【余ったピース】
 
キョンは昨日、なにかいいことでもあったのか、こころもち顔が上むいている
「キョン!」
「なんだ」
「あたし、今日 用事があるから SOS団の活動は中止 みんなに伝えておいてね」
「ああ わかった 昼休みにでも伝えとくよ」
 
まあ、いつものキョンね、昨日顔が暗かったのは、岡部になにかいわれたんでしょ、
あいかわらず試験にでるぞ、みたいな、はっぱをかけられながら、授業が進む、
今日は時間が少し遅くない?
浮かれてるのか、あたし
 
別に古泉君とはデートって訳じゃない、別に誰かに後ろめたいことがある
わけじゃない、そう、有希をちょっとだけ、出し抜いてやろうと準備しているだけ
なんだこの言い訳みたいなものは
前の席のキョンは、さすがに昨日絞られたみたいで、まじめに授業を聞いているみたい、
同じ授業にでていて、なんでこいつは、成績よくないんだろう、これも不思議ね
 
最後の授業、終わりのチャイムが鳴り終わらないうちに、教室から離脱、一度家に帰る時間あるかな、制服で出歩くのって好きじゃないから
 
やっぱり、浮かれてるのか、あたし
 
めいっぱい急いだ積もりだったが、それでも、待ち合わせ場所には、少し遅れそう、
団長としてのけじめがつかないなぁと思いつつ到着すると、古泉君はすでに
待っていてくれた。それも私服、あれ、なんでこんなに早いんだ、
いつも最後にやってくる誰かに爪の垢でも飲ませてやりたい、
頼んだら、あっさりくれそうだしね。
 
「ごめん、古泉君、遅れた」
「いえ、僕も、いましがた着いたばかりですから」
ほんと、誰かさんも見習ってほしいわ
 
古泉君のいっていた店は駅前の繁華街を少し離れた場所にあるそうで、
並んで歩く、この時期だからか、自然と話題は進路進学のことになる
 
「涼宮さん、先日の進路指導いかがでした?」
「岡部から、理系に進路変更しないかっていわれたわ、今更のような気もするけど」
「僕もそう思いますよ、涼宮さんは、答えが綺麗にでる問題の方が好きでしょう、
そうパズルみたいに」
「確かにそうね、でも具体的に何をしたいとかってのは、ないわね、今は」
「まあ、そのための大学って話もありますし」
「それより、古泉君は進路どうするの?」
「涼宮さん、笑わないでくれますか?」
「なにそれ、まあいいわ、約束する」
「生きてるうちに宇宙に行きたいんですよ、僕は、できれば自分の宇宙船で、
中学の時に素直に話して笑われて以来、白状するのはひさしぶりですけど」
 
いや、笑うなって言うからには、突拍子もないこと言い出すとは思ったけど、古泉君って結構熱い人だったんだね、ふふふ
 
「素敵な夢じゃない、じゃあ、大学は、物理が工学?」
「ええ、できれば宇宙工学のある大学に」
「そっか、目標があるってのは、やっぱりいいわね」
そういえば、キョンって、なにかやりたいことあるんだろうか
 
「ええ、そして僕としては、そのとき側に涼宮さんに居て欲しいと思ったり
してるんですよ」
え、なにそれ、まるで告白じゃない
 
「なしにろ、宇宙人を探すにはうってつけの人材になると思いませんか」
「確かに」
 
古泉君の冗談とも本気とも取れるセリフにちょっとドギマギしてしまった
かもしれないが、ほどなく、目当ての店の到着した、普通のマンションの
一室で営業しているらしく、こりゃつれてきてもわらなきゃ、とても判んないわ。
 
古泉君が店主の方と話しをしてる間、店の中を見回してみる、幾つものパズル
たちが並んで展示されている、材質もさまざま、あのガラスの奴ちょっと素敵
だなぁ。一つ一つみんな小さな宇宙みたいで、わくわくしてくる、やっぱり
こうゆう世界があたしの好みなのかな
 
店主は結構若くて気さくな方だった、あたしが眼の前でいくつかパズルを解いて見せたら、本気で感心してくれた、すこしくすぐったい、有希はあたしよりすごいといったらしばらくあちこち探したあげく、古典的な名作と呼ばれる
なやつと最新作という2つを選んでくれた。
有希、明日の放課後まってなさい!
 
