この本は、現代において、あまりにおとしめられ、馬鹿にされている〈おじさん・おばさん〉を文化史的に見直したい、という試みである。
第一章ではまず、〈おじさん・おばさん〉とはなにかを考えてみた。ところが、だれでも知っているようで、実は、かなり複雑で、まだ、きちんと定義できていないことがわかった。
第二章では、大いなる〈おじさん・おばさん〉たちを選んで、それぞれのケースをややくわしくたどってみた。
第三章では、コレクションした一〇〇人の〈おじさん・おばさん〉のスナップショットを並べることにした。
私はこの本を書きながら、忘れていた私の伯母さんを思い出した。いや、そうではなかったかもしれない。私の伯母さんの思いでが、この本を書かせてくれたのだろう。
「斜めに橋を架ける」という日本経済新聞に書いた短いエッセイがこの本のきっかけになっている。それを読んで、一冊の本を書けといってくれた幻戯書房の田口博さんによって、そして、〈おじさん・おばさん〉論を読みたいといってくれた辺見じゅんさんによて、このとんでもない本が実現した。