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「次の不思議探検ツアーの場所が決まったわよ」
高らかに宣言しながらハルヒが部室に入って来た。
決まったって、ハルヒ、どこへ行こうというんだ。
滅多な場所を決めても、先立つものが無ければ、そこまで行きようもないぞ。
ふと顔をあげたキョンの目に飛び込んで来たのは、往復深夜バスチケットがセットになった
TDL(東京ディズニーランド)とTDS(同シー)のパスポート券、5枚組。5枚組?
「ハルヒ、そんな高額なものをどこで手に入れて来たんだ」
俺は思わず、朝比奈さんの方を見てしまった。まさか、コンピ研からPCをせしめたときの
様なえげつない手を使ったんじゃないだろうな、ハルヒ。
が、朝比奈さんはポカンとしていて、ショックを受けた様子もない、となるとますます不思議だ。
「鶴屋さんがくれたのよ、この前のお礼にって」
この前ってのはひょっとして鶴屋さんの誕生日にかこつけて部室でやった鍋パーティーのことか?
あれにかかった全費用を総計しても、今、お前が手に持っているセットチケット一枚分の値段にさえ遠く及ばないと思うがな、ハルヒ。
「んなことはどうでもいいでしょ、キョン。もらったんだから。
大体、くれると言うものを断ってどういう得があるわけ?」
あいかわらず、「深い思考」という言葉とは縁遠いままだな、ハルヒ。ちょっとは成長しないのか?
「さーて、土曜日は明後日なんだし忙しくなるわよ!」
あいかわらず、なにも聞いてないし。
「キョン、役割分担を決めるからリストにして頂戴!」
はいはい、解りました。かくして以下の様な役割分担ができあがった。


探索プラン作成係:キョン
記録係(カメラマン):古泉
食糧係:みくる
探索団長:ハルヒ
その他:長門

ちょっと聞きたいがな、ハルヒ。この「その他:長門」ってのはなんだ?
「その他は、その他よ。それ以外の全部ってことよ。あんた日本語解らないの?」
いや、勿論、日本語は解る。こういうのを言語明瞭意味不明瞭というんだな。
で、「団長」様は何をするので?
「団長は団長よ。それ以外の何者でもないわ」
じゃあ、最後に質問。ディズニーランド/シーってのは確かに不思議がいっぱいかもしれないが(何せ、夢と魔法の王国、って言うぐらいだからな)、それはみんな作り物の「不思議」じゃないのか、ハルヒ?そんな作り物の不思議にいつから興味があるようになった?
「あら、木を隠すなら森に隠せっていうじゃないの。TDR(東京ディズニーリゾート)にはきっと「本当の不思議」が一杯あるはずよ。でも、まわり中、全部、まがい物の不思議ばっかりだから、皆気づかないだけよ。そうに違いないわ。そう思うでしょ、キョン」
頭いたくなって来た。

それやこれやで大騒ぎがあった後、やっと帰宅してほっとしている俺の携帯に、古泉から
電話がかかって来た。
「お休みでしたか」
「お休みするところだ。急ぎの用事でなければあしたにして頂きたいね」
「急ぎかと言えばそうでないとも言えますが、どちらというべきでしょうか」
「いいから、早く用件を言え」
「TDR行きのことですが」
「何だ?どうせ何も見つかりゃしないよ。せいぜい、ハルヒができあいの「不思議」を本物の「不思議」と勘違いして大騒ぎするくらいのものだろう」
「本当にそうでしょうか?そうだったらよろしいのですが」
「他にどういう可能性があるっていうんだ、言ってみろ」
「TDRにはたくさんのアトラクションがあります」
そりゃそうだろう、わかりきったことを言うな。
「1つ1つのアトラクションは、それぞれが別個の仮想空間として企画されているわけです」
仮想空間と言う言い方が適当かどうかは知らないが、まあ、言いたいことはわかる。
「さて、まがい物の不思議が本物であって欲しいと熱望する涼宮さんがアトラクションに
踏み込んだら何が起きるとお考えでしょうか?」
「....」
「つまり、個々のアトラクションに踏み込む度に我々は...」
「古泉、なんでもいい、深夜バスの事故でも、学校の火事でも、なんだったらTDRの臨時休業でもいい。今度の不思議探検ツアーを中止にさせてくれ」
「無理です」
「なぜ無理なんだ」
「涼宮さんはTDRに行くことを切望しています。彼女は望みを実現させる特殊能力を持っています。どんな妨害をしても我々は最終的にはTDRに到着するでしょう。変な妨害は到着までの疲労度を増大させるだけかと」
「もういい。解った。言いたいことはそれだけか?」
「はい」
「なんの為にかけて来たんだ古泉」
「せめて、あなたに心の準備をしていただこうか」
俺は携帯を切った。余計な御世話だ。心の準備なんてしたくなかったね。
どうせなら、今日と明日を無知のまま幸せにすごしたかったよ、古泉。


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