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俺達(俺、朝比奈さん、古泉)は今、長門の部屋に居る。
俺達は長門の手料理を振る舞われる事になった。
…状況が飲み込めない?
OK、説明しよう。少し長くなるが勘弁してもらいたい。
今日は日曜日。午前中からSOS団恒例の不思議探索があった。
ただいつもと違うのはハルヒが弁当を持って来てみんなに振る舞ったという事だ。
本人いわく
「団員の日頃の苦労を労うため」
との事。
みんなからの賞賛の声を聞き調子にのったハルヒの言葉によりこの事態が起こった。
「料理の出来ない女は駄目。」
「缶入りのカレーを温めただけで料理した気になっている馬鹿女が居る。」
…このような事を言い出したのだ。
ハルヒが言っているのは俺達のクラスの女の事であり、俺も実際耳にしている。
だがハルヒは知らなかった。
今この場にもそれに当てはまる人物が居る事を…。
長門有希
ハルヒは長門に対して言った訳では無い。それは本人にも分かっている。
しかし長門のプライドは傷ついたらしく、解散の後長門はハルヒを除く俺達を自宅に来るように言った。

俺達は困惑しつつも長門の家に行く事を承諾し、長門の話しを聞く事となった。
キョン「なるほど…あそこまで言われて悔しい訳だ。」
長門「コクン。」
みくる「そんな気にする事無いですよ。」
古泉「そうです。料理が出来る出来ないで女性の価値が決まる訳ではありません。」
俺達は長門に対して慰めの言葉をかけたが長門は納得出来なかったらしく自分が今から料理を作り俺達に振る舞うと言い出したのだ。
長門「わたしだって出来る。」
…俺達はそれに対して断る理由は無く了承した。
そして冒頭にいたる。

キョン「驚いたな。」
古泉「本当に。」
みくる「あの長門さんがあんな感情を表に出すなんて。」
しかし俺は良い傾向だと思っている。
まるで普通の女の子みたいな事を言い出した長門を見て微笑ましく思った。
古泉も朝比奈さんも同感らしい。
…しかしこの後俺達は長門のマンションに来た事を激しく狂おしいくらいに後悔する事になる。

ガシャ…ガシャ…
「…」
俺達は絶句した。
何故なら長門が
"鎧姿"
で登場したからである。
キョン「…長門。」
長門「何?」
古泉「…その姿は…?」
長門「エプロン。」
みくる「…エプロン…?」
…ガシャ…ガシャ…
長門は金属音を響かせながらキッチンへ入って行った。
…いまエプロン言うたか?
沈黙が流れた…。
古泉「…なるほど。」
キョン「何がなるほどなんだ?」
古泉「文化の違いです。」
文化の違いとは?
古泉「忘れないでいただきたい、彼女は宇宙人だと言う事を。

おそらく彼女達の料理する時の姿はあの姿なのでしょう…それ以外考えられません。」
文化の違いか…でも全身鎧(フルプレートアーマー)で料理とは…。
そうこうしているうちにキッチンから包丁の音が聞こえて来た。
タンタンタンタン
規則正しい包丁のリズムが響く。
古泉「ほら、普通に料理が始まりました。なかなかの包丁さばきではないですか。」
みくる「なかなかのものです。」
キョン「そうだよな、文化の違いだよな。文化の違いに突っ込むのはナンセンスってもんだ。」
古泉「そうですよ。おとなしく完成を待ちましょう。」
しかしこの後普通なら聞こえるはずの無い音がキッチンから聞こえる事になる。

ギーコ…ギーコ…。
「……」
みくる「あの…この音って…」
キョン「…のこぎり…。」
古泉「…文化の…違い…ですよ…。」
ブルン…ブルン…ブゥーン…ガガガガガガガ
みくる「…チェーンソー…?」
キョン「…のこぎりではもどかしくなったのか…」
古泉「…文化…の…」
…んな訳無いだろ。さすがの古泉にも額に汗が浮かんで来たようだ。
彼らの頭に同じセリフが浮かんだ。
(何作ってんだ…長門…)
キョン「…ちょっと様子見てくるわ…」
古泉、みくる「…お願いします。」
キョンは立ち上がりキッチンに向かった。
キョン「長門、一体何を…」
その瞬間キョンの顔をかすめ壁に包丁が突き刺さった。
長門の声が聞こえる。
長門「立ち入り禁止見るのも禁止…もしも破ったら…命の保証は…無い…。」

