「も、も、も、も、も、森さぁーーーーーーーーーーーん!!」

 

 

自宅のパソコンの前で思わず絶叫する。
僕は今、自室でとある二次創作の小説を読んでいた。
内容は森さんと彼の友達である国木田氏が淡く切ない恋愛模様を繰り広げるというものなのだが
これがまたいい話なのである。何よりヒロインである森さんが魅力的なのだ。
この森さんの艶やかさと女の子っぽさのギャップ。
特にぬいぐるみを取ってもらったときの破壊力といったらまったくもってけしからん。
やっぱり大人の女性ってのは綺麗でお姉さんっぽさを持ってるだけじゃまだ足りないんだな
そこにちょこちょこ見え隠れする乙女っぽさ、可愛らしさに真の魅力が潜んでいる気がする。
ってか続きどうなんの?一体その背中にはどんな傷が?!いや、背中の傷ぐらいじゃ愛は冷めないはずさ!
そうと言っておくれよ国木田君!!

 

「さて、と。」
良かもんば見たバイ。
パソコンの電源を落とし、イスから腰をあげる。

…もうすぐ夜だし、そろそろ夕飯の支度をしたほうがいいかな。
その前に、居間でコーヒーでも飲んで一息つくか。

 

台所でコーヒーを淹れ、フーフーと冷ましながら居間に通じる扉を開いた。

 

 

そこには

 

「ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!えびちゅ最高!!」

 

 

ソファーに寝転びお菓子(ハッピーターン)をバリボリ食べながら漫画本を読むウチの森さんの姿があった。

 

「あ、いいタイミングで来たわ古泉。ちょっとテレビのリモコンとってくんない?」

お腹のおへそのあたりをガリガリかきながら指図する森さん。
その姿を見て、僕は深い深い溜息をついた。

 

桃色空間奮闘記  

 

番外編『他人の作品をネタとして扱うSSしか書けない奴なんか大嫌いだ!』の巻

 

…森さん。そのハッピーターン…。
「ああコレ?適当に棚の中あせくってたら見つけたの。いただいてまーす。」
いただいてまーす。って…
「なによ、ケチくさいこと言わないでよね。」
いや、別に食べたことにたいして文句があるわけではないんですが…
「じゃあなんだっていうのよ。」
ごろん、と体勢を変えズボンの中に手をつっこみ、今度はおしりをボリボリかく森さん。
そこには艶やかさも、可愛らしさも、大人の女性らしさも見受けられない。

 

 

なぜ森さんが僕の家でゴロゴロしているのか。なぜ最終回を迎えたはずなのに続きがあるのか。
なぜ俺には『電子手紙』のような森さんが書けないのか。
後ろの2つはただ単に書きたいネタが増えたのと、書き手の森さんに対する屈折した愛情が原因なのだが
森さんが僕の家にいる理由、それは約1週間前に起きたこんな出来事が原因だった。 
…ってまたこのパターンか。

 

 

――――――――回想開始
↑この「―――」っていうの便利だよね。

 

月に1度の機関の定例会議の日。
会議が終了した後上司から森さんがたった1人で呼び出された。
話は5,6分で終わったらしくすぐ戻ってきたのだが、
その後森さんから聞かされた話は、なかなかどうして驚くべき内容だった。

 

「機関内部に裏切り者。ですか…。」
「あんまりおっきい声で言っちゃダメよ。」

ここは駅前のファミレス。
森さんから“機関の施設内で話すのはまずい”と言われたため解散後、2人だけで立ち寄ったのだ。

「なんでも最近、うちら機関のやることなすこと全てがあちこちの敵対勢力に筒抜けっぽいらしいのよ。」
アバウトな上に超適当で読みづらい説明。だいたい敵対勢力って
「いいのよ。そういう設定なの。」
はぁ

「で、任務の度にこっちの仕事にチクチク陰湿な嫌がらせをしてくるから、上の連中も相当頭にキてるみたい。」
嫌がらせ?
「この前なんか閉鎖空間が発生して現場に向かおうとしたとき、あろうことか車に爆弾しかけられてたのよ?
 気付いたからよかったものの、下手したらポリスノーツの ロレイン・北条みたいになってたわ。」
最後の例えはちょっとマニアックすぎますけど。…ば、爆弾ですか?

