むかしむか~し、ある所に無口だけれどとても可愛いらしい女の子がいました。
名前は長門有希といいます。
有希はその小さな身体に秘めた内なる闘気や生まれついてのだぐいまれなる格闘センスによりいつしか赤ずきんちゃんと呼ばれるようになりました。
返り血で真っ赤になった髪の毛がその名の由来だとも言われていました。

ある朝、お母さんの喜緑江美里が言いました。
「病気のお婆ちゃんにカレーとキャベツを持っていってあげて」
喜緑江美里は優しくて、いつも柔らかい物腰で有希のことを見守ってくれるとても良いお母さんでした。
名字が違うのは悲しい大人のです。有希が悲しむので深くは突っ込まないでください。
なにはともあれ有希は江美里母さんのことが大好きだったので二つ返事で了解しました。

「これを届ければお婆ちゃん元気になる?」
有希は聞きました。
「ええ。有希ちゃんが届けるんだもの。きっと元気になってくれるわ」
江美里母さんはそういうとカレー粉とキャベツの入ったカゴを有希に持たせました。
「いってらっしゃい」
「……(コクリ)」

有希は一人で電車に乗って行くことにしました。
有希がキップ売り場でまごまごしていると髪の長い少女が有希に話しかけてきました。
「おや?そこにいるのは有希っこじゃないかっ、何処へ行くんだいっ?」
話しかけてきたのは鶴屋さんでした。
「お婆ちゃんのとこ」
「一人でおつかいかい?有希にゃんえっらーい!」
鶴屋さんはそういうと有希の頭を乱雑に撫で回しました。有希もまんざらでもなかったのでされるがままにしていました。
「最近ここらで狼がでるって噂だから気をつけるんだよっ! はい、これ!」
鶴屋さんは一頻り有希の頭を撫でくり回すと有希にキップを渡しました。
まごまごしている有希を見かねて買ってくれたのです。
有希は鶴屋さんにお礼を言い、キップを受け取ると改札を抜けホームで電車を待ちました。

電車の中は地獄絵図でした。
有希に迫りくる狼(痴漢、谷口、マーシー、etc.)をチョーパンで余す所なく蹴散らしていたからです。
有希は素直なので鶴屋さんに言われたことを愚直に守っていたのでした。ちなみに谷口は勘違いで仕留めました。
そんなこんなで立派な赤ずきんの出来上がりです。

電車を降りてトコトコと歩いていると仲の良さそうな兄妹が現われました。
兄の方は近所でも評判のナイスガイ。名前はキョンです。
キョンは有希に気付くと話しかけてきました。
「よぉ、長門。キャベツなんか持って何処に行くんだ?」
「お婆ちゃんのとこ」
有希は以前キョンに優しくして貰ったことがあり淡い恋心を抱いていたので正直に答えました。
「くる?」
はしたない女だなんて思わないでください。恋する女の子はいつだって盲目なのです。だから妹の存在をすっかり忘れていても仕方のないことでした。

「お婆ちゃんの家って何処だ?」
キョンはきゃいきゃい騒ぐ妹を制しながら問いました。
「あっち」
「分かった。手ぶらじゃなんだからなんか見舞いの品買ってくるよ。先に妹と行っててくれ」
有希は心の中でガッツポーズをとりました。しかしすっかり忘れていた妹が邪魔でしょうがありませんでした。
有希は軽く舌打ちをしましたが、将を射んとすれば妹からという昔の偉い人の言葉を思い出すと内心ほくそ笑みながらコクリと肯首しました。
純情そうにみえて実にしたたかです。

キョンの妹と二人で歩いていると突然妹が話しかけてきました。
「ねぇ~有希にゃん、あっちの公園に綺麗な花畑があるの。お婆ちゃんに持っていってあげようよ」
有希はお姉さんぶるのも悪くないと思い妹ちゃんの提案を快く承りました。

有希と妹は公園に着くと夢中で花を摘み始めました。
しばらくすると満面の笑顔で妹が有希に抱きついて(体当たりして)きました。
「有希にゃん見て見て~!」
妹はそう言って有希に四つ葉のクローバーを見せつけました。
「えへへ~、すごい?ねぇ、私すごい?」
妹は珍しい物を見つけ調子に乗ったのかやけに自慢気でした。
有希は負けず嫌いだったのでその小さな身体に秘めた内なる闘気が命じるままにもっと珍しい五つ葉のクローバーを探しに花畑の奥の方に向かいました。

花畑の奥の方に行くと甘ったるいくせにそれでいて生々しい匂いがしてきました。
有希は何だろう?と思い匂いのするほうに行くと縄で縛られた全裸の少女がいました。
名前は朝比奈みくる。有希と一歳しか違わないのにその無駄に発達した身体に有希は内心嫉妬していました。
だからいつも無言のプレッシャーを与え威嚇していました――しかしみくるはMっ娘だったので全くの逆効果だったのはまた別のお話しです。
みくるは有希を見ると激しく唸りましたが猿ぐつわをしているので何を言っているのかわかりませんでした。
何故みくるがこんなことになっているのか有希には分かりませんでした。でも…
「これはお花。朝比奈みくるという名の可憐なお花」
有希はこの状況を日頃の鬱憤を晴らすチャンスと考えたようです。
その時の有希の表情はとても残酷なものだったのでしょう…みくるは悲鳴のような唸り声を上げました。
有希の指がみくるの花弁にゆっくりと近ずいていきます。