キョン「…」
キョンは無言で席に戻った。
(………。)
その後もキッチンからはあり得ない音が響いて来ることになる。

バチバチバチバチ
古泉(…溶接の音…)
パカラッ、パカラッ、パカラッ
みくる(馬の…ひずめ…?)
ターン
キョン(じゅ…銃声…!?)
この時点での三人の様子。
みくるは涙を流しながら震えています。
古泉は笑顔をこわばらせながら微妙に震えています。
キョンは虚空を見つめながら…やはり震えています。
ダダダダダダ…
キョン「…機関銃…」
…アパーム…アパーム…弾もってこい…アパーム…
古泉「…はは…弾が切れたみたいですね…」

ダダダダダダ…
みくる「…た…弾が届いたようですよ…」
キョン「…」
みくる「…」
古泉「…」
3人の心は決まった。

『逃げよう』

決めた以上彼らの行動は素早かった。
玄関に移動する。
しかし…ドアが無かった。代わりにコンクリートの壁になっている。
ベランダに繋がる窓へ向かう…同じくコンクリートの無機質な壁になっていた。
古泉「…こ、これは…。」
キョン「そうか…これは…」
みくる「なんなんですか!」
キョンは朝倉との一件を話した。
古泉「…分子の結合情報改変…」
みくる「そんな事が…」
二人は驚愕の表情で呟いた。
キョン「すなわち…」

『逃げられない』

三人は呆然と立ち尽くした。
なおもキッチンからあり得ない音が続いている。


キョン「冗談じゃない…何とかして脱出しないと…」
古泉「…しかし…どうやって…。」
キョン「…異能の力には異能の力だ…古泉!」
古泉「何ですか?」
キョン「お前の超能力で脱出路を開くんだ!」
古泉「いえ…ですから僕の使える力は…」
キョン「やりもしないで無理なんて言うな!」
古泉「え?」
キョン「…お前の力はそんなもんじゃ無い。自分を信じろ!自分を解放するんだ!きっと出来る…。」
みくる「古泉さん…。」

古泉「…あなたの言葉…心に響きました。分かりました、やってみましょう!」
古泉はかつて窓の有った場所の前に立ち精神集中を始めた。
緊張感が辺りを包んだ。
キョン(…古泉。)
みくる(…古泉さん。)
古泉(…開け…開け…)
古泉が目を開いた。
ひ・ら・け・!!

…奇跡が起きた。

~同時刻~
ジー
谷口「うぉ!?」
国木田「どうしたの?」
谷口「…勝手にチャックが開いた!」
国木田「ははは、何言ってるの。いつも開いてるじゃない」
谷口「いや、マジだって!」
国木田「はいはい。」

~再び長門宅~
古泉「はあ…はあ…」
古泉は肩で息をしている。
キョン「…どうにもなってないぞ。」
壁には何の変化も無い。
古泉「…微妙な手応えがあったのですが…」
みくる「…がっかりです。」
キョン「役立たずが…」
古泉(……酷いですね。)

超能力者は駄目か…なら次は未来人…。
キョン「…時間移動。」
みくる「え!?」
古泉「なるほど…我々が長門さんに連れられてくる前に移動し脱出。そう言う事ですね。」
善は急げだ。
キョン「さぁ、朝比奈さん!」
みくる「ちょ、ちょっと待って下さい。前も言った通り私の一存での時間移動は出来ないんですよ。」
古泉「ならば早く許可を貰ってください。」

みくる「無理ですよ…上が許してくれるとは思えません。」
キョン「…なら朝比奈さん、こう伝えて下さい。」
みくる「え?」
キョン「ハルヒ煽って未来を滅茶苦茶にされたくないなら黙って許可だせやコラ」
みくる(…う…わ…本気だ…)
古泉「僕からも伝えて下さい。
…許可を出さなければ我々の機関との血みどろの抗争になる事を覚悟下さい。最初の犠牲者はあなた方の哀れな部下です。
…と。」
みくる(…わたし…人質!?)
キョン&古泉「さあ!」

みくる「分かりました…分かりましたから落ち着いて下さい…」
みくるは泣きながら通信機を取り出した。
みくる「私です…実はこんな事態になりまして…いや…本当に困ってるんです…お願いします。」
キョン(…頑張れ)
古泉(…頑張って)
みくる「…え…本当ですか?…ありがとうございます!」
古泉「…どうやら何とかなりそう気配ですね。」
キョン「…ああ。」
みくる「…え…代償に減俸3ヶ月!困りますぅ!」
キョン「…何やら雲行きが」
古泉「怪しくなってきましたね…」
みくる「…それはさすがに困るんで…今回の話は…」
…!?
キョン(古泉!)
古泉(はい!)