「おかしいでしょ?あたしら機関はあくまで民間には秘密の組織。
 もちろん、その任務内容にだって情報的にトップシークレットチックなプロテクトがかかってるわ。」
頼んだコーヒーを口に運び、森さんは話を続ける。
「仮に敵がどれだけ優れた情報網を持っていたとしても、先回りして罠を張ったりすることは
 どう頑張ったって出来っこないはずなのよ。」
まぁ、そうですね。僕らの存在なんて一部を除けばそれこそよっぽどのお偉いさんぐらいにしか知られてないし、
そんな一部の人だって、僕らの行う任務までは把握していませんからね。

「でしょ?にもかかわらず、最近の任務で行く先々で先回りされてて。これはもう内部から情報を
 外に漏らしてる裏切り者が存在してるとしか考えられないのよ。」
むぅ、あんまり考えたくない事ですけどね。
で、それで森さんは上司からなにを?

「うん。実は極秘の内部捜査を頼まれちゃって。」
内部捜査…。つまり裏切り者を発見しろと?
「そゆこと。もっと言えば見つけて捕まえた上で、必要であれば始末しろ。ってとこね。」
なにやら物騒な話になってきましたね。

「その命令を下されたのは森さんだけなんですか?」
「そう。だからこの事を知ってるのは上の極一部の連中除けばあたしとあんただけ。
 くれぐれも他言しないようにね。」
確かに森さんはその堕ちるとこまで堕ちた生活力はともかく機関での実績と信頼力は全仲間中でもトップクラスだ。
上層部が森さんにその任務を託すのは至極当然のことだろう。けど…
「けど、なぜ僕にそんな重大な話を?」
「ん?決まってるじゃない。」
…いつも通りの嫌な予感が。

 

「あたし1人でやるには骨が折れるからね。あんたを助手として迎え入れることにしたのよ。」
えええええ。そ、そんな勝手に決めてもらっちゃても…
「大丈夫よ。上司には言ってあるから。“古泉使っていいスか?”って。」
い、いやそういう問題じゃ…
だいたい森さんの話の通りなら僕も容疑者の1人なのでは?
「あんたは大丈夫でしょ。一応この話の主役なんだし。」
……。
ポートピア連続殺人事件っていう可能性も無くは無いですよ?
「あら、それならナイトメアプロジェクトYAKATAオチもありえるわよ?」
駄目だ。口じゃ、ていうかなんの分野においてもこの人には勝てない。

「んじゃ、来週からあんたン家に泊まるから。部屋掃除しときなさいよ。」
ええええ?!ちょっと待ってください!
泊まる?僕の家に?!
「だって来週からあんた盆休みに入るでしょ?調度いいじゃない。」
い、いやそういう問題じゃなくてですね。
なぜに僕の家に泊まる必要があるのでしょうか?
「だってあたしが住んでるマンション。隣に新川が住んでるのよ?しかもその隣は多丸兄弟。
 あいつらだって一応容疑者の内なんだし、あたしがそんな任務に就いてることばれちゃまずいじゃない。」
それと僕の家に泊まることとどう関係が…
「だってあの部屋住んでると毎日しょっちゅうあいつらと顔合わせるんだもん。とてもこっそり任務だなんて
 出来やしないじゃない。だからあいつらには“あたしお盆休み利用して旅行に行く”って伝えとくわ。」
…機関からホテル代くらい出るでしょ。
「それがさぁ~、あたしが古泉誘う。って言ったら『調度いい。じゃ、古泉の家に泊まれ』って
 言われてさぁ~。まずったわ。せめてホテル代もらってから言うんだった。」
えええええええ…

 

「大丈夫よ。さっさと終わらせちゃえばいいだけのことだし。」
まぁ、それはそうかもしれませんけど…

「そ・れ・に、こんな美女とひとつ屋根の下でしばらく暮らせるんだから、男としちゃたまんないでしょ。」
それじゃあ食事の用意と掃除その他もろもろは分担ということで。
「無視かい。」

 

――――――――回想終了

 

と、いうわけで裏切り者が見つかる間、森さんは僕の家の住人となった。いい加減でごめんね。
ちなみに僕が回想をしてる間、森さんはテレビゲームをやり始めていた。
「ああクソッ、アシュリー邪魔だわー!!」
森さん。
「なによ。」
内部捜査って、一体なにするんですか?
「んー、そうねぇ…」
そうねぇ…って、もしかしてノープランなんですか?
「うるさいわね。一応考えてはきてるのよ。ちょっと待ってなさい。」
ゲームの電源をOFFにし、自宅から持ってきたのであろう鞄の中身をガサゴソ探り出す森さん。
パジャマやら下着やらアカギの12巻やらが飛び出てきている。
「あ、あったあったこれだわ。」
どうやらお目当てのものを見つけ出した様子だ。

