+ ニュースサーチ〔グルテン不耐性〕

+ ニュースサーチ〔グルテン〕

● グルテン〔Wikipedia〕
グルテン (gluten) あるいは麩質(ふしつ)は、小麦、ライ麦などの穀物の胚乳から生成されるタンパク質の一種でグルテニンとグリアジンが水を吸収して網目状につながったもの。麺類やパンなど、小麦加工品を作る上で弾性や柔軟性を決定し、膨張を助ける重要な要素となっている。
またグルテンは食物アレルギーの原因となるタンパク質でもある。日本では小麦の使用は食品表示義務があるが、グルテンの有無には法的表示義務はない。

■ セリアック病〔Wikipedia〕
セリアック病(セリアックびょう、英: coeliac disease、米: celiac disease)またはシリアック病(シリアックびょう)は、ムギ(小麦・大麦・ライ麦など)に含まれるタンパク質の一種であるグルテンに対する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患である。遺伝性疾患であり、グルテン関連障害の一つ。第二次世界大戦中のヨーロッパでグルテン食との関連が指摘され認識が広まった。欧米での罹患率は1 %程度と報告されているが、日本での頻度は不明である



■ 健康な人にグルテンフリーダイエットは逆効果である4つの理由 医師解説 「Yahoo!Newsー福田芽森:循環器内科専門医-(2017/10/9(月) 6:00)」より
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本記事では以下の4点を結論付けています。

1, グルテンフリーは、セリアック病という病気や小麦アレルギーなど、特定の病気の人には効果があるが、それ以外のほとんどの人には体によい証拠はない

2, セリアック病でない人がグルテンフリーを実践しても、冠動脈疾患のリスクが減るどころか、全粒粉摂取量の低下によりむしろリスクを増やす可能性もあり、勧められない

3, セリアック病でない人がグルテンフリーを実践すると、かえって腸内の健康状態を悪くしてしまう可能性がある

4, グルテンフリーは痩身のための食事法ではなく、むしろ栄養バランスを崩す可能性がある

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健康志向の高いセレブやビジネスマンがこぞって実践している食事法、「グルテンフリー」。モデルのミランダ・カーがダイエットの面から火をつけ、プロテニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチが体調コントロールとして取り入れたと自著で語ったことで爆発的に広まり、米国のグルテンフリー市場は今や数十億ドルにものぼると言われます。



特に日本ではジョコビッチの著書「ジョコビッチの生まれ変わる食事」の大ヒットで「グルテンフリー」を知った方が多いでしょう。試合を棄権するほどの絶不調であった彼が、グルテンフリーにより「神経はさらに研ぎ澄まされ、かつてないほど活力がみなぎるように」なり、「4大グランドスラムを制覇し世界ランキング1位になった」という輝かしいストーリーは、世間に物凄いインパクトを与えました。



しかし、この劇的な変化はジョコビッチ本人が「小麦」と「乳製品」にアレルギーを持っていたからこそ起きたのです。ジョコビッチは著書の中で、血液検査を行ったところ「小麦」「乳製品」のアレルギー反応が陽性であったと書いています。「小麦」にはグルテン(を生成するたんぱく質)が含まれており、グルテンフリーの食生活をすれば結果的に小麦を避けることになるため、体の調子が良くなっていくのは理にかなっています。



しかしブームに乗って、健康な人、グルテンフリーの必要でない人までがグルテンフリーを実践することは、かえって健康によくない恐れもあります。



今、医療界ではグルテンフリーに対して危機感を持っています。

そこで今回は下記目次に沿って「グルテンフリー」について書いていきます。



<目次>

1.「グルテン」はよくないもの?

2.グルテン関連障害の人はどのくらいいる?

3.グルテンフリーが向かない人とは?

4.グルテンフリーと心血管リスク

5.グルテンフリーは腸内細菌のバランスを崩す?

6.やみくもなグルテンフリーダイエットは要注意!

7.まとめ グルテンフリーは健康にいいの?



