魔法使い





〈一般の区分〉


占い師
 文字通り、占いをなりわいとする者。その仕事は、例を挙げると、運勢の占い、性格の判断、招来の予見、人生への助言‥‥‥など。魔術師並の能力を持ってはいるが、それを活用することはできない。ただ、潜在する魔力ゆえに魔法的な感覚にすぐれ、そのため通常の人間にはわからぬ多くのものが“見える”。しかし予見力については、シーザの大神官がやっとできるようなことを、はたして市井の占い師が本当にできるのかは、はなはだ疑問である。


まじない師
 占い師と異なり、実際に魔法を使うことのできる者。魔法使いのなかでは最も下位。体系的な魔法ではなく、経験的な魔法の寄せ集めしか使えない。
 魔法の流布している地域ならば、たいていどんな小さな村にも一人はいる。彼らは村の守護者であり、助言者であり、何でも屋である。村人に慕われていることも畏怖されていることもあるが、どちらにせよ村になくてはならぬ存在。彼らの基盤は村人からの微妙な信頼関係にあり、よそ者が流れてきて新たにまじない師になろうと思っても、古参のまじない師にとって代わるのはまず不可能である。
 まじない師の仕事は多岐にわたるが、魔法としては程度の低いものばかりで、物の修繕、簡単な病気の治療、ちょっとした魔力付与、名付け、などさまざまである。女性のまじない師の場合は産婆も行う。医者はいなくてもまじない師のいない村というのはほとんどない。
 彼らの持つ魔術の知識はかなりいい加減で、魔法の使い方も、理論のない矛盾に満ちたものばかりである。まじない師たちは魔法を“理解して”使っているのではなく、ただ、ある様式とある呪文に従えばこういうことができる、というのを経験的に知っているだけなのだ。まじない師は年老いると弟子を一人持ち、自分の持つ技のすべて、自分の知る知識すべてを教え込む。こうしてまじない師とその技は継承されていく。


風使い
 風、天候を操ることを専門とした魔術師。海上交通の発展とともに生まれた職。というより、彼らの登場が外洋航海の発展につながったともいえる。風使いは凪のときでも風を呼び起こし、思う方向へ吹かせることができるからである。力ある風使いは、嵐を静めることも、雲ひとつない空に豪雨をもたらすこともできるという。
 その能力は航海だけでなく、内陸の地においても重宝されるものかもしれないが、帆船での航海が主流になった今では、風使いのほとんどは船での仕事に従事し、航海になくてはならない存在になっている。西方世界では、中型船以上の船に必ずひとりは乗船しているほどである。船長が風使いである場合も多い。海洋戦においても風使いの存在は非常に重要である。彼らの術の正否が勝敗を決定するといっても過言ではない。


海の司
 上級の風使い。風使いの能力は文字通り風にしか及ばないが、海の司の力は水と風とに及ぶ。彼らの力は海流をも変える。風ひとつない海原を一面の荒海に変えることすらできる。海の司の乗る船は決して遭難することはなく、非常な速さで大海を渡るであろう。船乗りたちは、海の司は海水を一滴一滴に至るまで知り尽くしている、といって尊敬し、信頼する。
 しかし、海の司になるにはかなりの修練を積まねばならない。まじない師程度の術者は、風使いにはなれても、海の司となることは到底できない。常に海の上を生き、絶えず潮風に吹かれるような中での経験を何十年も重ねた者のみが海の司となり、真の尊敬を得るのである。


魔法使い
 一般の魔法使い。自己流・独学、または魔法使いに弟子入りして魔法を修めた。つまり、体系的な教育を受けていない魔術師たち。
 世間には、魔法使いというのはそれほど多くいない。占い師やまじない師の数は多いが、彼らの力は本当の魔術師にはるかに及ばない低度なものである。また、魔法使いとよばれる者もその大多数は、第一紀の魔法使いたちに比べればたいした術者ではない。魔法文明の栄えた第一紀に対し、第二紀というのは力ある魔術師というのがほとんどいない時代なのである。




〈ラランにおける称号〉


見習い
 ラランに入ったばかりの者。


魔法使い
 ラランのすべての賢者の授業を修めたとき得られる称号。こののちどれかひとりの賢者を師に選んで、専門の修行に入る道も選べるが、この段階でラランを去り、世間に出ていくものも多い。一般にラランで学んだ魔法使いはその力を広く認められていて、“杖を携える者”はたいていよい対応をされる。魔法使いもその名誉をあえて汚すことはない。
 街や村など、どこかひとつの場所に腰を据えて己が才能を人々に役立てる者もあれば、世界を旅してまわりながら人々に良き魔法を施していく者もいる。後者のなかには特に、果敢に冒険に飛び込むことを好み、大きな栄誉を為すものが多い。


真の魔法使い
 ラランにおいて専門の修練を修め、卒業した者がよばれる尊称。ラランの厳しい修行をすべて終える者というのは数少なく、ほとんどは魔法使いの称号を得た段階でラランを去る。特に“真の魔法使い”になるための修行というのは、それまでと比較にならないほど過酷なものだ。それは「授業」や「訓練」というものと、「修行」というものとの差といえる。
 しかしそれゆえに“真の魔法使い”の実力ははかりしれず、技量、精神ともに人々より真の尊敬を受けている。彼らはその尊称の他に、卒業した段階で特別な称号がそれぞれに与えられ、それがラランの修行を終えた者の真のしるしとなる。


鍵の司(“帰還者”)
 生きながら黄泉に降り、再びこの世に無事に帰ることを果たした者。

扉の司(“旅人”)
 “門”を使いこなすことのできる者。




〈知られざる魔法使い〉


フュダーイン(“認められし者”)
 すべての道に通じる魔法使い。
 “杖”を持ち、色の称号を与えられた者。

龍人
 至上の存在。







最終更新:2007年05月26日 22:29