二人は一瞬のアイコンタクトの後動いた。

みくる「…無かったこと…ムグ!?」
キョンはみくるを羽交い締めにし、口を手で塞いだ。
古泉はすかさず通信機を奪い取り…
古泉「…なんでも無いです…減俸3ヶ月ですね?全然OKですぅ~…」
みくる「ムグームグー(やめて~!!!)」
古泉は完璧とも言える声色でみくるの代わりに話している。
古泉「…はい…はい…それではそういう事で…」
…ピッ
キョンから解放されたみくるは泣き崩れた。
みくる「…シクシク…酷い…。」
二人は固く手を握り合った。
キョン「よく分かってくれたな古泉。」
古泉「あなたの目を見たとたんピンと来ました。」
キョン「しかし完璧な声色だったな。」
古泉「ふふ、機関の訓練の賜物です…」
みくる「…減俸…3…ヶ月…」
朝比奈みくる、減俸3ヶ月決定。

みくる「…シクシク…シクシク」
古泉「さぁ、いつまでも泣いてないで。」
キョン「過去に戻りましょう。」
二人はさわやかな笑顔で手を差し出した。
みくる「…ヒック…ヒック…鬼……じゃ、行きます。目を閉じて下さい。」
三人は目を閉じ時間移動を開始した。
キョン「…来た…この感覚…」
古泉「なるほど…これが…」

平行感覚が無くなり…ジェットコースターにのり無限にグルグル回り続けるような感覚…

朝比奈さんが突然声をあげた。

みくる「な…なんで!」
気がつくと元の場所に三人は立っていた。
キッチンから聞こえるあり得ない音もそのままだ。
キョン「…移動してない。」
古泉「これはいったい…」
二人はみくるを見た。
みくる「跳ね返…された…まさか時間移動さえも封じる事が出来るの長門さん…。」
なんて事だ…
時間移動さえも通じないなんて…
キョン「超能力者と未来人2人がかりで宇宙人1人にもかなわないのか…情けない…。」
キョンは呆れたように言った。
みくる(なっ!?)
古泉(言いたい放題いってくれますね…普通人…)

2人はキョンに抗議の声をあげた。
古泉「ならあなたならどうにか出来るのですか?」
みくる「…そうですよ…」
キョンは胸を張って言った
キョン「普通人を舐めるな!大体2人共異能の力に頼りすぎだ!異能の力に頼る前に出来る事があるだろう!」
みくる(…さっきまで頼りまくっていたのは…)
古泉(くっ…一体どの口が…)
キョン「普通人の力をしっかり見ておけお前ら!」
古泉(なんでこんなに偉そうなんですかこの人は…)
みくる(…いつの間にか私ひどい扱いされている…)

キョン「よく部屋を見て見ろ…ほら、ここだ。」

古泉「…これは。」
みくる「床下収納?」
キョンは床下収納の扉を指さした。
キョン「意外とこんな所に長門の隙があるもんなんだよ。」
キョンは扉を開け中を覗きこんだ。
キョン「きっと何か見つか………」
しばしの沈黙の後キョンは無言で体を起こし扉を閉めた。
キョン「何も無いここには何もない。ここは忘れて他を探そう…。」
古泉「…いやいや、あなた確実に何か見つけたでしょ。」
キョン「いや何もないって…」
古泉「…なら僕に確認させて下さい。」
キョン「いや…マジで何も…。」
みくる「私も気になります。」
キョン「…本当に…」
古泉「さぁ」
みくる「さぁ」

古泉「…いやいや、あなた確実に何か見つけたでしょ。」
キョン「いや何もないって…」
古泉「…なら僕に確認させて下さい。」
キョン「いや…マジで何も…。」
みくる「私も気になります。」
キョン「…本当に…」
古泉「さぁ」
みくる「さぁ」
キョン「だ~か~ら~

「あれ?お前ベッドの中に何隠してんだ。?」
「べ、別に何も…」
「あ~、エロ本だな…見せてみろよ!」

「何恥ずかしがってんだよ。親友だろ俺らは!」
「そうだよ、幸せは分かち合おうぜ。」
「これは駄目だって…やめろって~」

「ほ~らおとなしく…おら!」
「ああ…」
「…さてどんなエロ…ホモ…雑誌…?」
「……」
「……」
「…あ…あのさ…」
「……」
「…ごめんな…その…」
「…う…うん…」
「……」
「……」
「……」
「……」

……ってな感じの気まずい気分を味わいたくないならおとなしくその口を閉じておけ!」

古泉「それは心の底から御免こうむりたいですね。
非常に分かりやすいたとえありがとうございました。」
みくる(…キョン君…一体何を見ちゃったんだろう…)

