「東小出身の涼宮はるひです、ただの人間に興味はありません、この中に宇宙人さん、未来人さん、異世界人さん、超能力者さんが居たら私のところに来てください。
あと、えと、皆さん一年間よろしくおねがいします」
「キャーカワイイ」
「ちっちゃい~」
「お人形さんみたい~♪」
「へへへ良い感じに育ってるぜ…」

甲高い声の自己紹介とクラスの奴らが騒いでるのを聞いて後を向く
振り返ると年齢的に妹となんら変らない女の子が居た(しかもめちゃ笑顔)

「なあ、初っ端のアレ、どこまで本気だったんだ?」
はるひは輝いた瞳を俺に向けた。
「なぁに?おにいちゃん宇宙人なの?」
「いや、違うけどさ」
「な~んだ。残念」
はるひは明らかに悲しそうな顔をして俯いた。そしてその姿に、俺の中で何かが弾けたのを感じた。
「いるんじゃないか?せかいは広いんだし」
「でも、全然みつからないの」
俯いたままそう呟くはるひ。くぅあぁぁあぁあ!キャワイイ!!
思わず口から出そうになったそんなセリフを胸にしまいこみ、出来るだけにこやかにはるひに語りかける。
「心配しなくてもいつかきっと見つかるさ。はるひが一生懸命探してるんだからな」
「ほんとに?」
「ああ、絶対だ」

「曜日で髪型変えるのは宇宙人対策か?」
「うん!でもいつ気がついたの?」
「う~ん、ちょっと前かな」
実際この事に気がついたのは随分前だが。
「ふ~ん。皆気がつかなかったのによくわかったね!」
そりゃいつもはるひを見てるからな。
などとは口が裂けても言えない。俺にょぅι゛ょ方面の趣味はない筈だ。どこかの管理人と違って。
それにストーカーなんて思われたくないしな。
「まぁな。よくやってるじゃないか。これなら宇宙人もそろそろ出てくるんじゃないか?」
ここらへんが妥当な答えだろう。火に油を注いだ感が否めないが。
「そうかな!?楽しみだなー。宇宙人さんどんな格好してるのかな?」
「はるひは宇宙人と会って何をしたいんだ?」
「うんとね~。一緒に遊ぶの!」
「遊ぶ?」
「うん!おにいちゃんと、あたしと、宇宙人さんとで一緒に遊ぶの!」
ああもう抱き締めたい。頭を撫でながら抱き締めてやりたい。

「全部の部活に仮入部したって?」
「うん、何か面白い部活あるかなって思ったから、でも……」
なんてこった。はるひが泣きそうな顔してやがる。誰だ!はるひを泣かした奴は!
俺か。
「でも?」
「あたし何やってもドジばっかりで……部活の人達は『気にしなくていいんだよ』って言うけど、邪魔になりそうだから全部辞めちゃった」
なるほどな。どうりで最近クラスの皆のはるひに対する態度が違ったわけだ。
「はるひは何も悪い事はしてないぞ。わざとやってるんじゃないんだからそう気にするな。人には向き不向きというのがあるからさ、はるひに向いている事を見つけるといいんだよ。」
「でも……陸上部じゃ靴ヒモふんで転んじゃうし、手芸部でも指に針を指しちゃうし、調理研究部だっておにぎりに間違ってお砂糖入れちゃうし……向いてる事ってほんとうにあるのかな?」
そこまでドジっ子とは予想GUYだ。だがしかし、そ れ が い い !
恐らくこの会話が始まりだったのだろう。
英語の授業中。うつらうつらしていた俺の背中をはるひが指でつんつんしていた。
「なんだ?」
「あたしね、気付いちゃった」
「?なにに?」
「邪魔になるなら邪魔になりそうにない部活を作ればいいんじゃないかって」
「ほう、それは名案ではあるな」
「だからね、おにいちゃんに手伝ってほしいの。だめ?」
ダメなわけがないだろう。こんなかわいいはるひの頼みだ。今なら校長のズラをひっぺがしてアロンアルファで頭皮に接着する事すらできるぞ。
「ほんと!?ありがとうおにいちゃん!」
そうして俺とはるひの新クラブ作りは始まったのだ。

