• DVDの続きのような話です。

    明けて日曜、今日はSOS団不思議パトロールの日である。

    いつものところに10時集合。いつもの喫茶店へ。
    誰が奢り当番になったかなんて言わなくてもわかるよな?まぁそういうことだ。もう気にもしてないが。
    昨日さんざん遊んでやった団長様は疲れる様子を知らずハイテンションである。
    ただ、俺に対してはどこか冷たく当たってくる。・・・ような気がする。俺が何か悪い事したんだろうか?
    他のメンバーもそれに勘付いてるようで意味深な顔を俺に向けてくる。
    なんだ古泉そのニヤニヤした顔は。何か知ってるふうだな。
    長門は・・・多分わかっているだろう。そういう奴だ。あとでペアになったら聞いておこう。
    朝比奈さんは相変わらず何もわかっていなさそうな笑顔を振りまいている。実に平和的で美しいじゃないか。女神の称号を進呈したいね。

    大まかな作戦会議を終え(といってもただ他愛もない事を話していただけなんだが)ペア割りが始まった。
    ハルヒの持つ爪楊枝を引き抜こうとしたんだが・・・抜けない。なに力いれてんだよ。
    「あんたは一番最後」 というと他のメンバーにさっさと楊枝を取らせた。
    「おや、僕は色無しのようですね」
    「あ、わたしもです」
    「・・・」
    ハルヒは残った二本を確認もせずしまいこみ「ならあたしがくじを引く必要も無いわね」と小声で囁いた後、
    「では今日のペア割りは有希、みくるちゃん、古泉君チームとあたし、キョンチームね。張り切ってこー!」
    それだけ言うと異論は一切受け付けませんオーラを噴出してメンバーを見渡す。
    おのおの納得の様子。ハルヒも満面の笑顔。
    いや、待ってくれ。どう見てもイカサマ臭がするのは俺の気のせいか?オイその残りの二本を見せてみろ!?
    「何よあたしとペアなのが不満だって言うの?」すかさず口を尖らすハルヒ。
    おいおい昨日もさんざん・・・・
    「昨日も・・・なんですか?大変興味深い話ですね」ずいっと体を乗り出してくる古泉。
    あ、いや・・・。言葉を詰まらせる俺。って別に隠すことでもないだろうに。何を照れてんだ。
    「なんでもないわ。古泉君」笑顔でいて反論を許さないドスの聞いた声で古泉の余計な詮索を断ち切るハルヒ。
    はぁ、何を企んでんだか・・・。

