本と映画と政治の批評
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G20 - 次はイタリアで混乱が始まり、韓国もバブルが崩壊する
昨日(11/3)、NHK-BSが夜10時から放送している国際ニュース(WWT)を見ていると、G20に合わせた特集で、世界経済の最新状況をコンパクトに纏めていた。以前なら、こうした企画はクローズアップ現代で報道していたものである。最近の国谷裕子の番組は、政府が国民に刷り込むパンフレットの時間になっていて、くだらないので付き合わなくなってしまった。BSのWWTは、世界経済を追跡するNHKの観察眼が衰えておらず、瞬時に世界中を取材して映像と解説のパッケージに編集する能力を持っていることを確認させられた。経済ジャーナリズムとしてリッチでエクセレント、腐っても鯛。私がチャンネルを合わせたとき、カメラはジャカルタに入っていた。現在、世界中で最も景気がよく、活発な経済成長が続いているインドネシアだが、ここで異変が起こっていた。ジャカルタに進出して投資していた欧州の銀行が、資金の貸し渋りを始め、銀行間で取引するドルの短期金利が高騰しているのである。その様子を、NHKは現地のりそなプルダニア銀行を訪れ、ディーリングルームにあるPCのグラフを紹介し、わかりやすく丁寧に説明していた。新興国市場に大量に資金を注いでいた欧州系銀行が、不測の事態に備えてドルを手元に集めているのであり、金融危機時の破綻から免れるべく資金を引き揚げているのである。


続いてカメラは中国に入り、輸入車の富裕層への販売が不調となり、不動産市場が低迷を始めた現状を報告していた。シトロエンの受注台数は前年の3分の1に落ち込み、衝動買いで売れていた投資用マンション物件が、売り出しと同時に即完売とはならなくなった。中国のGDPに占める輸出の比率は4割で、中国の最大の輸出先がEU市場である。EUの金融不安が中国経済に影を落としていた。シンガポールは、昨年のGDP成長率+14%だったのが、今年は+5%と大幅に減速する見通しになった。そして米国。最初は東海岸のマイアミで、海岸に面した高級リゾートマンションが、少し前までブラジルの富豪客に飛ぶように売れ、一棟丸ごと買い占めの活況が続いていたが、今では最上階の部屋が売れ残って不動産屋が渋い顔で嘆いている。FRBが刷ったドルがブラジルに流入し、バブルの過熱を起こしていたが、アジアと同じく景気にブレーキがかかっている。次に西海岸のポートランドで、クリスマス商戦を目前に控え、例年なら中国からの貨物船のコンテナで満杯となる港湾埠頭が、今年は閑散としていて、消費と小売の冷え込みが顕著となっている。要所要所のカットを押さえ、手早くインタビューを撮り、映像を編集してメッセージを伝えるNHKの制作態勢に舌を巻く。このわずか10分の経済報道に、どれほど巨額の費用をかけているのか。

NHKのWWTの映像は、これから世界経済がリセッションに向かい、その落ち込みを従来のように新興国の成長でカバーできない現実を伝えていた。むしろ先に、あるいは同時に、新興国のバブルが崩壊し、新興国で不良債権が発生して累積するのである。欧州金融不安による投資資金の引き揚げは、アジアの先進国である韓国でも問題が顕在化している。先々週(10/19)、ソウルで日韓首脳が会談した際、日本からの韓国への資金支援枠を700億ドル(約5兆3600億円)に増やす合意が取り決められたが、その背景の事実を日本のマスコミは詳しく報道していない。輸出好調な韓国だが、資金に余裕があるのは一部の大企業だけであり、金融は脆弱で、外資に引き揚げられたら中小企業の資金が逼迫するとロイターの記事にある。輸入決済に払うドルが不足するのだ。無論、韓国経済が混乱すれば日本企業が打撃を蒙るわけで、この政府の措置を私は不当だとは思わないが、おそらく、この協力を仲介して日本政府を動かしているのは米国だろう。韓国は、日本と較べたとき、中小企業の基盤が弱いだけでなく、先進国の中で最も金融が不安定で、世界経済の変動で常に通貨危機に直結する持病を抱えている。対米貿易で黒字を出しても、市場でのウォンの信用は異常に低く、金融商品としてリスキーだと評価されている。また、韓国政府自身が、輸出のために通貨を下落させている。

韓米FTAで揺れている韓国だが、日本のマスコミであまり報道されてない情報として、不動産バブルとインフレの問題がある。インフレはウォン安による輸入物価の高騰が原因であり、不動産バブルは外資流入によるものだ。これまで特に注意を払わなかったが、KOSPIの指数の推移を見ても、2004年から7年間で6倍ほどに高騰していて、明らかにバブルの様相を呈している。株と不動産でバブルが発生し、さらに奇形的なウォン安で輸出バブルが発生している。米欧の景気後退で輸出が落ち込み、外資が資金を引き揚げれば、株と不動産は一気に暴落するだろう。それだけでなく、ウォン危機が再現して外貨不足となり、国民生活と国内生産に必要な物資の輸入すら困難になると予想される。日本が支援する5兆円では足りず、IMFの代わりに中国に協力を仰ぐ事態になるのではないか。本来、韓国にとってベストな選択は、日本と東アジア共通通貨を作り、宿命とも言える通貨・金融の脆弱性を解決することだった。EUのような経済圏を日韓台で作り、それをASEANに広げ、中国を取り込む方向だった。今となっては、この構想には現実性も説得力もない。日本の財政赤字はあまりに大きすぎるし、韓国のバブル崩壊のリスクも大きく、竹島問題の摩擦も重なり、EPAも結べない状況がある。現在の日韓は、米国が間に入ることでしか関係が前に進まない。両国が競い合って米国の植民地になってしまった。

