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■ 山中教授に2億5千万の科研費、山口二郎には6億円 ~ 国費の投入先を見直せ! 「私的憂国の書(2018.5.2)」より
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 税金がらみといえば、高須クリニックの高須克弥院長の行動が痛快だ。高須院長の故郷、愛知県西尾市の教育委員会が、前川助平の講演会を後援していた事に憤慨し、西尾市にあった住民票を移すと公言し、実際にそれを行動に移したという。高須院長の納税額は数十億円と推定され、焦った西尾市は高須院長にコンタクトし、引き止めに全力をかけると思われる。

 高須院長は、納税者として可能な抗議の手段を取ったわけだが、院長が高額納税者であるから西尾市が引き止めに走ったわけで、我々庶民が単独の行動で、行政を動かせるわけではない。行政を動かすには、何らかの集団のちからが必要になる。その集団のちからを発揮したい対象が、科学研究費補助金の分配問題である。櫻井よしこ氏が新潮に、「科研費の闇 税金は誰に流れたか」という記事を寄稿しており、その中で櫻井氏は、あの山口二郎大センセーに16年間で6億円近い科研費が流れたことを指摘している。正確には、自民党の杉田水脈氏との討論で明らかになったことだ。

 山口二郎センセーは、Twitterで学者とは到底理解できぬ表現を用い、呟いている。


 で、そのコラムが下記だ。


【本音のコラム】 山口二郎 学問の自由 (東京新聞)
 公のメディアで発言する以上、私の主張に対して批判があるのは当然である。しかし、根拠のない言いがかりには反論しなければならない。
 このところ、政府が研究者に交付する科学研究費について、杉田水脈、櫻井よしこ両氏など、安倍政権を支える政治家や言論人が、「反日学者に科研費を与えるな」というキャンペーンを張っている。私は反日の頭目とされ、過去十数年、継続して科研費を受けて研究をしてきたので、批判の標的になっている。
 櫻井氏は科研費の闇という言葉を使っているが、闇などない。研究費の採択は、同じ分野の経験豊富な学者が申請書を審査して決定される。交付された補助金は大学の事務局が管理して、各種会計規則に従って、国際会議の開催、世論調査、ポスドクといわれる若手研究者雇用などに使われる。今から十年ほど前には、COEと呼ばれる大型研究費が主要な大学に交付されたので、文系でも億単位の研究費を使う共同研究は珍しくなかった。研究成果はすべて公開されているので、批判があれば書いたものを読んで具体的にしてほしい。
 政権に批判的な学者の言論を威圧、抑圧することは学問の自由の否定である。天皇機関説を国体の冒瀆と排撃した蓑田胸喜が今に生き返ったようである。こうした動きとは戦わなければならない。

 もともとこの科研費の問題は、2月26日、杉田水脈議員の国会質疑で提起された。杉田氏は、科研費が南鮮市民団体と朝鮮半島統治時代の徴用工問題に取り組む国内学者に支給されていることを採り上げ、政府・外務省が取り組んでいる歴史問題の発信に「後ろから弾を撃っている構図」だと指摘した。

 更に、山口二郎が6億円近い補助金を受けているのに対し、ノーベル賞学者の山中伸弥教授が2億5千万と、山口の二分の一以下の補助しか受けられない不条理を知るに至り、世論は沸騰した。

 総じて、世論は学問の自由を制限しようとしているわけではなく、税金の投入先として、こういう学者の研究が適切なのかという点で疑問を呈している。「研究結果は公表されている」からOK、という次元とは異なるのだ。科研費は国費であり、国費を投入して研究をする学者等を援助することが目的だ。山口二郎が国費の投入先として適切か、ということなのだ。

 世論が疑問符を付けるのは、山口二郎が学者という側面以上に、運動家としての面が表に出てきているからだ。運動家を国費で補助するという、笑えない状況が起きて居る事実は、文科行政を見直す恰好の機会とすべきだ。


■ 日本の科学研究低迷の主要因は過度な競争原理の導入と選択と集中だ! 「真の国益を実現するブログ(2018-04-22 09:43:19)」より
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週刊東洋経済2月10日号では『大学が壊れる』とのタイトルが付され、中で日本の科学研究の量や質の急激な低下に対して警告が発せられています。
https://store.toyokeizai.net/magazine/toyo/20180205/

