最も尊いのは生きること。命は重い、なんて言わない。嘘はつきたくない。命が軽いから、ありふれているから、稀少性がなく、簡単に取り替えが利くから、素晴らしい。誰でもいいということは、誰かの代わりではなかったことの裏返し。尊さが貴重だなんて誰が決めた。そんなちっぽけ、捨てっちまえ。世界を尊ばない奴なんて屑だ。自分を尊ばない奴なんて屑だ。その屑を、僕は愛そう。救いたいからじゃない。遠慮なく愛せるから。自信を持って堂々といちゃいちゃ出来るから。
卑しい気持ち。卑しいことは尊くないなんてこと、ない。命を卑しいと思える心はあっても、自分のことを卑しいと思える心はあっても、君は尊い。卑しい君が、僕は好きだよ。僕は命が好きだから。僕は君が好きだから。僕は、誰でもよい中で、それでも出会ってしまった君のことが、好き。誰でもよかったはずなのに、それでも君、だけが好き。こんなありふれた尊さを、卑しさを、君だけに向けることが出来て幸せ。これは誰にも渡さない。これは名前をつければ物語が始まる卑しい気持ち。僕がありふれた軽薄な命の一つとして誰にも代えられないところを生きた証。
君を、愛しています。この卑しいほどの尊さを、僕は誰にも譲らない。

(城 華一郎)

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最終更新:2010年06月22日 11:28