Missing Ring -失われる7日間- 第六話
【第六話-12/09朝~夜】 ついに俺を除いたSOS団のメンバーが全員消え、それと同時に世界中の宇宙人・未来人・超能力者が消えた。そしてそれと共に消えた人たちの存在が世界から消え、それらの人々が存在していたのを知るのは俺ただ1人になった。そして謎の指輪、これがすべての鍵らしい。持ち主と思われる人物から電話があったものの何も語ることはなかった。みんなを救うためにはこの指輪の持ち主を探すしかない……そう俺は決意した。 ・・・・・・──・・・・・・ ・・・・・・──・・・・・・ ・・・・・・──・・・・・・ 俺はあることを思い出した。ハルヒが消える前の日、学校の校門横に1人の男が立っていたことを。全身フードで正体はわからなかったが、身長・体つきから見て多分男だろう。恐らくその男がこの指輪の持ち主に違いない。とすると、俺が学校に行けば現れるかもしれない。そう期待しつつ学校へ行った。だが、学校の前についたものの怪しい人物はいなかった。そこに谷口が現れ、 「よう、キョン」「ああ、おはよう谷口」「誰かを探しているのか?それとも待ち合わせか?」「いや、そういうわけじゃないんだけどな。ただなんとなくな……」「あんまり変な行動すると涼宮みたいに電波扱いされちまうぜ」「そうだな……」「こんなところに突っ立ってないで早く教室へいこうぜ」「ああ」 俺は谷口と共に教室へと向かった。結局怪しい人物の影は無く、ただ日常的に午前中の授業が始まった。午前中俺は指輪のことを考えていた。この指輪を拾ったのは本当に偶然だったのだろうか? 何者かによる必然ではなかったのだろうか? そんなことやどうすれば開放できるのかを考えているうちに午前中の授業は終わった。昼休みになり俺は速攻で弁当を食べると、指輪を拾った屋上へと向かった。 屋上は相変わらず閑散としており誰一人いなかった。俺は指輪を拾った周辺をくまなく調べてみたが特にこれといったものは見つからなかった。範囲を広げて屋上全体まで探してみたもののやはり手がかりは無かった。 「拾った時によく周りを見ておくべきだったか……」 そう俺がつぶやいたとたん午後の予鈴が鳴り響いた。俺はクラスへと戻り午後の授業を受けた。正直言って校門の前・屋上これらの2点しか指輪や怪しい人物の手がかりとなる場所は無かった。それらの場所で手がかりが得られないとなるともはや八方塞だった。午後の授業も終り放課後になった。俺は習性とも言うべきか自然と部室へと向かっていた。 ・・・・・・──・・・・・・ ・・・・・・──・・・・・・ ・・・・・・──・・・・・・ ハルヒに連れられて初めて入って長門がいた時の状態の文芸部室。本来であればここにはハルヒや長門・朝比奈さん・古泉がいてバカ話やゲームなどをしていたんだな……そう思うと自然と涙が出てきた。俺は涙を拭い去ると指輪を取り出して見てみた。相変わらず青い宝石が真紅の宝石に変わったまま。宝石を叩き割れば開放されるのか? そう思った俺は金槌を探し、見つけると指輪を机において宝石に金槌を当てようとした。その時、 「困るな。その指輪を無碍に扱ってもらっては。大事にしてくれと言っておいたはずだがな」 フードを全身に被った男が部屋のドアのところに立っていた。 「あんたがこの指輪の持ち主か?」「そうだ」「じゃあ、あんたはこの指輪がどういうものか知っているんだな!」「ああ、知っているとも。どういう役割を果たすかをね」「一体どういう働きがあるんだ、この指輪には?」 男はしばらく黙った後こう言った。 「指輪によって力は全て回収した。後は元に戻すだけだ」 そういうと男は部屋を出て行った。 「どういうことだ……ちょっと、まて!!」 俺は部屋のドアを開けると周りを見渡した。すでに男の姿は見当たらない。でもまだこの校内のどこかにいるはずだ、そう考えると俺は片っ端から学校中を探し回った。すでに下校時間も過ぎ、探せるところは探したと思った後、まだ探していないところを思い出した。この事件が始まったと思われる場所。 「屋上か……」 俺は急いで屋上へ向かった。 ・・・・・・──・・・・・・ ・・・・・・──・・・・・・ ・・・・・・──・・・・・・ 俺が屋上へ行くと思ったとおり、フードを被った男はそこにいた。 「やっと来たか。遅かったな。もっと早く来るものだと思っていたが」 俺は男に向かって、 「いったいどうなっているんだ!みんなが消えるなんて!」「すべてが元に戻る準備が出来たってことだ。君のおかげでね」「俺の……おかげ?」 男は俺のおかげでみんなが消えたと言った。俺が……みんなを消したのか? 「そうだ。君が指輪を拾った時全てが始まった。最も拾うように必然にしたのは俺の導きだが」「あの拾った指輪が……一体何をたくらんでいるんだ!!」 俺は怒鳴るように言った。 「放たれた力を元に戻すためだ」 男は落ち着いて静かに答えた。 「放たれた力?」「失われた力と言ってもいい。そしてその力はお前が持っている指輪に今、全てが蓄積された」 やはりこの指輪にみんなが封じ込まれているのか。 「この指輪は一体なんなんだ!?」「この星を表すもの、いや、人類がいるこの星を……と言ったほうがいいかな」「どういうことだ。」「人類はこの星を食い物にして生きている。それを表しているのがその指輪だ」「そんなことはどうだっていい、みんなを返せ」「それは出来ない。なぜなら時間が午前0時を回った時その力はこの星に戻される」「その力というのは……」「消えていったイレギュラー因子だよ」 イレギュラー因子? ハルヒたちはこの星にとって誤った存在だというのか? 「あんたは……一体誰なんだ。」「俺か?俺は……」 そういうと男は全身を覆っていたフードを脱ぎ捨てた。そこにはキョンとまったく瓜二つの男が立っていた。 「まさに俺に瓜二つだな……だが、本当の正体を現せ!!」「正体も何もこれが正体だ。既に君は長門有希からヒントを得ていたはずだが」 ”彼はあなた”……そういう意味だったのか。しかしなぜ俺が2人?俺がそう愕然としながら思っていると男は、 「あと4時間くらいか……まあ、説明する時間もありそうだな」 俺は訳がわからずただただその場に呆然と立ち尽くすだけだった…… ───Missing Ring -失われる7日間- 第六話 終
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