涼宮ハルヒのひなた荘 第1話 始まりの季節
『ねぇ、知ってる?愛し合う2人が東大に行くと幸せになれるんだって』桜舞う4月、2年へと進級した俺たちの奇妙な共同生活は始まった&『涼宮ハルヒのひなた荘 第1話 始まりの季節』俺の母方の両親が経営している旅館がある。いや、あった。今年還暦を迎えた爺さんと婆さんは豪華客船で世界一周旅行を満喫していることだろう。旅館はもう営業していない。しかし、木造住宅は使用する者がいなければすぐに悪くなってしまう。「だれか住め」爺さんのその一言により文字通り「だれか」が住むことになった。親戚一同の意見がこちら、「宅のキョンくんはしっかり者ですものねぇ」そう、俺はこの旅館の管理を任されることになった。俺、高校生だぜ?幸いにして北高へはそれ程遠くはなく今まで通り自転車で十分通える距離だ。災いはその事がハルヒに知られたことだろう。「部屋が沢山あるんでしょ?ならちょうどいいじゃない!」何がちょうどいいのかご教授願いたい。お前は楽しめりゃいいだけだろ?「何よ。悪い?」&開き直りやがったな。まあ、いい。とりあえず家事は分担だからな。それと&「一応は俺が管理人だ。あまり勝手な事はするなよ!」「わかってるわよ」うるさいわね、とハルヒは呟いた。当然ハルヒだけではない。朝比奈さんや長門、古泉はもちろん、鶴屋さんやなぜか喜緑さんもお住まいになられるようで…「みくるだけじゃ不安だからねっ!」「長門さんだけでは心配ですから」とそれぞれの弁。まあ元々旅館だったので部屋はまだ余ってますけどね。「それでは来週からよろしくお願いしますね」「こちらからもよろしくお願いしますよ。一緒に長門の食生活を正しましょう」「そうですね」さて、時間は少し経ち夕方。各々が必要と思われる荷物等持ち元旅館の前に集まっていた。ある者は両手に抱え、ある者はリュックに背負い、またある者は手ぶらで…って手ぶら? 「おい長門。荷物はどうしたんだ?」電源を切った液晶テレビの様な瞳を俺に向ける。どことなく吸い込まれそうな気がしないでもない。「あっち」長門が指指す方を見ると喜緑さんが頑張っていた。お疲れ様です。でもそれって絶対に情報制御とやらをしてますよね?旅館を見上げる皆。俺も昔来たときはその大きさに心躍ったものだ。そう、まるで…「なんだか屋根が割れて特撮モノのメカとかがでてきそうじゃない!」おまえ、俺のモノローグ読んだだろ?「でも…わたし、昔ここに来たことがあるようなきがするのよね…」…気のせいじゃないか?「ま、どうでもいいけど」そうか。ところで旅館の構図を紹介しよう。3階建のこの旅館は1階がロビーや食堂等といった大衆が集まるフロア。なぜか温泉もあったりする。2階、3階が俺たちの住居となるわけだ。各フロア真ん中に階段や談話室があり、東に4室、西に4室の8室。合計で16室あるわけだ。次は部屋の位置だ。一番西の北側が201、すぐ隣が202。201から廊下を挟んで向かいが203、その隣が205だ。つまり202から廊下を挟んで向かいが205だ。204が無いのは昔の風習か何かだろう。 次は東だ。一番東の北側が207、すぐ左が206だ。一番東の南側が210、すぐ左が208だ。つまり207の向かいが210であり、206の向かいが208となるわけだ。例によって209は無い。そして3階も同じ構成となる。俺たちはロビーに荷物を置き食堂に居座り部屋割りについて相談することにした。ハルヒと鶴屋さんは今にも探検に行きそうだ。「絶対に隠し部屋があるわね!」断じてない。「掛け軸の裏が怪しいにょろっ!」勘弁してくださいよ。2人を宥め、朝比奈さんのお茶を飲んでいた時、俺は重大な事を思い出した。「ああ~ハルヒ…」「何よ!早く案内しなさいよ」それは後でな。「しばらくしたら佐々木と橘も来るから」ピリリリリッ古泉の携帯が鳴り響く。すまん。少し予想してた。「すみません。どうやらバイトが入ってしまったみたいで…」そうか。頑張ってきてくれ。夕飯は…残ってないだろうからどこかで食べてこいよ。と、ここで周りを伺ってみる。鶴屋さんは喜色満面。喜緑さんも…似たようなものだ。この2人はいいだろう。朝比奈さんはどうだ?チラリと伺ってみる。「むぅぅ~」ちょっと睨まれた。すみません。可愛いです。長門はどうだろうか。「………」深海を濁したような瞳で俺の目を射抜いてくる。怖くてもう直視もできない。最後にハルヒ。「~~~っ!」夜叉がいた。いや、待て!そんなに怒ることもないだろ!と、ここで救いの女神が舞い降りた。「やあ、キョン。勝手にお邪魔させてもらったよ」「お招き頂きありがとうです」「ちょうど良いところに来た!今から部屋割りだ!早く来てくれ!」まあこれでこの場を切り抜けられるだろう。「涼宮さん、久しぶりね。キョンは迷惑かけてないかしら?」「え、ええ大丈夫よ」なんとなく変な汗が出てる気がする…・・・それぞれの自己紹介や雑談が終わったところで待ちに待った部屋割りだ。「ちなみに俺は郵便物等をすぐに取りに行けるよう202号にするから」俺は残る7人にそう伝えた。「んじゃあ私は団長としてキョンの面倒を見るために201号ね」「その意見は却下する。隣だからと言って面倒見る云々が変わるわけではない。私は夕日が見たい。だから西側の201号を希望する」夕日が見たいってどんな理由だよ。まあ確かにきれいだけどな。「ま、待ってくださぁい!夕日が見たいなら203号でもいいじゃないですかぁ!」「その意見は却下する。私の計算では201号から見る夕日が一番綺麗とされる」なんか白熱し過ぎて大変な事になってるが勝手に決めてくれ。こっちはこっちで決めさせてもらおうじゃないか。「では僕はキョンの向かいの205号にするよ」わかった。佐々木は205号で決定な。「ちょっと!何勝手に決めてんのよ!」揉めてるのはそこだけだから後は自由だろ?それに俺が管理人じゃないか。「むぅ…」納得したか?簡単に引き下がるハルヒも珍しいが…「はいっ!私は佐々木さんの隣が良いので203号を希望するのです!」はい。橘も決定。「喜緑さんと鶴屋さんはどこにします?」「余ったところでいいさっ!」「わたくしもです」どうやらこの2人は相当大人なようだ。ハルヒ、長門、朝比奈さんはくじ引きで決着を付けるようで…「せ~の!」ハルヒの掛け声で一斉に引くと…「「「!」」」3人は目を見開き…「………」「そ、そんなぁ」「やったわ!キョン!」このような結果に相成った。ところでハルヒ。何がそんなに嬉しいんだ?「べ、別に何でもないわよ。夕日…そう!綺麗な夕日が見れるからよ!」そうか。ハルヒと会話しているうちに長門は206号に、隣の207号が喜緑さん。208号が朝比奈さんで隣の210が鶴屋さんとなった。でもこうなると…「古泉一人だけ3階だな」「「「「「「「…あ!」」」」」」」忘れてたのかよ。古泉すまん。第1話 END
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