例のパズル作家の方もこの店にはよくいっらしゃるそうで、次の休みに都合がつけばお会いできるらしい、というより新作を一晩でといた女子高生がいると
いったら、地球の裏側にいたって飛んできますよって折り紙までもらった。
次回の不思議探検はここに決定、これも明日SOS団で発表しなくちゃ。
 
お店は、ネット通販が中心だそうで、尋ねてくるお客さんがいなかったこともあって、3人で随分話をした、SOS団のみんなとおしゃべりするのも楽しいけど共通の興味がある人たちと話ができるのは、とても新鮮。
 
さんざんお邪魔して、お店を辞する、古泉君が次の休みの相談を店主の方としているのを聞きながら、キョンはここに来てどんな感想をもつだろうかと考えていた、なんで、キョンなの?
 
外は、もうすっかり暗くなっていた、秋の陽は短い
 
「うーん、楽しかった、さすがはSOS団副団長だわ」
「光栄です、お時間が許せば、食事でも」
「そうね、確かにおなか減ったわね」
そういわれて、また、このまま家に帰るのが少しもったいない気がして、
誘いに乗ることにする
 
「場所は任せてもらえますか、着替えてきてくれてよかったです、電話でいい
ずらくて 僕の知り合いがイタリアンレストランをやってまして、ちょっと
距離があるんですが」
「かわまないわよ」
店をでて、タクシーを使うという古泉君とならんで大通りの方へ向かう、あれ
ここって図書館の方じゃないと思ったとき、あたしは見てしまった。
 
キョンと有希、多分図書館の帰り、有希が本を大事そうに抱えてる、なんで2人が
 
「どうかされましたか?」
「んん なんでもないわ」
 
古泉君は気がつかなったようだ
 
その店は住宅街のほど中にあった、こんな場所で商売になるのかと思うくらい
店の格もちょっと高そう、確かに制服では気後れしてしまいそう、そうね
キョンなら入り口で残念ながらって断れるかもしれないわね
味も量も申し分なし、値段だけは、古泉君が教えてくれなかったので解らない
けど、きっとそれなりにするんでしょうね
話はさっきの店のこと、明日の部室での下準備、次の休みの不思議探索であの
店にお邪魔するにあたってのこと、
さっきの告白めいた話の続きは出てこなかった、気を使わせちゃったのかな
 
家の近くまで送ってもらう
「今日は楽しい時間をありがとうございました」
最後まで如才ない、さすが古泉君である
 
家に入るまえ振り返ると大きな月に見つめられているようだった

【足りなり欠片】
 
ハルヒは昨日なにかいいことでもあったのか、いつもに増してテンションが
高い、いつまでたっても夏を引きずっているような顔している。
本当におまえは秋は似合わないな、いいから少し落ち着け。
 
「キョン!」
「なんだ」
「あたし、今日 用事があるから SOS団の活動は中止 みんなに伝えておいてね」
「ああ わかった 昼休みにでも伝えとくよ」
 
なにかまた変なことでも企んでるでなけりゃいいんだが。
 
さすがに昨日あれだけ絞られたんだ、次の試験までは、せめて授業に集中
意気込みだけは、充分にあったはずなんだが、教室の窓から望む、秋晴れの
空、頭の中には、昨晩の長門が登場する。
 
