アリアス  【アーエン語】 Elf





 幻想と魔力のなかを揺り動く種族。妖精のなかではもっとも一般的で、文化や社会というものをそれなりに形成している。
 その姿は通常、人間と変わらないが、どことなく超自然的な気配を漂わせる。彼らは例外なく美しいが、その美しさは絶対的なものではなく、それを見る者の感情、感性に関係して変容すると言われる。アリアスたちは魔法的な存在で、定まった姿を持たない。肉体を持っていないわけではないのだが、それは人間などの「生物」のものとは異なる。幻と現実の中間に揺らめく不安定なもの。それゆえ彼らは外見的な個性というのをほとんど感じさせない。
 いってみれば彼らは、その不安定な肉体の上に、「美しさ」という幻をまとっているようなものである。昼の明るさのもとではかなり人間に似た面影を見せるが、夕暮れなど、まわりの光景そのものが曖昧さに包まれるようなときには、その姿は妖しく揺らめき、その「衣」はいっそう美しさを増す。
 特に夜、森の中などで見るアリアスの姿は、ほのかな輝き、きらめきに包まれた白い光の影。目にした者はそこに、この世と異なる幻想の世界「精霊界」の気配を感じるだろう。

 アリアスたちはこの現世に完全に属した存在ではないので、この世の多くの事象からの干渉をあまり受けない。彼らはある意味で、不死の存在である。寿命・老化・病気といった事柄は、アリアスにとってほとんど縁がないものである。しかし、その本質ゆえに、彼らは精神的な作用の干渉に左右される。“意志ある存在”の感情や、魔力の変動、闇の気配といったものに非常に敏感で、場合によっては深刻な損傷を受け、死に至ることさえもある。



アリアスの生活・社会

 アリアスは魔法的な存在なので、自然と密接に関わりあいながらでないと生きていくことができない。大規模な都市の形成や、農耕生活などをアリアスが行うことはない。彼らは、四季の変化が顕著で、さまざまな生き物が住み、水の豊かな土地を好む。そうした土地では魔力の均衡がとれ、アリアスのような不安定な魔法的存在には住みやすいのである。逆に、地下や砂漠といった極端な環境では、その極端さから悪影響を受けてしまう。
 一般にアリアスは、氏族単位でひとつの社会をつくる。それぞれの氏族は、自分たちの身に持つ魔力によって、最適な環境が微妙に違う。その違いが各氏族と、その領域とを特徴付けているが、人間の住む地から遠く離れた自然の中であるのは共通している。アリアスのなかでも、“四大氏族”といわれる氏族は、特に大きな王国を形成し繁栄している。

 アリアスはその大多数が女性である。アリアスの女性は幻想的な美貌を持ち、神秘と魔法の中の日々を過ごす。一方、男性はより現実的な生活を送り、自分たちの領域を守る役に従じる。美しい存在であることには変わりないが、その美しさは女性のような神秘性のものというより、どことなく漂う哀しさからくる美である。


アリアスの氏族

 “泉のアリアス”(シルフェザリエル)spring elf
    “エレアの泉”(エレアナ・リィシア)の守護者。水のことばを解する妖精。人間に対し友好的で、しばしばその助けとなる。
 “空のアリアス”(アリアリューレル)sky elf
    “夕闇の谷”(レルドゥイン)の王国に住む。四大氏族のなかではかなり排他的な方で、ほとんど人間と関わらない。
    レルドゥインは、“隠された王国”とも言われる。
 “銀のアリアス”(ファラドゥリアル)argent elf
    “銀の森”(ラルド・ルシィル)に住む大きな氏族。没落しつつあるとはいえ、未だかなりの力を有する。
    深遠な魔力を持つ、妖精女王に治められている。
 山のアリアス(セファリヴァール)height elf
    南大陸の高山・山岳地方に点在して住むアリアス。
    王国こそつくらないが、文化は低くない。
 “大樹のアリアス”(ライエラールル)sylvan elf
    “月の森”(アリア・アラゾン)に王国を築いていたアリアス。ファラドゥリアルに次ぐ大きな氏族だったが、滅亡した。
 砂のアリアス(カラゴヌクス)sand elf
    砂漠に住む、堕落・原始化したアリアス。もはや文化はなく、魔力もなくなりつつある。
 黒のアリアス(プラレイングス)black elf
    辺境に住む。はぐれアリアスから成り、ひっそりと小さな村をつくり、貧しく暮らす。放浪する者もいる。
    その境遇ゆえか、屈折した性格をした者が多い。
 闇のアリアス(フェアレヌス)dark elf
    邪悪なアリアス。地下・洞窟・地底湖などに王国を持つ。






















最終更新:2009年10月25日 12:47