    結局そのまま打ち合わせを終えた後喫茶店を出る事になった。
    ハルヒはすかさず伝票を俺に回しスタスタと外へ。俺は支払いの為少し混んでいるレジへと並ぶ。
    そういえば不思議探しでハルヒと組んだのはあの時以来だな。
     -あの時とは他のメンバーがそれぞれ用事があって来れなかったあの日だ-
    なんでまた急に今日ペアになっちまったんだろうか。これもアイツの気まぐれか・・・。
    「それは彼女がそう望んだからですよ」またコイツか。さっさと行け。行かないなら金を出せ。
    「涼宮さんが望んだから今日のあなたは最後にくじを引いた。違いますか?」
    いや、引いてすらいないぞ俺は。それにカミサマ的な力じゃなくただのペテンだろうが。
    「どちらも同じことですよ。彼女が望めば・・・ね。」
    なになに?では今まで随分と俺の事を嫌っていたんだなあいつは。メンバー揃ってる時では初パターンだぜ。
    「いえ、そうではありません。それはいわゆる思春期にありがちな乙女心です」
    「キライじゃないけどみんなの前じゃ一緒にいられない。そんな葛藤が彼女の心にはあったんでしょう」
    だったらなんで今日なんだ。それもイカサマ臭い手を使ってまで。
    「昨日がとても楽しかったからではないでしょうか。そんな彼女は自分に素直になろうと思い始めたのですよ。
    これは大きな進歩です。そしてあなたがそれに気付かせた。昨日に何があったのかは・・・知りませんけどね」
    嘘付け。機関はハルヒを監視してるんだっけか?そんな出歯亀みたいなことしてると警察に連行されるぜ。
    俺はあいにくこの宇宙人や未来人やらエスパー戦隊にたて突く気力も沸かないね。隠し事は出来なさそうだ。
    「以後気をつけます」と、爽やかスマイルを振り撒きながら立ち去ろうとする古泉。
    「あ、そうそう、実は昨日の夜に閉鎖空間が発生しました。本当に久しぶりなことで僕も驚いたのですが」
    昨日の晩?何時だそりゃ?確か昨日の夜は・・・。
    「21時46分ですね。さらにいつもと違うことが何点か。初めてな事ばかりで本当に興味が尽きませんよ。
    まず閉鎖空間が拡大しないということです。そしてもう一つ、神人が暴れださない」
    暴れない?あの暴君宜しく破壊の限りを尽くす巨神兵がか?
    「はい。時折何かを思い出したかのように建物を小突くくらいで、非常におとなしいものです。
    しかし我々も対応に困りました。なにせ何もしない子犬のようにおとなしい神人を<狩る>のは趣味ではありませんからね」
    お前の趣味など知りたくもないが。
    「これは涼宮さんの精神面でのエキスパートを自負する僕の見解ですが・・・、
    この空間はイライラによって生まれたのではなく、涼宮さんのモヤモヤによって発生したのではないかと推測されます」
    モヤモヤ?何か悩んでるのか?あいつ。そうは見えないけどな。昨日もあんな楽しそうだったし。
    「楽しそうだった?それはよかった。ではあなたが原因であると言えるでしょうね」
    何で俺なんだよ。
    「考えても見てください。今までの彼女なら男と二人で普通の遊びをする・・・なんて平凡な日常を最も嫌ったはずです。
    しかしあなたといた時間は非常に楽しい時間だった。これが何を意味するかわかりますか?」
    わかんねえよ。
    「あなたって人は・・・まぁいいでしょう。話は戻りますが、閉鎖空間のその後はしばらくこう着状態が続きました。
    そのまま40分くらいは経ったでしょうか、そろそろ機関の上の人間も痺れを切らしてきた頃です。
    すると突然、閉鎖空間は崩壊を始め、あっという間に自壊してしまいました。これには我々も驚きを隠せませんでしたね」
    「その時間がちょうど22時27分の事です」
    俺はなんともなしに自分の携帯を取り出し、発信履歴を見てみた。
      ~ 発信  22:27 涼宮ハルヒ ~
    「それが答えです」そう言うと古泉は時間を取らせましたと謝らんばかりにレジへとエスコートする。
    「もう少しあなたも自分に素直になってみては如何でしょう」そう言って店を出て行った。
    もう前には誰も並んではいなかった。

    「おそーい!時間はお金より貴重なんだからそんなルーズな人間は価値を失うわよ!」
    と、般若のような顔で文句を言っているハルヒにジュースを奢りながら何処ともなしに歩く。
    「それより今日はどこ行くんだ?お前がいつもどんな不思議探しをしているのか気になってたんだが」
    「あんたよりは効率的で頭脳的な方法で探しているわよ」なんだそりゃ。
    「別に何処でも良いじゃない。・・・・あんたと一緒なら・・・」最後のほうは声が小さくて聞き取れなかった。
    「つまり何も考えていないんだな」
    「バカ」

    ここはもう、いつぞや朝比奈さんと歩いた川沿いの歩道である。あの時はまさかこんな事になるとは思いもしなかったな。
    隣でうれしそうに100ワットの笑みで昨日遊んだ話を続けるハルヒ。さっきまで怒ってたんじゃねーのかよ。
    まあこんなに楽しそうなハルヒなら見ていて損はないけどな。なんとなくニヤけてしまう。イカンイカン。
    「何よそのニヤけ顔は。ヤラしい事でも考えてたんじゃないでしょうね?」相変わらずよく見てらっしゃる。
    「あたしに惚れた?」昨日からそればっかりだな。流行語か?俺も流行にはついていかんとな。
    「まぁ、そんな感じだ」真面目っぽく言ってみる。
    「うそ・・・」顔を真っ赤にしているハルヒもいいじゃないか。カラカイがいがある。
    「なんてな」俺は手を広げやれやれといったポーズを取る。
    「・・・バカキョン」そう言うとハルヒは先に走り出してしまった。
    相変わらずの俊足である。ゲームばっかやってる俺の足じゃ追いつかねーよ。
    しばらく必死に走って行くと・・・ハルヒは道端にあるベンチに腰掛けていた。
    「横、座っていいか?」と許可を求めて、かすかにハルヒの頭が上下したのを確認し隣に腰を下ろす。
    しばらく沈黙の時間が流れる。。。

