ゆさゆさ。
揺さぶられて俺は起きる。
「んぅ・・・?」
「―――おはよう」
「・・・九曜?・・・って、あれ!?ここは!?」
「―――私の家」
「なんで九曜の家に俺は・・・・・あぁ、そうか」
思い出した。
昨日、天蓋領域ファミリーとここで何か訳の解らないパーティっぽい何かをしたんだっけ。
それで疲れて俺は眠っちゃったんだったっけ。昨日はうるさすぎてあんまり覚えてない。
天蓋領域の知り合いのベジータと苦悩について語り合った程度なら覚えてるけど。
あとはORTとかいう水星から来た天蓋領域の知り合いとも会話したっけ。
「・・・ん?」
ふと、俺は気付いた。布団が掛かっているのは解るが、枕じゃないのが俺の頭をのけていることに。
後頭部に当たる人肌のようなってか人肌の何か。・・・何故に?
顔をまっすぐに向ければ俺を見下ろす九曜の顔。・・・何故に?
横を見れば九曜の細いお腹。・・・何故に?
少し考えて、聞いてみる。
「・・・膝枕か」
「―――うん」
「ずっと?」
「―――うん―――私は眠らなくても大丈夫。そして貴方の傍に居る方法を模索したら膝枕―――」
少し下手な日本語で九曜は言う。いや、イントネーションはあってるのに、言葉がね・・・。
 
「天蓋領域やっと来ましたぞー!!」
こしみのを付けた変態が現れた。
「いくらなんでも変なタイミング過ぎる」
「―――おはよう、パパ」
「いやぁ、良い天気ですなぁ。こんな人は踊りたくなりますぞい。ひ~らりひひらり~」
「蹴り穿つッッ!!」
俺は自分でも驚きの速さで起き上がると、心を込めて名前をアドバーグ・エルドルと名乗った天蓋領域をぶっ飛ばした。
九曜がさっと窓を開けてそこから外へ、空へと突き抜けていき、遠くへ遠くへ飛んでいき星になる。
そして、キラリーンと遠くで光った。昼間なのに。
「―――ごめんなさい、あんなパパで・・・」
「気にするな」
俺は九曜を抱きしめてそっと頭を撫でる。
日々、惹かれていく心。どうにもこうにも九曜には魅力がある。
抱きしめる時の感触は抱き枕の何倍も素晴らしい抱き心地が良いしな。
何よりも、可愛い。
俺達は見詰め合って、そのまま自然とキスをした。
・・・幸せだ、脳髄がとろけそうなぐらいに。
「九曜・・・好きだぞ」
「―――うん・・・―――好きって言葉にいつか大の字が付くように頑張る―――」
「うん、期待している」
「―――大好き」
そうこうしていると何やら騒がしかった外がやけに静かだった。窓から外を眺める。
「―――隠れて」
九曜の鋭い声が俺に指示をした。
「え?」
「―――いいから」
俺は言われたままに、九曜に押されるがままにクローゼットに隠れた。
・・・って、ちょっと待て!!
「九曜!!ここ下着だらk」
「―――静かに」
「・・・はい」
そして、次の瞬間大量の人の気配が流れ込むのが感じ取れた。
クローゼットの隙間からそっと様子を伺う。
そこには沢山の光陽園女子の制服を着た高校生がズラズラといた。
「九曜さん、男の影がちらついてるって本当ですか!?」「どうなんですか!?」「我等がお姉さま応えてくださいまし!!」
・・・なんだ、これは。
何?九曜って光陽園女子ではそんな人気なのか?
「―――大丈夫」
九曜はただ一言、そう漏らした。
それを聞いた光陽園女子の生徒達は散り散りばらばらに玄関から去っていったようだ。
「―――もう大丈夫―――」
九曜がそう言ってクローゼットを開けた。
俺はぷはーと外の空気を一気に吸い込んだ。よし、生き返った。
「―――顔、赤い・・・大丈夫?―――」
九曜が心配そうに俺の事を見ている。だから笑って、っつうても苦笑いだが、答えてやった。
「そりゃ、下着ばかりのクローゼットの中にいればな・・・」
「―――あげようか?///―――」
「・・・いや、遠慮しとく・・・」
「―――慰みの際に・・・/////―――」
「アホ。それならお前がやってくれ」
「―――・・・私が?」
「あ・・・」
俺、何を口走りやがった今。
「―――でも・・・えっと・・・その・・・私は・・・―――まだ未体験・・・で・・・―――」
ゴニョゴニョと九曜の言葉がフェードアウトしていく。
くっ、可愛いけど、可愛いけど、半端な気持ちでは抱けない!
「も、もちろん、俺がお前を大の字が付くぐらい好きになったらの場合な?」
「―――頑張る。貴方を完璧に振り向かせて、初めてを献上する―――」
「俺もお前を・・・その・・・抱けるようになりたいな」
だって、こんなに可愛いんだもんな。
「まぁ、今はそれも我慢して・・・九曜。さっきみたいに膝枕してくれないか?」
さっきの膝枕心地が良かったんだ、結構な。
「―――それよりもいい考えがある―――」
「ん?何だ?」
「―――腕枕」
・・・え?腕枕って事は・・・。
「・・・俺が?」
「―――・・・私が」
「・・・恥ずかしいな、おい・・・」
女の腕枕なんて聞いた事無いぞ。本当に。
「―――そして私は貴方に抱きつく」
「はは・・・それは良い考えだ」
「―――私は世界一大好きな貴方に抱きつきたい―――」
 
 
・・・という会話を俺達がしている頃、
 
「谷口さん!お願いします!」「調べてみてください!」「成功率87.2%を誇る貴方の力を借りたいんです!!」
「いいけど・・・さ。それなりに、ね?」
「我等が光陽学園女子新聞部!」「可愛い女の子の写真ぐらい」「朝飯前にとってきます!!」
「・・・そうかい?」
「中学生の」「高校生の」「半裸写真も」「全裸写真も」「その他諸々も」「隠し撮りできます!」
「ほう・・・それが、君たちの・・・」
「「「「「「「「「「「「「「「九曜さんクォリティー!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「解った。やろう」
「谷口さん」「ありがとう」「ございますー」
「あぁ・・・だが、今回はタダでやるよ」
「本」「当」「で」「す」「か!?」
「まぁ、じつは気になってね・・・君等が集めたという目撃証言の男、どうも知り合いに容姿が似ていてさ・・・・・」
 
こんな事になってるなんて当然知らない。そんなわけで
 
「―――・・・・・・」
「あの・・・胸が、当たってるんだが・・・・」
「―――・・・当ててるのよ・・・―――」
「・・・何で教わった知識だ」
「―――漫画」
 
これでよく襲わなかったものだと、俺は自分の理性とヘタレっぷりをほめていた。
それから二十秒後。俺は帰ってきた天蓋領域ことアドバーグ・エルドルをもう一度ぶっ飛ばしていた。
誰も知らない。バカ騒ぎまでのカウントダウンはもう残り僅かだって事を。

 

 


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