1.「グルテン」はよくないもの?
そもそもグルテンとはなにか。

グルテンとは、小麦やライ麦などの穀物から生成されるたんぱく質の一種で、小麦に水を合わせ加工してパンや麺類をつくる過程で生成されます。パンをふっくらと膨らませたり、麺にもちもちした食感を与えているのは、このグルテンです。



そして、このグルテンによって、体の不調を引き起こす病気があることも確認されています。これらの病気を総称して、「グルテン関連障害」と呼び、

(1)自己免疫系、(2)非自己免疫・非アレルギー系、(3)アレルギー系

に大別されます。代表的なものをそれぞれ下記に挙げてみました。



<グルテン関連障害の分類と疾患例>

(1)自己免疫系:「セリアック病」

(2)非自己免疫・非アレルギー系:「非セリアック・グルテン過敏症」

(3)アレルギー系:「食物アレルギー」



この中で、ジョコビッチ選手は前述のように血液検査で小麦に対するアレルギー反応が陽性であったので、(3)に該当するでしょう。



(1)のセリアック病は、グルテンに対する異常な免疫反応で腸の粘膜が障害され、十分に栄養を吸収できなくなってしまう病気です。腹痛や下痢、便秘、疲労、気分の不調(不安や苛立ち)などの症状を起こします。血液検査や内視鏡検査で診断され、治療はグルテンフリー食にすることです。

この「セリアック病」である人が、グルテンフリーを実践すれば勿論、体調は良くなるでしょう。



(2)は2012年に提唱された新しい病名であり、(1)でも(3)でもないことが必須で、かつグルテンと体の不調の関連が、決められたプロトコルで明らかにされるものです。(※1)

確かに、上の(1)〜(3)に該当した場合、グルテンフリーは体に良い効果をもたらすかもしれません。



2.グルテン関連障害の人はどのくらいいる?
では、人口に対するそれぞれの割合はどれくらいなのでしょうか。

報告が少なく対象人数も様々ですが、過去の研究をまとめると、全人口に対する割合は下記になります。(※2〜10、※11)



(1)セリアック病 ごく少数〜0.7%

(2)非セリアック・グルテン過敏症(NCGS) 0.6〜6%

(3)食物アレルギー 0.2%程度(日本人において)



この中に自分が当てはまれば、もしかしたら、グルテンフリーによって体の不調が改善されるかもしれません。



3.グルテンフリーが向かない人とは?
しかし、この「グルテンフリーブーム」に警鐘を鳴らす研究もあります。



2017年5月、イギリスの権威ある学術誌に、「セリアック病でない人にはグルテンフリーは推奨されない」というリサーチニュースが出ました。(※12)



まず前提として、前述の「セリアック病」にはグルテンフリーは効果があり、その効果の一つとして「冠動脈疾患(心筋梗塞など)のリスクを減らす」という研究報告もあります(※13)。しかし、近年のグルテンフリーの大ブームによって、セリアック病でない人もグルテンフリーを実践していることがアメリカでの健康栄養調査でわかっています(※14)。



セリアック病でない人にとってグルテンフリーは本当にいいものなのか?

その疑問に対する一つの解答がこの論文なのです。



米国の研究者チームは、看護師健康調査に登録された64,714人の女性と、医療従事者追跡調査に登録された45,303人の男性について、グルテン摂取量と冠動脈疾患の関連を、1986年〜2010年の間観察し、分析しました。

セリアック病の診断を受けている人は除外し、グルテン摂取量で5群に分け、冠動脈疾患の発症率をみてみると、



●グルテン摂取量が最も低い群は、100,000人年で352人の発症

●グルテン摂取量が最も多い群では、100,000人年あたり277人の発症



という結果でした。すでに分かっている冠動脈疾患のリスク(BMIや喫煙、血圧、脂質異常症など)を調整しても、グルテン摂取量と冠動脈疾患には統計学的な関連は見られませんでした。



セリアック病でない人においては、グルテンを摂る量を減らしても、冠動脈疾患のリスクは減らない、とこの論文では結論付けています。



4.グルテンフリーと心血管リスク
一方、この研究では被験者の回答により、グルテンの主な摂取源は、パン(全粒粉)、パスタ、シリアル、パン(精白粉)、ピザでしたが、これらの製品の元は「全粒穀物」と「精製穀物」として分けることができます。

過去のいくつかの研究で、「全穀穀物」が冠動脈疾患の発症リスクや、心血管死亡率を下げることが明らかになっており(※15)、この研究でも統計学的な補正を行い分析した結果、「グルテン摂取量が最も多い群は、グルテン摂取量が最も低い群に比べ、冠動脈疾患発症のリスクを15%下げる」ことが分かったのです。



