「やっぱりねぇ、やりたい事やってこそ人生よね」

いつも通りの部活中のハルヒのトンデモ発言から始まった。


「おまえはいつもやりたい事全部やってるだろ。まだ他にやりたい事あるのか?」
「みくるちゃん?何かやりたい事ある?できないことでもいいからいいなさい?」無視か?
「ふぇ?そうですねぇ…。世界で一番おいしいお茶入れてみたいです。」あなたのお茶は既に世界一ですよ?少なくとも俺にとってはね。
「そう。古泉君は?」「僕は、そうですね、世界平和ですか?」
「有希は?」「秘密」「キョンは?」「秘密」「バカじゃないの?」なぜ俺は秘密が許されないのだ?
「じゃあ、一度でいいから桃色の学園生活を「バカじゃないの?」人のセリフを遮るな。2度言うな。
「やれやれ、お前はまだやりたい事あるのか?」
「そうねぇ」

「じゃあ誰かにやってほしい事はない?」人の話を聞け!会話の流れを読め!
「みくるちゃん?誰かにやってほしい事ある?」
「ふぇ?え~っと…」朝比奈さん、顔赤いですよ?何を想像してるのですか?
「ハッキリしないわね!古泉君は?」俺でもわかる。ハルヒはイライラしてきてる。
「そうですね、ありえないことかもしれませんが」
そしてこの前置きの後コイツは爽やかな笑顔でとんでもない事を言い放った。

「雑用と団長の禁じられたラブシーンを見て見たい、というかしてほしいですね。」
ハルヒ、意識飛んでる!朝比奈さん、顔が赤くなりすぎですよ!長門、今日最初の反応が不機嫌そうな表情のそれか?古泉、死んでくれ。

「俺は今猛烈に古泉に死んでほしい。」
「殺人だけは勘弁してほしいですね。他にはないのですか?」うん、それ無理。だってあたしは本当にあなたに死んで欲しいのだもの。とか誰かの真似をしようとしたが辞めた。
「そうだな。」と俺が考えていると、

「じゃあ第一回団員ストレス解消大会するわよ!」顔を真っ赤にしたまま、意識をようやく取り戻したハルヒが言った。
「なんだ?それは。」「団員のストレスを解消するために、やってほしい事をこの紙に書いて、順番に叶えていくのよ!」
やれやれだ。「それはいい考えですね。」なんて言って満足そうな古泉に「さっきのような事を書いて見ろ。毎日夜中にハルヒに嫌がらせして閉鎖空間の中でお前を過労死させるからな!」
と呟いて、朝比奈さんの真っ赤な顔を見たら朝比奈さんに何をしてもらおうか妄想で意識が飛びそうになった。

「ちょっとキョン!何ニヤニヤしてんのよ!」ハッとした俺は
「あ~朝比奈さん?それに長門?たまには断ってもいいんだぞ?」
「ふぇ?」「みくるちゃん?」ギロリ「ふぇ~やります~」脅すな!長門は、と長門を見ると
「問題ない。」「さすが有希ね!じゃあ決定!!」おい俺の意見はなしか?

とりあえず、2人に何かをやってもらうという事で決定した。
つまり、俺はハルヒ、古泉、朝比奈さん、長門の中で2人選んで何かをしてもえるということ。他のみんなも同様だ。

「じゃあ明日の放課後部室でね!それまでに考えて紙に書いておくこと!」「わかった。その代わりあまりにも無茶なのはやらないからな?」と今さら同意してみた。

翌日。今日は短縮授業だったので昼には全員部室にそろっていた。

「さあストレス発散するわよ!じゃあみくるちゃんからね!」と言って朝比奈さんの紙をハルヒが読み出した。
明らかにストレスが溜まってる顔をしている。
「ふん!いいわ!キョンと古泉くんちょっとでてって!」やれやれ。
部室の外で古泉にちょっと聞いてみた。
「お前は俺を指名しないよな?」「さあ、どうでしょう」殴るぞ?閉鎖空間ださせるぞ?
「冗談ですよ。それに僕が指名しなくても他のお三方があなたを指名する事を懸念したほうが良いのでは?」
確かに。俺が一番不安なのはハルヒだ。どんな突飛な要望が飛び出すかわかったもんじゃない。なんて考えてると、
「どうぞ~」とエンジェルボイスが聞こえてきた。