新クラブ作りに必要な物がある。部室と部員だ。普通ならそうやすやすと部室を明け渡してくれるところはないだろう。
だが、はるひの人望をもってすれば容易い事だと考えている。すでにはるひは北高のマスコットガールになっていたからな。
「おにいちゃん。あたしほんとに何もしなくていいの?」
はるひは何かにつけて手伝いたがるがその必要もないだろう。俺一人で何とかできる問題だしな。
「俺が全部やっておくから大丈夫だぞ」
だがはるひはなおも食い下がる。
「でもあたしが言い出した事だし……」
「本当に大丈夫だって。そんなに俺が信用ならないか?」
「そんなのじゃないけど……でも、あたしだって何かやりたいもん!おにいちゃんと一緒にクラブ作りやるの!」
あぁもうヤバい。これはヤヴァイ。俺にょぅι゛ょ趣味はない筈なのに"胸キュン"をしてしまった。
「わかったよ。それならはるひは部員になってくれそうな奴を集めてきてくれないか?あぁ谷口はダメだぞ。あいつはチャックな変質者だからな」
「わかった!谷口君はバツだね!」
満面の笑みでそう答えるはるひ。変な奴に絡まれたらすぐ携帯に電話するんだぞ。
「うん!行ってくるね~」
「気をつけてな~」
よし、俺は部室の確保に行くか。
休み時間の内にあらかた調査しておいたからそう急ぐ事もないだろう。
そして俺は文芸部の部室前に着いたのであった。

文芸部の扉をノックし、返事を待つ。しばらくして静かに扉が開かれた。
「入って」
そこにいたのはショートカットの髪に黒曜石のような瞳を持つ少女だった。
「お邪魔しまス」
文芸部室には長机とパイプ椅子。それに本棚くらいしかない。ますますクラブ作りにぴったりだな。
「あ~名前を聞いてもいいか?」
「長門有希」
「長門さんか。早速だが長門さん。頼みがあるんだが」
「何?」
「実はこの部室を貸してもらいたいんだ……」
「何故?」
その後俺ははるひと新クラブ作りをしていることを長門さんに伝え、何とか「いい」という言葉を頂いた。
さて、部室の確保は出来た。はるひは上手くやってるかな?
そう考えはるひを探していると、廊下ではるひとその後ろに一組の男女を見つけた。

「この人達があたし達の部活に入ってくれるだって!」
そう言われてその二人に視線を移す。一人はなかなかハンサムフェイスでもう一人は上靴の色からして上級生だな。
「よろしく」
そう挨拶すると男はそのハンサムフェイスを幾分キリッとした顔にして「こちらこそ」と言ってきた。うん、礼儀正しいのは好きだぜ。
「ありがとうございます」
高校生にしては社交性があるな。だが、何故そこで顔を赤らめるのかは理解しがたいが。
「よろしくお願いします」
今度は上級生に。
「よろしくね」
この上級生はとても綺麗な人だった。
「ところで、この部は何をする所なんですか?」
なんだ、はるひに説明されなかったのか?
「ええ、教室に来られて『部活作るから入って!』と言われまして」
よくそんなので入る気になったな。
「その後他に誰がいるのか聞いたら『んっとね~今のところあたしとおにいちゃんだけ』と言われましてね。『おにいちゃん』に興味があったので来てみましたが……なるほどあなたでしたか。これはまた……」
んん?何かさっきの変な事言わなかったか?
「いいえ、何も」
何故かこいつに後ろを取られてはいけない様な気がする。
「あなたは何故入ろうと?」
そう言うとその上級生はふふっと笑った。
「わたしが書道部に居る時にそこの彼と同じ様な事を言われたからかな」
「書道部に入ってるのにウチにも入って大丈夫なんですか?」
「だってこんなかわいい子にお願いされたら断れないでしょ?」
きゅっとはるひを抱き締めてそう返してくる。畜生羨ましい……ハッ!俺は何を言ってるんだ!?俺にはょぅι゛ょ属性はない!
しかし、はるひによって少しづつ変わっていく自分に俺はまだ気がついていなかった。