 

チャラララッチャラー「超能力者資料集ぅ~~!」

 

それは一体何だいモリえもん?
「これは機関に所属している人間全ての個人データ、および関係図が一目で分かる、とっても
 便利で都合のいいサイキックノートさのび泉くん。」
の、のび泉くん?
「あんたのモリえもんもどうかと思うけどね。」
ゴホン、で、そのノートを使って一体なにを?
「あんたもとろいわねー。推理に決まってるでしょ。す・い・り。」
推理?
机にノートを広げ、ボールペンを取り出す森さん。
「そ。この資料集には機関の人間の過去168時間以内の行動が全て記載されているわ。
 裏切り者をあぶり出すために、ここ1週間で上の人間が諜報員をつかって集めたのよ。」
ははぁ、ってことは…
「この1週間以内でも何度か出動があったからね。もしそこで何か不審な動きをしているやつがいたら…」
なるほど、すぐに容疑者がしぼれますね。
「でしょ?これなら案外早く終わると思わない?」
確かに。
「んじゃ、早速始めるわよー。」

 

――――――――推理モード。みんなも一緒に考えよう!
「考えなくていいわよ。そんな難しい文章書けないし。」
……。

「まず、この1週間で機関員の出動があったのは2回。1回が閉鎖(桃色)空間での神人退治。
 1回が涼宮ハルヒが『彼』と一緒に訪れた遊園地でのスペシャルサーカス団としての出動ね。」
そういえばありましたねそんなことも。
「涼宮ハルヒを少しでも喜ばせるために、大した練習もせずいきなりサーカスやったのよね。」
僕、変な石仮面かぶらされて、そのうえ上半身裸で箱の中入れられて剣で真っ二つにされましよね。森さんに。
「今気づいたんだけどそれってサーカスじゃなくて手品よね。」
森さんがやろうっていったんじゃないですか。

「まぁいいわそんな話。
 問題はその時不審な行動を取っているやつがいないか。ってとこなんだけど…」
さすがにサーカスの邪魔なんかしたって敵としてもなんのメリットもないでしょう。
「確かにあの時そういった邪魔は入らなかったけど、その情報を敵に伝えるぐらいのことはしてるかもしれないわ。」
そんな情報漏らす人がいるとは考えにくいんですけど。
「うーんそうねぇ……あ、いたわ!」
マジですか?

「全員が衣装を着込んでいる間、1人でトイレに向かってるヤツがいるんだけど。」
トイレぐらいじゃ疑う証拠にならないんじゃ…
「それが、結局トイレから戻ってきたのは1時間後。サーカスが終わった後だったのよ。」
ええええ?!
それ、だれか他に気付く人いなかったんですか?!
「ええ、かなり機関の中でも影の薄い人物だから…」
…ちなみに…誰です?

 

「多丸(裕)。」

 

ええええええええええええええ?!
モロ身内じゃないですか!!
いくらなんでもなにかの間違いじゃ…
「とは言っても、やっぱり1時間のトイレは怪しすぎるわよ。あたしは仲間だろうがなんだろうが平等に他人を疑うわ。」
え、いや、でもまだ多丸(裕)さんと完璧に決まったわけじゃ…
第一、理由が無いですよ!
「そんなこと言っても、動機なんて結局調べれば分かることなんだし…
 てか、そういえばあんたって機関の中じゃ割と多丸(裕)と仲良い方なんじゃない?」

え?そうですっけ?

