俺は駅前で待っていた。
長門を、俺の想い人を…


長門の超人的(正確には宇宙人的だが)能力が世間にばれたのは、約一ヶ月前のことだった…
例の一件で長門を消却しようとしていた情報統合思念体は、ハルヒによって消滅させられ長門は普通の女の子になったかに思われた。
しかし、そうはならなかった。情報統合思念体は消滅したが、長門個人の能力は失われなかったのだ。
俺は長門に対し能力は使わないように注意をしていた。
しかし、あの日……俺と長門が二人で市内散策をしていた時である。

向こうから俺にむかって猛スピードで走ってくる車…
はねられる!俺がそう思った時……長門はためらいもなく能力を使った。俺のために……
運悪くその近くにはカメラを持った人物がいて、長門はその瞬間を撮られてしまった………
そして、その映像はその日の夕方に全世界に流された。

前の長門なら簡単なことだったろう。世界の人々に対して情報操作をすることは…
しかし今はできない。能力制限がある


問題が起こったのはその一週間後だった・・・

第三次世界対戦…
そう…長門の能力に目がつけられるのに時間はかからなかった………

「私は戦争に向かうように言われた…行かなくてはならない」
長門は突然俺に言い放った
「は?冗談だろ?」
「冗談ではない、行かなくてはならない。私が行かなくてはいずれこの町にも火種がくる」
「お前はそれでいいのか?」
「……いい」
「そうか……」

はじめは長門なら大丈夫だろうと思っていた。しかし相手は仮にも最新の技術を駆使した兵器…
長門はいつもひどく傷つき帰ってきた…

「長門!!大丈夫か?!」
「……少し…きつい…」
長門がきついというのだ。相当なもんだ。
「もうやめろよ!」
「できない」
長門は行く…

戦争がはじまりしばらくたった…戦況は良くも悪くもない。つまり、長門がいかなければ終わりだ……
いつしか長門につけられた名…最終兵器。
「くそったれ!!」
俺は激しい怒りを感じた。
「長門は物でも兵器でもねぇ!ただの女の子なんだ!!」
この国の奴らは腐ってやがる。
このままじゃ長門は………
俺は決心した・・・
長門とどこか遠くに……

ここ数日はハルヒの力が働くのを待っていたのだ。
しかし、古泉は
「涼宮さんの能力は失われました。おそらくもう戻らないでしょう。」
俺は絶望した。だからこの結論にいたった・・・

数日して長門が帰ってきた。
いつものように傷つき、いつものように帰ってくる…
そんな長門を見ている俺自身も疲れていた。俺は提案する。
「長門。一緒に逃げよう」
「え?」
「この国の奴らに利用させられてるだけなんだお前は。いつかきっと死んじまう」
「…でも」
「俺は傷つき、苦しんでいるお前をこれ以上見たくないんだよ!!だから、一緒に逃げよう!どこか遠くへ!誰もこない場所へ!」
「………涼宮ハルヒ達は?」
「あぁ…あいつらは…」

―――――
「ハルヒ、古泉、朝比奈さん。長門と一緒にどこか遠くへ、誰もこない場所へ逃げよう」
「…キョンでも」
「俺はもう長門だけが傷つき、苦しんでいるのは見たくないんだ!長門はSOS団、団員だろ?!助けてやるのが団長の役目だろ!!」
「でもね…キョン。この国の人達は有希のおかげで生きているのよ。それを私達だけで決めちゃだめなんじゃない?」
「こんな国の奴らなんかしるか!長門を一人戦場に向かわせて、あげくのはてに長門を最終兵器なんてよびやがる!そんな奴らを助ける必要なんかない!!」

「しかし、逃げ切れるとは思いません。現状維持が得策かと。」
なんなんだ?
「そうですね。よく考えて…キョンくん」
なんで賛成しないんだ?
「お前らは長門を助けたくないのか?」
「だからね、キョン」
「助けたいのか、助けたくないのか言え!!」
「……そりゃ助けたいわよ!でも…」
「もういい!!」
うんざりだ。まさかこいつらまで・・・
裏切られた…
何がSOS団だ。くそっ・・・
「お前らの言いたいことはわかった」
俺は部室を後にした……

―――――
「あいつらは、お前の為にいろいろやってるんだよ。だからまだ一緒にはいけない」
「……そう」
長門にはわかっていたんだろう。あいつらが此処にいない本当の理由を…その表情は触れたら壊れてしまいそうだった。
長門をそっと抱きしめる

「長門。俺がお前を守ってやる。絶対に。だから一緒に行こう」
少し間をあけ長門は口をあけた
「………わかった」

そうして俺は駅前で待っている。
長門とは一度わかれ、出発する準備をしてからここにきた。
長門もそろそろくるころだろう。俺は待っている……」



長門はこない。もう決めてあった時間はとうに過ぎている。
何かあったのか?
いや、ちょっと遅れているだけだろう。考え過ぎだ。
俺は待つ。長門の幸せを求め、ただ待つ…
ついに日本にまで爆撃がきていたとも知らずに………

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