毎日新聞においては、『幻の科学技術立国~「改革」の果てに』とのタイトルの下に、4月5日から毎週特集が組まれています。
https://mainichi.jp/ch180409438i/%E5%B9%BB%E3%81%AE%E7%A7%91%E5%AD%A6%E6%8A%80%E8%A1%93%E7%AB%8B%E5%9B%BD
会員限定有料記事ではありますが、是非お読みいただきたいと思います

さて、日本の科学技術の論文数ですが、全米科学財団(NSF)のまとめた報告書によると、2016年は世界6位で2015年の3位から順位を下げています。
https://www.sankei.com/world/news/180125/wor1801250041-n1.html
また、世界シェアで見ても、主要先進国で日本だけが下落しているとのこと。そして、日本の科学研究論文の半分は国立大学が占めるそうですが、その国立大学の論文数が最も大きく減少しているとのこと。(厳密に言うと、論文数よりも論文の質が重要なんでしょうが)

(※mono....中略)
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つまり、「競争原理の導入」といわゆる「選択と集中」という「大学改革」により、研究の多様性を奪った結果、研究現場の活力が削がれ、論文作成の生産性が向上するどころか低下したのです。

先の週刊東洋経済の記事では、次のように締めくくっています。

そして今、国立大学は生き残りのために種々雑多な「大学改革」を迫られている。教育研究力を高めるための大学改革はしかし、多くの場合教員たちを逆に疲弊させ、傷を深める実態となっている。


■ 日本の科学研究はなぜ大失速したか 〜今や先進国で最低の論文競争力 - 研究費を増やすだけではダメ!:仲野 徹 「現代ビジネス(2017.4.5)」より
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どの指標をとっても退潮の一途
「なにを今さら」と大学などで研究している人たちは思っただろう。それに対して、一般の人たちは、「えっ!そうなのか」と驚かれたに違いない。

英科学誌ネイチャーに、日本の科学研究がこの10年間で失速していることを指摘する特集が掲載された。

ブレーキがかかった、などという生やさしい状況ではない。飛行機ならば今すぐ手を打たないとクラッシュしかねない失速状態にまで追い込まれていると言われたのだ。

論文データベースScopusによると、15年までの10年間に、世界中では論文数が80%増加しているのに、日本からの論文は14%しか増加していない。

特に、コンピューターサイエンス、私が関係する生化学・分子生物学、そして、驚いたことに、日本の得意分野といわれる免疫学で、その傾向が顕著である。

数が減っても質が保たれていればまだしもなのだが、ネイチャーが選定した各分野の超一流雑誌への日本からの論文数も残念ながら低下し続けている。また、日本の研究者が参加する国際共著論文の比率も続落と、どの指標をとっても退潮の一途であることが見て取れる。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 日本の科学技術力の再生はあるかpdf 「化学と工業:野依良治(2017年4月)」より
(※mono....前半略、詳細はサイトpdf記事で)
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科学研究の国際競争力の変動


 今世紀に入り日本人ノーベル科学賞受賞者は,2 名
の米国籍を含む 16 名を数え,米国の 63 名には及ばな
いものの,11 名の英国,7 名のドイツ,フランスを凌
ぐ。受賞の多くは20~30年の長期にわたる地道な研鑽
の結果であるが,現在でも多くの瞠目すべき成果が認
められ,日本人に創造力があることは明白である。し
かし,この個人的営みへの評価が,国全体の水準を意
味するものではない。
 まず,わが国の大学の国際的地位が大きく凋落し
た。タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)
の世界 200 位以内の大学が,2005 年から 2017 年の間
に 10 校から,東京大学と京都大学の 2 校に減った。9
校から 22 校に増えたドイツはもちろん,4 校の韓国や
中国にすら及ばない。東京大学も世界 39 位,アジア首
位の座を失い 4 位に甘んじる。
 科学論文の生産量は 5 位であるが,被引用数指標が
甚だ芳しくない。2002~2004 年と 2012~2014 年の 10
年間を全分野で比べると,わが国のトップ10%論文シ
ェアは世界 4 位から 10 位に低落し,一方,中国は 8 位
から 2 位に上昇した。さらに人口,研究開発費の少な
いイタリア,カナダ,オーストラリアにさえ後塵を拝
するのはなぜか。基礎から応用まで分野を問わず,全
面的な下振れ傾向にある。近年,日本の誇りでもある
化学分野さえ,2 位から 5 位に低落したことは信じ難
い。筆者は,商業的情報提供機関が差配する論文数,
論文被引用数による評価に対する批判者の一人である
が,総合的に判断しても衰退傾向は認めざるを得な
い。