「あたし、あんた以外と会話してるあいつ見たことないんだけど。」
そう言われてみればそんな気も…
「あんたなんか心あたりないの?最近多丸(裕)におかしいところなかった?」
おかしいところ…別に…
あ、そういえば最近親指の爪を噛みながらうつろな瞳で『みんな死んじゃえばいいんだ』とか
『ただいま!母さん…ぼくあたまがヘンになっちゃったよぉ』とかブツブツ呟いてたような…。
「…完璧怪しいじゃない。どう聞いても精神に異常をきたしてるとしか思えないわ。
 疑念があんたの言葉でほぼ確信になっちゃったわよ。」

えええええ…そんな…多丸(裕)さんが…
「古泉…。仲間が犯人でショックなのは分かるけどここは割り切りなさい。」
森さん…
「つらいのはよく分かるわ。だけど仕方のないことなの。裏切り者がいる以上、
 それを裁くのもあたし達の役目なのよ。」
はい、じゃあどうやって捕まえましょうか。
「切り替え早ッ!」

 

ギギィーーーーーーーーーーガシャン!! 『桃色空間奮闘記番外編』

 

え?な、なんですか今の?!
「ほらアレよ。コナン君でCM行くとき扉が閉まる映像が出るじゃない?あの音を再現したのよ。」
…無理ありすぎですよ。ていうか、もしかして本気で推理モノを狙ってるつもりなんですか?
「多分今頃、B'zとか倉木ナントカとかのCMが流れてる真っ最中よ。」
『恋はグリル・SEX・マルチネス』でしたっけ?
「それは違うでしょ。確か…相打ち理奈とかなんとかそんな名前の歌手じゃなかった?」
OPでコナン君がパラパラ踊ってるんですよね。真面目な顔で。
「アレがあったからこそ、後のハルヒダンスの成功があったとあたしは思ってやまないわ。」
いやぁ…

 

ガチャリ、バーーーーーーーーン!!  『桃色空間奮闘記番外編』

 

で、これが扉が開いた音なわけですね。
「本編に戻るわよ。」

 

 

――――――――――――

 

 

某日午後9時30分。

 

都内のとある駐車場。

 

(…………。)

 

ガサゴソ…ガサゴソ…

カチャ、ピポパ

 

トゥルルルルルルルル

ガチャ

 

『もしもし、こちら敵対勢力インフォメーションセンター。』
「あ、敵対勢力さんですか?お疲れ様です。多丸(裕)です。」
『あ、ども、お疲れ様です。』
「実は閉鎖空間が発生したと機関から連絡がありまして。」
『あーはいはい。』
「そちらが邪魔をされる予定なら詳しい情報をお教えしますが」
『ありがとうございます。今日こそそちらの機関に裁きの鉄槌を下そうと思います。』
「それなら今私がいる駐車場に止めてある車、それ全部機関のなのでそこに爆弾なんかいかがです?」

『そうですね。この間は惜しくも失敗に終わってしまったので、今日はその時の恨みもこめて、
 C4爆弾をこれでもかというほど仕掛けてやりましょう。』
「それでは、場所をお教えしますね、○×市△□区『そこまでよ!多丸(裕)!!』…!!!」

 

 

 

突然の声に驚愕する多丸(裕)さんの前に姿を現した僕ら。
森さん、僕、そして多丸(裕)さんには内緒でこっそり呼び出した新川さんと多丸(圭)の面子だ。

「お、お前ら…どうして…」
ここぞとばかりに取り乱している多丸(裕)さん。
森さんは指をビシッ!と突き出し
「大人しくお縄につきなさい裏切り者!さもなくば、キック力増量シューズによるレンガ攻撃をおみまいするわよ!!」
意味不明の事を言っている。

ちなみに閉鎖空間が発生したというのはデマである。
多丸(裕)さんの犯行を実際に確認するため嘘の連絡をしておいたのだ。

「多丸(裕)さん。今の敵対勢力との会話はこの(カセット)テープに全て録音されています。
 抵抗は無駄です。なにしろこっちには森さんがいますから。下手に逆らえば体中の骨という骨を
  叩き砕かれ、さらには五臓六腑を八つ裂きにされた挙句、それらを全てラーメンのダシに…」
「古泉。」
「はいすみません。」
調子に乗りすぎた…

 

「く、ちくしょう…!」
人のせっかくの忠告を無視し、露骨に逃走を試みる多丸(裕)容疑者。
懐からナイフを取り出し悪そうな顔で突っ込んでくる。バカめ、それは死亡フラグだ。
「フンッ!」
森さんの回し蹴りが多丸(裕)さんの顔面に直撃する。その一撃で、多丸(裕)さんのHPはゼロになった。

勝利ッ!!

