……烏合の衆、の、始まりか
ああ、確かに奴は唯一、鳥の王さ

何せ、奴の犯した罪のおかげで
みんなが気づいちまったんだからな

鳥の生き方、って奴を、よ

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つるまない
かかげない
ただそこにいるだけ
生きているだけ

一番楽な生き方さ
誰も寄せつけないから傷つかない
何も目標としないから苦しまない
地に足着けない、風任せの生き方

だけど気づいてんのかね?

誰とも関わらないってのは、死んでるってことだよ
いない存在には関われない

何も目標としないってのは、目を閉じてるってことだよ
見てないんだから標なんざ作りようがない

鳥の生き方は、人としての死に方だ

滑稽なもんだろ
かつて叡智を結集させた国の王が、
叡智の果てにそいつを捨てたんだ

生き物ってのはさ、
理屈じゃないんだよ
存在なんだ
概念じゃない
肉だ

蝿王はそいつを忘れた
鳥ってのはな、蝿なんだよ
飛ぶから鳥なんじゃねえ

烏合の衆は、まだ、
まがりなりにもまとまっちゃいる集団だ
集団でいようとする集団だ

誰かが無意識に出したり残した
おこぼれの腐肉や排泄物にたかるのが、蝿だ

生きてるっちゃあ生きてる
生かされてるとまでは言わない

生かされてるってのは、
死にたくても死ねない奴に対して使われる形容だ

あいつら鳥は、そこがわかってないんだよ

蝿には蝿の矜持もあるんだろうけどね、
自分から望んで惨めったらしく生きてる自覚が必要さ

蝿の王かい?
ああ、あいつにはあるよ、自覚がさ
だからのうのうと生き長らえてるんだろ?
でなきゃ本当のひとでなしだ

そんなあいつでも、
霊鳥と頼ってくる奴がいるんだから驚きだよな

あいつはいつも質問に答えながら自嘲してるよ

理屈だけを必要性にされて
他人と関係を結ばされる自分の滑稽さをね

あいつは過去という名の
尾の長い蛇に丸飲みされている鳥なんだよ

刺激されて過去に積み上げた叡智が
そのまま自分に雪崩落ちるのが嫌だから、
隠遁しているし、質問をするといい顔をしない

理屈で言えばあいつは死ぬべきで、
死にたくないからあいつは人から逃げて、
ううん、自分から逃げているんだ

その意味では確かに奴は鳥なのさ

飛びたい、だから翼を望む
自分の重たさから逃げようとする

そんな連中が、鳥なんだよ

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最終更新:2010年06月22日 11:30