病院
古泉「キョンたん、僕のことがわからないんですか?」
キョン「うん・・・っ」
古泉「困りましたね…」
キョン「…あなたの名前はなに?」
古泉「僕は古泉、あなたの恋人です」

古泉「本当に?」
キョン「…うちに…帰りたい、ハルヒは?」
古泉「おや、涼宮さんはわかるんですか?」
キョン「長門…、朝比奈さん…」
古泉「キョンたん…」
キョン「みんなどこへいったの?」
古泉「…みんな元気ですよ、それより医師を呼んできましょう」
キョン「うん…」

僕は、医師と話す古泉という人の顔を見た
なかなかいい顔をしていてモデルのようにも見える

医師は簡単な質問をしていく
医師「この人のことがわかりますか?」
キョン「ううん…わかんない」
古泉「……」
医師は渋いような顔をして出て行った

古泉「涼宮さんや他のみなさんのことはわかるんですか?」
キョン「うん…名前はわかるんだけど、もやもやしてよくわからない
   どうしよう、僕…、僕…」
古泉「大丈夫、泣かないでください、僕がなんとかしますから」

古泉「そうそう、僕のことでしたら呼び捨てにしてください
  前はこーちゃんとも言われていましたが」
キョン「…うん」

その日、僕は他のいろいろな検査をうけた

古泉「終わりましたか」
キョン「心細かったよぅ…」
古泉「よしよし、大丈夫ですよ」
古泉さんは僕の頭をやさしくなでてくれた

目覚めてから一日で色々なことがあって、僕は疲れてしまった

古泉「それじゃあ、明日迎えに来ますから」
キョン「うん・・・っ」
古泉「大丈夫、キョンたんは強い子ですよ、僕がよく知ってます」
キョン「ばいばい」
古泉「ばいばい、キョンたん」

なんで僕は病院にいるんだろう?
古泉さんが帰ってから色々と考えたけれど
不安になってきたので、あたまからシーツをかぶって寝た

次の日の朝、トイレに行こうと廊下を歩いていると
古泉さんと昨日の医師が話しているのが聞こえた

古泉「キョンくんは、もう記憶がもどらないというのですか?」
医師「残念ですが…、こうなってしまった以上、退院は…」
古泉「いいえ、僕がなんとかしてみせます、キョンくんにさみしい思いをさせたく
  ないんです」
医師「しかし…」
古泉「お願いします、お願いします」
医師「…わかりました、あなたがそこまで言うなら」
そういって医師は部屋を出て行った
古泉「うっ、ぐすっ…」

古泉くんが泣いてる…
びっくりした僕は部屋に戻ることにした

僕が部屋にもどると古泉さんが部屋にやってきた

古泉「やぁ、キョンたん、おはようございます」

さっきまで泣いていたというのに昨日と同じ笑顔で
古泉「お医者さんの許しが出ました、今日退院しましょう」
キョン「今日?」
古泉「きちんと準備もしてきましたから、大丈夫ですよ」
キョン「うん…」

外にでると夏の日差しが強くて、歩くのも少しつらかった
僕はいつからここにいたんだろう?

古泉「このまま、僕の部屋まで行きましょう」

古泉「ここが僕の部屋ですよ」
キョン「おじゃまします」

狭い部屋にテレビや冷蔵庫が置いてある
古泉「お腹すいたでしょう、待っていてください、
  いま食事を作りますから」
キョン「うん、ありがとう」
古泉さんはにっこりとほほえんでから料理をつくりはじめた

古泉「さぁ、できましたよ」
キョン「わぁい」
古泉さんの作る料理はおいしかった

古泉「あした学校へ行ってみましょう」
キョン「がっこう?」
古泉「近所に北高という高校がありまして、そこに」

ここで僕は気になったことを聞いてみた
キョン「ねぇ、僕って、病気なの?」
古泉「……」
まずいこときいちゃったのかな?
古泉「少し昔のことがわからなくなっているだけですよ、大丈夫
  きっと思い出せます」
古泉さんはそういってわらった

次の日、僕と古泉さんは学校にいた

古泉「ここが北高の校門です、なにか思い出しませんか?」
キョン「僕…わかんない」
古泉「そうですか…」
一瞬、ふと悲しそうな顔をみせる古泉さん
話題を変えよう
キョン「ねぇ、この高校ってなんなの?」
古泉「昔あなたはここに通っていました
  僕とあなたが出会ったのもこの学校でです」

古泉さんはそういって僕の手を握ると高校の中に入っていく

古泉「ここが文芸部、そしてSOS団の部室です、キョンたん
  なにか思い出しませんか?」
キョン「ごめん、僕、わかんない…」
古泉「そうですか…」

そういって少しうなだれる古泉さん、見ていてなんだか悲しかった
僕は…、僕は古泉さんのために思い出したい…
そして、古泉さんは話し出した
古泉「僕とキョンたんはここで出会いました…
  あれは僕がこの学校に転校してきた時でした
  涼宮さんとの接触を考えていた僕はそのことしか頭にありませんでした
  いうならば、高校生らしい生活など送っていなかった」

古泉「色々と悩んでいたわけですが、そのときあなたたちと出会いました
  あの日々は僕の宝物です…
  それから僕とキョンさんはすこしづつ距離を縮めていきました
  そしてあの日、キョンくんが僕にキスをして告白…
  あの時から僕たちは恋人になったんです
  しかし、涼宮さんはあなたに好意を寄せていました
  それがあなたの記憶になんらかの影響を及ぼしたと思われます」

古泉「その事故の影響を受けて
  朝比奈さんは時空が捻じ曲がったため未来に帰るように命令が下り
  また、長門さんは急進派との戦闘で姿を消しています
  そして、今は僕があなたと一緒に…」

古泉さんの目から涙が…
古泉「キョンくんの家族や、鶴屋さん、国木田さん、谷口さんに
  僕はあなたのお世話をさせてほしいと頼みました
  僕はそれくらいあなたが好きなんですよ」

古泉「他のみなさんも学校の生活などがありますから…
  それでも、みなさんキョンくんのことを心配しています
  僕はあなたに、記憶をもどしてもらいたい
  これは本当の気持ちです…」

キョン「…」

僕は記憶がないけれど、その記憶は大切なものだったに違いない
だって、こんなに愛してくれた人がいたんだもの

キョン「こーちゃん…」

キョン「こーちゃん…好き…」
古泉「…僕もです」

僕は古泉さんと抱き締めあった
古泉「たとえあなたの記憶がもどらなくても、僕はあなたを愛します…」
キョン「うん・・・っ」

これからもこうしてがんばってみよう、この人を信じて…


 Fin

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