    「あんたさぁ、好きな人とかいないの?」

    イキナリの質問に俺はかなり意表を突かれた。
    「・・・・・・・・・」答えを用意していなかった俺は声が出ない。俺は策士なんだ。考える時間をくれ!
    「・・・・・・・・・」ハルヒまでだんまりしている。マズイこの空気はまずい。
    「わかんね」やっとの事で声を搾り出した。これが今の俺の精一杯。
    「みくるちゃん?有希?それとも中学の仲良かった子?」ハルヒは上目遣いで俺を見てくる。
    「わかんねーよ」返す言葉がない。
    「って事はこの中にいるのね」少し怒った口調で詰め寄って来る。表情はどこか寂しそうだ。
    「だからわかんねーって」情けないな、俺。実際によくわからなくなってきた。先ほどの古泉との話が頭に浮かぶ。
    「もう!さっきからそればっかり!ならあたしが魔法をかけてあげるわよ」
    「魔法?」何だ魔法って?ハルヒが言うと冗談じゃすまないような気がする。目の前でホウキに乗って飛んで行きかねん。
    「あんたが誰を好きなのかがわかる魔法」
    「な、なんだって?」
    試験管やフラスコで培養した秘薬でも飲ませるつもりか?それか自白剤か?どちらも勘弁だ。俺は犯罪者でも実験体でもねーぞ。
    「そんなことしないわよ、もう。ホラこっち向いて目を瞑って」なんだなんだ?
    「いーい?あたしがいいと言うまで絶対目を開けちゃダメよ!」キッ!と睨んでいるハルヒ。
    一体何しやがるんだ?ビクビクしながらも鬼のような形相で俺を睨むハルヒに押されしぶしぶ目を瞑る。
    「・・・・・・」
    「・・・・・・・・・・」
    「・・・・・・・・・・・・・・・」
    な、なんだこの間は?調合中だってのか?ああ目を開けたい。
    人間は暗闇の中では生きていけないんだぜ?・・たぶんな。しかし目を開けたらハルヒに何されるかわかったもんじゃない。
    ここは目を開けてハルヒによる<即死>を取るか、暗闇に耐え続けて生きながらえるか・・・究極の二択だ。
    もちろん後者を選ぶがな。俺は少しでも希望がある道を選ぶね。

    ・・・しかしまだかよ。
    もう5分は経つのじゃなかろうか。いや、暗闇の中なので時間が過ぎるのが長く感じているだけかもしれない。
    もしかして目を開けたら閉鎖空間だったりして・・・。冷や汗が背中を伝うが、大丈夫それはない。
    まだ回りの喧騒や通行人たちの会話が聞こえる。安心だ。
    ・・・と、んん?どこか遠くで聞き覚えのある声が聞こえる。それも段々近づいてくる。
    「ウィーーーッス!」「やぁ、今日は何をしようか」「nanana~~ナンパしようぜ!ナンパ!」「ムッハー」
    まさか!?谷口と国木田か!?これはマズイ。まずいぞ。ヒジョーにマズイ。
    こんなハルヒと二人っきりのところをあの二人に見られたら明日の学校でどんな噂が広まるかわかったもんじゃない!
    動転した俺は「オイ!ハルヒ!!!」とうっかり目を開けて・・・・・視界いっぱいに広がる巨大なハルヒの顔を見た。
    いや正確にはハルヒの顔がでかいんじゃなくて、俺の視界を塞ぐ程に異常接近していたわけだ。
    「あ、ああ・・・あ・・・」ハルヒは真っ赤になって固まってしまった。声も出ないらしい。
    「・・・あの・・たにぐち・・が・・・」かくゆう俺もあまりの急展開に固まってしまう。参ったね。
    「ようキョン!何してんだー?そんなとこで」
    何処までも空気の読めない奴である。ハルヒは「バカーーー!!!」と俺を突き飛ばし、俺はベンチの端まで吹っ飛んだ。
    「ああ、お邪魔しちゃったかな?」国木田が続く。それは空気を読んでるとは言えねーぞ。
    「おいおいお前ら昨日に続いて今日もデートかぁ?しかも段々と過激になってやがる。全く妬けるねー」
    「ちょ、ちょっと!昨日の事なんであんたが知ってんのよ!」ハルヒが谷口に噛み付く。
    「俺たちはスネークだからな。諜報任務なら任しとけ。ケケケ」額にバンダナを巻く谷口。全然似合っとらん。
    「昨日はボーリングに釣りにカラオケに楽しかったねぇ」「おぅよ!」
    「・・・・あんた達、覚えておきなさいよ!地獄に落ちるまで呪ってやるんだから!」ああ、谷口死んだな。
    「そんなことより涼宮さん。今何をキョンにしようとしていたんだい?」要らぬことを言うな国木田。
    「!!!・・・見てたの?」ハルヒはボッと顔から火が出たように赤くなってしまった。
    「ああ見てたぜ~~!キョンに目をつぶらせ、その顔に自分の顔を重ねていく・・・見てらんねーよ」
    「ち、ち、違うわよ!あ、あれは・・・キョンのおでこに<肉>って書いたら超人になるのか試してただけよ!」
    思わず額を触る俺。何する気だこんな公衆の面前で。ある意味一番恐ろしいぞそれは。
    「ホントかよ。じゃあペンはどこに持ってるんだぁ?ペンは?」谷口は日ごろの恨みでも発散するようにハルヒに絡んでいく。
    「!!!」クッと下唇を噛むハルヒ。オイ谷口その辺にしとけ。ハルヒの機嫌を損ねるととんでもない事になるぞ。