低迷の主な原因は大学院体制にある


 衰退の主たる原因は一言でいえば,時代に不適応な
構造疲労した大学,特に大学院の体制にある。国立大
学は,「国有大学」でも「国営大学」でもない。わが国
に特有な行政,経営責任者,現場研究者の内向きな「協
調組合主義(corporatism)」を排して,本来の自立性と
自律性を取りもどし,V 字型回復を果たして欲しい。
 まず,経営責任者としての理事長と学務責任者とし
ての学長の役割分担により,経営基盤の脆弱性を克服
し,また教育研究理念の実現に向けた組織運営の司令
塔機能を回復したい。教員主導の研究体制は,2007 年
制定の改正学校教育法を遵守すべきである。世界標準
を求めたこの法令に基づき,教授,准教授,助教は全
て独立裁量権をもって,教育,研究を行う権利と義務
をもつが,実情との乖離は大きい。准教授,助教を配
下にもつ教授(講座,研究室)が世界水準 3 人分相当
の成果を生むとは到底思えない。特定の戦略目標研究
は別として,各人が自立し,責任をもって自律的に学
際,国際,産官学共同で「知の共創」をすることが,
最大の質的成果をもたらす。この法律無視が,組織の
新陳代謝を阻み,多様性を損ない,異分野融合,新領
域開拓に必要な気鋭の人材の枯渇を招いている。人工
知能(AI)技術の基盤である「深層学習」の出遅れは
その一例である。
 また若手教員に関わるテニュアトラック制度の全国
的な徹底と,博士研究員の社会流動,キャリア開拓に
注力すべきである。
 研究活動の中核を担うのは大学院生である。まず世
界標準に則り,国籍を問わず,すべての大学院生が自
立して教育を受け,闊達に研究に従事すべく経済環境
を整備すべきである。理不尽な現状が国内外の最優秀
な若者を遠ざけている。具体的には,大学は給付制奨
学金(scholarship)で授業料を相殺する。加えて研究責
任者(principal investigator)は自らの研究活動支援(research
assistant)に対して,また研究科(学部)組織は
教育補助(teaching assistant)に対する対価(fellowship)
として,学生たちに月額20万円以上を給付すべきであ
る。もちろん彼らの貢献の質が求める水準を満たすこ
とが前提である。自然科学系修士課程に 10 万人,博士
課程に 5 万人の学生がいるが,財源不足を理由に労働
法にもとることがあってはならない。

(※mono....以下詳細はpdf記事で)


■ 日本の科学研究はこの10年間で失速していて、科学界のエリートとしての地位が脅かされていることが、Nature Index 2017日本版から明らかに 「ネイチャー・ジャパン(2017年3月22日)」より
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Nature Indexによると、日本の科学成果発表の水準は低下しており、ここ10年間で他の科学先進国に後れを取っていることが明らかになりました。政府主導の新たな取り組みによって、この低下傾向を逆転させることができなければ、科学の世界におけるエリートとしての座を追われることになりかねません。

Nature Indexに収録されている高品質な科学論文に占める日本からの論文の割合は、2012年から2016年にかけて6%下落しました。中国の急速な成長の影響により、米国などの科学先進国が占める割合は相対的に低下していますが、日本からの論文発表は、絶対数も減少しています。Nature Indexに収録されている高品質の自然科学系学術ジャーナルに掲載された日本の著者による論文数は、過去5年間で8.3%減少しています。

これらの知見は、Nature 2017年3月23日号の特別企画冊子「Nature Index 2017 Japan」に掲載されているもので、このレポートでは、日本の近年の研究実績に関する情報を詳細に紹介しています。「Nature Index 2017 Japan」は、世界の8000以上の大学や研究機関による高品質の研究を追跡している Nature Indexのデータに基づいています(データ測定方法の定義については「Nature Indexについて」の項を参照ください)。