なぜ、あいつは、あの時間、あの場所に、まるで俺と会うのを待っていた
かのように居たのだろう、偶然、それとも
俺がまた、なにかに巻き込まれるかもしれないという忠告だったのか?
それはないな、それなら、ちゃんと呼び出して話をするだろう。
長門のちょっと寂しげで、精一杯の顔はしばらく忘れられそうにない、
ハルヒの百万分の一でも、あいつの能天気さがあれば、随分ちがうんだろうに
 
頭の中で、そんなことを、弄んでいるうちに午前中の授業が終わる
さて、弁当食って、一回りしてくかって、そういえば、当の本人はダッシュで
食堂にかっとんで行ったんじゃないか、俺が伝書鳩になる理由はどこにあるん
だ、まったく。
 
谷口、国木田と、秋の空と秋刀魚と乙女心に関する考察をしながら弁当を食い、
さて近いところからお邪魔しますか
 
一番近いのは、長門か、いや、あいつは、昼休みも部室だろうから、後回し、
まずは古泉、9組の前へ行き、古泉を呼んでもらうが、本日は休みとのこと、
あれ、また、例のアルバイトか?最近は仕事ないんじゃなかったか、それとも、
また何か企んでるんじゃないだろうな、まあいい、いないんじゃ部室まで無駄
足ってこともないだろう。
さて次は、3年の教室へいって朝比奈さんと、
 
「お! キョン君 ひっさしぶりだね どーだい 元気にやってるかにょろ」
元気一杯の声をかけられる、鶴屋さんだ、あいかわらずのテンションの高さだ
「そうそう、今年もハルにゃんとこのクリパに呼んどくれよ、キョン君、今年
は何を披露してくれんだい」
この人見てると人生なんも憂いも悩みもないんだろうかと思ってしまう。
ちょっとまて、今年も俺が出し物するのは決定事項なのか
 
「はあ、ハルヒには伝えときます、で、朝比奈さんは」
「みっくるちゃんかい、そういえば、昼休みになってどっかに出かけてったさ、用事かい?」
「ええ、今日、ハルヒが用事だそうで、SOS団は臨時休業です」
「つったえとくっさ、ふーん ハルにゃんが用事ね」
なにを納得したのか、鶴屋さんは、しきりに頷いたあと、古泉やら、長門の
ことを尋ねられ、しきりに懐かしがられ、気がつけばもう昼休みは終わり。
長門は放課後に部室で伝えるか。
 
午後の授業が終わるとハルヒは短距離選手並みのロケットスタートで学校を
後にした、よっぽどの用事なんだろうな、顔にやけてたぞ。
 
俺は、昼休みに連絡しそこね、部室で一人でいるだろう、長門の元へ
部室の扉を開けると、いつものように長門がいた、
「長門」
静かに顔を上げる仕草
「ハルヒが今日用事でこないそうだ」
「そう」
 
「昨日のことだけど」
「なに」
「ありがとう、長門にあの場所で会えてうれしかった」
「あなたの助けになれたなら、それで充分」
 
「それでな、何年も先になる再会の約束の前に、前の約束を果たそうと思ってな」
「なに?」
「今日は活動は無しだ、図書館、行かないか?」
俺のセリフが予想外だったのか、少しだけ、その眼を大きくして
 
「うれしい、覚えていてくれたこと」
 
「忘れるわけにはいかないだろう、今、俺がここに居られるのは、長門のおかげだ」
そう、あのハルヒと一緒の閉鎖空間から脱出する最後の鍵をくれたのが、おまえ、
長門だったんだから
 
「どうする、今からだと、あまり時間も取れないけど」
返事の替わりか、長門は開いていた本を閉じ、帰り支度を始めた
図書館では、あまり話すことは無い、いつものとおり、長門は図書館に入るなり、
本棚の海の泳ぎだしていってしまった。本当なら俺は勉強でもすればよかったのだが、
がらにもなく、長門の姿に見とれてしまっていたのは、内緒だ。
 
閉館を告げるアナウンスを聞きながら、長門と本の貸し出しカウンターに
並ぶ、放課後から来たんじゃあんまり時間がないな。それでも満更ではない、
長門の顔を見てると、もっと早く一緒に来てやればよかったと思う。
 