「ギギギ…くそぉ…」
がっくりと膝をつき、顔面をおさえる多丸(裕)さん。そこに…

「ゆ、裕…。なぜだ、なぜこんなことを…。」
多丸(圭)さんが絶望に満ちた表情で彼に近づく。
多丸(圭)さんは最後まで多丸(裕)さんの疑惑を否定していた。まぁ兄弟ならあたりまえか。
「答えろ裕!なぜ機関を裏切るような真似を!」
僕ら(僕、森さん、新川さん)にとってはわりとどうでもよく、早いとこ逮捕を終えて家に帰りたいのだが
兄弟的にはそうはいかないらしく、熱く弟に迫る多丸(圭)さん。
「返答次第では許さんぞ!裕!」
右手に拳を作り、あわよくば殴りかかろうとしている多丸(圭)さん。

と、今までただ顔を抑えてうずくまっていただけの多丸(裕)さんが、ゆっくりと立ち上がり、口を開いた。

 

「扱いだよ。兄さん…。」
「あ、あつかい?」
なんだ?あつかいって。
「俺のキャラクターとしての扱いってことさ!」
まるでアメリカのファミリードラマのように大げさな身振り手振りを交え叫ぶ多丸(裕)さん。
「原作でもアニメでも二次創作でも…俺の出番なんてたかが知れてる!表舞台に立つことなんか1度も無い!」
えええええ…
そ、そんな無茶苦茶な理由で?

 

「ちょっと待て裕!それなら俺だって、ていうかここにいるメンバーは殆ど同じような境遇だぞ?!」
多丸(圭)さんがもっともらしい反論を述べている。
「そんなことはない!」
そんなことないことはないと思うんですが…
「何故そんなことが言える?古泉はメインキャラの1人だろうが。その時点で俺との差は100、いや
 200ゲーム差はついてしまっている!」
ま、まぁ僕は言ってしまえば主人公の中の1人なのでそれは仕方ないかもしれませんけど。
「あとは、アニメ版での声だ!」
声?声優ネタはあまり好きじゃないんですが…

「まず新川!お前すっごいいい人じゃん!今の日本の声優界ではなくてはならない人じゃん!
 ノイエ・ジールじゃん『フルハウス』のトッドじゃん!なんか本人も渋くてかっこいいし!」
悲痛に叫ぶ多丸(裕)さん。
新川さんはまんざらでもない顔でちょっぴりふんぞり返っている。
「で、でも待ってくださいよ。多丸(裕)さんの声の人も結構有名な人ですよ?ゲシュペンストキックの技名を
 唯一叫ばない人とか波動拳を出す日本人とか、キアヌ・リーブスとかブラット・ピットの日本語吹き替えも
 してらっしゃるし…あ、あとなんでもBL界(主にドラマCD)では『帝王』って呼ばれてるって、ウィキペディアに
 書いてありました。」
「そんなことはどうでもいい話が進まん!」
ええええ…そんな…
「だいたいなんだBL界(主にドラマCD)の帝王って、中途半端すぎて凄さがいまいちわからんわ!!」
ファンの人は笑ってスルーして下さい。

 

「ちょっと待ちなさいよ多丸(裕)。それならあたしだって原作じゃ大した役じゃないし、声も微妙よ?」
今まで僕の横で退屈そうに耳クソをほじくっていた森さんが意見する。
「それはまだ声の人が若いからだろう。これから有名になる可能性も十分ある!」
「可能性って言われてもねぇ…」
「それになんだか最近、プリンとかまとめで森のSSをたくさん見かける。なんでお前キャラクター性も
 確定していないのにそんなに出番があるんだ。」

森さんはフッ、と鼻で笑い
「バカね。キャラクターがはっきり見えないからこそ、自分で好きなように設定できるじゃない。
 人気がでるのは至極当然の事なのよ。」
得意げに言う。多丸(裕)さんはぬぬぬ…、と悔しそうに森さんを睨みつけている。
犯人を怒らせてどうするんだ。

「ゆ、裕。でも、俺なんかアニメでは死体(偽)役だぞ?嘘とはいえ死体だぞ死体?」
多丸(圭)さんが再び話しかける。確かに、裕さんと圭一さんの扱いはあまり変わらないんじゃ…
「そうだ。でも、俺の兄さんへの不満はアニメや原作の扱いとかの問題じゃない。」
「ど、どういう意味だ?」
「次男ってのは、小さい頃からなにかと不便だってことさ。」
「!」

