#「E127 FVB侵攻」親ツリー
f:パーティロールプレイ={
戦闘に向けての準備を進めている神聖巫連盟軍であるが、今回の出撃準備はいつもと違うようだ。
今までの戦場ではI=DがなかったりARがたりなかったり評価値が低かったりといまいち活躍の場がなかったが、今回は編成時に数を揃えていたのがあたり出番がありそうだった。
だから、戦いが起こることを喜ぶのは不謹慎ではあるものの、己を鍛えてきていた者たちにとっては待ちに待った戦場なのだった。
巫に割り当てられたテントの前では、戦闘準備ということで敵からの攻撃に対処するための訓練が行われている。最終確認ということで汗こそかかないものの、みな真剣な表情である。
みぽりん「しゅたっ!しゅたたっ!(理力使いの杖をふりまわして防御の姿勢の練習をしている)」
藻女「敵が弱いと思っても油断せずに」
そんな中、一人テントの前で声をあげる。今回戦闘指揮を担当することになった雹である。
雹「今回は部隊を細かい班に分割します。訓練を終了して、支度ができたら指示に従って班ごとに集合してください」
その指示によって整列していく33人。その多くは理力使いであり、杖を携えた姿は多少ファンタジーではあるものの迫力は十分に備えていた。そして演説が始まる。
雹「今回の敵はアンデッドだそうです。それもたくさん。向こうがどう来るかなんて、わかりません。」
一息すって、表情を引き締め雹は続けた。
雹「だが、それがどれほどの障害となるだろうか!こここそが我々の活躍の場、ファンタジーの住人の力を見せてやる!」
全員「おぅ!」
力強い答えは皆が同じ想いを抱えていたからか。
事前情報によって判明した必要火力は確保できたので、その分防御の訓練に時間を割くことができた。後は気持ちの問題だ。
もちろんまだ見ぬ敵に不安がないわけではない。だが、ここで根性を見せないで他にどこで見せることができるだろうか。
巫の戦いの幕が上がる。
}
□□■□□■□□
f:4班の行動={
r:撤退して次の戦闘のアイドレスを選んで開く,なし,なし,2,0
#AR10→8
f:1班のRP={
「撤退…。ですか」
犬士の一人がつぶやく。
一同にざわりとした動揺が走る。
めずらしく出番があると聞かされた神聖巫連盟4班は異様に盛り上がった。
もとより戦闘に強いとはいえない国である。
あきらめにも似た思いが強かっただけに単純に、嬉しかった。
「やってやります!!この手に勝利をっ!」
「おー!!」
「きゃーーー!」
理力使いの杖を持ち、戦闘訓練の合間に戦隊ヒーローのごとくキメポーズをしたり、後に続く者が出たり。
(みぽりんさんの悪影響か…)
信乃はそんな犬士たち(そしてまざるみぽりん)を見つめ、ある種の不安を感じながらも、そのむちゃくちゃな盛り上がりが戦闘に生かされることを、ただ、祈った。
盛り上がれば盛り上がる程、勝利に向かう勢いは増す。
しかし…。
勝利から少し離れると負の方向に気持ちが向かいやすくなることも、信乃は知っていた。
撤退の可能性も考えて信乃は4班の行動方針を立て、訓練にもなにげに取り入れてきた。
なにもなければそれでいい。なにもないほうがいい。そう思って。
そして…。
「やっぱり私達には無理だったんだ…」
恐れていた発言が飛び出してしまった。
後ろ向きなきもちはなにもかもを駄目にしてしまう。
(何かないか。何か…)
気持ちを奮い立たせる言葉を選ぶ信乃。
そのときだった。
「みんな負けたらだめです!!ヒーローは一度やられて、そこからはいあがるです!!」
(……………………)
あまりにむちゃくちゃな発言。
信乃は一瞬言葉を失う。
しかし。
「そうですよね。みぽりんさま!」
「くじけて立ち上がる。ヒーローの真骨頂です!!」
口々に言い出す犬士たち。
それでいいのか?!
信乃はふっとため息をつき、皆に訓練で伝えた撤退の方針を確認した。
(702文字。括弧名前等込み)
}
次のアイドレス選択=防衛戦(EV127-12)
□□■□□■□□
犬士の一人が杖を構える。
詠唱とともに魔方陣が現れ、犬士の体を光が包む。
うまくなったなあ。
信乃はアンデットをよけながら感慨深げに彼女をみる。
あんなに不安定だった杖のにぎり方も、今では堂々としたものである。
光が一つになったまさにそのとき。犬士が叫ぶ。
「かんなぎすぺしゃるあたーっく!!」
え…?