「なんか食べていくか 長門」
静かに肯く仕草
 
これは、イエスってことでいいんだな、でも、このあたりじゃなにもないから、
駅前まででるか。貸し出し制限一杯まで借りた本を大事そうに抱える長門と
図書館をでた。
 
もう随分遅い時間になっている、秋の短い陽はすっかりと暮れ、あたりは
もうすっかり夜の装いである。
 
「遅くなっちまったな」
「わたしは大丈夫、あなたは」
「なあに、図書館に行っていたなら問題はあるまい、嘘じゃないし」
 
食事といっても、財布の都合で駅前近くのファーストフード店、しかも、
長門のやつ、今しがた図書館で借りた本を早速開いて読み始めている。
 
あの冬の日、俺はもう一つの世界を選択したとしたら、こんな毎日を過ごして
いたのかもしれない、そう思うとどこか申し訳ない気持ちで一杯になった。
すっかり暗くなちっまたこともあり、長門をマンションまで送ろうと、店を出て
歩き始め、駅前の繁華街を過ぎること、俺はみてしまった。
 
用事があると、授業が終わるや否やすっとんで帰った、涼宮ハルヒと、今日は
休みのはずだった、古泉一樹が並んで楽しそうに歩いている姿を。
 
「どうかした?」
「いや、なんでもない、知り合いがいたような気がしてな」
 
どうやら長門の位置からは2人は見えなかったらしい。向こうもこっちには、
気がついてないようだ、ここは知らん振りしてやりすごずのが礼儀ってもんだろ。
 
「ありがとう」
長門のマンションの前で、小さくそういう長門と分かれて俺は家路についた。
 
おっきな月が俺を睨んでいるようだった
どーすっかな

【インターミッション】
 
なんとかしなくちゃ
 
昨日の古泉君の話を聞いてから、そのことばかり考えている、でもわたしは、
いったい、どうすればいいの
 
人を好きになるのは、本人同士の問題、それは解る、でもなにも、
キョン君と涼宮さんの間に割り込むようなことをしなくっても。
 
もし、古泉君の望むようなことになったら、わたしの存在はどうなってしまう
のだろう。
 
多分、長門さんの言ったことは正しい、未来から見た規定事項は、
厳密に一字一句実行されるものではない、時間の流れには一定の自立作用の
ようなものがあって、えっと、たとえば、ある科学的発明がされることが
規定事項だったとしても、その発見者や発見の経緯などが少々違ったとしても、
大きな時間の流れには影響がでない、でも、これ、わたしだって最近聞いた
ばかりの話、実際どの程度の誤差までが許されるのか実験して確かめるわけには
いかないこと。
 
いてもたってもいられなくなり、昼休になって教室を飛び出す、古泉君、
いや昨日の今日で話をしても、きっとダメ、昨日あんなにちゃんと話したのに、
まるで聴いてもらえなかった、じゃあ、キョン君、んん、それもダメ、今、
余計なことキョン君にしゃべってしまったら、きっと話がややこしくなる。
長門さんは、やっぱダメ、古泉君に協力するような口ぶりだったし。
なんで、わたしは、こんなになにも出来ないんだろう。
なんで、わたしは、なんのために、ここに居るんだろう。
 
