(八)

砂丘の頂上より白衣の男が降りてきた。肩までの長髪で、目に機械でできた眼帯のような物をしている。

「何だ貴様らは?ははーん、さては最近我々の邪魔ばかりしてくるレンレンダーだかなんとか言う連中だな」
「レ、レンレンジャー、だ!誰だ、お前?」

レッドの近くまでやって来くる。いきなり踏みつけた。

「言葉には気をつけろよ小僧。私こそは【クラウデス】の(自称)世界最高の科学者!Dr.フライヤー様だ!」
「よくも、まあ恥ずかしげも無く、言えた、ものだ。マッドサイエンティストめ」

くぃっとブラックに向きを変えるDr.フライヤー。

「色っぽいが随分と口が悪いお嬢さんだ。後で洗脳して助手にしてやろう。さて」

オルロに近づいていく。かくゆうオルロは突然現れたこの男がなんなのか判らず事のなりを見守っていた。

「迎えに来たぞ、No.23」
「ムカエ?キミハナニ?」
「(喋った?誰かこやつに言葉を教えよったな)私はお前を造った者だ。いわば産みの親だな」
「オヤ?」

─ツクッタ?─

「そうだとも。お父さんだ」

歯をくいしばって立ち上がろうとするブラック。やはり筋肉が痙攣して上手く立つことが出来ない。

「やはり、貴様等の作った、怪人か」
「そうだとも!私の最高傑作だ!最強の破壊兵器だ!街を壊し!家を壊し!幸せを壊す!この国は恐怖で包まれるであろう!ククククク、こいつが作り出す恐怖はいったいどんな味であろうな!?ふはははは!」

─コワス?─
─ハカイヘイキ?─

「この功績で私は【クラウデス】の幹部にまで登り詰める事ができる!おぉ!今日はなんといい日であろう!【クラウデス】が世界制服した暁には今日を『フライデー』として祝日にするよう進言してみよう!」
「あほくさ」

またもやレッドを踏みつけるDr.フライヤー。 念入りに二度三度。

「言葉には気をつけろ、と言っただろ小僧」


「オルローーー!」

突然オルロを呼ぶ声がした。カナが向こうから走ってきた。砂漠を走ってきたためによろよろだ。

「な!?来るなと、言ったのに」

─カナ─
─・・・ボクハ、ヒトヲコワスタメニ、ツクラレタ─

「何だこの小さいのは?」
「はぁはぁはぁ、オルロの友達よ!」

空気が一瞬止まる。
オルロ?友達?

「ひゃーはっはっはっはっ!これは傑作だ!この血も涙もない破壊兵器に友達だと!?そんな馬鹿な事があるか!!」
「オルロは兵器なんかじゃない!大切な友達なんだから!」

─カナ─

カナはDr.フライヤーに飛び付いて腕に噛みついた。

「うぎゃぁぁ!痛い!止めんかこのガキが!」

ぶんぶんと振り回しカナを投げ飛ばした。投げ飛ばした先には岩が待っていた。
ガシィ!!

「ふー!セーフ」

間一髪。岩に激突する前にピンクが止めた。遅れてブルーとグリーンも来た。

「ブラック!レッド!大丈夫ー!?」
「遅れてすみません。詳細は博士に聞いてる。間に合って良かった」

レンレンジャーが五人そろった。
雑魚が増えおって。

「ふん、何人集まろうと一緒だ!No.23!こやつら纏めて始末してしまえ!」

ゆっくりと動き出すオルロ。博士の後ろに立って羽交い締めにした。

「な、何!?」
「「!?」」

カナに振り向くオルロ。恐ろしい顔つきだが、彼の心が悲しみと苦しみに被われているのがその場にいた全員にわかった。彼の四つある目から大量の涙が流れていたからである。

「カナ、ゴメン。ボクハヒトヲコワスタメニツクラレタハカイヘイキナンダッテ」

レッドとブラックにも目をやる。

「コノヒトタチハ『ボク』カラカナヲマモロウトシタンダ」

オルロに抑えられジタバタと足掻くDr.フライヤー。

「何をやっている No.23!早く離さんか!はっ!?ま、まさか!?」

オルロの胸がどんどん熱くなる。だが角からの放電は無い。

「なんなの?」
『あの怪人の体温と内圧がすごい勢いであがってる。このままじゃ・・』「自爆!?」

自爆と言う言葉に反応するカナ。ピンクから離れてオルロに駆け寄ろうとするがピンクに止められた。

「いけない!危険よ!」
「離してよー!オルロー!ダメー!そんなのヤダー!」

オルロの体は白い光を放ち始めていた。

「や、やめろNo.23!わ、私は親だぞ!そんな事していいのか!?」
「ボクノオヤハカナダ。ソシテ、カナハタイセツナオトモダチ・・・」
「やめろー!!」
「オルロー!」


激しい光に『二人』は包まれた。そして、


ドゴォォォーーーン!!!!



(空馬)

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最終更新:2010年04月25日 16:57