先週(10/26)、ベルギーで開かれたEU首脳会議で、域内の主要銀行に2012年6月までに自己資本比率を9%に引き上げることを求める措置が合意されている。この決定も、銀行には投融資縮小の動機づけとなることは間違いない。昨夜(11/3)のNHK-BSがジャカルタの銀行の映像で見せた、市中のドル調達コストの急上昇は、このEUの決定を直接に反映した現象だろう。銀行の自己資本比率を9%に引き上げる措置について、マスコミはこれが危機回避の有力な材料のように報じているが、中身を見れば、単なる空文句を並べただけの先送りの些末なポリティックスだということが分かる。浜矩子に論評させれば、呵々大笑してボロクソに酷評するはずだ。欧州90行が自己資本比率を9%に高める期限は来年6月まで、その方策として提示されたのは、(1)銀行による自力増資、(2)各国による公的資金注入、(3)金融安全網である欧州金融安定基金(EFSF)の活用の三つである。(1)は言葉だけだ。(2)は矛盾している。公的資金の財源は何なのだ。各国とも財政危機だから、銀行が抱えた国債が不良債権化し、損失を引き当てるべく自己資本を増強しなくてはならないのである。具体的に、3行で合計88億ユーロを増強しろと指示されたフランスのBPCEとソジェンとBNPパリバだが、フランス政府は公的資金を注入できるのか。88億ユーロで足りるのか。今、フランス国債が格下げされようとしている。伊、西の次は仏なのである。

フランスにはユーロを支える経済力はなく、この危機に問題解決を与える立場にはない。(3)のEFSFの活用だが、これも同じで、画餅の空論である。先送りできない時期が来て、ギリシャが破綻し、銀行が破綻し、ユーロが破綻する修羅場が来るだろう。税収は落ち、国債が発行できず、市民に重税を課し、公務員を減らし、公共サービスを低下させるしかなくなる。今日の日経の国際面を開くと、欧州危機のフェーズが、すでにギリシャからイタリアに移っている事実を窺わせる紙面記事(7面)が出ている。EUはギリシャ破綻はすでに折り込み済みなのだ。記事によると、イタリアの支援には1兆ユーロが必要で、新興国や投資家の資金を呼び込み、EFSFを1兆ユーロ規模に拡充、イタリアの新規国債の発行を助ける方針なのだと言う。IMFの現在の融資余力は4400億ドルで、これではイタリア救済に不足なのだと正直な説明がある。つまり、G20は中国にEFSFにカネを出させて、イタリアの破綻を回避する狙いの会議だったのだ。今回のG20の主役はイタリアだった。記事には、ベルルスコーニの蒼白な表情の写真が載っている。テレビのニュースでも、ベルルスコーニが神妙な態度なのが印象的だった。サミットになると、ベルルスコーニは常に下品な笑いを浮かべ、卑陋で好色な目つきで奔放に振る舞っていたが、今回は俯き加減でおとなしいのである。ところが、パパンドレウの国民投票の騒動が入り、サルコジとメルケルが描いたG20の筋書きが狂ってしまった。

ギリシャのハプニングで卓袱台を返され、ドタバタ劇の騒動となり、EFSFの資金充実に各国が協力するというセレモニックな結論を演出する場ではなくなった。関連記事が出ていて、11/2夜にローマで臨時閣議を開き、財政再建策の実行について議論したが、財務相のトレモンティがベルルスコーニに反対、結論が出なかったと報じている。この財政再建策とは、日本と同じで、年金の支給年齢を65歳から67歳に引き上げる対策である。この措置について、ベルルスコーニは即実施すべく暫定政令での実現を主張し、トレモンティが議会で法律を制定しないと無理だと反対し、閣議が紛糾して決裂している。要するに、ギリシャと同じ非常事態に陥っているのであり、暫定政令で強行突破しなくてはならないほど、イタリアの財政状況が追い詰められているのである。本来、カンヌのG20で焦点になるのはこの問題だった。イタリア国民に年金削減を納得させるのが主目的だったのだ。おそらく、野田佳彦の消費税増税の国際公約も、このアジェンダと関連があるに違いない。米国政府が根回ししたのだろう。G20の中で財政赤字を抱えている先進国は、国民の負担増の強制執行に躊躇するべきでなく、政府が迅速に手を打つ必要があり、法律や議会や選挙公約は飛び越えても仕方がないのだというメッセージ。これを世界中に発信するためのG20だったのである。ところが、不意のパパンドレウの奇襲が入り、イタリア問題はフォーカスされずに関心の背後に下がり、EUと米英の思惑は外れてしまった。

ということは、間もなくイタリアでギリシャと同じ混乱が始まる。イタリア国債がデフォルトの危機を迎え、公務員のリストラと賃金カットがある。


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by thessalonike5 | 2011-11-04 23:30 | Trackback | Comments(0)
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