Lolita's Love Complex 第4話「背伸びしたい夜」
前回までのあらすじホーンテッドマンション×ミヨキチ×泣く ミヨキチが泊まるって事になって妹は物凄い勢いで喜んでいた。例えるなら宇宙からマッハ59ぐらいで五枚揃ったエクゾディアがスペシウム光線発射しながら木星をブラックホールにする感じ。意味が解らないかもしれないが、これぐらいが妥当な例え方なのさ、メイビー。で、ミヨキチの両親にも了承を一秒で取った。それで事態は丸く収まる筈・・・だった。 Lolita's Love Complex 第四話 「背伸びしたい夜」 あぁ、まさかいきなり、「親戚が倒れたからお父さんとお母さんと私でおじさんのところに行ってくるだってー」と言われるとは思わなかったし、意味も解らなかったさ。まぁ、つまりどういう事かというとだな。俺の親戚がぶっ倒れたんだ。それで両親と我が妹が急遽そこに向かう事にしたらしい。そして、俺は留守番となった。なんで留守番か。親曰くミヨキチの保護係らしい。まぁ、誰も俺達が付き合ってるなんて知らないしな。 言 っ た ら 殺 さ れ る だ ろ 、 社 会 的 に 。 さて、そうなると恐ろしい状況が生み出されるのだ。俺とミヨキチが二人きりという恐ろしい状況が。男の諸君(ただしホモは除外する)、考えて欲しい。物凄く可愛い女の子と夜、一つ屋根の下で二人きり。しかも、「あの・・・一人じゃ寝れないので、えっと、一緒に寝てくれませんか?」と、言われてみろ。そして、それを叶えてやってみろ。一つのベッドの中で、可愛い女の子と向かい合って寝る。しかも抱きついてると来た。ガバッとやりかねんぐらい理性が赤信号になるだろう。あぁ、なるさ。相手が小学生じゃなかったら間違いなく俺はミヨキチを襲っていた。物凄く自信がある。そんなわけで、俺はミヨキチと俺の部屋の同じベッドの同じ布団の中で向かい合う形で抱き締められながら横になっていた。「・・・・・」「・・・・・」お互いに黙って気まずい雰囲気。見ればしとしとと雨も降ってくる始末だ。そんな状態でもミヨキチからは女の子独特の良い匂いが漂い、俺の理性を確実に蝕んでいく。無くなる前に寝たいものだが、ミヨキチが寝るまで俺は寝れない。その理由は簡単だ。「・・・お兄さん」ふと、ミヨキチが口を開いた。「なんだ?」「あの、もしかして私のせいで寝れないって事ありますか?」「え?」「いえ、その・・・さっきから寝る気配がしないので」「いや、別に。ただ、ミヨキチより先には寝たくないだけさ」あぁ、寝れない。寝たくないから寝れないのさ。「どうしてですか?」だって、「寝顔を見たいからさ、好きな人のな」十分な理由だと思うね、俺は。これ以上の理由なんて必要ないだろ。「なら私はお兄さんより早くは寝れませんね」ミヨキチはそう言って恥ずかしそうに笑った。そしてまた訪れた沈黙。しとしと降っていた雨の音が先程より大きく聞こえる。雨音がまるで足音。そう思った時、何かが近付いている感じがした。悪い予感、良い予感のどちらでもない出来事。「・・・インターネットで見たんですけど」ミヨキチが不意に言葉を発した。「ん?」「えっと・・・こういう状況の時、好きな男女って、その・・・だ、抱き合うんですよね・・・?」俺は思わず吹き出した。いきなり何を言うかと思った。ミヨキチを見ればその顔はほんのり、なんてレベルじゃないぐらい紅い。「どういう事かは・・・解らないんですけど、裸で、何かするって・・・・・」流石に理解までは出来てないみたいだ。それが当たり前だというかそうじゃなくてはいけない。あんなもん小学生が理解したら完全に色々と勘違いしてしまうだろう。「ミヨキチ。悪いインターネットに毒されるな。