その1

体を揺さぶるハルヒのせいで俺はいきなり目が覚めた。
どうしたハルヒ?
今日はそんな気分じゃないんじゃなかったのか。
「馬鹿っ……、そうじゃなくって……またキョンが黙っていなくなっちゃう夢で目が覚めて……そしたらあのときの事を……」
あぁ……もうそんな季節か、あれから10年近く経つんだが……あの時はごめんなハルヒ。

約束したろハルヒ、俺はずっとお前のそばにいるってさ、それに俺達には未希だっているしな。
「そうよ……約束やぶったら死刑なんだから!」
おいおい死刑は困るな、可愛い奥さんと愛する娘を残して死にたくはないぞ。

「ねぇ……手を握って」
手?……これでいいか? おいハルヒそんなに強く握らなくても……俺はどこにもいかないぞ。
安心しろハルヒ、さぁもう寝ような、お前が寝るまで見てるから、んっどうした?
「未希が昼間言ってたんだけど……妹か弟が欲しいんですって……だからキョン……」
おい今日はそんな気分じゃないってさっき……
「今日はそんな気分なの!」
そうか……ハルヒ今度は男の子がいいな。
「馬鹿……、早くこっちに来て…」


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その2


俺の背中を指でなぞるハルヒのせいで俺は目が覚めた。
どうしたハルヒ?明日から出張だから朝早いっていったろ。
それにもう十代の頃とは違うんだから流石に四回戦目は無理っぽいぞ。
「馬鹿っ……、そうじゃなくって……キョンが出張から帰ってこなくなっちゃう夢で目が覚めて……そしたら悲しくなって……」
あぁ……そうか……あの時はごめんなハルヒ、泣いてるのか……。

約束したろハルヒ、俺の帰ってくるところはいつだってお前の隣だって、お前を独りぼっちになんか絶対にしないぞ。
「そうよ……約束やぶったら死刑なんだから!」
おいおい死刑は困るな、お前と未希を残して死にたくはないぞ。

「ねぇキョン……ギュッてして」
……これでいいか? おいハルヒそんなに強くしなくても……俺はどこにもいかないぞ。
安心しろハルヒ、さぁもう寝ような、お前が寝るまでギュッとしてるから、んっどうした?
「…四回目しよっか……」
おい出張先で浮気しないようにってさっき三回も…… 流石に無理……だろ
「嘘、さっきから当たってるのは何?」
こっこれはその……お前が柔らかいからその……
「…………」
……おい……どうしたハルヒ?
「…………」
寝ちゃったのか?
「馬鹿……、早く来て……」


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その3


キョンどうしたのと俺を呼ぶハルヒの声で目が覚めた。
「出張は今日までで戻るのは夕方じゃなかったの?」
んっあぁ飛行機の予約が取れなくてなホテルをキャンセルして夜行バスで帰ってきたんだ。
「そう……おかえりキョン」
俺もただいまだ、ハルヒびっくりしたか?
おどろかせようと思って電話もしなかったし、靴だって下駄箱に隠しといたんだぞ。
「馬鹿っ……未希を送って買い物から戻ってきたらこっちから物音がして……」
そうか怖かったか? 御免な。
「キョンが帰ってきたし平気よ、こっちこそ起こしちゃって……」
あぁ夜行バスが寝付けなくてな、ちょっと横になってたんだ。
「ねぇ隣いい?」
うん? ハルヒも昼寝するか?
ほらここに入れ。
「ありがと……ふふ……キョンの匂いがするわね」
んっそうか? 昨日は風呂に入れなかったからかな。
「馬鹿……」
 
「今度からちゃんと連絡してよね、全く子供みたいなことして」
ふっ、男はいつだって子供のような遊び心をもってるのさ。
「……あらっ、体は子供じゃなくてすっかり大人みたいよ、なんか固くなってるし」
いや、これは……お前が浮気どころか独りでするのも禁止だっていうし……。
それにさっきからお前の胸とかが背中に……。
「馬鹿ねぇ……、あててんのよ」
……っていうかどこ触ってんだよ……。
「ねぇキョン……しよっか?」
いや俺風呂入ってないし……。
「馬鹿……、そんなの関係ないわよ」