「Nature Index 2017 Japan」は、クラリベイト・アナリティクス社のウェブ・オブ・サイエンス(WOS)や、エルゼビア社のスコーパス(Scopus)データベースのデータも取り上げており、これらのデータから、日本の研究が低下傾向にあることがはっきりと現れています。WOSによれば、日本の論文出版数を2015年と2005年とで比較した場合、14分野中11の分野で減少しています。伝統的に日本が強い分野である材料科学および工学の論文出版数は10%以上減少しており、減少率が最も大きかったのが計算機科学で37.7%も減少しました。ただし、医学、数学、天文学の3つの分野においては、10年前よりも増えています。しかし、査読付き文献を広く網羅するスコーパス・データベースに収録されている全論文数が2005年から2015年にかけて約80%増加しているにもかかわらず、日本からの論文数は14%しか増えておらず、全論文中で日本からの論文が占める割合も7.4%から4.7%へと減少しています。

こうした全般的な低下傾向により、日本の若い研究者たちは厳しい状況に直面しており、フルタイムで働けるポジションも少なくなっています。日本政府の研究開発支出額は、世界で依然としてトップクラスであるものの、2001年以降ほぼ横ばいです。一方で、ドイツ、中国、韓国など他の国々は研究開発への支出を大幅に増やしています。この間に日本の政府は、大学が職員の給与に充てる補助金を削減しました。国立大学協会によると、その結果、各大学は長期雇用の職位数を減らし、研究者を短期契約で雇用する方向へと変化したのです。短期契約で雇用されている40歳以下の研究員の数は、2007年から2013年にかけて2倍以上に膨れ上がっています。

Nature Indexの創設者であるDavid Swinbanksは、次のようにコメントしています。「日本は長年にわたり、科学研究における世界の第一線で活躍してきました。しかし、Nature Indexおよび当社のパートナーから収集したこれらのデータは、日本がこの先直面する課題の大きさを描き出しています。世界各国が科学技術予算を増大させてきた中で、日本では2001年以来科学への投資が停滞しており、その結果、日本の機関では高品質の研究を生み出す能力に悪影響が表れ、衰えが見えてきています。こうした状況に対し、日本政府は取り組みを開始しており、大学改革を政府の最優先課題の1つとして掲げ、イノベーションと成長を促すための政策を模索しています。その1つ、長期的な職位を増やすための支援を行うことによって、大学に勤める40歳以下の研究者を2020 年までに10%増やそうという計画を、諸手を挙げて歓迎すべきでしょう。」

現在、高品質の科学研究を生み出している日本の機関トップ10を見ていくと、第1位は、世界有数の大学として長くその地位を確保している東京大学で、その後に京都大学(2位)、大阪大学(3位)、東北大学(4位)と続きます。そして日本最大の研究機関である理化学研究所が5位に入り、東京工業大学(6位)、名古屋大学(7位)、九州大学(8位)、北海道大学(9位)、国立研究開発法人物質・材料研究機構が(10位)となっています。

Nature Indexは、独自に厳選した自然科学系学術ジャーナルのリストよりデータを収録していますが、6月には、改訂した新リストに基づいてグローバルなデータを網羅した「Nature Index 2017 Table」を発表する予定です。

Nature Indexに関する詳しい情報については、natureindex.comをご覧ください。

編集の方々へ:

Nature Indexについて
2014年11月に初公開されたNature Indexのデータベースは、現役科学者からなる独立したパネルが選定した、68誌の自然科学系学術ジャーナルから出版される研究論文の著者の所属機関を記録しています。

ジャーナルの選定に関しては、大規模調査によって得られた2800人超からの回答に基づいて、検証を行いました。Springer Natureによれば、これら68誌からの引用だけで、自然科学系学術ジャーナルからの引用総件数の30%近くを占めると推定されます。

