人がシリアスぶっこいてる間にも、わんぱくにはしゃぐにゃんこたちはどこにでもいたものである。

今日はそんなにゃんこたちのお話。

 * * *

 「にゃー」
 「にゃー」
 「にゃー」

つるはし、リュックサック、素潜り用海女さんスーツ。三匹の猫たちが、互いの格好を見て鳴いた。

 「いや、その格好はおかしいにゃ」
 「いやいやおかしいのはそっちにゃ」
 「そもそもどこ行くつもりにゃ!」

この三匹、名をそれぞれ、にゃふにゃふ、ヒスイ、夜星と言った。

事の発端は、うちのお国が貧乏でぴんちにゃ! という、まあこれはその最近どこの国でもよくある井戸端会議から発している。

このレンジャー連邦、自慢ではないがお金がない。のみならず、食糧も燃料も資源も娯楽もなーんもない。救済法で渡された借金の塊はあるが、まあ、当然借金なので、どこかで返さないといけない。無利子バンザイ。それはそれとして、貧乏である。

貧乏だと首が回らない。いと物悲し。

その上市場は開発途上の典型か、物価が高騰に次ぐ高騰の予感を漂わせており、手っ取り早く言えば貧乏国にはつらい現状が待っている。

そんなわけで、このありさまである。

 「冒険で稼ぐと言えば、やっぱり石油にゃ! 燃料にゃ!」
 「おもしろおかしい冒険で娯楽を稼いで、それを使って地道に稼ぐことこそ勝利の鍵にゃ!」
 「ごはんがないといざという時に出かけられないにゃ!」

喧喧諤諤とは言ったもので、まあ、この場合はにゃんにゃんがくがくとでも言えば適切だろうか、お国のために自分たちでなんか稼いでこようという涙ぐましい猫士たちの健気な発案は、まあ、猫だからして、あんまりむずかしいことをきちんと決めてなかったので、このようにしっちゃかめっちゃかな様相を呈する羽目になった、というのが、ここまでの簡単なあらすじになる。

 「「「にゃー…!」」」

三匹の猫が今、互いに火花を散らしあった。

 * * *

にゃふにゃふは、つるはしを抱えて石油掘りにいそしむことにした。猫の一念岩をも通す、である。ちょっと疲れるけど、地道にやっていればきっと報われるはずだにゃーん。

ヒスイは、海に漁に出ることにした。海はよい。何がよいって水平線がよい。いつも見てるのだから間違いない。ついでに、いつも見てるのだから、魚だって絶対獲れるに違いない。

夜星は、とりあえず旅人の肩に乗っかって出かけていった。リュックサックの中にはかつぶしとかりかりが入ってる、なあにこれさえあればどこへいっても大丈夫さ。

結局三匹は当初予定したとおり協力しあうのではなく、方々に散って冒険をすることにした。冒険というか、遠足というか、なんというか。とにかく旅立ったのであった。

まずはじめににゃふにゃふに事件が起きた。

燃料掘りの舞台に指定されていた各現場が近かったからである。

 「こらー!
  大学の床に穴あけちゃだめだろ!」
 「にゃー!?」

怒られた。

次に塔へとにゃふにゃふは向かった。

 「あー?
  違う違う、微妙に違う。ここ塔じゃないよ」

…灯台だった。

もうそこまで来たら、海はすぐそこだった。ヒスイが先に来ているはずだにゃ、と、にゃふにゃふは様子を見に行くことにした。

 「にゃー!」
 「こらー、猫は泳げないでしょー!」

救助されていた。

ぴちぴち、ぴちぴちぴち。

「…1人1殺、だにゃ」

口になぜか季節外れのさんまをくわえながら親切な人に助けられていたヒスイは、そういってぱたりとおなかを見せて倒れた。

なんでもいいがゴージャスタイムズでもないので、猫の単位は匹だ。

しょうがないのでにゃふにゃふは、ヒスイが復活するのを待ってから砂漠へと向かうことにした。猫は元々こういう地域の生き物である。海女さんスーツを脱いだヒスイもつるはし持って、一路二匹は砂漠に向かった。

びょおおおおおおおおー。

砂嵐だった。

 「…何にも見えないにゃ」
 「というかよくよく考えたらさすがに砂漠のど真ん中は守備範囲外にゃ」

かくて、二匹は街へと戻り、いまだ便りのない夜星の帰りを、他の猫士たちと共ににゃんにゃか待つことにしたのであった。

 * * *

その頃夜星は、旅人の肩に揺られて、海を越え、森を越え、なぜだかLOVE諸島のL島の山岳のてっぺんまで運ばれてきていた。

 「うおー! 俺はとうとうやったぞー!」
 「やったにゃー!」

なぜだか旅人と抱き合って冒険の旅の達成を喜び合っていた。どうやらこの旅人、冒険家だったらしい。当然ながら本猫自体が冒険していないので、娯楽は稼ぐより減ったんじゃなかろうかと、筆者は思ったりしたが、そこはまあ突っこまないでおくとしよう。(あくまで劇中のことだし)

 * * *

そんなわけで三匹とも、収穫ゼロ。

 「「「にゃー…」」」」

耳と尻尾をうなだれさせて、残念会でミルクを舐めあった。ちなみに今回の冒険でお小遣いも減ってしまったので、三匹で一皿のミルクを舐めあっている。悲惨であった。

 「やれやれにゃ」

猫士、マキアートが三匹の様子を見てクールに顔の毛づくろいをした。

教訓、猫だけで冒険に出るのはよしましょう。

 * * *

ちなみにこの三匹、冒険に出ていたせいで、戦勝パレードと初心者歓迎キャンペーンのことは、ついに知らずじまいであった。にゃふんっ。

 * * *

―The undersigned:Joker as a Liar:城 華一郎

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最終更新:2007年01月29日 10:18