この時間平面で、事の結末を知りながら、なんの手出しも、なんの助けも
出来ないなんて。
 
今は自分のためでなく、純粋にキョン君と涼宮さんのため、なにかできることが
本当にないのだろうか。
 
結局、昼休みの間、学校内をうろうろして時間だけが過ぎてしまう。
 
ほんと、なにしているんだろう、わたし
 
「おーい、みっくる」
鶴屋さん、ひょっとして、鶴屋さんも古泉君の味方
 
「どこいってたのさ、さっき、キョン君がきて、今日はハルちゃん用事で、
活動はなしだってさ」
 
「はぁ、はい」
キョン君、こっちに来てたんだ、はぁ
 
「みっくる、相談あるなら、のるっさ、さあ、おねえさんに話してごらん、
悪いようにはしないっさ」
 
ふぇー どうしよう

【余ったピース】
 
今晩は寝室に差し込む月明かりが少し強いようだ
机の上のパズル達を照らしている
 
今日、古泉君と一緒に選んだパズル
一つパーツが余ったパズル
 
今日は、楽しかった、時間は短かったけど、SOS団副団長じゃない古泉君は
ちょっと新鮮だった。パズルのお店も夕食の店も魅力的だった、あんな場所を
知っている人って、きっと本人も魅力的なんだろうと思う。
ただ、夕食の時、ちょっとキョンが気になってしまっていたのに、気づかれた
だろうか? 何も聞かれなかったけど
そんな部分も含めて、古泉君は紳士的だった、人気あるのも解るわ
 
選んでもらったパズル、もう答は教えてもらっているので、なにごともなく
組みあがる。手のうちのやさしい木肌の感覚がここちよい。
 
あー言い訳はよそう、
キョンはあたし達に気がついただろうか?
ちらっとだから、気がつかなったかもしれない
気がついていて、無視したのかもしれない
だとしらた、何故、後ろめたいことだから
 
そもそも、今日はSOS団は休みなんだから、いいじゃない
いや、休みなのに、あの2人が一緒だったのが、気になる、
なんか、こそこそ隠れているみたいじゃない。
 
でも、それって、あたしもそう?
 
じゃあ、あたしは何で声をかけなかった?
2人の場所が遠かったから
隣にいたのが、古泉君だったから
今日活動を休みにした理由を告げなかったから
 
そうよ、あそこで声をかけたら、明日の楽しみが半減するじゃない
 
パズルの魅力は、そこにあるピースがきっちり正しい場所の収まることで、
完成形を作り上げること、店でもパズルも魅力として話題になった。
 
パーツが余るパズルは完成形としては美しくないよね
正解はもう一つあるのかしら
 
余ったピースの本当の居場所はいったい何処にあるんだろう
 
月夜の晩なら、答えが見つかりそうな気もする

【足りない欠片】
 
すっかり暗くなって帰宅する。母親の小言でお出迎えかと身構えたが
 
「おかえり 遅かったじゃない」
「ただいま、ああ、図書館だ」
「少しはやる気になったってこと?」
「そうゆうことにしておいてくれ」
「晩御飯は?」
「食べてきた」
 
「あ、そう、明日、悪いんだけど、午後は家にいてくれない?」
「なんだ」
「さっきから調子悪いのよ、あの娘、ああ、医者はわたしが午前中つれてくから、でも午後、
外にでないといけなくて、わるいんだけど」
 
どうも静かだと思ったら、妹の奴、風邪引いたらしい。
 
「かまわないさ、なんなら、一日、ついててやろうか?」
「そこまではいらないわ、たいした風邪じゃないし、あんたに学校休ませるんじゃ、あの娘も
いらんきづかいさせるし、そもそも、もういい年なんだし じゃあ明日頼めるわね」
「わかった、なるべく早めに帰るわ」
「お風呂はいんなさいよ」
 
なんで、俺が休むと妹が気にするんだ
 
それより、ハルヒのやつ、古泉となにしてたんだろ、またなんか企んでるじゃないだろうな、
どうもハルヒの笑顔を見ると、自分の身になにか降りかかりそうな気がして身構えてしまう、
しかも隣が古泉じゃ、その心配もひとしおだ。
 
風呂上りに妹の部屋をのぞく、ぐっすり寝ている寝顔を眺めて、思い出した
そういえば、前にもこんなことがあったかな、アイツが風邪で寝込んで、俺が
学校休もうっていったら、むきになって、反対したことがあったっけ
 
