作品名・ら

乱飛乱外   5巻(続)   田中ほさな   講談社

殿はそこで私を見てて!!



<あらすじ>

 時は戦国時代。額に角のある不遇な少年・雷蔵のもとに現れた謎の女忍者たち。自分が滅亡した刀家のご落胤と告げられ、雷蔵はお家復興のためにくノ一達との旅を始める。
 2008年11月現在も連載中。

<紹介>

 忍者が出てくるが忍術合戦物や伝奇物というより、戦国時代を舞台にした和風英雄伝時代劇と言った方が良いだろう。
 主人公の雷蔵はずっと迫害されていたので、時折何気ない言葉でトラウマ・スイッチが入る。しかしそれでもくノ一達の期待に応えようとがんばっている苦労人な主君だ。今後いかにトラウマを克服してする成長か楽しみだ。
 一方、彼を支えるくノ一達はというと、キスを交わした相手に見つめられている間、鋼の身体になり怪力を使えるようになる忍術・神体合の使い手のかがり、鉄砲を必中させる羅仙眼を持つ如火(きさらび)、捕縛術と房中術と女装が得意な姫丸(注:男)といった面々で、仲良く喧嘩しながらも共にお家再興を目指している。
 他にはお金が大好きで現在は敵方に寝返った暗殺術の専門家のみずちがいるが、敵のくノ一は捨て駒にされる事が多いので一行に合流するかはまだわからない。

 物語は1巻はキャラクター紹介編で、2巻から敵方が本格的に動き始めたところ。歴史上の有名人も出てきてこれからどうなるか、展開が楽しみだ。
 絵柄は丁寧で微妙な表情が上手い。擬音の描き方も時代劇っぽく工夫しているので、あとは「ちゅどーん」とか「メメタァ」に匹敵する独自の表現に期待したい。
 本編とは別に、くノ一達と雷蔵の旅の日常を描いた巻中付録4コマ漫画の「乱飛欄外」も微笑ましくていい。

 装丁が凝っていているために、平積みだとルビなしでタイトルが読めなかったのはここだけの秘密だ。


ラディカル・ホスピタル   15巻(続)   ひらのあゆ   芳文社



<あらすじ>

 だらしなくて不摂生だが腕はいい(?)Dr.榊と、個性的な同僚や患者達との病院を舞台にした4コマ漫画。
 2008年11月現在も連載中。

<紹介>

 病院物の漫画だと人の命がどうのとか重くなりがちだが、医者も看護士も人間。仕事として患者の治療をする側の忙しくもどこかほのぼのとした日常を描いた作品。4コマ漫画としては長期連載な方に入るので、人気があることはこのレビューに書くまでもない。
 登場人物は別に世界的な天才医師やクールなナースでもなく、家に帰れば子煩悩なパパだったり、入院患者に見合い話を持ち掛けられたり、腰痛に悩んでコルセットつけて仕事したりとどこにでも居そうな身近なキャラとして描かれている。
 医療関係者独特のネタがあり、笑う中にもふと考えさせらることもあった。外科がメインなのだが直接的な手術の描写はないので血が苦手な人も安心して読める。
 これを元に実写ドラマ化できるんじゃないかと思うんだがどこかでやってくれないだろうか。

 疲れたり限界を感じたりした医療関係者や、手術前に落ち込んでいる患者の人はこれを読んで元気になって欲しい。病院の待合室に置いて欲しい漫画である。


最終更新:2008年11月05日 17:02
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