キョン「それよりも脱出だ。」
古泉「そうです…急がないと。」
みくる「でもどうやって…」
その時キッチンから…
…ガシャ…ガシャ…
長門「出来た。」
「…」
三人は長門の姿を見て絶句した。
鎧に刻まれた無数の刀傷…弾痕…返り血…
キョン「…あの…長門さん…」
長門「何?」
古泉「…どこで何と戦ってこられたのですか?」
長門「…質問の意味が分からない。」
みくる「…だって。」
長門「私は料理しただけ…着替えてくる。」
…ガシャ…ガシャ…
三人は沈黙した…ただ沈黙した。

長門「…お待たせ。」
長門はいつものセーラー服で戻って来た。
キョン「…肉じゃがか?」
長門「肉じゃが。」
見かけは普通の肉じゃがだ…が…。
キョン「…ちなみに何の肉だ?」
長門「ミノタウロ……牛。」
キョン「お前今ミノタウロス言わんかったかおい!」
長門「言ってない。牛。」
キョン「いや、間違い無く…」
長門「うし、牛牛牛牛牛牛牛。」
キョン「なぜ目を合わせない!」
長門「ワタシミノタウロス言うてナイヨ…ハジメカラ牛言うたヨ。」
キョン「なんだその怪しい中国人みたいな片言は!」
長門「じゃあ豚。」
キョン「じゃあって何よじゃあって!おかしいやろ!?」



普通人と宇宙人の漫才のような掛け合いの最中声があがった。
古泉「…なるほど。」
古泉はいつものニヤケ顔をしながら呟いた。
古泉「そういう事ですか。」
キョン「なにがだ?」
みくる「なにがですか?」
古泉は事件の真相を説明する探偵みたいな口調で話し始めた。
古泉「あの鎧姿もキッチンからのあり得ない音とかも全て…長門さんのジョークなんですよ。」
キョン「…ジョーク?」
みくる「…ジョーク?」
古泉「そうです。今日長門さんは日頃見せない感情を見せてくれました。
…素晴らしい事です。
その証拠にほら…」

キョン「…あ」
みくる「…長門さん」
長門は微笑んでいた…天使の様な微笑みだ。
キョン「長門…そうだったのか…」
長門「…。」
長門…本当に変わったな…でもちょっとこのジョークはやりすぎだぞ…
みくる「…まぁ…周りに変な人がいますからねぇ…影響を受けたんでしょう。」
みくるが2人を見ながら言った。
キョン「え?」
古泉「変な人?」
みくる「あ…すいません…けして悪い意味では…」
キョン「なるほど…長門のクラスにはよほど変な奴がいるんだな…」
古泉「…これ以上変な影響を受けない様に何か対策を練らねばなりませんね…。」
長門「ユニーク。」
みくる「いえ…おそらくこの2人本気で言ってます…。」

キョン「…さて、真相もわかったし早速長門の手料理を食べよう。」
古泉「そうですね。頂きましょう。」
みくる「凄く良い匂い…頂きます。」
長門「食べて。」
古泉と朝比奈さんが肉じゃがに手を伸ばした。
古泉「パクッ…モグモグ…ウッ…」
みくる「モグモグ…ウッ…」
…俺は見てしまった…古泉と朝比奈さんの顔が赤、青、白と順番に変わって行くのを…。
バタン
2人は倒れた…微妙に痙攣しているので死んではいないようだ…。

キョン「…長門…お前一体なにを…」
長門「…多分美味しすぎて気絶した。」
…んな訳ないだろ…やはり長門の料理の腕前は…
長門「あなたも食べて。」
長門…そこでその微笑みか…反則だぜ。
OK分かった。
古泉、朝比奈さん。
俺もすぐに逝くよ。
…その前に。
キョン「長門。」
長門「何?」
キョン「明日この肉じゃがをハルヒにも食べさせてやれ…きっと感動するぞ。」
長門「…コクン」
俺は覚悟を決めて肉じゃがを口にした。ズキューン
…なるほど…脳に突き抜けるような味だ…ハルヒ…お前も同じ目に…お前のせい…
ガク


~次の日~
どうしたんだろう…キョンも古泉君もみくるちゃんも休みだなんて…
ガラ
部室のドアを開けた。
ハルヒ「あれ、有希。あなたはちゃんと来てるのね?みんなどうしたか知らない?」
長門「知らない。」
ハルヒ「そう…風邪でも流行っているのかしら…。」
ハルヒは知らない。
昨日長門宅にて惨劇があった事を。
…そして…自分にもそれが迫っている事を…
長門「涼宮ハルヒ…昨日のお返し。」
ハルヒ「何?…肉じゃがじゃない。ああ、お弁当のお返しね」
長門「コクン。」
ハルヒ「美味しそうじゃない。早速頂くわね。」
長門は微笑みを浮かべて言った。
「召し上がれ。」
…おしまい
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