あ パジャマ用意してくれてる。キョンの…ではなさそうね  よし。
はぁ…それにしても カミナリが苦手ってこと さすがにバレちゃったかな?
うん 明らかに不自然だったもんね。気づかれないはずがない。
うぅ〜このこと他のみんなにしゃべったりしたら死刑なんだからね!平団員が団長様の弱みを握ろうなんて一億光年早いんだから!…なんて1人で息巻いててもしかたないわ。
妹ちゃん、ありがたくベッド使わせてもらうわね。

それにしても、またカミナリ近づいてきてない?
音もヤなんだけど、この空チカチカが光るとことか、万が一でも落ちてきたら死んじゃうってことがものすごく怖い。
宇宙人でも降りてくれば別だけど、そんな見返りはなさそうだしね。
やっぱりもうちょっとキョンの部屋にいればよかったかなぁ…でも もう夜も遅いし、それにあのままずっと一緒にいたら…
べ 別になんでもないけど!キョンなんかに何ができるってわけでもないでしょ!
でも一応危険回避はしとかないと そうよ なんてったってエロキョンなんだから!
…はぁ バカみたい。うん もぅ寝よう。
電気は…付けとこうかな これなら外 光ってもそんなに怖くないだろうし。


寝れん。
疲れきった体を回復させるためにさっさと眠ることを選んだのだが、 ゼンゼン睡魔は襲ってこない。
真っ暗な部屋。静かな環境。ついさっきまで騒がしかったのが嘘みたいだ。
目を瞑ると今日1日のことがエンドレスリピートで再生される。
妹みたいにはしゃぎまわるハルヒ。自分たちの活動を誇らしげに語るハルヒ。
自分の退屈しのぎ、なんて言っていたが、楽しかったのは俺のほうだ。
なんでもないことのように思うが、時間は何をしたかじゃなくて誰と過ごしたかでおもしろさが何割も違うってことを身を持って実感した。

だから余計に、さっきの不安そうな表情が目に焼き付いて離れない。
でも、そうといってハルヒと一晩過ごせる自信は申し訳ないが、無い。
自分のことを信用してないってことがそれにあたるなら、情けない話だが無理っぽい。
あんな弱い部分を持ってるハルヒを見てしまって、それをどうこうしようとする自分が垣間見えたりしたらものすごく後悔することになりそうなんでな。
そこ!おいしいもん逃して後悔するのはどっちだ、とか言わない!
自分でも痛いくらいわかってる。まぁ ここで俺が悩んだところで、触れなば切れんヤツが相手なもんで、ご期待にお応えすることは鼻からスパゲティ食うより難しいってな現実がドカンと居座ってやがるからな。
そんな男心あふれる自問自答を繰り返したらちょっとだけ落ち着いて来た。
割り切るって大事だな。
よし 眠れそうだ…その時

ドーーーーン

部屋が揺れた。空色が反転した。
あまりの大きな音に驚くこともできなかった。さすがにこれはビビる。
外の様子を伺おうとカーテンを開け…かけた。
ハルヒはどうしてる?もう寝てるのか?今ので目が覚めたかも。
何にせよ確認しにいこう 心配だ。

カチッカチ あれ 電気がつかない。しまった 停電か。
俺はケータイのライトをの明かりを頼りにとなりの部屋へ駆け込んだ。

『ハルヒ!!大丈夫か!!?』
返事はなかった。やっぱりこっちの電気もつかない。
ライトを強くしてベッドの方向へ向かって行くと
『こないで!』
は!? なんだよそれ。
『顔 見ないで うぅ 見たらしけっいなんだからぁ…』
だんだん目が慣れてうっすら状況がわかってきた。


ハルヒはベッドの端っこでうずくまり、 泣いていた。
『…それ以上 こっち っぐ 来たら ダメよ!』
『顔までは見えない。見えないから座ってもいいか?』
俺はベッドに腰掛けライトを消し、ハルヒの方は見ないようにした。
沈黙ーーーーーーハルヒは泣き止んだ後も口を開かなかった。


静かになったハルヒを見届けて、部屋を出ようとした。すると、
『…怖かったの。』
『え?』
小さな声で、ぼそぼそと訴えかけて来た。
『怖くて眠れなくて、電気もつけてたんだけど、いきなり真っ暗になって…
カミナリ…苦手…なのもあるんだけど…
もし…キョンが来てくれなかったらって考えてたらもっと 怖くなったの  それで…』
泣いてたのか?
『暗い中1人で…ううん 1人なんて慣れっこのはずなのにね。でも、辛くなったの。
だけど 来てくれた。』
真っ暗な中で、見えないはずなのに ハルヒは笑っているように見えた。





『…あの もう大丈夫だから。その…おやすみなさい。』
そう言って、伏し目がちにベッドへ戻ろうとするハルヒの手を、俺は無意識のうちに握っていた。
『え…?』
そのまま、自分の部屋へ帰った。すまん、正直自分でも何やってるかなんてわかってないんだ。
ただ、言えることはあった。
『一緒にいよう。』
訳も分からず連れ出されたハルヒは、さらにきょとんとした顔をしている。
『もう1人で待ってなくていいんだ。ずっと側に…』
そこまで言って、自分がメチャクチャ恥ずかしいことをのたまってることに気づいた。
ヤバい!俺 今すっげーカッコ悪くないか!?
顔を真っ赤にしながら、目を見開いて、口を開けているハルヒを見て正気に戻った。
突然あたふたしだした俺を見て、ハルヒはクスっと笑った。
『いいわ。そのかわり!手 離したらダメなんだからね!』
一方的に掴んだままだった俺の手をきゅっと握り返して、2人でベッドに座った


『……』
あれから数分。黙りっぱなしで行儀よく座ったまま、動き出せずにいた。
よく考えれば、選択肢は寝ることしか用意されてない時間帯で、用意されてないないんだよ!言いたいこともあるだろうが、何も言うな!
とにかく、朝まで一緒にいることは許可されていてもその…なんだ さすがに枕並べて寝るわけにもいかんだろ。
しかし、手を離さないという条件付ではできる体勢なんて限られたもんだ。
ハルヒも同じことを考えているんだろうか。いつもは自分から何でもズンズン突き進んで行動するくせに、さっきからなんのアクションも起こさない。
……仕方ない。

『ハルヒ そろそろ寝ないか?俺は床で座って寝るから。』
手を離さず、ベッドを背もたれにして床で寝ることにするよ。一晩くらい平気だろう。
 あぁ ブランケットは一枚くれよ、さすがに寒いし。
『ダメよ。』
お前は俺だって風邪くらいひくんだぞ、バカだけど。
『だから!風邪…ひいちゃうから…こっち  来て。』


据え膳? イヤイヤイヤ違うだろ!いいか 俺はきっと信用されてるんだ。
それか甲斐性なんてあったもんじゃないとか思われてるんだ。
目の前にいるのは友達友達友達。俺がガマンすれば何も起きない。
こんなことでハルヒを失望させてたまるか!…雰囲気に流されてるだけなのかもしれないが…。
『失礼します。何もしないから安心しろ。』
『ばっ 当たり前じゃない!』
もともとシングルベッドなので2人寝れば密着度はあがる、そんな簡単なことすら考えてなかった。迂闊だった。
直接顔を合わせるのはさすがに恥ずかしすぎたので、背中合わせに寝転んだ。
それでも背中に全神経が集中してしまっている。触れてない箇所までもなんだか熱い気がした。

カミナリはおさまった、雨は降り続いている。

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