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「なあ、ハルヒ?」
ふと思い出したように男はパソコンに向かう女に話しかける。

「なによ?あたし忙しいのよ?」
ハルヒ、と呼ばれた女はマウスを動かす手を止め、男の目を見る。
「いやな、ふと思いついたんだけどさあ、」

冬の日の放課後の部室のこと。珍しく今はキョンとハルヒ、二人しかいない。

「…お前、『カンケリ』って知ってるよな?」
「はあ?突然なによ?知らないわけないじゃないそんなの!あたしをからかってるんなら後にしてよね!」

ハルヒはつっけんどんに答えつつも、幼年時代にした『カンケリ』なる遊びの記憶をたどっていた。

鬼の支配する限られた時間制限の中、見付かり難い場所、しかしゲームをリセットするための必要な距離にある場所を探し、息を潜める。
スタートのタイミング、鬼と自分との距離、そして目的地への距離。全て計算し、一点だけを見つめて、走る。
そして、勝ち取るのは青空に響くスチールの軽快な音。

そういった駆け引きが出来る点で、ハルヒは『カンケリ』を好いた。


「懐かしいわねえ、カンケリかあ。…なによ、あんたカンケリしたいの?」
「いや待て、したいしたくないは置いといてだな、なんかアレって理不尽な気がしないか?」

ハルヒは気を悪くした。何故か自分の幼年期を全て否定された気がしたからである。

「何が理不尽なのよ?あんなに策略性のある遊びは他にないわよ?」
「確かにかくれんぼとかよりは数段面白いさ。でもまあ、少し俺の考えを聞けよ。」

ぷうっ、と頬を膨らませるハルヒを見ながらキョンは続ける。

「アレってさあ、ずっと隠れてて、誰かが見付かってから動けば自分が鬼になることは確実にないだろ?
自分が負けるかも知れないリスクを背負って突撃してカンを蹴るのとと、ただ誰かが蹴るのを期待してただ隠れてるのが同じ結果になるのが理不尽な気がするんだ。」
「…でも、カン蹴ったら気持ちいいし、なによりかっこいいじゃない!」

「だからハルヒ、俺が言うんだ。
 『お前が好きだ』って。」
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