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その4


キ「なぁハルヒ、未希のことなんだが…」
ハ「どうしたのキョン」
キ「未希が母親のお前の真似をして俺のことをパパとかじゃなくてキョン君って呼んでるだろ」
ハ「それがどうかしたの? だってキョンはキョンじゃない」
キ「いや、それを聴いて誤解してる人が居るみたいでさ」
ハ「どんな誤解なの?」
キ「あれだ、俺と未希が本当の親子じゃなくてお前の連れ子かなんかだってさ」
ハ「あの子が生まれたのはキョンと結婚してからじゃない」
キ「そうなんだけどさ最近越して来た人で勘違いしてる人がいるらしいんだ」
ハ「あっそういえば『お宅は大変ね』みたいな事を言われたけどそういう事だったんだ」
キ「今はさ未希も小さいからいいけど、大きくなってから間違った話を真に受けて悩んだりしたら問題だろ?」
ハ「確かにそうよね、ありもしない出生の秘密とか未希に質問されても困るわよね」
キ「だからだ未希にはちゃんとパパと呼ぶように教えような、ハルヒも俺のことキョンじゃなくてパパっていうんだぞ」
ハ「確かにそうよねキョン、じゃなくてパパ……ちょっと変な感じね」
キ「おっ未希が帰ってきたみたいだな、早速頼むぞ」

未「只今~ハルヒママおなか空いた~、あっキョン君遊んで!」
ハ「未希、キョン君じゃないでしょ、キョじゃなくてパパのことはちゃんとパパって呼びなさい」
キ「そうだぞママの言う通りだ、パパって言わないと遊んであげないぞ」
未「えー変なのキョン君はキョン君じゃない」
キ「パパだパパ」
ハ「そうよ未希、パパって言わないと死刑だから!」


-特に落ちは無し-


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その5


ハ「ほら未希、お昼寝の時間よ」
未「やだーキョン君が戻ってくるまで起きてる~」
ハ「キョン君じゃなくてパパでしょ、パパが戻って来たら起こしてあげるからお昼寝しましょうね」
未「むー…、じゃぁハルヒママお話して」
ハ「えっ又なの? そうねぇ……昔々あるところにキョン太郎というちょっとカッコイイけどドジで鈍感な男の子が住んでいました……」

  ………

未「……ハルヒママお話の続きは? キョン太郎とハルにゃんはどうなったの?」
ハ「……ZZZ……ZZZ……」
未「寝ちゃってる……」

キ「只今ー、ってなんだ二人とも昼寝中か?」
未「……あっキョン君…お帰り!」
キ「只今未希、キョン君じゃないだろパパって呼びなさい」
未「あのねぇハルヒママとお昼寝してたの」
キ「そうかじゃぁまた三人一緒にお昼寝しような」
未「むー…、じゃぁキョじゃないやパパお話して」
キ「お話かぁパパはあんまり得意じゃないんだがな、んー……昔々あるところにハル子というとても可愛いけど素直じゃない女の子が住んでいました……」

  ………

未「……パパお話の続きは? ハル子とキョン吉はどうなったの?」
キ「……ZZZ……ZZZ……」
未「寝ちゃってる……あたしもなんだか眠くなっちゃった……ZZZ……」


 『子が出来て川の字なりに寝る夫婦』


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その6


おかえり、ハルヒ随分遅かったな。
「只今キョン、あら未希はお昼寝中?」
そうだ遊び疲れてな、ところで未希にあまり変なことを……んっどうした随分ご機嫌だな。
「ねぇそれよりキョン聞いて、あたしナンパされちゃった」
えっ? ナンパってあのナンパか。
「そうよ、駅前で買い物してたら『そこの素敵なお嬢さん僕とお茶でも』ですって」
……確かにハルヒは美人だしスタイルもいい、一緒に歩いてても他の男の視線を感じるが……
「あーもしかして妬いてるんでしょ、大丈夫よ、ちょっとお茶しただけだから」
えっお茶ってどういうことだよ! ナンパ野郎なんかにホイホイついてっちゃ駄目だろ!
お前は俺と結婚してるし娘の未希だっているんだぞ。

この前ちょっと話題になった、「来週妻が浮気……」などという不埒なタイトルのドラマが俺の脳内にフラッシュバックされた。
大体ハルヒは俺にベタ惚れじゃなかったのか、俺だってハルヒの事が……その…好きだし……なのにナンパ男にホイホイついていくなんてどういうことだ?

「あっやっぱり妬いてるんだ、ふふ……ちょっと嬉しいわね、でも話には続きがあるの最後まで聞いてね、ナンパしてきた男って良く見たらあの谷口だったのよ」
たっ谷口ってあの谷口か? あの馬鹿いいトシしてこの休日に一体なにやってんだよ……。

「そうなの、後姿だけみて声かけてきたみたいよ、振り返ったらびっくりしてたわよ」
あいつはまったくしょうがないな……、学習能力とかないのかよ。

「遅くなったのは一緒に買い物してた奥様達とお茶としてきたからなの、もちろん全部谷口のおごりでね、地域の治安を預かる町内会婦人部としては不審人物の尋問を行うのは当然なのよ」

奥様連合の質問攻めにさらされ、更には茶代まで負担させられた谷口には同情を禁じえないが、まぁ谷口の自業自得か……合掌。


-おわりー


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