+ ニュースサーチ〔一帯一路〕




■ イタリア、急速に深化した対中関係が裏目に?「感染拡大の要因」指摘の声 「讀賣新聞(2020/03/12 07:40)」より
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【北京=中川孝之】イタリアでの新型コロナウイルス感染拡大の要因として、近年結びつきが強まる中国との関係を指摘する声が上がっている。イタリアは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に昨年参加し、民間レベルでも人の行き来が拡大しているためだ。


 中国外務省によると、王毅ワンイー国務委員兼外相は10日にイタリアのディマイオ外相と電話会談し、マスクの提供や医療チームの派遣を申し出た。電話会談は2月28日にも行われ、王氏は「健康のシルクロード」を共に築きたいと語り、支援の意向を伝えていた。

 習近平シージンピン国家主席は昨年3月にローマを訪問し、先進7か国(G7)との間では初めてとなる「一帯一路」の協力文書をコンテ首相と交わした。両国は今年を文化・観光交流を促進する年と位置づけ、1月にローマで記念式典も開いた。

 こうした関係強化が裏目に出た可能性がある。昨年イタリアを訪れた中国人観光客は、前年比100万人増の600万人に達したとの試算がある。イタリアでの感染拡大との因果関係は不明だが、ロイター通信によると、1月末にイタリアで最初に感染が確認されたのは、湖北省武漢市から旅行に来た中国人の夫婦だった

 イタリアでは中国系住民が増加しており、全土では約40万人に達するとされる。中国系住民の7割は、中国本土で感染が深刻な浙江省温州市の出身者が占め繊維関連の工場で働く労働者が多い。経済的な相互依存関係も感染拡大の背景にある可能性がある。
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■ ひっそりと開催されていた香港での一帯一路サミット 「イヴァン・ウィルのブログ(2019年9月14日)」より
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 香港での抗議活動が続く中、9月11日~12日に予定されていた「一帯一路サミット」が無事に行われるのだろうか、習近平氏は出席して演説をするのだろうか、と私は注目していました。結果は、「一帯一路サミット」は予定通り9月11日~12日に香港で開催され、香港の林鄭月娥行政長官が挨拶をしましたが、習近平氏は出席しませんでした。習近平氏については「ビデオメッセージで演説」ということもなかったようです。

 私が一番びっくりしたのは、この「一帯一路サミット」について、「人民日報」も中国中央電視台の夜7時のニュース「新聞聯播」も全く報じなかった、ということでした。「人民日報」ホームページ内にある「一帯一路」の特設サイトに入ると香港で「一帯一路サミット」が開かれた事実が報じられた記事も載っていましたが、ほとんど「ベタ記事扱い」のような簡単に事実関係を伝えるものでした。「一帯一路」は習近平氏が言い出し始めた一大プロジェクトですので、これまでの「一帯一路サミット」には習近平氏が参加し演説を行って、中国国内でも大々的に報じられてきました。それに比べると今回の香港での「一帯一路サミット」は開催されたのかどうか中国の人々でも気付かない程度に「ひっそりと」行われたようです。開催を内外に宣伝することにより、抗議活動をする人たちにとって「格好の宣伝の場」となり、抗議活動を高揚させる効果があるだろうと思われていたので、中国当局は意図的に宣伝を抑えて「ひっそりと」開催することにより抗議活動の高まりのきっかけとなることを避けたかったのかもしれません。