「おにいちゃん大好きー!」
「ははは。俺もだぞはるひ」
「あたしねー将来はおにいちゃんのお嫁さんになるんだー」
「ほうほう。それなら今から練習しないとイケないな」
「れんしゅう?」
「ああ、まずはそこのベッドに横になっt

「うわぁぁあ!」
慌てて布団を蹴飛ばし、辺りを確認する。よかった。俺の部屋だ。
しかし、あの夢は何だったんだ?下を見るとちゃっかりテント張ってやがる。
なんだ?俺ははるひに欲情したのか?実ははるひにあんな事をしたいと思っていて、その願望が夢になってしまったのか?
「最低だ、俺……」
そんなセリフを吐きつつ机の上の時計を見る。もう十時を回っていた。
「今日は休むかな」
あんな夢を見た後じゃまともにはるひと目を合わせる自信がない。
あるだろう?気になるクラスメイトでヌいてしまって自己嫌悪に陥る事って。俺が今その状況だ。いやヌいてはいないが。
学校を休む決意を固めた俺は、一向に治まらないテントを畳むべくお気に入りDVDを物色し始めた。
「う~ん……『発覚!国会議事堂の情事』もいいが『おにいちゃんと保険体育』も捨てがたってそぉい!」
危ない危ない!今の俺に妹物は厳禁だ。余計こうふん……じゃない落ち込む事が容易に想像出来るからな。
結局俺は『歯科医院でえっちなお注射』を使った。

俺が自分のテントを治め。部屋でゴロゴロしていると、不意に充電台の携帯がけたたましく鳴り出した。
そのディスプレイには 涼宮はるひ の文字。少しばかり動揺したが、何とか平静を取り戻して電話にでる。
「もしもし」
「あっおにいちゃん?」
「ん~?どうした?」
「今日おにいちゃん学校休んでるでしょ?だからどうしたのかな~って」
もうね、これは恋なんじゃないかと、俺はょぅι゛ょ趣味でもいいんじゃないかと。そのくらいはるひの気遣いが嬉しかった。
「おにいちゃん?」
「あっ!?ああ、体は大丈夫だ。ちょっと用事があったから休んだだけだから」
まさか『はるひに欲情して気まずいから来なかった』なんて言ったら嫌われるだろうな。確実に。
「そう、よかった~。風邪か何かかな~って思ってたから安心しちゃった」
「風邪じゃないから心配するな。明日はきちんと学校に行くから」
「うん、じゃあまた明日ね~」
「ああ、また明日」

電話を切った後俺は今一度自分について考えていた。俺ははるひに恋心を抱いているのか?電話で心配されただけでとても嬉しかった。これは恋だと言っていいんではないか?
そうか、俺ははるひの事がすきなんだ。そうとわかれば善は急げだ。明日はるひに思いを伝えよう。
妙に頭がすっきりしたので、その日はすぐに眠りにつけた。