直近12カ月のNature Indexデータが、natureindex.com にて、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で公開されています。これにより、世界150カ国の8000以上の機関の最新の研究成果を分析することができるのです。同ウェブサイトでは、特定の研究機関から直近12カ月間に出版された論文情報を主題別に整理された形で閲覧することができます。各機関の国際的・国内的な共同研究に関する情報も入手できます。さらに2012年まで遡って、機関別・国別の年間ランキング表も見ることができます。ウェブサイトに無料登録すれば、ユーザーは、機関別・国別の研究成果発表数の経時的な変化を表示させることができ、さらなる分析を行うために生データをエクスポートすることも可能になります。

Nature Indexでは、以下の3種類のカウント法を採用しています:

  • Article count(AC)– 論文において、ある国ないし機関から1人でも著者として名前が挙げられていれば、その国ないし機関の論文1点(ACを1)として数える計算方法。その論文に著者が1人しかいなくても、100人の著者がいても、それぞれの著者の所属国(または機関)において論文1点として数えられることになるため、同じ1本の論文が、複数の国(または機関)においてAC として数えられることを意味します。

  • Fractional Count(FC)– FCは、ある論文に対する各共著者の相対的貢献度を考慮に入れる方法。論文1本につき最大FCは1.0です。この1点分を、共著者全員が等しく貢献したという仮定のもと、共著者間で等しく分けます。例えば、10人の共著者がいる論文の場合、各共著者はそれぞれ0.1分のFCを割り振られることになります。

  • Weighted Fractional Count(WFC) – 天文学および宇宙物理学の比重を調整するため、上記FCに対し重み付けを行う方法。これら2つの分野では、国際的学術ジャーナルで出版される全論文の約50%が、わずか4誌のジャーナルで発表されているのです。これは他の学術分野と比べると5倍も高い割合です。天文学および宇宙物理学の両分野のデータは、他の全ての分野と全く同じ方法で集計されていますが、こうした理由によってWFCでは、これら4誌の論文に、他の論文に比して5分の1の重み付けを行い、釣り合いを取っています。

詳細は、次の担当者までお問い合わせください。
大場 郁子
シュプリンガー・ネイチャー
E:Ikuko.Oba@springernature.com

※本プレスリリースの原本は英語であり、日本語は参考翻訳です。
英語プレスリリース


■ 山口栄一:イノベーションはなぜ途絶えたか - 化学立国日本の危機 「webちくま(2016年12月20日)」より
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1 イノベーションを生み出せなくなった日本企業

危機に直面するエレクトロニクス産業
 日本の科学が危機に瀕している。
 科学の中核をなす物理学や分子生物学の日本におけるアクティビティが今世紀に入って
低下し始めた。主因は担い手である研究者の減少による可能性が高い。
「近年日本人は、ほぼ毎年ノーベル賞を受賞している。自然科学部門での数は21世紀に入ってから米国についで世界2位ではないか」といぶかしく思う読者もいるだろう。しかしごく少数の例外を除いて、その受賞は20年以上前の研究成果に基づくものだ。
2016年のノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典さんも、受賞の会見で日本の基礎科学への研究費不足を挙げ、「日本の科学は空洞化する」と、危機感を表明していた。
 科学から連なるサイエンス型産業も衰退の一途をたどっている。かつて「科学立国」「技術立国」と呼ばれ、世界をリードしてきた日本は、その存在感を急速に失いつつある。
 なかでも今世紀に入ってから、日本のお家芸だった半導体や携帯電話をはじめとするエレクトロニクス産業の国際競争力は急落し、その生産額は最盛期の2000年から半減し世紀のサイエンス型産業の頂点に位置する医薬品産業も、日本は2000年初頭に国際競争から脱落してしまった。
 このことはとりもなおさず、日本のハイテク企業からイノベーションが生まれなくなっ
たことを意味する。

(※mono....中略)

 日本は今21世紀型のイノベーション・モデルを見つけられないまま漂流を続けている。制度を整えたうえで、ちりぢりになって漂っているボートから有能なイノベーターたちを救い出しさえすれば、この「沈みゆく船」を救うことができるはずだ。そのためには、今あるイノベーション・システムの隊列を根本から組み直さなければならない。
 本書は、日本再生に向けて設計図を描き出す試論である。以下、第一章から第五章まで、登場する方々の敬称を省略する失礼をお許しいただきたい。また役職は当時のものである。
 では、沈みゆく船を救うための航海に出ることにしよう。














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最終更新:2019年12月08日 10:20