だんだんあの嫌な暑苦しさも徐々に消えてきて、もうそろそろ秋の到来を感じさせる季節…でもないが、中々涼しい。
まぁ俺が言いたい事はいつもの変わらない日常生活を送っているという事だ。…非日常的ではあるがな。
俺がいつものように見慣れた部室の戸を開けようとすると、中からもんのすごい奇声が聞こえてきた。
 
「ひ、ひぇぇぇぇぇえええええー!!!!!!!!」
 
俺は反射的に部室の戸を開ける。メイド服に着替え中の朝比奈さんが迎えてくれた。
だが様子がおかしい。何かあたふたしている。
 
「キョ、キョンくんっ!見ないでぇ~!!」
 
俺は慌てて朝比奈さんの発言が終わる前に部室から出た。赤面し、尚且つあたふたして混乱している朝比奈さん…まずい、鼻血が出そうだ。
少しの静寂の時間の後、弱弱しい声が聞こえてきた。
 
「入っていいですよぉ~…」
「あ、はい。」
 
いつもの朝比奈さんのメイド服。特に変わった様子はもう見られないが…さっきの奇声はなんだったんだ?
 
10分も経たない内に次々と他の団員が入ってきた。ハルヒは何故かニヤニヤしていたな…
 
「みくるちゃん!どうだった!?」
「ふ、ふぇ?何の事ですかぁ…?」
「いや、いいのよ!そんな事より新しい靴を新調したの!みくるちゃんに似合うかしら?」
 
靴を新調…?一体何故。またよからぬ事を考えてなければいいが…
 
「さあみくるちゃん、履くのよ!」
「は、はあ…。」
 
 
朝比奈さんが怪しい靴を履いたと同時にさっきと同じ奇声が部室中にこだました。
 
「ひ、ひぇぇぇぇぇえええええー!!!!!!!!」
『カシャッ、カシャッ!!』
「いいわよ、みくるちゃん!もっと喘ぎなさい!!」
「また画鋲がぁぁー!!」
 
「おいハルヒ――」
「――何をしているのです!!涼宮さん!!」
 
…俺が言おうとしていた言葉を古泉が代役して言ってくれた。
 
「何って、みくるちゃんの痛がってる写真を撮ってるのよ。最近刺激が足りないと思ってたのよね~。」
「朝比奈さんを玩具のようにして楽しいのですか!?」
 
古泉の様子がおかしい。いつものスマイルが嘘かのように眉間にシワを寄せている。
 
「な、何よ古泉くん!団長にそんな口答えしていいと思ってるの!?」
「いい加減にしてください!そんな目的の為に彼女を足を傷つけるなんて!!」
「そんなにみくるちゃんが大切ならみくるちゃんと一緒に出て行きなさいよ!!」
 
神人と超能力者の口喧嘩…果たして、勝敗の行方は!?って、こんな事を悠長に言ってる場合ではない。誰かが止めないとどんどんエスカレートしていくぞ。
俺は長門にSOSの視線を当てたが、長門はすっかり本に見入っている。朝比奈さんは呆然と2人の口喧嘩を見ているし…やはり俺しか居ないのか!
 
「だいたいあなたは何処まで我侭なんですか!」
「まぁ待て古泉。お前の気持ちは痛い程よく分かる。だがここは落ち着いて」
「これが落ち着いていられますか!」
「しかしだな。」
「少し黙っててください!」
 
すいません、朝比奈さん…正直これ、止まりません。ストレスを…持て余す。
 
「もういいわ!!もう古泉くんとは口を聞かないから!フンッ!」
 
団長様は席にどっすりと座ってそっぽを向いてしまった。頬には雫が流れているように見えるのは気のせいだろうか。
しかしらしくないな…古泉の奴。堪忍袋の尾が切れた、というやつだろうか?
するとすぐに古泉の携帯が鳴る。例の空間が出現したか。
 
「ハハハ、酷い醜態を見せてしまいましたね。では僕はこれで失礼します。」
「朝比奈さんの足は俺が絆創膏でも貼っといてやるよ。」
「ありがとうございます。」
 
 
そして下校時。あの時はSOS団はどうなるかと思ってひやひやしたね。
だがその不安はある光景によって一瞬で消し去られた。
俺の目の前には、素直にハルヒに謝っている古泉の姿があったんだもんな。
少し照れくさくスネているハルヒの顔を見るとハルヒも許している様子。可愛いな、あの顔。
 
その日をきっかけにハルヒと古泉が一緒に帰るようになった。正直羨ましい。
一般的に言うと、『付き合っている』のだ。『デキている』のだ。『カップル』なのだ。
しつこいな俺…少し嫉妬心があるのかもしれない。
ハルヒと付き合うとはなんと生意気な奴…!古泉のくせに…!!
 
end


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