンビームが毎度のように朝比奈さんへと飛んでいく。
今度は上手くいけ・・・上手く・・・上手く・・・。
「ぐえっ!」
いったっ! 上手くいったよ! やったよ、お父さん!
頭貫通しちゃってるけど大丈夫でしょうか。
「う・・・あぐぁ・・・ぐあぁ・・・・・」
まだしぶとく生きてますね。あの胸脂肪女。
あ・・・別に、胸が大きいのが羨ましいわけではありませんよ?グスッ。
「―――ダメ」
「九曜さん?」
いつの間にか意味無く髪の毛をポニーテールにした九曜さんが横に立っていた。
・・・なんていうか、立派な字が書けそうなポニテですね・・・墨付けたら。
九曜さんは何を考えているか解らない表情で朝比奈さんを見つめながら
「―――彼女にはヘルシアのカテキンが有効だけど、それだけでは―――倒せない」
と呟いた。ツッコミどころ満載ですね。
「何ですか、その新事実」
「―――彼女を倒すには・・・無理矢理[ピー]するしか―――ない」
「やめなさい」
真面目な顔でそんな事言うと逆に冗談っぽくしか聞こえません。
っていうか、絶対冗談ですよね。
「―――だってぇ、なんかぁ~あんな容姿であんなキャラのくせに~超貞操意識が強くてぇ~ありえなっしんぐなんですけどぉ~―――」
絶対冗談ですね。言い切ってあげます。
「貴女はもう黙って下さい」
なんか、もう・・・本当にイライラしてきました・・・。
「―――そういえば貴女も貞操意識強いよね―――ドMのくせに^^」
な、何ですか、その目だけ笑って口だけ笑ってない変な顔は・・・!
「わ、笑わないで下さい! そんな笑顔で見ないで下さい! お願いします、お願いですから・・・・ぐすっ」
あ、あぅ・・・心が・・・心が・・・・・痛いです・・・・・・・。
「―――プギャー」
・・・あ、なんか怒りがこみ上げてきました。
「・・・僕を苛めていいのは・・・キョンくんだけです・・・」
そうですね。
「―――うるへー」
もう、
「・・・ブチッ」
限界です。
 
 
*しばらく音声のみでお楽しみ下さい
・・・・・・。
―――無言で暴力・・・よろしくない―――イタタッ
・・・・・。
―――あ、そこだけは・・・―――んんっ―――ふぁぅ!
・・・・・フィニッシュです。
あぁぁぁああ―――・・・ふぁ・・・んっ・・・。
 
「―――お嫁に・・・―――いけない・・・グスッ」
「需要はありますよ、多分」
こうして見ると・・・九曜さんって可愛いですね。
「・・・少女」
ふと生物(なまもの)が横に来て僕のスカートの裾を軽く引っ張ってくる。
「どうしましたか?」
「朝比奈みくる、逃げたよ」
「・・・そうですか? それはそれは・・・ん? え? えぇぇぇえぇぇぇぇッッッ!?」
 
次回へ続く。
 


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