「例えば、俺が小学1年生。兄さんが小学6年生だったころの話だ。
 兄さんは新しくジャイアンツの帽子を親に買ってもらったのに、なぜか俺は買ってもらえず
 それまで兄さんがかぶっていた清水エスパルスの帽子をお下がりでもらったんだ…。」
ええ、そ、そんな昔の思い出を語られても…
「マリオカート(SF版)やる時、いつも兄さんはキノピオ、俺はノコノコだった。
 今だから言うけどね。俺だってキノピオを使いたかった!あの大きな頭(キノコの傘)がなんだか
 バランスがしっかりしてそうでとても魅力的だった!なんとなくドリフトがしやすそうだった!」
「ゆ、裕…」
「洋服や自転車だって、俺はいっつも兄さんのお下がり…」
…それって、世の弟たちは誰しもが経験してることなんじゃ…。
「そんな下らない理由で機関を裏切ったのか?!なんて馬鹿な弟だ!!
 いい加減あきらめて、大人しく捕まれ!そうすれば悪いようにはしない!」
多丸(圭)さんが叫ぶ。が、

 

「嘘をつけ!悪いようにしないなんてずっと言ってきたじゃないか!だけどいつもいつも裏切ってきたのが兄さんだ!!」
「そんな事ありません!」
「8歳と9歳と10歳の時と、12歳と13歳の時も、僕はずっと…待ってた!!」
「な、何を…」
「『乙女ハルヒ』の続きをだろ!!」
「ああっ!」
「『夏合宿』もだ!『新米保父さん~』だって待ってた!あんたはSSの替わりに、その超能力の
 パンチを弟にくれるのか!?」
「そんなに忘れてる・・・」

 

…なに言ってんだこの人達。

「どーでもいーから、さっさと捕まえちゃいましょうよ。」
そうですね。
オラ、大人しくしやがれこの裏切り者が!
「な、なにをする きさまらー!!」

 

 

――――――――――
↑コレほんと便利。

 

 

ピーポーピーポー

なぜかパトカーで連行される多丸(裕)さん。

 

ちゃららーらー ちゃららーらー らら ちゃらららちゃーちゃらちゃーちゃーちゃら(コナン君で主に犯人ががっくりヒザをついてうな垂れてる時とかにかかる音楽)

 

こうして、裏切り者は捕らえられた。若干展開が急すぎる気もするが気にしない。
だが、これで全てが終わったわけではない。これから先、また同じようなことが起こらないとも限らないのだ。
憎しみがある限り誰もが魔王になりえるってオルステッドも言ってたし。

 

「終わったわね。」
なんだか、あっけなかったですね。
「まぁ、最初だしね。むしろ初っ端からあんまりゴタゴタだと、後がきついでしょ。」
まあ、そうですね…

 

ん?
ちょっと待ってください。
最初?初っ端?
「どうしたのよ。」
え、裏切り者は見つかったんですよね?事件はこれで解決なんですよね?

「はぁ?あんたなに言ってんの?」
えええええ…ま、まさか…
「あたし裏切り者は1人だけなんて言ってないじゃない。」
うそーん。
「嘘じゃないわよ。機関からの情報によると、多分4,5人はいるんじゃないかって。」
ということはもちろん捜査は…
「そりゃ続行よ。全部捕まえるまでね。」

…それなら今日新川さんと多丸(圭)さんに話したのはまずかったのでは?
「それは大丈夫。例のデータ集で、あいつらの潔白は証明されてるから。」
それなら森さん、自分のマンションに帰れるんですね。
「いや、せっかくだから、あたしはあの古泉の家に泊まるぜ。」
せっかくだからって…

「だってせっかく荷物持ってきたのに、1日も泊まらず帰るなんてなんだか虚しいじゃない。」
ええ…ああ…うう…。
「コンゴトモヨロシク」
…はぁ。
「なによその溜息。大丈夫よ。次回で終わるから。」
次回って、もしかしてコレ、前後編なんですか?
「そうよ。ますますコナン君っぽくなってきたでしょ?」
番外編なのに前後編構成だなんて無茶苦茶ですよ。だいたい桃色空間関係ないし。
「ネクストコナンズヒーント! 『カプ論は必死すぎて見てておもしろい』」
聞いてないし。ヒントになってないし。なにげに最低だし。
「はいここでエンディングテーマ!」
え?エンディングテーマ?ええと…うーんと…
♪シークレットーオブマイハート ふふふーふんふんふんふーん♪
「歌詞知らないの?てかその歌ちょっと古くない?」
今誰がどんな歌うたってるんですか?
「知らない。」

 

 

後編につづく


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