この研究の著者では、「グルテンフリーは本来有益であるはずの全粒粉摂取量を下げてしまうことにつながり、心血管リスクの観点からは推奨されない」としています。



5.グルテンフリーは腸内細菌バランスを崩す?
もう一つ、「セリアック病でない人にとってグルテンフリーは悪影響である」可能性を示す研究があります。対象人数が非常に少ないため、説得力が強いとは決して言えませんが、参考に挙げておきます。



研究者らはセリアック病ではない、健康的な平均年齢約30歳の男女10人にグルテンフリーを1ヶ月間実践させ、前後の腸内環境について分析しました。

すると、「グルテンフリー実践後はビフィズス菌や乳酸菌などの有用な腸内細菌が減り、免疫機能が下がり、大腸菌などの有害な腸内細菌の異常増殖が起こっていること」がわかりました。(※16)

「グルテンフリーの悪影響」といっても、この研究では実際に何らかの病気の発生率をみるまでには至っていませんし、今後の研究の発展が待たれます。

しかし、ひとまず盲目的な「グルテンフリー」への警鐘として、頭の片隅に置いておいても良いでしょう。



6.やみくもなグルテンフリーダイエットは要注意!
そもそもグルテンフリーは「特定の原因による吸収不良の人が、吸収が良くなるようになるための食事治療法」であり、むしろ低栄養から栄養状態を良くするもの。痩身、ダイエットのために開発された食事方法ではないのです。



グルテンフリーを実践すると、パンや麺類、スタイルでいえばファーストフードなどを避けることになり、結果的に体重が減っていたということはあるでしょう。もしあなたが普段から過剰に炭水化物やファーストフードを摂取していて、ダイエットをしたいのであれば、グルテンフリーという流行を用いることは良い手法といえるかもしれません。

しかし、グルテンフリーを固く守ることで必要な栄養分がとれず、前述の論文のいうように心臓病のリスクをあげてしまう可能性を考えると、やみくもに勧められるものでもありません。

特に育ち盛りの子供や、ご高齢の方など、栄養が必要な方には、もっとも勧められないでしょう。



7.まとめ-グルテンフリーは健康にいいの?


まとめると、

1, グルテンフリーは、セリアック病という病気や小麦アレルギーなど、特定の病気の人には効果があるが、それ以外のほとんどの人には体によい証拠はない

2, セリアック病でない人がグルテンフリーを実践しても、冠動脈疾患のリスクが減るどころか、全粒粉摂取量の低下によりむしろリスクを増やす可能性もあり、勧められない

3, セリアック病でない人がグルテンフリーを実践すると、かえって腸内の健康状態を悪くしてしまう可能性がある

4, グルテンフリーは痩身のための食事法ではなく、むしろ栄養バランスを崩す可能性がある

ということ。



下痢や便秘、腹痛などの腹部症状に長年悩んでいた人が、グルテンフリーの実践によってすっかり悩みが解決したのであれば、私はそれを否定しませんし、もしかしたらグルテン関連障害であった可能性もあるでしょう。

しかし、グルテンフリーによる弊害や、栄養バランスが崩れてしまう可能性があることなどを考えると、もし本当にグルテン関連障害が疑われるのであれば、医療機関でちゃんと診断を受けることをお勧めします。



流行にとらわれすぎず、今の時点での正しい情報を身につけ、自分に合った「食」を楽しんでいただければ、幸いです。

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※元記事「健康な人にグルテンフリーダイエットは逆効果?グルテンフリーの本来の意味とは(BUSINESS LIFE)」を改編

<参考文献>

※1 BMC Medicine (BioMed Central, Springer Nature) 2012 (10:13).

※2 American Journal of Gastroenterology. 2012;107(10):1538-1544.

※3 JAMA Intern Med. 2016 Nov 1;176(11):1716-1717.

※4 アレルギー 55(8/9): 1116-1116, 2006.

※5 J Gastroenterol. 2014 May;49(5):825-34.

※6 日本消化器病学会雑誌 113(suppl-1): 62-62, 2016.

※7 Scand J Gastroenterol. 2013;48:921-925.

※8 BMC Med. 2012;10:13.

※9 BMC Med. 2014 May 23;12:85.