光は消え、杖による物理的攻撃がアンデットに襲い掛かる。
一瞬、アンデットがジト目で自分を見た気がした。
「今のはなんですかっ!!」
「はいっ!『かんなぎすぺしゃるあたっく』です!」
「わ、ワザの名前じゃなくて、その、杖で殴るなら呪文詠唱はいらないのでは?」
「いえ、そのほうがカッコイイと言われまして」
(みぽりんさんっ!!!!)
思わず信乃はみぽりんを見る。
「あの、もしかして、『すぺしゃる』はもっと後にとっておいたほうがよかったでしょうか。みぽりんさんから、まだ『うるとら』とか『無敵合体』とかあるから、と指導を受けまして…」
犬士が申し訳なさそうに信乃に言う。
そういえば一度だけ。ほんの一刻程度みぽりんに戦闘訓練を任せたことがある。
やけに生き生きとしたみぽりんと犬士たちに何かあるとは思ったが…。
頭痛をおさえながら周囲を見渡すと「かんなぎ はりけーん」だとか「稲妻きっく」だとか、訳のわからない必殺技を連呼しながら理力使いの杖を器用に使って戦闘をしている。
遠くではみぽりんが『みらくる えくせれんと ぱーんち』をくりだしていた。
防御中心なのになぜか攻撃ワザが多いのは気のせいだろうか。
同類に思われたくない…。
信乃は思わず捨てて帰りたくなったが、わずかに残った理性で踏みとどまる。
そのとき撤退の通信が入った。
どう説明しようか。
ふとみぽりんを見て、信乃は言葉を失う。
一瞬見せた、あれは、悲しみ…?
そういえば、訓練で誰よりも長く杖を振るっていたのはみぽりんだった。
(もしかして今までわざと?)
「撤退ですか?信乃さん」「はい」
事実のみ伝える。
みぽりんがみんなに呼びかけた。
「犬士のみなさん、今は引くときです!!そう!あえて言うなら『ぱわーあっぷ前』です!みんなで無事に帰って、ぱわーあっぷするです!!」
信乃はみぽりんを見る。
悲しみなどみじんもない顔のみぽりんを。
「だいじょうぶ!撤退方法は信乃さんが完璧にしてくれてます!!」
え?
(ちょっと待てー!!そこで他力本願かっ?!!)
思わずこけそうになりながらも信乃は撤退の手順を伝えるのだった。
(1000文字)
}
□□■□□■□□
信乃の指揮のもと、アンデットの攻撃をかいくぐりながら補給線を目指す神聖巫連盟4班。
ときおり悲鳴が聞こえる。
「きゃああ~~~~!!あたるですーーー♪おっとと!!」
「みぽりんさん、なんか楽しそうですね……」
「ほえ?みぽ、必死に逃げてるですよ?」
褌にかこまれたときのほうが必死にみえます…。
これ以上つっこんだら負けだと思い、言葉を飲み込む信乃。
戦闘以外のところでばかり神経使ってるような気がする。
「もうじき補給の場所に着きます。そろそろ一旦点呼とりましょうか」
「点呼ですかー。あ、みぽできるですー!!」
元気に右手をあげて主張するみぽりん。
「じゃあお願いしますね」
みぽりんは大きく息をすう。
「犬士のみなさぁぁーん!無事逃げてますかあ?!」
みぽりん独特の楽しげな声で4班全体に呼びかけると数人の犬士がこけた。
「みぽりんさま!それじゃ点呼になりません!」
犬士よりガツンと「くれーむ」が入る。
「おお、申し訳ないであります!」
敬礼をして見せたみぽりんは、こほんと咳払いをして、再び呼びかける。
「『かんなぎれんじゃー』異常ないでありますか?!」
「ありません!」
「『珠さまらぶらぶ・すかいはりけーん』そろっているでありますか?」
「全員無事ですわ!」
「『みこみこ・しすたーず』異常ないですか?」
「「「ありませ~ん☆☆」」」
………………………。
4班のなかでさらに班分けが出来ているのはわかった。
名前があったほうが便利かもしれない。
しかしっ!!!
