鶴屋さん「おっはよー、みくるっ!」

ちゅるやさん「おっはよー、みくるっ!」

みくる「あ、鶴屋さん。おはよ………鶴屋さん、その頭に乗っかってるのは何ですかぁ?」

鶴屋さん「あぁっこれかい!?今朝起きたらあたしの隣で寝てたっさ~!」

ちゅるやさん「ちゅるやって呼んでほしいっさ。よろしくにょろ!」

みくる「え、えっとぉ。こ、こちらこそよろしくお願いします。…ちゅ、ちゅるやさん?」

鶴屋さん「みくる!早く教室行かないと遅刻にょろよ!」

ちゅるやさん「急ぐっさ~!」

みくる「え?あ、は、はい!」

先生「それじゃあこの問題を……鶴屋、答えてくれ」

鶴屋さん「はいっさ!」

ちゅるやさん「がんばるにょろよ~」

鶴屋さん「めがっさ頑張るよ!」

みくる「………(どうして誰も何も言わないんだろう??)」

キーンコーンカーンコーン

鶴屋さん「んん~っ、やっとお昼だねっ。みくる、ご飯食べよっ!」

みくる「あ、はい。そうですねぇ」

ちゅるやさん「あたしもお腹すいたっさ~。みくる、みくる」

みくる「え?あ、なんですか?」

ちゅるやさん「スモークチーズはあるかい?」

みくる「スモークチーズ…ですか?ご、ごめんなさい、ちょっと持ってないですぅ」

ちゅるやさん「にょろーん」

鶴屋さん「まぁまぁ、これあたしが作ったお弁当なんだけど、これで我慢するにょろよっ」

ちゅるやさん「モグモグ」

放課後、俺はいつものようにSOS団の部室に居座っていた。
今部室には長門と俺だけだ。この部屋が静かだと言うことは正に平和であることを示すのだが
さすがに会話の一つもないのわ、寂しいと思うのである。
そう思い、俺は長門にくだらない世間話でもしようとしたその時だった。

「キョン君っ!いるかいっ!?悪いんだけど、少しの間だけこの子預かってほしいっさ!」

ポイッ

ぽすっ

突然ドアが開いたと思ったら、鶴屋さんが俺に向かって何かを投げた。俺は反射的にそれをキャッチした。

「にょろーん」

………なんだこれ?

「鶴屋さん、これは──」

「すぐに戻ってくるっさ!そいじゃよろしくねっ!」

そう言って鶴屋さんは走り去っていった。

え、えーっと。いかん、状況が把握できん。俺が今持っているものは何なんだ?

「やぁ、キョンくん」

「え?あ、………えっと」

「あたしのことはちゅるやって呼んでほしいっさ~」

「…そ、それじゃあ、…ちゅるや…さん?」

鶴屋さんはこの子を少しの間預かってくれと言ったな。しかしあの人の言う少しはおそらく30分から1時間はあるだろう。

「ところでさ、キョンくん」

「あ、…なんですか?」

「スモークチーズはあるかい?」

スモークチーズ?ってあのスモークチーズだよな?

「すみません、今はないですね」

ってか何で俺はこの得体の知れない存在に敬語なんだ?

「………にょろーん」

うっ、なんだこのいたたまれなさは!?仕方ない買ってくるか。

「おい、長門」

ポイッ

ぽすっ

俺はちゅるやさんを長門に投げ渡した。今気づいたが投げたりしていいのか?

「すまんが少しの間それ……ちゅるやさんを見ていてくれないか?」

「………にょろーん」

「………分かった」

「悪いな。すぐ戻ってくる」

俺は急いでスモークチーズを買いに行った。

「長門っち、長門っち」

「なに?」

「なにを読んでるんだいっ?」

「これ」

「ふむふむ、めがっさ難しそうな本だねっ」

「そうでもない」

………。

「長門っち、長門っち」

「なに?」

「呼んでみただけにょろよっ」

「………そう」

「遅くなってすまない」
驚異的な早さでスモークチーズを買ってきた俺は、優しくちゅるやさんを抱きかかえている長門を見て
何とも言えない気分になっていた。いかんいかん。早くこれをちゅるやさんに。
「ちゅるやさん、スモークチーズ買って来ましたよ」
俺は買ってきたスモークチーズを机の上に置いた。
するとちゅるやさんはパァーっと元気を取り戻し
スモークチーズの方へ歩いてくる。
ぴょん、ぴょん、ぴょん
「にょれろーん」
よだれを垂らしながら必死にジャンプしている。どうやら机に乗りたいらしい。
ひょい、とちゅるやさんを抱えて机に乗せる。さぁ、好きなだけお食べよ。

パコッ

あむ、はむ、モクモク

「にょろろ~ん」

ペカーっとちゅるやさんのおでこが光っている気がした。
まぁ、喜んでもらえると嬉しいな。

「キョン君っ!遅くなってゴメンネっ!」

鶴屋さんはいつの間にか俺の後ろにいた。

「君っ、ちゃーんといい子にしてたかいっ!?」

「あむあむ、モクモク、にょろーん」

「あははっ!美味しそうに食べるねぇ。キョン君に買ってもらったのかい?
ありがとねっ、キョン君!」

「いえ、どういたしまして」

それは突然の出来事だった。スモークチーズを食べ終えたちゅるやさんの体が光だしたのだ。

「ややっ!これはどうしたんだいっ!?」

「………時間みたいにょろ」

時間?すると、ちゅるやさんの体が少しずつ消えていく。

「君っ!大丈夫かいっ!?体が……変にょろよっ!?」

「……もうすぐ消えるにょろ。少しの間だけだったけど、楽しかったにょろよ」

「消えるって……。な、なに言ってるっさ!」

「キョンくん、スモークチーズおいしかったにょろよ」

「……ちゅるやさん?」

鶴屋さんは段々と薄くなっていくちゅるやさんを抱きしめた。

「消えるだなんて、そんな嫌だよっ!…妹が出来たみたいだったんだよっ!
もっと君と一緒にいたいっさ!まだ1日も経ってないにょろよ!?」

「…あたしも…君に会えて嬉しかったにょろよ。……バイバイにょろ…」

「君っ!?君ぃぃぃっ!!」

ちゅるやさんは消えてしまった。

「あれっ?どうしてあたしはここにいるにょろ?」

あれ?俺は今まで何をしてたんだ?

「おっかしいな~?あ、なんか涙まで流してるっさ。あははっ!変なの!」

さっきまで何か悲しいことが起こっていたような気がするのだが。

「キョン君っ、長門っち、それじゃねっ!」

俺は鶴屋さんに手を振ると、なぜだか目に入った机を見た。

そこには角だけ欠けたスモークチーズが置いてあった。


キーンコーンカーンコーン

「やっとお昼だねぇ~!みくる!ごはんにするっさ!」

「あ、そうですねぇ」

パコッ

「あのぅ、鶴屋さん、それは?」

「これかいっ!?スモークチーズだよっ!食べるにょろっ!?」


おしまい。

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