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■ 放射性セシウム微粒子についての最新の研究論文の紹介(その1) 「さつきのブログ『科学と認識』(2017/8/27(日) 午前 0:16)」より

■ 放射性セシウム微粒子についての最新の研究論文の紹介(その2) 「さつきのブログ『科学と認識』(2017/8/28(月) 午前 0:13)」より

■ 放射性セシウム微粒子についての最新の研究論文紹介(コメント) 「さつきのブログ『科学と認識』(2017/8/29(火) 午前 0:14)」より
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 放射性セシウムに富む微粒子についての最新の研究論文(Imoto et al., 2017)を紹介したくて、前回まで2回に分けて拙い邦訳を掲載した。ここではその意味などについて、私なりに考えたことをまとめる。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)

なおブログ主さんは以下のサイトは参考になるとのこと。

 この問題にかかわっては次の二つの論考が大変参考になるのでお読みいただきたい。




■ 水にも酸にも溶けないガラス化した放射性セシウム 「逝きし世の面影(2018年04月03日)」より
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『原発事故7年“謎の放射性粒子”徐々に判明』2018年3月6日 日テレNews24
http://www.news24.jp/articles/2018/03/06/07387331.html

福島第一原発の事故からまもなく7年…最近になって「セシウムボール」と名付けられた極めて小さな粒子が確認され始めた。過去の原発事故では見つかっていない放射性粒子で事故直後に首都圏まで到達したとみられている。その最新の研究に迫った。

『73年ぶり2回目の極限まで劣化した「玉音放送」だったのか、?』
★注、
日本最大と言うよりも世界最大の大新聞社である読売新聞系列の日本テレビが制作した10分間もの長さの福島第一原発事故後に環境に放出された放射性微粒子(セシウムボール)の動画ですが、その内容が凄まじい。必見である。(3月6日 日テレNews24の録画ビデオ画像を見終わった私の感想ですが、・・・内容的にほぼ『玉音放送』なのである。何とも残念ではあるが遅かれ早かれ結果は孰れも同じで、これでは日本は助からないでしょう)

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)

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■ 原発事故で放出された放射性物質、謎のセシウムボールとは? 「週プレNEWS(2018.4.2)」より
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事故当時、福島第一原発から大量の放射性物質が放出されたことは知られているが、実はその中に謎の微粒子が混ざっていた…。

大気汚染物質PM2.5のように粒子が小さく、健康への影響も懸念されるセシウムボール、その実態とは?

福島第一原発事故から7年。原子炉から飛び散った放射性物質の中に「セシウムボール」と呼ばれる謎の微粒子が混ざっていたことがわかり、研究が進められている。その微粒子は水に溶けない性質を持ち、気管から肺に入ると体内に居座り続けるという指摘もある。

首都圏にも飛散したセシウムボールとは、いったいどんな物質なのか? 現時点で明らかになっていることを徹底取材した!

* *


+ 続き
原発事故で大気中に放出された放射性物質の中には、大量のセシウムが含まれていた。大きさは直径0.1μm(マイクロメートル、1mmの1万分の1)から1μmほど。それがガス状となって大気中を漂い、やがて地表に落下した。そして、その中にセシウムボールと呼ばれる微粒子が混ざっていることがわかった。

茨城県つくば市にある気象庁気象研究所で主任研究官を務める足立光司氏が、セシウムボール発見の経緯を次のように説明する。

「この研究所では気象観測に役立てる目的で、『ハイボリュームサンプラー』という装置を使って大気中に漂う微小な粒子(エアロゾル)をモニタリングしています。原発事故後、粒子を付着させるフィルターを12時間ごとに交換していたのですが、事故から3日目の3月14日分のものは少し様子が違ったのです」

フィルターは長方形で20cmほどの大きさ。通常、ガス状のセシウムなどが付着すれば真っ黒になる。

そして原発事故で放出された放射性プルーム(放射性物質が雲のような塊になって大気中を漂う現象)が関東地方を通過したピークは3月15日と20日といわれている。気象研究所に残されている20日のフィルターは真っ黒だ。しかし、同様に黒くなってもおかしくない14日のフィルターはそれほどでもない割に、放射能は事故前のおよそ1000万倍に相当する値を計測していたのだ。

「何かおかしいと感じ、フィルターのどこに放射性物質があるかを特定し、その部分を電子顕微鏡で観察しました。すると、2.6μmの丸い粒子が見つかったのです。粒子はケイ素、鉄、亜鉛などからできていて、その中にセシウムが含まれていました。重さに占めるセシウムの割合は5.5%で、およそ6.6Bq(ベクレル)の放射能を計測しています。そうした粒子がフィルター全体に100個ほど付着していたのです」(足立氏)

ちなみに、足立氏が見つけたセシウムボールの大きさは、大気汚染の原因物質で吸い込むと肺の奥まで入り、ぜんそくや肺がんの原因になるといわれる「PM2.5」と同サイズだ。

このセシウムボールは過去の原発事故では見つかっておらず、福島の原発事故後、初めて確認された物質。それがなぜできたのか、はっきりとしたことはまだわかっていない。

一説には、事故で核燃料から溶け出したセシウムが断熱材など原子炉内の構造物に吸着し、水素爆発などでガラス状の粒子に包まれたのではないかと推測されている。確かに、セシウムボールを構成するケイ素(ケイ酸塩ガラス)は断熱板やコンクリート、鉄は鉄筋、亜鉛は塗料など、原子炉建屋の材料になっている。