――お楽しみはこれからだ――

誰かがそう呟いた

ここで場面は変わってお婆ちゃんのお家です。
有希達と別れたキョンは早歩きでスーパーに行き、フルーツの詰め合わせを買うとまた早歩きでお婆ちゃんの家に向かったのです。

有希がみくるを三分咲きくらいにしているころ、キョンはようやくお婆ちゃんの家に着きました。
さすがに長門研究家のプロとはいえ“あっち”だけでは道に迷ってしまったので少々時間がかかっていました。

「お婆さん始めまして。いつも長門さんにお世話になっているキョンという者です」
キョンは軽く自己紹介をしました。
「あら、お婆ちゃんなんて失礼ね。せめてお姉さんて呼んでくれないかしら?」
お婆さん――朝倉涼子――はそう言うと薄く笑いました。キョンは涼子お婆さんのあまりの若さに不信に思いいくつか質問をしました。
「お婆さ―お姉さんの目は何故そんなに血走っているんですか?」
涼子お婆さんは答えました。
「それはね、獲物を逃がさないようにまばたきをしていないからよ」
「……お姉さんは何故そんなに涎を垂らしているのですか?」
「若さって……素敵よね?」
「……お、お姉さんは何故そんな極悪で極太なバイブをm」
「それはね、あなたを食べて涼宮ハルヒの出方を見るためよ!」

そういうと涼子お婆さんは人間技とは思えないスピードで間合いを詰め、キョンを押し倒しました。
とっさの出来事に対処できずに…哀れキョンは(別の意味で)食べられてしまいました。
南ー無ぅーー(-人-)

またまた場面は変わります。
キョンが涼子お婆さんに食べられているころ有希はみくるを八分咲きまでにしていました。
有希の超絶指技はすでに加藤鷹の域にまで達していました。みくるは惚けるように涙や猿ぐつわの隙間から涎を垂らしていました。

あと一息、有希が止めを差そうとさらなる深みに指を沈めようとしたとき5時を知らせるチャイムが鳴りました。
あまり遅くなってはいけないのでみくるを放置してまだお花を摘んでいる妹を回収するとお婆ちゃんの家に向かうことにしました。
ちなみに公園を出るときに童顔の少年――国木田――と妙齢の女性――森――に出会いました。二人が全裸の少女を車のトランクに詰め込んでいるのを遠目に見ていましたがあの少女が朝比奈みくるかどうかは有希にはわかりませんでした。
二人の目がとても濁っていたのが印象的でした。

有希達がお婆ちゃんの家に着くとお婆ちゃんはやけにツヤツヤした肌で出迎えてくれました。
「お婆ちゃん病気は治ったの?」
有希はお見舞いの品を渡すと聞きました。
「うん。有希が見舞いに来てくれたんですもの、風邪なんて吹き飛んじゃったわ。それからお姉ちゃんて呼びなさい」
「うん。わかったお姉ちゃん」
涼子お婆ちゃんは怒るとナイフでグリグリしてくるので有希は素直に頷きました。
「待ってて、今晩御飯作ってあげるから」
「ご飯なに?」
「そうねぇ、せっかくだからカレーにしましょう」
有希は表情には出さないもの内心大喜びしました。小踊りもしちゃいました。
するといままで無言だった妹が口を開きました
「有希にゃんのお姉ちゃん~、キョンくんまだ来てない?」
それを聞いた涼子お婆さんは不適に笑い
「奥の寝室で眠っているわ。待ちくたびれちゃったみたいね」
と言いました。
「じゃあ起こしてくるねっ」
さっきまでヨソの家に連れて来られた猫のような状態だった妹が満面の笑みを浮かべてキョンを起こしにいきました。
本当は有希がキョンを起こしたかったのですが涼子お婆さんに料理の手伝いを頼まれてしまったので行けませんでした。
涼子お婆さんはそんな有希を見てイタズラっぽく笑いました。

「有希ちゃんキョンくんのこと好きなの?」
いきなり核心を付いた質問にドギマギしましたが有希は素直に肯定しました。
あわよくば仲をとりもってもらおうと考えたからです。
「そう、それじゃ悪いことしちゃったかな~」
「なんの話し?」
「ううん、なんでもない。有希ちゃんにはまだ関係の無いことよ」
そう……なんだかはぐらかされた気がするのでしつこく問いただそうしたとき奥の寝室から妹とお尻を押さえたキョンが出てきました。
キョンはブツブツと「にんじんが…俺の…に……」と呟いてましたが良く聞き取れませんでした。

ほどなくして晩御飯の準備が出来たのでみんなでおいしくいただきました。

晩御飯を食べ終わって後片付けをしている最中に涼子お婆さんが
「いつもは後片付けなんて手伝わないのに今日はどうしたの?」
とチャチャを入れてきました。
有希はババア空気読めと思いました。

そのあと少しだけお話しをしていると妹が船を漕ぎだしたので家に帰ることにしました。
三人で帰り道をゆっくりと歩いているとに流れ星が落ちました。有希は流れ星が赤くて「マッガーレ」と言っていたのは気のせいだと思うことにしました。
有希が流れ星に手を合わせて願い事をしていると妹を背負ったキョンは前屈みになりながら聞いてきました。
「何をお願いしたんだ?」
「それは―――
すると有希は面白いイタズラを思い付いたような、今にも笑い出しそうな表情をして言いました。


「禁則事項」

fin




ちなみに狩人のハルヒは日が明けるまで出番を待っていましたとさ。

めでたし めでたし

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