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終章


分断された部室の先は、長門のおかげで時が止まってる。
長門も朝比奈さんも古泉も朝倉までもが硬直したように動かない。
俺に危害が加わる事は無いが、介入も出来ない。この膜が俺を阻む。
ドアから外に出ようとしたがドアも開かない。
体当たりや足蹴でドアを破壊しようとするが、鋼鉄のようにビクともしない。
「閉じ込められた。」
直ぐに諦め、近くの椅子に座る。
もう一度長門を見る。無表情な横顔。
いつも俺は何も出来なかった。
いつもそうだ。自分から何かしたことなんか、あの時だけ?
あの時も長門や朝比奈さんのヒントのおかげで動く事が出来たっけ。
結局、他人の力無しじゃ動けないのか。
動かない向こう側をに話す。
「ゴメンな。何も出来なくて。」


「あなたは十分頑張った。全て背負うことはない。」


そこには、2人の少女がいた。1人は、礼儀正しそうなお嬢さん。もう1人は寡黙な少女。
「長門。喜緑さん。」
「すみません。手間取りました。色々と邪魔が入ってしまいまして。」
「いえ、感謝しますよ。」
愛想笑いでも付け加えようと思ったが、笑えない。
朝倉が作った偽物の仲間と分かっても、俺自身この状況は流石にこたえたようだ。
長門は、膜で隔てた向こう側を見つめいた。
「ごめんなさい。」
ポツリと漏らす。
それに気付いた喜緑さんは気まずそうに、
「つらい目に会ったようですね。わたしがしっかりしてれば………」と言う。
「自業自得ですよ。」
何故か可笑しさが込み上げる。くくくと笑ってしまう。
目が潤んで何も見えない。泣いているのか俺は。
何故泣く。可笑し過ぎるからか?


『罰』
そう罰だ。何も出来ない罪深い自分への罰なのだ。

くくく

あぁ

疲れた。



天井が見える。
ここ、どこだ?学校ではない。
妙にしんみりとしているのは、今が夜だからだろう。
白いベッドの上、服装、花瓶。
直ぐにそこが機関の病院だと気付く。前に来た事もあったしな。
「ハルヒ!!」
横には、黄色のカチューシャを付けた女が椅子に座り、眠っていた。その寝顔は凛として可愛らしい。
寒そうにうずくまっていたハルヒに、俺は毛布を一枚被せた。
さて、また眠くなってきた。
お休み。



「起きろ!!」
あ゛?
俺のスウィートな安眠を妨げる不届き者は誰だ。
「やっぱり。これ掛けたのあんたね。」
目の前には、灼熱の太陽を従える女王が仁王立ちしている。
「ここは何処だ。いや、俺はどうなった。」
「どうって、ここは病院で、あんたは殺されかけたのよ……あたしに。
その後あたしも気を失って、あたし達は病院に運ばれたの。
あたしは直ぐ目覚めたんだけど……あんたは昏睡状態で、医者が…………」
とりあえず、俺は元の世界に帰って来たようでホッとする。
ハルヒの声が震えていたのが分かったが、構わず俺は続きをせかしてしまった。
バカだな、俺は。
「医者が?」
「もう………二度と…………目…が……覚め……ないかもって。
あたしのせいよ………全部あたしの…………」
ハルヒはぶわっと泣き出してしまった。このままだと泣き止まない。



どうしようか悩んでいると、棚の上に置いてある俺の携帯に焦点があった。
携帯を引っ張り出し、キーホルダーを見る。
キーホルダーの中央に縦に亀裂が入ってしまっている。よく見ると、携帯にもキズが……
キーホルダーの切れ目を中心に、力を加える。
ペキッとキーホルダーは半分に割れる。
「ハルヒ。」
「うん………何?」
俺はキーホルダーの半分を差し出す。
「これが俺達の絆の印だ。」
「え……嘘…………夢じゃ……」
「正夢なんて、ザラにあるさ。一生お前を支える。SOS団の団員として、1人の男として。いいか?」
ようやくハルヒの顔に笑みが戻る。涙と鼻水でぐちゃぐちゃだぞ。
「…………もちろん!!一生あんたはあたしの奴隷だからね!!!」
やれやれ、一生奴隷とは、なんとも悲しい人生だろうか。だが、その返事が一番心安らぐ。
ふとドアを見ると回診に来ていた先生が驚いていた。
「奇跡だ。」
いいや先生、これは必然なんですよ。ハルヒの厄介な能力が生んだ必然なんです。

その後、色々と問診を受け、明日検査を受けると聞かされた。
会社から駆けつけて来た親父と母親に何があったと聞かれたが、知らないと答えた。
担任の岡部も菓子織りを持って来て男泣きしていた。気持ち悪い。
ハルヒは岡部にバレて、学校に連行された。今日は平日だったのか。
午後にはハルヒ以外のSOS団の仲間と国木田が揃って来た。
朝比奈さんが泣きついてくれた時、古泉から殺気が漏れたのは気のせいだろう。
「谷口はどうした。まだ学校に来てないのか。」と国木田に問う。
「もう学校には来ているけど、気まずいみたいだよ。結構心配してるみたいだけど。」
「首洗って待ってろとでも言ってくれ。」
「分かったよ。じゃあ僕はこれで。」
国木田は俺にリンゴ1つ手渡し、帰って行った。
さて、
「谷口を使った凶行は機関のせいか。」
「Exactly(そのとおりでございます)」
それはまぁどうでも良い。
「長門。ハルヒが今後暴走する確率はあるのか?」
正直な話、朝倉の話はあまり信用は出来なかった。


約一年前ならば起きてもおかしくはないが、現在のハルヒは有り得ないような気がした。
「分からない。今の所その前兆は見られない。」
「そうか……」
「申し訳御座いません。」
初めて古泉の土下座を見た。続いて朝比奈さんと長門も謝った。
古泉に「謝るならケツを出せ。」と言いたかったが、俺には理性が有るため、なんとか堪えた。
「いいさ。お前らは上に反抗してまで俺達を守ってくれたんだろ。それで充分だ。」
「おかげで始末書どころの問題じゃありませんよ。
これで我々は、一生あなた達についていかなくてはなりません。」
聞いたか?故人よ。あの言葉、言う必要は無いみたいだ。
「では、復活の記念に僕との愛を深めましょう。」
……どうやら、尻のピンチは続きそうだ。


「やっほー。お待たせ!!」
ハルヒが大きな袋を持って病室に入って来た。
「わぁー。何ですか?それ。」
朝比奈さんが興味深々に袋を見る。
「ふっふーん。これはね……」
やれやれ、病院が騒がしくなりそうだ。まあいい。今日はとことん付き合ってやる。
ふと、窓の外を見る。
空には七色の虹が架かっていた。



\(^o^)/Fin.


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