なんで、俺はハルヒに声をかけなった
長門と2人だったから
ハルヒの隣が古泉だったから
ハルヒが楽しそうな顔していたから
 
そうだな、今の妹の状況と一緒か、さすがに兄妹
 
俺が声をかけたらハルヒの笑顔が消えそうな気がしたんだ
 
俺は最近になって、違和感を感じていることを たった今気がついた
日本語としておかしいって、そうゆうことってあるだろ
 
部室で古泉のもちこんだパズルに取り組んでいるハルヒの顔は、俺の知っているハルヒとは別のものだった、どっちがいいとか比較するようなものでもない
ハルヒが俺のそばにいることで、ハルヒのなにかに負荷がかかっているのなら
 
俺はいったいどうしたらいい
 
なあ、お月さんよ

【インターミッション】
 
ふぇーどうしよう
 
なんだかんだと、いいくるめらて、すっかり鶴屋さんに事情を説明してしまった。
 
「まっかせなっさい! みくるに悪いようにはしないっから、家は家、わたしはわたしっさ」
「鶴屋さん」
「さあ、思う存分、うろうろしなくちゃ、みっくるはそうでなっくっちゃいけない」
 
今、思い返すととんでもないこと言われた気がする。
ふぇーでも、実際問題としてどうしよう
 
放課後、やっぱりキョン君にひと言でもと思って、部室へいったけど、鍵が閉まったまま、長門さんも居なかった
どこにいっているのか、校内をひとしきり探したけど、結局見つからない、
時間だけはどんどんすぎてゆくし、最悪にそなえて申請したTPDDの使用許可も
おりる気配はない。かといって、キョン君も涼宮さんもいったい何処にいった
のか見当もつかない。
 
あーなんで、こんなに、ヘタレなんだろう、わたしって
 
お月さんにも笑われてる、そんな気がする。

【インターミッション】
 
部屋に戻ると喜緑がいた
 
「遅かったのね」
「深夜ではない、高校生として許容できる範囲」
「忠告したよね」
「了解している」
 
「悲しむのは、苦しむのは、有希なんだから」
「私は自分の能力を信じる、過ちは繰り返さない」
 
「自信があるのね」
「あのひとがくれた」
 
「そう、しかたないわね」
「ない」
 
それだけ、告げると彼女は帰っていった。
 
何が許されて、何が許されないのだろう
喜緑も、私も、あのひとも、解ってない
 
月なら答えを知っているのだろうか

【インターミッション】
 
タッタターンタッターン
「やっほー」
「えっと、古泉です」
「やあ、古泉君、今日はお楽しみだったみたいだね、いいなぁ、若いって」
「鶴屋さんでしたか、年は1つ違いだと認識していましたが」
「ちっちっ、女性に歳を聞くのは反則だよ、キミ それより あたちの質問の答えはなしかな?」
「怖いですね、その情報網、どうですか、その力を生かしてみませんか、機関で?」
「ということは、何かいいことあったんだね、本当に」
「かまをかけられましたか」
「そう、みくるがなんか、慌てふためいていたからね」
「鶴屋さんは僕に、なにか忠告でも?」
「うんにゃ、あたしはどっちの味方でもないっさ、ただ側でわくわくしながら見てるだけ、まあ、どっちころんでも家には大差ないっしょ、そうそう進路変更の件は感謝しているよ、本当に」
「できたら、静観ってことで手をうちませんか、今のところは」
「まあ、いいしょ、でも結果はすぐに連絡するっしょ、いいね」
「うけたまわりました」
「じゃあ、おやすみ よい夢を」
「おやすみなさい」
 
鶴屋さん、あなたが思うほど、いい話ばかりではなかったんですよ実は
パズル店では、あんなにはじゃいでいるほどだった、涼宮さんも夕食の時の
顔には少し憂いがあった、少し急ぎすぎましたかね
 
月夜の晩には奇跡が起きると少しは期待していたんですがね

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最終更新:2020年06月02日 19:19