    その時、ベンチの背後の茂みからガサッっと音が鳴った。
    これ以上もないくらいビクッッ!!!とするハルヒ。何のドッキリだよ。今度は誰だ。
    「こんにちは」やっぱりお前か古泉。他に朝比奈さん長門の姿も見える。
    「たまたま通り掛ったらなにやら皆さんお集まりのようで」
    嘘付け。どうやったらベンチの背後の茂みなんか通り掛るんだよ。体中に葉っぱ付けやがって。
    「これはこれは涼宮さん、顔が真っ赤ですよ。熱でもあるのですか?」キッ!と古泉を睨むハルヒ。だがいつもの鋭さはない。
    「涼宮さん何しようとしてたんですかぁ~~?とっても幸せそうな顔してましたよぉ~」あ、朝比奈さんまずいですって。
    「みくるちゃん?あなたにもお仕置きが必要のようね。あとで覚えておきなさい」
    「はひっ」そう言って蛇に睨まれた蛙のように縮こまる朝比奈さん。
    「・・・忌々しい」長門もボソリと何か言った。
    「?何か言ったか~?長門?」
    「・・・なんでも」
    「・・・」
    「・・・この泥棒猫」
    「な、なんだって???」
    「・・・なんでも」

    いつの間にか俺とハルヒが座るベンチの周りにみんな集まっていた。

    「さて、そろそろハッキリしてもらいましょうか。お二人の関係を」
    「そうですそうです。いい加減見てらんないですよぉ~」
    「まぁ周りの人間はみんな知ってるんだけどよ!お前らだけだぜ、バレてないと思い込んでるのはよう!」
    「そうだね。教室のやり取りを見ているだけでこっちが恥ずかしくなってくるよ」
    「・・・泥棒猫泥棒猫泥棒猫泥棒猫泥棒猫(ry」「・・・」「・・・なんでも」

    みんな好き勝手言ってやがる。俺とハルヒがなんだって?そんなことを俺は認めない。あるはずがない!
    「ちょ、ちょっと待て!何でそういう話になるんだ!これはただのSOS団・・・クラブ活動の一環だぜ」
    「昨日もただ暇だったから遊びに行ったわけで、何にも、その・・・してねーし」
    「コイツはただのクラスメイトで、SOS団団長で、毎回俺をこき使って、人の苦労も知らず暴走して・・・・」
    ・・・俺は言葉を失った。いや、これ以上言ってはならないと思った。それに俺も言いたくなかった。
    「そうなんだ」とても悲しそうな顔でうつむくハルヒ。
    「そんなに迷惑かけてたなんてね。気付かなかったわ。・・・・・ごめんなさい」
     !!!!! 俺は衝撃を隠せなかった。ハルヒが謝った?何で謝る。やめてくれ!
    ハルヒのこんな顔なんて見たくない。いつものように周りを照らすくらいの明るい笑顔でいてくれ!
    「・・・・・すまん」俺が悪かったんだ、あんな偽りの言葉を吐いちまって。
    「もういいわ。あんたの気持ちは分かったし。これからは気を付けるわ」
    「今日はもう解散。明日は学校だしみんな早く帰って休んで頂戴。有希、みくるちゃん、古泉君また明日ね」
    「ちょ、俺は・・・」
    「あんたはもう来ないんでしょ!あたしがキライなんでしょ!無理してつき合わなくていいわよ。勝手にすれば!」
     ハルヒは泣いていた。
    とんでもない事を俺はしてしまった。自分がイヤになってくる。しかしここで落ち込んでいるわけにもいかない。
    まだハルヒに伝えていないことが俺にはあるんだ。自分の気持ちに素直になった時に出てくる言葉を・・・!