※10 厚生労働科学研究班「食物アレルギーの診療の手引き2014」

※11 (3)は日本の食物アレルギー有病率が推定1〜2%程度、食物アレルギー患者2,954人における原因食物として、小麦は12%であることから、1〜2%×12%=0.12〜0.24%と考え、約0.2%としました。

※12 BMJ 2017;357:j1892

※13 Circulation. 2011;123:483-490

※14 JAMA Intern Med. 2016 Nov 1;176(11):1716-1717.

※15 BMJ2016;357:i2716., JAMA Intern Med2015;357:373-84.

※16 Br J Nutr. 2009;102(8):1154-60

(※2〜10の解説)

(1)セリアック病

  • アメリカ人の141人に1人がセリアック病であった(0.71%)(※2)
  • 全米健康栄養調査の22,278人のデータを調べたところ、2009年〜2010年では対象者のうち0.7%、2011年〜2012年では0.77%、2013年〜2014年では0.58%であった(※3)
  • 日本人において、内科疾患患者719人のうち5人(0.7%)、健常者95人のうち0人がセリアック病であった(※4)
  • 日本の過敏性腸症候群の患者172人と、対照群190人を調べた結果、真のセリアック病は0人であった(※5)
  • 日本人で慢性腹部症状のある患者34例においてセリアック病の診断基準を満たすものはいなかった(※6)

(2)非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)

  • 米国国民栄養調査で2009年〜2010年の7,762人の被験者のうち49例(6%)にNCGSの疑い(※7)
  • 米国メリーランド大学での調査で2004年〜2010年の間に観察された5,896人のうち、347人(6%)にNCGSの基準が満たされた(※8)
  • イタリアでの報告で、セリアック病と非セリアック・グルテン過敏症の人の比率は15:1であった(※9)

(3)食物アレルギー

  • 日本の食物アレルギー有病率は全年齢を通して推定1〜2%程度、フランスで3〜5%、アメリカで5〜4%に認めると報告あり。また食物アレルギー患者2,954人における原因食物として、小麦は12%であった(※10)


福田芽森
循環器内科専門医
東京女子医科大学卒業後、独立行政法人国立病院機構 東京医療センターで初期研修を積む。同院循環器内科に所属ののち、慶應義塾大学循環器内科に勤務。現在はAI医療機器開発ベンチャー企業で臨床開発を担当し、京都大学公衆衛生大学院に在学中。産業医としても活動し、働く人の健康をサポートしている。循環器内科専門医、日本循環器学会広報部会/COVID-19対策特命チーム所属、認定産業医、ACLS(米国心臓協会二次救命処置)インストラクター、JMECC(日本内科学会認定内科救急・ICLS講習会)インストラクター、レジリエンストレーニング講師(The School of Positive Psychology)。



Gluten and a Child’s Risk of Schizophrenia
※mono....上記リンクは存在しないので、Gluten and a Child’s Risk of Schizophrenia〔google検索〕

(※mono....前半はジョコビッチさんのお話)
/
それは、このノバク・ジョコビッチという人は、テニスの世界ランキングでもかつて一位になったことがある人だそうですが、「グルテン関係のランキングでも一位」になっている人だったりするのです。

グルテン関係……と書いても、何だかよくわからないかもしれないですが、実はわたくし、自分が「グルテン関連障害」、いわゆるグルテン不耐性だったことが最近(2ヶ月くらい前ですかね)わかりまして、今は、基本的にグルテンを摂取しない生活をしています。

世の中では「グルテンフリー」というような言葉が使われていますが、私は「何とかフリー」というような表現をあまり好まないですので、この言葉は使わないですが、まあ、そういうようなことになっています。

ただ、これは個人的にまだたった1、2ヶ月間の経験で、つまり「ド素人」ですので、私自身の体験や経験を書くつもりはないですし、その資質も経験もありません。

しかし、グルテンをとらないということは、つまり、うどんからラーメン、パスタなどのほぼすべての麺類を食べることができない、あるいは、パンのほぼすべても食べられない、西洋的なお菓子の大部分、たこ焼きやお好み焼きなどの粉ものすべて、唐揚げや天ぷらやフライなんかもすべて食べられない……というような生活になるわけではあります。

