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電波作品2

突然、ある疑念が頭をよぎる。
俺たちは、なぜこうもハルヒの思うがままに振り回されなければならないのか。
古泉に言わせれば、ハルヒの機嫌を損ねるイコール世界の終わりらしい。しかし、あいつにそんな力が本当にあるかと問われて、手放しでイエスとは言えるはずもない。
俺の平和な高校ライフが、突然一人の少女によってぶち壊しになる。こんなことが許されていいものか。
俺の疑念は、次第に憤りに変わる。
こうなったら、俺がちょっくらあいつに悪戯をして、一泡吹かせてやろうではないか。
つまり、ささやかな復讐というわけだ。なあに、考えはある、心配するな。

…………今、誰に向かって『心配するな』と言ったんだろう俺…………。

次の日の放課後。
あれがそのドアを開けた時点での文芸部室には、ハルヒしかいなかった。
「あれ?ほかのやつは来ていないのか」
「そうよ。あたしだけで悪い?」
「いや、むしろ都合がいいぜ。ハルヒ、お前にちょっとなぞなぞを出そう」
「はあ?」

~キョンの悪戯・涼宮ハルヒの場合~
「ではまず、第一問。<<数字の6>>を英語で言うと、なんと言うか?」
「そんなの簡単じゃない。シックスよ」
「正解だ。では第二問。<<靴下>>は?」
「ソックスね……って、あんたあたしをバカにしてるんじゃないでしょうね?」
「いいから質問に答えろ。では第三問。<<あれ>>は?」
「あ、<<あれ>>?あんた正気なの?そんな問題出して」
「俺は正常だ。それより、質問に答えろ。<<あれ>>を英語で言うと?」
「…そ、そんなの、あたしの口から言えるわけないじゃないエロキョン!」

そう言うとハルヒは部室を飛び出していった。
やれやれ、あいつはどんな妄想をその脳細胞の中に繰り広げているのだろうか。

それから間もなく、朝比奈さんが部室にやってきた。
「こんにちは……あれ?今日来てるのはわたしとキョン君だけですかぁ?」
ちょうどいい。朝比奈さんにも試してみよう。

~キョンの悪戯・朝比奈みくるの場合~
「朝比奈さん、なぞなぞを出します。第一問、<<数字の6>>は英語でなんと言うでしょうか?」
「えーと、シックスですかぁ?」
「正解です。第二問、では<<靴下>>は?」
「ソックス、ですね」
「そうです。ではこれで最後。<<あれ>>を英語で言うと?」
「<<あれ>>ですかぁ?それは…………………」
「……どうしました?」
「キョ、キョン君が………キョン君がそんな………」

彼女の顔は、困った顔を通り越して、涙目になってきている。
俺がもし答えを言ったら、この人はどんな顔をしてくれるだろうか。

しかし、さすがに目の前の美少女が俺のせいで涙ぐんでいる光景は、数秒と見るに耐えなかった。
俺は、朝比奈さんに答えを教えた後、いたたまれなくなり部室を出た。するとそこに古泉が立っていた。
「まったく、あなたも罪作りなお方だ。朝比奈さんに何を言ったかは分かりませんが……」
「落ち着け古泉、それは誤解だ。今からそれを証明しよう」

~キョンの悪戯・古泉一樹の場合~
「これからなぞなぞを出す。お前はそれに答えろ」
「その、これから出されるなぞなぞが、朝比奈さんを泣かせたんですね?」
あーなんか俺が悪者みたいだな……。
「ま、まあな。では第一問。<<数字の6>>を…………」
この間の経過は省略しておく。古泉は最初の二問を当然のごとく正解した。
「それで?こんな中学生でも分かる英語の問題が、なぜ朝比奈さんを泣かせたのですか?」
「まあ待て。これが最後の問題だ。<<あれ>>を英語で言うと?」
「<<あれ>>ですか…………」
「どうした?わからないのか?」
「…………なるほど、わかりました。あなたも、そんな性癖をお持ちのようでしたか。
何なら、僕がお相手にでも……」
「え?ちょっと待て古泉、なんでそういう……」
「逃げないでくださいよ、これはあなたが望んだことではないですか」
「なんでこうなるんだーーーーー」

古泉一樹という魔の手を逃れた俺に、更なる刺客が現れる。
「よおキョン。なんでお前さっき古泉と話していたんだ?」
「いや、いろいろ訳があって……」
「あんな体を近づけて話すなんて、お前らはホモか?」
「いやいや、ホモなのはあいつ……」
「お前古泉と何を話していたんだ?俺にも教えろ」
やれやれ、もはやノリでしかないか……。

~キョンの悪戯・WAWAWA谷口の場合~
「いいか?これから英語の問題を三問出す」
「はあ?本当にお前はそれを古泉にも………」
「つべこべ言うな。まず第一問……」
以下中略。どうやら谷口にも英語の一般常識はあるようだった。
「では第三問。<<あれ>>を英訳すると?」
「<<あれ>>か?それはもちろん、*1さ!」

プリンスレでは載せられないようなとんでもないことを言い出しやがった。
おかげで谷口から半径3mの範囲に人が近寄らなくなってしまった。
俺も、こんな答えが出るとは予想外だ。早くこの変態男の下から立ち去ることにしよう。

最後に、長門にも聞いてみようと思った。
ここで本当の答えをはっきりさせなきゃ、谷口のふざけた解答が正解になってしまうからな。
「長門。ちょっと、俺の話に付き合ってもらってもいいかな?」
「………いい」

~キョンの悪戯・長門有希の場合~
「最初に聞きたいんだが、<<数字の6>>………」
後はデフォルトだ。同じものはできるだけ省いていったほうが、要領(容量)もいいだろう?
「じゃあ、これで最後だ。<<あれ>>は?」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………………………………………………ザット」
カタカナでは分からない人もいることだろう。長門が言った英語は“that”だ。
「……正解だが、お前にしては考える時間が長すぎはしないか?」
「………このぐらいが適当」
「…まさかとは思うが、変な言葉を連想したわけじゃないだろうな?」
「………してない」
「そうか、ならいいんだ。じゃあな、長門」
「………さよなら」

数日後。
あれから俺は、さらにへんぴな生活に巻き込まれている。
ハルヒからは変態呼ばわりされて、朝比奈さんからはあれ以来少しどぎつい視線でいつも見られている。
谷口からは俺と古泉がデキてると思われ、その古泉からは尻を狙われるようになった。
まったく、なんでこんなことになっちゃったんだろうね?

「教訓、慣れないことはすべきではない。自己の社会的立場を十分把握するべき」



電波作品2 終
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