影の予言




揺るぎなき暗黒の大地には闇の力が休むことなく降り注ぎ、静かに積もりゆく。

今より一千年の後、かの地に“影”起こる。
暗黒の帝国が動き出し、世界は滅びへ向かうだろう。
見よ、大地はことごとく影の力に覆われ、人々は嘆きのうちに死ぬ。
影の力は滅びの力。白の衣をまとい、燃えるような死を持って氷の城の玉座につく。
そのものを神とあがめる最強の生き物たちが目覚め、地上に昇り来る。
彼らこそは地の底に眠り、闇を喰らい、夜を駆けめぐる、
あらゆる暗闇の中でも最も暗い“闇のもの”。
かくてウイリアの大地、風の王国は暗闇の中に閉ざされる。

されど、龍の力は失われない。
東の島にて龍を望む者が大いなる救いとなるだろう。
二つの剣を持つ者が大いなる力となるだろう。
龍の戦士が大いなる希望となるだろう。
時の流れを見る者が大いなる導きとなるだろう。
そして、輝く闇が大いなる命となるだろう。
やがて来る暗黒の日々に対し、最後の戦士たちよ、
己の全ての力を高めよ。
来るべき大暗黒の時のために。




1.
 この予言は第二紀4709年に、シーザの大神官デクネウンによって為された。デクネウンは歴代の大神官の中でも最も強大な力を持ち、優れた神秘の力を過たず使えた者である。彼は第一紀の大いなる謎・魔王アウバスについて誰よりも詳しい研究を残したことでも有名だが、そのデクネウンがあるとき西方の彼方に旅して、かの銀龍インガッドに自分がこれまで調べあげたアウバスについての研究の成果を残らず話したことがあった。そのとき最後にインガッドに告げたのがこの予言である。その一ヶ月後にデクネウンは死に、銀龍インガッドははるばるララン群島まで飛翔して時の大賢人ラカウォーンにデクネウンの生前の言葉を告げ、かくして大神官の予言は後の世に知られることとなった。








最終更新:2009年10月25日 01:13