もちろん、これらはそれまでの人生で大好きだったものばかりです。

なので、一般的には「つらいのでは?」と考えられたりするのですが、しかし、それが全然そうは思わないのです。

なぜかというと、私はもともと体の不調が多い人ですが、この3年くらい、それが「拡大」している部分がありました。ところが、グルテンを食べなくなった時からの体験……。

それはもう、

「呪縛から解放された」

というか、

「夢のようだ」

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


  • グルテンはなぜ身体によくないのか?
  • パンやケーキ、ラーメンをやめられない理由とは?
  • グルテンが原因で発症する3つの疾患
  • 意外なものにも含まれているグルテン

グルテンフリーという言葉を最近よく耳にしませんか? グルテンフリーとは、「グルテンが入っていない食べ物」という意味。グルテンというのは一種のタンパク質でさまざまな健康上の害があるため、大多数の人は食べない方がよい、という考え方が現在欧米を中心に広まっています。果たしてグルテンは本当に有害なのか、それを避けることでどのような健康効果が期待できるのか、紹介していきたいと思います。


グルテンとは?

そもそもグルテンとは何でしょうか? 小麦やライ麦などの穀類にはタンパク質が含まれています。そのほとんどがグリアジンとグルテニンというタンパク質です。小麦粉などに水を加えてこねると、このグリアジンとグルテニンが結合してグルテンができます。

グルテンの名前の由来はラテン語の「グルー」という言葉です。「グルー」とは粘着剤という意味で、グルテンには粘りつくという特性があり、パンやケーキをフワフワにするためには不可欠なものですし、うどんのコシもグルテンから生まれます。麩(ふ)はグルテンそのものです。

グルテンが植物のタンパク質だと聞くと、大豆などの植物性タンパク質が健康によい(本当はそうでもないのですが)と一般に思われている日本では、何となく体に良いイメージがあるかもしれません。例えば、ベジタリアンや数年前まで流行っていたマクロビ食においては、良かれと思って動物性タンパク質の代わりにグルテンで作られた肉もどきで代用したりしています。

しかし、グルテンは人間には消化できません。アメリカにあるセリアック研究センターのファザーノ博士によれば、人類はグルテンを完全に消化できるようには進化していないそうなのです[1]。



やめられない、とまらない

グルテン研究の権威であるトム・オブライエン医師によれば、グルテンには、少しでも摂取するともっともっと欲しくなるという性質があり、ヘロイン中毒と同じようにグルテン中毒とでもいうべき依存性があるそうです。

グルテンから分解されるグルトモルフィンというペプチドが脳のアヘン受容体に結合するからです[2]。グルトモルフィンのおかげで、パンやケーキ、ラーメンなどグルテンを含む食品はやめたくてもなかなかやめることができません。グルトモルフィンが体内から完全になくなるには3カ月程度かかるそうです。



グルテンが引き起こす疾患

近年開発されてきた小麦の品種は、細胞障害性のあるグルテンを多く含んでいます。世界各地でお米の代わりに小麦を食に取り入れる西洋化が進むなか、グルテンによる疾患が年々増えているようです。グルテンが引き起こす疾患をより明確にするため、2011年に専門家団体はグルテン関連障害を以下のように分類しました。

グルテンによる疾患1 セリアック病
セリアック病とは、グルテンの摂取によって免疫系が刺激され、小腸の内膜が傷つけられ破壊されてしまい、食物からの栄養素の吸収が妨げられる自己免疫疾患です[3]。セリアック病の羅漢率は世界各地域でおよそ0.5~1%と推定されています[4]。セリアック病の患者は慢性的な腹痛や下痢、便秘などの消化器症状を発症するほか、約50%の患者は貧血、骨粗鬆症、神経系の障害や皮膚疾患などの症状を発症します[5]。

グルテンによる疾患2 小麦アレルギー
小麦アレルギーは、グルテンを含む小麦のタンパク質をアレルゲンとしてアレルギー症状を起こすものです。嘔吐や腹痛などの消化器症状のほか、皮膚症状や呼吸器症状、アナフィラキシーショックなどを引き起こす恐れがあります[6]。小麦だけでなく、グルテンを含む大麦やライ麦も交差反応でアレルギー症状を誘発する可能性があるといわれています[7]。

