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セブン・イレブン 店主が外国特派員協会で講演「個人事業主の建前でも、実態は単なる本部の労働者だ」

2014年8月2日17時58分

セブン・イレブン 店主が外国特派員協会で講演「個人事業主の建前でも、実態は単なる本部の労働者だ」

契約の「守秘義務」の範囲も不明朗で、どこまで資料を出せるか分からない

Q 江藤 2つ質問です。契約書の書式ですとか、会計についての取り決めについて等はセブン-イレブン以外のコンビニエンスチェーン、例えばローソンやファミリーマートなどでも同じような状況なのでしょうか。もう一点ですが、実際に結んでおられる契約書の中身を記者が見せて頂くことは可能ですか?


A 三井氏ーーまず最初の質問についてですが、9割以上はどこのチェーンでも同じで、特にお金の流れを見せないというのはどこのチェーンも同じ制限を加えています。契約書の開示については非常に難しいところがあります。


私たちはお見せして構わないと思うのですが、本部側が「状況に応じてそれは守秘義務の違反だ」と言うことがあります。ただ、出しても何も言わないこともあるのですが、我々は非常に不安で出すことが躊躇されるのです。


守秘義務の話ですが、当初は私はバランスシート・PLシートを見せるだけで守秘義務違反だという警告を受けました。現在は、それは税務署向けに見せるのだと言えば見せてくれています。非常に、スタンダードが分からないチェーンです。


Q 江藤 もう一点、追加ですいません。守秘義務についても曖昧なところが多い契約と言うことですけれど、フランチャイズの加盟前にはどれくらい、しっかりと契約書を見せられたり事前に契約についての説明がなされたのでしょうか。また加盟前に「ここのところが不安なのだけど」と言って本部の方に説明を求められたりしましたでしょうか。


A 中野氏ーー 契約書の表現は、極めて抽象的に書かれていて、何が守秘義務違反なのかが分からない内容です。全てはセブンイレブンイメージに反することをしてはいけないと言われています。かつては、契約書自体を事前に開示されずにサインをさせられた後にセブンイレブン本部が保管するということがありました。


事前に開示してもらってよく読まないと内容がよく理解できないわけです。だけれども事前にじっくり読む時間を与えられずにその場でサインをさせられます。また、実際に契約書がどのような意味あいを持つかを理解するには、やはり法律家に相談しなければならないと思います。ですから、ほとんどの人は「セブンイレブンは大きい会社だから自分に悪いことはしないだろう」と思って信頼してそれだけで契約しているのが実情です。


Q 今お話を伺う限り、契約書を読ませてもらえない中で皆様の状況を正確に理解するのは難しいです。そしてまたビジネスマンの観点から申し上げますと、やはり契約書をサインする前に法律の専門家によく聞かずにサインするのは過失だと思います。


ただそれは別として、プラグマティックな観点の質問をお願いします。まず、最初の店舗立ち上げの資金はどこから来るのでしょうか?また定期的に報酬を頂くということでしたが、店主や家族以外の従業員の給料はどこから出ているのでしょうか。店主でしょうか、本部でしょうか。そして、バランスシート・PL等の扱いですがこれは各店主が税金を納めるときにどういう風に使うのでしょうか。お金がただ「消えてしまう」という説明では税務署も納得しないのではないでしょうか。


A 三井氏ーーまず最初に契約のときに、なぜ弁護士と相談しなかったかというと、私は実は大手都市銀行の国際部門にいました。そういう契約関係のことはわかっております。しかし、このチェーンに入るときに何度も面接を受けるのですがそのときにとても警戒されました。そして、「前に大手企業から来た人と、揉めているんですよね。契約して大丈夫ですかね」といろいろ言われました。もしそういうところで弁護士と一緒に契約書の読み合わせ等をしていたら、私はフランチャイズに入れてもらえなかったと思います。


次の、お店の投資については我々が資本金を投入しています。それと従業員の給与は我々加盟店が支払います(*会見終了後にうかがったところ、求人誌に出す従業員の募集広告ーー5万円くらいからが相場で決して安くないーーも加盟店の支払ということだった。)。


我々がもらう定額の収入に付いては契約のときに「生活費がいくら必要ですか」と言われて、それを答えたらそれが定額になったということです。店の収益予想額が50万だったので私は40万を要求したのだけど、本部からそれは困ると言われました。そして現在は、21万円になっています。


ここで言う、定額とは売り上げに関係なく必ず振り込まれるのです。利益はそれ以上出ているのですけれど、その差額は本部にいったん行っています。

その滞留するお金は、3ヶ月に一回、我々が「要求をすれば」その70%を限度として本部から私たちの手元に来ます。


店にくるこのPLシート・バランスシートを国税がどう扱うかというと、国税はこのPLシートを会計原則に沿っていないということで受け付けません。大変おかしいことなんですが私たちが確定申告をするときには、そのPLシートの売上金・経費の内容を国税申告・確定申告書に記入するだけで、国税は受け付けます。これは国税の法律に違反しているのですが、そのことを国税に聞いても、国税はこれは「以前からの申し送り」ということで明確な返事を受けていません。




(当日配布された、一週間の労働時間例。)


Q  フランチャイズ加盟者の給与と労働時間についてお願いします。


A 中野氏 ほとんどのフランチャイズ加盟者はほとんど最低賃金に近い報酬しか得ていません。休日、それから休みのことを考えるとオーナーよりはこのお店で働くアルバイトの方が労働条件が良いと言われています。もちろん、売り上げの良いお店では最低賃金ということはないですし、大手の課長さんくらいのお金を得ることは出来ます。けれど365日24時間店を開けるために、3000時間、そして妻あるいは兄弟も2000時間働いて、5000時間の給料なのだとすると非常に劣悪な環境だと思っております。


Q (会見終了後に) 江藤 大手のメディアで大きくコンビニ・フランチャイズの問題が扱われないのはどうしてだと思いますか?


A 中野氏ーー まず民間に関してはスポンサーの問題がとても大きいです。それとNHKに関してですが以前にこの問題を扱った後に非常に沢山の苦情がNHKに寄せられたことがありました。それでNHKもコンビニエンスストアの問題を扱うことには及び腰になっていると思います。


続報リンク 「コンビニ・フランチャイズは加盟店搾取のモラルハザード 規制法が必要だ」 住銀出身 セブンイレブン店主


【写真・文 江藤貴紀】


 

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