確かにするっちゃするんだろうけど、それは成長した奴等がやる事だ」俺はとりあえず、その場をその言葉で済ます事にした。だが事は予想外の方向に向いてしまった。まさしく予想外だ。いきなりミヨキチが服を脱ぎだしたのだ。「み、ミヨキチ?」「・・・子供扱いされるの嫌いです」「わ、解ったから脱ぐな!!」もう社会的に半分抹殺される立場なのに、これ以上やってしまったら社会的に完全抹殺の立場になってしまう。何とかして止めろ。クールになれ俺。そうだ。KooLになれ。とりあえずミヨキチの姿がドキドキだから向こうを見れば良いんだな。俺はそんな訳でミヨキチから視線を逸らす為に背中を見せた。HAHAHA! これぞ兵法よ! 連邦のMSなんぞにやられはせんわ!!これでクールになれる。さて、高速思考展k―――。 むにっ。 「っあ!?」突如背中に当たった柔らかい感触に俺は思わず素っ頓狂な声を上げた。「・・・・・」ぎゅっと後ろから何も言わずにミヨキチが抱きしめてくる。つまりはあれだ。未発達の小さなあれが当たったというわけだ。一瞬パニック起こしてしまった俺だがそこでふと気付いた。その手は微かに震えていて、背中に強く顔が押し付けられて。俺はそれで理解した。これは怯えているんだと。子供の頃の俺と御内z。自分を高く見せようとする背伸びをしていた。微笑ましいから思わず微笑んでしまった。「俺が悪かったよ。大丈夫だから安心しろ。俺はミヨキチだけが大好きなんだからさ」そう言ってからすぐ、「ぐすっ・・・うぅ・・・」泣き声がした。だから俺はぎゅっと抱きしめてくるその手に自分の手を重ねた。ミヨキチは強がっていたのだ。強がって、大人のように振舞う。やっぱり心は子供だ。そんな子供らしさ故に俺に嫌われないようにしていたのだ。必死に背伸びして。嫌われる事を恐れるが故の背伸び。可愛らしいと俺は思う。「大丈夫だからな・・・」「はい・・・ぐすっ」「まぁ、とりあえず服を着てくれ。じゃないと俺は恥ずかしくてそちらを向けない」慌ててミヨキチが服を着る音がした。 ・・・・・・・・・・。 「悪かったな。子供扱いしてさ・・・」俺はそう言いながら頭をそっと撫でる。言っとくが俺は何もしてないぞ。ミヨキチに手なんか出してないぞ。着替え終わるまでじっと待ってたんだぞ。 本 当 だ ぞ ? 結構辛かったけどな、待ち時間。「良いんです・・・私は子供ですから。だから迷惑を掛けてしまって・・・」「・・・ミヨキチ」諭すようになるべく優しく語り掛ける。「はい」決意を持って。「その、なんだ・・・小学生にこういう事言うと何だが世間的に悪い気がするけどさ」「はい」「お前が成長したら・・・な? してやるから。その、お前が言っていた男と女の抱き合うって行為をさ」あー、俺もう駄目だー。でも、「はい。楽しみに待ってます」笑顔でミヨキチがそう答えてくれたから、まぁ、良いか。「それまでに俺から離れないか心配だけどな」「大丈夫です。私はお兄さんの傍にずっと居ますから。お兄さんこそ、離れないで下さいね?」「馬鹿だな。俺は離れないさ。こんなに可愛いのに」これって何だかプロポーズみたいだな。何となくそう思う。窓の外の雨は勢いを増して穿つように音を立てる。だけど、その音があたかも祝福の拍手のように聞こえてきた。そう感じると悪い気はしないな。「お兄さん・・・」「ん?」「・・・離さないで下さいね?」「ん? あぁ、もちろん」俺の言葉にミヨキチは満足げに微笑んだ。そして、しばらくして規則正しい寝息を可愛らしく立てた。その後に続くようにやってきた睡魔に、俺も身を委ねた。 翌日の朝。朝食作りからてんやわんやなのはまたそれはそれだ。
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。