また、厳密に言うとセシウムボールにはウランなどほかの放射性物質も含まれていることがわかっている。だが微量のため、名称にはセシウムが使われているのだ。

◆関東だけではなく、日本中に拡散!? この続きは『週刊プレイボーイ』16号(4月2日発売)「人体や環境への影響は? セシウムボールの正体」にてお読みください。




■ セシウムボールに関する論文の波紋〜線量計測値公表には注意が必要 「放射線ホライゾン(2017年08月10日(木)16:31)」より
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一方では国内でもセシウムボールが事故直後の原子炉の状態を知る上で、手がかりとなるため研究発表が相次いでいる。ここでは些細な表記上の間違いが元でメデイアがパニックになっているセシウムボールを(注1)含む高線量放射性粒子に関する論文(Science of The Total Environment, 607-608, 1065 (2017))を紹介する。なおセシウムボールについては本コラムの記事「セシウムボール」を参考にしていただきたい。

再びセシウムボールパニック

(注1)2013年につくば市の気象研究所の研究グループがセシウムボールをフイルターから採取している(Adachi et al., Sci Rep, 3 (2013), p. 2554)。セシウムボール密度の計測を続けると3/14夜から3/15朝と3/20夜から3/21朝にピークがあり、CTBT高崎観測所の放射性粒子の線量測定結果によく一致することから、この時間帯に福島第一原子炉からセシウムボールを含んだプルームが大量に放出されていたことが明らかになっている。

ここで紹介する論文は計測したセシウムボールの最大線量が1015Bq/kgであるとしたため、このありえない「異常な数値」が一人歩きして、そのままメデイアに流れて話題となっている。論文をよく読めば1MBq/kgを1MBq/μgとした誤りであることがわかるのだが、メデイアはabstractしか読まなかった。国内でも最近、福島第一の格納容器内のロボット調査でも、測定ミスから高線量の計測結果を海外のメデイアがそのまま伝えたことで風評被害が起きている。



ここでは問題の論文を紹介し、誤解が何故起きたのかをみてみよう。論文の試料となったのは2011年から5年間に渡り日本国内と北米で採取された粉塵と土の計235個で、分析手法は一般的なもので、ガンマ線スペクトロメータ、SEM、エネルギー分散X線分析(EDAX)である。

その結果、Cs134とCs137が検出された試料は日本で採取された180個のうちの142個で、線量中央値3.2kBq/kg±1.8kBq/kg、平均25.7kBq/kg、σ=72kBq/kgとなった。北米の試料では線量平均が0.030±0.10kBq/kgのセシウムが、32個の粉塵試料の1個、74箇所から採取された土試料32個に観測された。測定結果は下のヒストグラムにあるように、セシウム全体(Cs134+Cs137)の最大で高々1000Bq/kgを超えた程度である。


なお日本国内の中の一部(9試料)が250kBq/kgと異常に高い値を示したため、線量平均が押し上げられることとなった。これまで日本国内で300以上のセシウム含有量が1%以上の高線量粒子(セシウムボール)が報告されているので、それらの中には高線量のものもあると考えればこの研究の高線量粒子がセシウムボール出会っても不思議ではない。論文はこうした高線量粒子を吸引したとすれば、シリケートが肺に留まり排出されないため、内部被曝の恐れがあることを指摘している。またこのためこれまでの人体への影響の見積もりには空間線量が使われていたため、高線量のセシウムボールを含めて評価を行う必要があるとしている。この議論には問題はなさそうである。では一体、何が問題になったのか。

今回の論文では高線量(>1MBq/μg)のセシウムボールが含まれていた可能性を示唆しているが、そのような異常に高線量のセシウムボールが粉塵として空気中を漂っていると報道された。これが間違いであることは論文中(Resultsの最初のパラグラフ)に下記の記述があることからはっきりする。

The activities of the dust and soil samples ranged from undetectable (< 0.1 kBq kg− 1above background) to 1500 kBq kg− 1.

これがabstractでは下記のようにとんでもない数値に化ける。

Some particles reached specific activities in the MBq μg− 1 level and higher.



こうした些細な間違いは計測者や論文の著者、そしてそれらを鵜呑みにするメデイアによって拡散される。仮にパニックにつながるような数値が出てきたら、まず計測結果を疑うべきだろう。細かいことを言えば線量が強すぎると検出器が飽和して、計測できなくなる場合もある。例えばスリーマイル島の事故では半導体検出器)(SSD)が飽和して計測不能に陥った。

話を福島第一に戻すと間違いとは言え海外に今でも多くみられる誤った認識を正し、疑惑を晴らすためにも、プルーム放出と炉心溶融の対応関係を電力会社は公表すべきなのではないだろうか。



追記:08.10.2017

最後にこの分野の専門家である「セシウムボール」記事の著者から以下のコメントがあったので追加しておきます。筆者も車のエアコンフイルターの線量計測をやろうと思います。まだまだ研究対象としては多くの未知の部分があるこのテーマを若い研究者の皆さんが興味を持って、研究していただけたら、という意見に筆者も同感です。

コメント

セシウムボールは微小であり、一般の放射性セシウムと同様、あるいはそれ以上に、再浮遊がおこっても不思議ではありません。2011年の夏以降に長崎に飛んできたエアロゾルに含まれていた放射性セシウムの多くが朝鮮半島に降下したものの再浮遊物であると考えられます。コケに含まれる放射性セシウムは、全国規模に分布しています。このことから、放射性セシウムは再浮遊によって拡散しているのではないかと思います。セシウムボールも風が吹いたら舞い上がり、再浮遊して拡散するのではないでしょうか。これを実証するために、遠距離に拡散したセシウムボールを簡単に捕まえる手段があるといいのですが。














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最終更新:2018年04月04日 20:38