部室に入ると、制服の朝比奈さんとメイド服のハルヒがいた。
「涼宮さんと立場を交換してみたかったんですぅ」なんて恐ろしい事を…。
「何か言いなさいよ!」と言われたので似合ってるぞ、と言ったら古泉も「おや、本物のメイドさんかと思いましたよ」なんて言ってやがる。それはほめ言葉か?
ハルヒは「みくるちゃんの要望だから」なんてゴニョゴニョ言ってる。
「じゃあキョンくん、ここに座ってください」と朝比奈さんのとなりに座らされた。
古泉が「やっぱりあなたでしたか。」と言ったことで朝比奈さんが赤くなり長門は…変わらず、ハルヒが不機嫌になったことは気付かないフリだ。
「で、俺は何をすればいいんですか?」と言うや朝比奈さんは「あ~ん」と言ってお弁当からから揚げを俺に差し出してくる。
「へ?」なんて間抜けな声を出している半開きな口にホールインワンしたから揚げを意識が半分飛んだまま食べてると、「うふふ、一度やってみたかったんですよ」なんて真っ赤な笑顔で言ってる。
「ほら!みくるちゃん!もう終わりよ!」とどっかの団長の怒鳴り声で意識は完全に覚醒した。

「じゃあ次は古泉君ね!」帰りたい。ああ帰りたい。帰りたい。自宅と平和とコタツが一番。なんて考えてると、
「有希!古泉君の要望で今日は一日本を読んじゃだめよ!」俺はわかる。長門は確実に機嫌を損ねた。
「いえ、本を読んでいない長門さんを見て見たかったものですから。」古泉、長門に息するなと言ってるのも同意だぞ!長門は俺を見つめるのをやめろ!
「古泉、お前のもう一つの要望はなんだ?」「ああ、諸事情で最後にまわしてもらいました」諸事情ってなんだ?もう早く帰りたいからちゃっちゃと進めてくれ。
「次はキョンよ!」お、俺か。ほらよ、と紙を渡してやる。俺が書いた内容は「ハルヒが一日怒らないこと」「長門が笑った顔を見て見たい」の2つだ。
「いい。」と言ったのはもちろん長門で、俺はハルヒに「今日はもう怒るなよ?特に俺には」と言って長門の方を見た。
「…」 いや、こまった顔を見たいんじゃなくて笑った顔をみたいんだぞ?なんて思ってると手まねきされたので近寄ることにする。
「あなたにだけ、他の人は見てはいけない」と言い、ハルヒ達に見えない角度で意識が飛びそうな笑顔を見せてくれた。ああ、今日はいい日だなぁ。
「ハルヒ、この企画を思いついてくれてありがとう」と言ってしまうくらい満足な瞬間だった。
古泉と朝比奈さんは羨望というか、そんなまなざしを俺に向けている。
ハルヒは怒った顔でプルプルしていたので「今日は怒らないでくれよ、お前は今日は笑ってないとダメだ」なんて上機嫌に言うと、どう解釈したのかはわからないが機嫌を直してくれたようだ。