朝である。いつものように妹が起こしに来たが、流石に妹に欲情する事はなかった。
そしていつものように学校へ行く。教室に入るとはるひが風の速さで俺の所にやって来た。
「おはようおにいちゃん!今日はちゃんと来てくれたんだ!」
向日葵のような笑顔をしてそう言って来たはるひに対して、俺の中で込み上げて来たものがあったがなんとか押しとどめる。
「ああ。俺は約束は守る男だからな。それにはるひとの約束だったら尚更だ」
といい頭にぽんぼんと手をやる。はるひは赤くなって「えっ?えっ?」などと言っていて、それがまた可愛い。
授業も終わり、文芸部室に歩いて行く。はるひは掃除当番だ。
「よっす」
文芸部にいたのは長門さんだけで、他の部員はまだのようだった。
「本。好きなのか?」
「わりと」
この子とはあまり会話が続かないな。しょうがない。はるひとやろうと持って来たオセロを一人でやるか。詰めオセロだ。
そして詰めオセロも中盤に差し掛かった時、長門さんが急に口を開いた。
「あなたに話がある」
「ん?なんだ?」
長門さんから話とは珍しい。
「ここは本当の世界では無い。この世界は涼宮ハルヒによって作られた偽の世界。」
「何言ってんだ?その本の内容か?」
「違う。これは真実。きっかけは元の世界のあなたが『お前が小学生の頃を見てみたいな』と涼宮ハルヒに言った事」
「私は涼宮ハルヒによって巻き込まれたあなたを救出しに来た。この世界の崩壊は近い。今すぐに帰還する」
「ちょっと待ってくれ!いきなりそんな事を言われても理解出来ないしあのはるひが偽物だなんて信じたくない!」
それに今日ははるひに俺の気持ちを伝えるんだ。いきなり『帰りましょう』なんて言われて『そうしましょう』なんて出来るわけがない。

長門さんに言われた事はとても信じられない。なるひが偽物?じゃあ俺のはるひへの想いも偽物になるのか?
そんな事は絶対に認めない。そして長門さんの話が本当だとしても俺は絶対に戻りたくない。
「元の世界で古泉一樹による偽装工作を行っているが、涼宮ハルヒに気付かれる可能性がある。よって早急にこの世界から離脱する。あなたが拒否したとしても無駄。強制的に連れて帰る」
「待ってくれ!せめて……せめてはるひに想いを伝えるくらい……」
「駄目。時間が無い。今すぐに帰還する」
くそっ!何を言っても無駄か!なら、逃げるだけだ!
扉から飛び出そうとした。が、扉の前には何か透明な壁の様な物があって外に出れなくなっていた。
「無駄。ここは私の情報制御空間。抵抗は無意味。大人しく従う事を提案する」
そして高速で何かを呟いたかと思うと、長門さんの体が透明になっていった。そして、俺の体も、
「嘘だろ……」
このまま消えてしまうのか?はるひに想いを伝えることもできないまま……。
畜生。俺は無力だ。
せめてはるひ。お前に一言だけでも……
「くそっ!はるひーーー!!」
そうして俺の意識は闇に落ちていった。

「いぃってぇ!」
俺は勢いよくベッドから転がり落ちた。何か夢を見ていた気がするが……はて、思い出せない。
「おいおい。もうこんな時間かよ」
時計に目をやると、そろそろ麗しのマイシスターが起こしに来そうな時間であった。すると
「キョン君朝だよー!」
案の定やってきた。おおマイシスターよ。いつもと変わらず可愛いな。
「?今日のキョン君変だよー?なにかあったの?」
そうか?俺はいたっていつも通りだが。
「ま、いいか!ご飯たべよー!」
オッケェエイ!妹とご飯。全国のロリ好きならわかるだろ、これは至福の時だ。
妹とのご飯というハッピー☆タイムも終わり、俺は学校屁と向かっていた。
おっ!幼女発見!これは将来楽しみな逸材だ。日本は幼女で溢れている。世界はまだまだ平和だ。

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先日彼を連れて元の世界に帰還した。誰も傷付ける事無く任務を遂行出来た事は誇りに思っている。
しかし、一つだけ反省せねばならない事がある。それは……
「お~っす長門。聞いてくれよ、今日もキャワイイ幼女を見つけてよ~。あの子等がいれば日本の萌えも安泰だよな!」

こうなってしまったことだ。
恐らく原因は彼の『涼宮はるひ』に対する恋愛感情が、帰還時に悪影響を及ぼした事と想われる。
最初は周囲は戸惑いを隠せずにいたが、時間が経つにつれそれが彼の『キャラクター』と認識される様になっていた。
涼宮ハルヒも精神的に不安定になる事は無く、このままでも観察に何ら支障はないと想われる。
しかし私個人としてはこのままでいいのか悩む所である。
――――――――――

「ねぇねぇ君。俺の妹にならないか?」

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