言葉を飲み込みすぎてぷるぷるする信乃の肩。
異変に気づいたみぽりんが声をかける。
「みんな無事ですって。よかったですー♪ ん?信乃さん顔色わるいですよ?疲れたですか?」
「……ええ、少し」
「あと少しですから!がんばりましょう!」
Σなんか笑顔ではげまされた。
アンデットより強力な敵が、ごく身近にいる気がする。
整列はその分早かった。
やたら連帯感が強くて、やたら元気なのが目に付いたが。
神聖巫連盟4班は無事補給を済ませた。
「さて!じゃあがんがんいきますよ!!」
「「「おー!!」」」
コブシをふりあげるみぽりんと犬士たちにため息つきながらも、
これからが面白いといわんばかりに信乃の瞳が鋭く微笑んだ。
(900文字)
}
□□■□□■□□
反撃である。
信乃の指揮のもと神聖巫連盟4班は、詠唱を開始した。
なめらかで張りのある声。
敵をするりとかわしながらも、定まった形に踊るように杖をふるう。
年月に洗われた美しい形。そこには確かに「美」が存在する。
そう。「踊っている」のだ。
こんな美しさはもはや「舞踏」に他ならない。
杖は声にあわせて、力ある陣を描く。
空間に、「声」から生まれる「力」をからめてゆく。
声からこぼれる光が次第に方向性を持ち、杖の描く軌跡に乗る。
光は杖によって、つながり、流れ、形創られてゆく。
集結
敵へむけて放たれる「光」。
この光景を見た者は「戦闘に遭遇した」とは思わないだろう。
本物の「美」に遭遇したときのえもいわれぬ感動を胸に、こういうだろう。
「輝く舞を見た」と。
怜悧な目で全体を見るのは、有馬信乃。
敵へ与えた損害と自国軍が負った被害を把握し、「次」を考える。
「吉衛門さんちの『からかっさん様』のほうが、かわいいですよーだっ!!」
……。
みぽりんが敵に向かって何か叫んだようだが、気にしてはいけない。
本人はきっと真面目に発言しているのだから…。
(※『からかっさん様』とは、神聖巫連盟にいる、本名不明の付喪神(つくもがみ)のことである。)
(502文字)
}
4班その後…(みぽ)
□□■□□■□□
兵部省訓練所では、今日も今日とて元気な声がこだまする!
神聖巫連盟4班は特別に集められ、有馬信乃から直接指導を受けていた。
「かんなぎらぶらぶあたーっく!!」
「はりけーん すまっしゅきっく!」
ぜーはーぜーはーと、肩で息をしながら犬士+みぽりんがワザを繰り広げる。
「今の手の角度!下がってきたぞ!」
「は、はいっ!」
事前に提出させた「ヒーロー案」に信乃が直々に手を加え実用的にしたものの指導を受けること、かれこれ6時間。
犬士たちも何かおかしいと思ったが、信乃の雰囲気から口に出せずにいた。
「うん。よくなってきたな」
犬士たちの動きに細かく修正を加えた信乃は満足げにつぶやく。
「ありがとうございます!信乃さま!」
「じゃあ今日の訓練はおわり…」
さえぎるように信乃が言う。
「あと1000回もやれば身体が覚えるだろう」
犬士たちが凍りつく。
「し、信乃さまあ!」
「そんなああ!!」
「あ、あのお。もしかして信乃さん、怒ってるですか?」
みぽりんがおそるおそる尋ねる。
「何が、ですか?」
「んと、信乃さんは戦隊モノは嫌いですか?やっぱり『かんなぎ仮面』のほうがよかったですかねえ…」
信乃の、重い沈黙。
「みぽりんさん、FVBの侵攻では4班の動きはとてもなめらかでしたね。『事前の訓練』が効いたようです」
「効いたですかー」
嬉しそうなみぽりんに信乃が付け加える。
「ただ、みぽりんさんには座学がもっと必要なようです。大丈夫ですよ。この訓練が終わったら僕が見ますから」
「ほえ?座学ですか?」
「みぽりんさん戦闘のとき叫びましたよね。確か『からかっさん様』がどうとか」
「言ったです~♪」
「みぽりんさん、戦場に立つ相手への礼儀として、それはどうかと思いますよ?」
ほむほむとうなづくみぽりん。
信乃が続ける。
「失敗は仕方ありませんが、同じことを繰り返すのはよくないですから。大丈夫ですよ。二度と忘れないようにしっかり教えますから」
会話を聞いた犬士たちが震え上がる。
「あのお、信乃さん……」
「なんですか?」
☆座学=座って先生のお話を聞く講義
【完…?】
最終更新:2008年08月11日 04:32