グルテンによる疾患3 非セリアック・グルテン過敏症(グルテン不耐症)
グルテン過敏症は、セリアック病と小麦アレルギー以外で、「グルテンを含む食品を食べることによって腸および腸内外の症状が発症し、グルテンを食べないことによって改善される疾患」のことです。グルテン過敏症では、リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)という、腸のバリア機能が低下した状態がみられます。腸のバリア機能が低下すると、未消化の食べ物や細菌、毒素が血液中に侵入し、全身に回り炎症を起こし、さまざまな悪影響を及ぼします[8]。
グルテン過敏症の症状としては、腹痛、下痢、疲労感、不快感、吐き気など。さらに、関節痛、筋肉痛、頭痛、不安感など、腹部から離れたところでもトラブルを起こします[9]。

また、グルテン過敏症では脳への血流不足が発生し、そのためグルテン過敏症の4人に3人は脳の一部への酸素供給が十分でなくなるといわれています。

さらに、最近になって、グルテンと自閉症との関連性が注目されてきています。自閉症児は、便秘や下痢などの胃腸障害を持つリスクが高く、それが気分や行動パターンにも影響があると考えられています[10] [11]。

また、一部の自閉症の子供は、通常発達の子供と比べ、よりグルテンに対する免疫応答性が高いことが最近の研究で示されました[12]。厳格なグルテン(共にカゼイン)を除去した食事法を自閉症児にさせることで、症状が改善されたという報告がいくつかあります[13] [14] [15]。グルテンを食事から除去することで自閉症児が抱えるあらゆる症状が完全に治るというわけではありませんが、一部の人はグルテンフリーの恩恵を受けているようです。



グルテン過敏症を改善するには?

テニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手は、グルテン過敏症です。以前は原因不明の腹痛などの体調不良に悩まされていたそうですが、グルテンフリーにしたことですっかり良くなり、世界ランキング1位になれたそうです[16]。

セリアック病や小麦アレルギーなどと違って、グルテン過敏症には明確な血清的、組織病理的基準がないため、確定診断の方法はないようです[17]。しかし、グルテンが原因と思われる不調があるなら、グルテンフリーを試してもよいかもしれません。

グルテンフリーの食生活にすることはなかなか大変なことです。グルテンは私たちが毎日のように食べている小麦製品であるパン、うどん、パスタ、ピザ、ラーメンなどはもちろんのこと、ビールなどのお酒、うま味調味料、ドレッシング、かまぼこなどの加工食品にも含まれているからです。



小麦を避けただけではNG!?

グルテンは、思わぬところで食品に含まれていることもあります。植物性タンパク質、タンパク質加水分解成分、増粘剤、分散材、デキストリン、充填剤などの材料にグルテンが含まれている可能性があるのです。アイスクリームにグルテンが含まれているなんて、なかなか気がつきませんよね。

今後、食品を購入する場合には、成分表示をしっかり見て、小麦が含まれているか、名前を変えたグルテンが含まれているか確認していくべきでしょう。


まずは2週間グルテンフリーを試してみよう!

このように多くの食品に含まれているグルテン。特に病気で困っているわけでもない人もグルテンフリーにするべきかは、専門家によって考え方が分かれるところです。また、グルテンの悪影響は個人差が大きく、全ての人に当てはまる答えはありません。それでも、少しでも自らのパフォーマンスを向上させたいと考えるgeefee読者の場合、一度グルテンフリー生活を試し、体調に変化があるか観察することをお勧めします。

まずは2週間、グルテンフリーの食生活を試してみましょう。グルテンが入っている食品はあまりに多いので、100%完全にグルテンフリーにするのが難しい場合は、パンや麺類など、小麦を多く使用した食材を控えることから始めてください。

グルテンの持つ中毒性のため、グルテンフリーの実践には強固な意志が必要です。パン屋さんの前を通るたびに誘惑と闘うことになるでしょう。でも、2週間ほど経過すると、不思議と小麦製品を食べたいという欲求が消えるかもしれません。そうなればしめたもの。低糖質の食事にするという観点からも小麦製品は避けたほうがいいので一石二鳥なのです。その後の体調に良い変化があった場合は、ぜひ続けてみてください。iHerbで「グルテンフリー」と検索すると実に様々なグルテンフリーの食材が現地価格で買えますよ。アメリカのこういった健康食品の豊富さは本当にすごいです。

(※mono....以下引用文献略)















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最終更新:2022年02月14日 08:12