「じゃあ次は有希ね!」コクリと頷いてハルヒに紙を渡すとハルヒは怒った顔で俺を見た。
「今日は怒らないでくれよ。」というと「うぐぐっ」そう聞こえる効果音をだした。古泉は笑顔の中にあせりが見える。閉鎖空間でも発生したか?朝比奈さんはオロオロしてる。
ん?どうした長門。「座って」ここに?「そう。」と地べたに座らされた。そしたらすぐ俺の膝、正座じゃないから少し角度がある太ももに頭を乗せて「頭を撫でてくれることを所望する」なんて言い出した。
古泉、携帯なってないか?朝比奈さん、俺にはその表情を理解できません、わかるのは顔が赤いことくらいです。ハルヒ、おちついてくれ。
まあ長門にはいつもお世話になってるからと、恥ずかしさをガマンして頭を撫でていると、長門は言った。
「古泉一樹。」「なんでしょう?」さすがの古泉も少し笑顔に引き攣りが見える。朝比奈さん、そんな恥ずかしそうにされたら余計恥ずかしくなりますよ。ハルヒ、落ち着け。お前にはそれしかいえない。
「あなたの真顔が見てみたい」「目を開けて真顔になって」  
ふ、不覚にも噴いてしまった。長門がそんなこと言うなんて。
「ええ、わかりました。一瞬だけですよ?」なんて言うとキリっとした表情になった。がすぐニヤケ面に戻った。
「満足していただけましたか?」「…」無言の長門に対しなぜか朝比奈さんが満足そうな表情をしている。
ハルヒは、そういえばさっきから一言もしゃべってないな。

ハルヒは不気味な笑顔でこう言った。
ニヤリ「さて、次はあたしの番ね」恐いですよ、ハルヒさん。
「あたしは約束通り怒ってないから安心して」だいぶご立腹じゃないですか。朝比奈さんが震えてらっしゃいますよ。古泉はおいといて、今平穏なのは長門だけでは?
長門はなんでこんなに幸せそうな顔してるんだよ…
「じゃあ有希、どきなさい。」長門は少し名残惜しそうに俺を見てからゆっくり俺から離れてった。
離れ際に「また」と言ったのは聞き間違えか?また、何だ?それよりは今目の前にいる問題をどうにかしないと。朝倉並みの威圧感を持ってることに間違いはない。
「お、俺に何か要望でも?」「殴らせなさい!」「へっ?」「一発でいいから殴らせなさい!あたしは優しいし怒ってもいないから他の人には何も要望はないわ」
か、勘弁してくれ。ちょっと泣きそうだぞ俺。古泉はそれで済むなら殴らせてあげろ、とアイコンタクトしてきた。朝比奈さんは完全にびびってる。長門は俺を見ているが表情は読めない。

俺は起き上がり、「ちょっと待て、おちt」クイっと胸倉つかまれて歯を食いしばり目を瞑った瞬間
『ボスッ』と腹にコブシがめり込んだ。顔を殴られると思ったから腹に力を入れてなかったため、もろくも膝から崩れ落ちた。
テンカウントたった頃に、ハルヒは満足そうな顔をして「今日はこれで解散!」と言い放った。
俺は、もう2度とこんなことするか、と思いながら帰り支度をした。

朝比奈さんが着替えを追えて古泉と談笑しながら帰りの坂をみんなでくだってやっと帰れる、と安堵した俺に最初の追い討ちを掛けたのは長門だ。
「次のストレス発散いつ?」なんてハルヒに聞いていた。「まて、長門!次はやらんぞ!」腹痛を堪えて声を出すと、俺にぎりぎり聞こえる小さな声で「ストレスはエラーと同意。また世界を改変しないために必要な行為」
なんて言いやがった。俺は返す言葉もなくハルヒを見ると、「そうね、またいつかやりましょ!」なんて言ってたな。そんなこと、次の追い討ちによって心の隅に追いやられた訳だが。
「では、最後にと言っていた僕の要望を聞いてもらいましょうか。」ゲッ!忘れてた。
「涼宮さん、今日は彼と手をつないで帰ってください。これが僕の要望です。」ここに来て言うか?もう帰りも分岐点だぞ?
「ですからあなたが涼宮さんを自宅まで送っていくのですよ」ニヤニヤするな!まあ、さっきの肉体的損傷に比べれば精神的損傷のほうがらくだ、
なんて思ったのは予想外にハルヒのボディーブローが痛かったせいではなく、ハルヒと帰ることに恥ずかしい反面ヨロコビを感じている自分がいるからだとは自分では考えてもいないがな。
ハルヒは今日一番の笑顔で「わかったわ!古泉君!じゃあキョン行くわよ!」と言って、今日は手首ではなく手をつかんで、ちょっと指を絡めて、ちょっと赤面しながら走っていくハルヒを追いかけた。

やれやれ。今日は長かったな。

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