    「ハルヒ」俺はハルヒの両肩をがっちりと掴んだ。もう離れないように。
    「ちょっと何よ。離してよ」振りほどこうと抵抗してくるハルヒ。もちろん俺は離すつもりはない。
    「ハルヒ、ごめんな。俺が悪かった。俺はひねくれ者だから自分の気持ちに素直になれなかったんだ」
    ハルヒは抵抗を止めた。涙でぐしゃぐしゃになった顔を俺は見つめる。
    「こんな素直な俺は今まで見たことがない。だから一度しか言わない。聞いてくれ」

    ----------------------

    思えば俺は全部知っていたんだ。
    ハルヒの俺に向けられた気持ち。ひねくれた、それでいてストレートで純粋な気持ち。
    さらには長門や朝比奈さんや古泉・・・は、まぁいい、みんなが俺に好意を抱いているって事を。
    それが俺には心地よかった。ずっとこのままでありたいと思った。そんなSOS団がとても好きだった。
    いつしか俺の心にはハルヒに対する特別な感情ができていた。
    俺はずるい男だ。そんな皆の、自分の気持ちに気付いていながら知らないふりをしていた。気付かないふりをしていた。
    それを自覚することによって今までのSOS団が無くなるんじゃないかと怖くなったんだ。
    みんなで不思議探しに行き、みんなで孤島へ行き、みんなで文化祭の映画を作り・・・。
    俺もみんなのことが好きだったんだ。知り合えて本当によかったと思ってる。
    もし自分の気持ちをハルヒに告げていたら、成就しようがしなかろうがそこにはもう今までのSOS団はないと思った。
    そんなことばかりを考えていた。自分の都合ばかり。みんなの、ハルヒの気持ちなど考えもせずに。
    俺は周りが見えてなかったんだな。ハルヒがそこまで悩んでいる事に気付いてやれなかった。
    本当にすまなかった。もう二度とそんな気持ちにさせたりはしない。

    ----------------------

    「ハルヒ・・・好きだ」
    そういって俺はハルヒにキスをした。


        答えはいつも私の胸に...
      なんでだろ あなたを選んだ私です
     もうとまらない 運命様から決められたけど
      I believe 真似だけじゃつまらないの 
    You'll be right! 感じるまま感じることだけをするよ

       冒険でしょでしょ!?・・・・・

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    その後の事を少しだけ語ろう。
    あれから俺はハルヒと付き合うようになった。
    あの後ハルヒは大泣きで大変だったがそれもいい思い出だ。素直なハルヒも見れたしな。
    ずいぶんと遠回りしたような気がするが俺は後悔はしていない。あいつを見てたらそんな気になってくる。
    そして心配されたSOS団が変わってしまうような事もなかった。
    周りの奴らは今までと変わらず接してくれる。谷口いわく何も変わってないとの事だ。
    昔から付き合ってるようにしか見えなかったと。・・・なんだか恥ずかしくなってきた。

    そうそう明日は不思議パトロールの日だ。
    あれから何度か開催されたんだが、何度ペア割りしても俺はハルヒとしかペアにならなかった。
    だから今、土曜はハルヒと二入だけで不思議探しをし、日曜に団員全員で探すという方式をとっている。
    土曜はただのデートじゃないのかだって? 団長様いわく愛の不思議を探すそうだ。

    やれやれ。。。


    ~fin~

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最終更新:2020年12月14日 06:45