(※mono....中略)
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 最近、このブログで毎週書いていますが、最近の中国での報道は、内外に重要な政策課題が山積する中、国家主席の習近平氏が全く何も発言しない一方、夏休み明け最初に甘粛省の敦煌(とんこう)研究院を視察したりバスケットボール・ワールドカップ開会式に出席する習近平氏を大々的に報じたり、まるで「これだけ内外に重要な問題を抱えているのに、習近平氏の言動はピンボケだよね」と意図的に宣伝しているようにさえ見えます。今、もっとも重要な交渉相手であるアメリカのトランプ大統領の行動が全く「予測不能」であるため、仮に習近平氏が重要な意思決定を表明した後でトランプ氏に「ちゃぶ台返し」をされて習近平氏にキズが付くのを避けるため、あえて習近平氏は重要課題について何も発言しないでポイントを避けた「ピンボケ」な行動をしているのだ、という見方もあるのかもしれませんが、中国の人々はどう感じているのでしょうか。私には、習近平氏が既にレームダック化している(中国共産党内部も中国政府の官僚機構もコントロールできていない)ようにしか見えないのですが。

 このような習近平氏の言動や世界から「どうやって平穏に開催するのか」と注目されていた香港での「一帯一路サミット」について、予定通り開催したけれども、「人民日報」や「新聞聯播」で全く報道せず、「へ? 『一帯一路サミット』ってそんなに重要なイベントでしたっけ?」としらばっくれるような中国政府のやり方がいいのか悪いのかは、これからおそらく中国の人々が判断していくことになるのだろうと思います。

参考関連記事
■ 中国の一帯一路の戦略が事実上破綻している理由 「ニッポン放送(2019/04/29 12:54 )」より

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★ 日本の「一帯一路」、中国の陰でアクセル全開 「WSJ(2019 年 8 月 3 日 01:55 JST)」より
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 東方のある経済大国が、アジア新興国への金融支援で存在感を増している。いや、あの国ではない。

 国際決済銀行(BIS)が今週公表したデータによると、対外融資で「ある通貨」が突出した伸びを示した。日本円だ。2019年1-3月期(第1四半期)に日本国外の円建て借り入れ額は前年同期比12.5%増加し、伸びはドルやユーロを上回った。これにより、総残高は8年半ぶりに50兆円の大台を突破した。

 とりわけ借り入れの伸びが顕著なのが、日本の近隣諸国だ。アジア・太平洋諸国への融資は3月までの1年間に32.8%急増し 、6兆5800億円に達した。これは断トツで過去最高の水準だ。融資の大半は民間向けだが、その多くが政府系の国際協力銀行(JBIC)による支援を受けている。 

+ 続き
 もちろん、円建て融資の総額は、圧倒的な存在感を示すドルに比べるとまだわずかにとどまる。国境を越えるドル建て融資は20倍以上の規模だ。

 だが、アジアでは増加のペースが重要になってくる。アジア向けの対外融資については、日本か中国が主な貸し手だ。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」はより多くの注目を集めているものの、途上国に対する日本の融資は中国よりも広範囲にわたり、しかも一段と速いペースで伸びている。

 BISのデータは、中国人民元のように、国際的に広く使われていない通貨については内訳を示していない。国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、国際決済システムで人民元が使われる割合は2%にも満たない。だがBISの国別データによると、中国の銀行による海外融資は1-3月期に457億5000万ドル(約4兆9000億円)増加した。それに対し、日本の融資は2225億1000万ドル増えている。

 日本が自国通貨建てで対外融資を行えること(中国がなかなか模倣できないでいる点だ)が、おそらく最も重要な要因だろう。これにより、日本の借り手は大規模なインフラ案件で、日本企業を請負先に選ぶ可能性が高くなる。中国の銀行が供給できるドルには限界があるが、日本の銀行が供給できる円が同じように制限されるわけではない。

 借り手が円を受け取ることに満足している限り、そして融資が金銭的に実行可能な限り、アジア諸国向けの日本の融資に限界はない。


■ 一帯一路フォーラムで見せた習氏の低姿勢、中国経済の危機を反映 「勝又壽良の経済時評(2019-05-07)」より
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偽装だった「一帯一路」
経常赤字国転落への悲哀
国内市場の開放で活性化
日本を見本にし構造転換

北京で4月25日、3日間の日程で開催された「一帯一路」第2回国際フォーラムは、2年前の第1回の同フォーラムに比べて暗い雰囲気でした。米国政府は代表団を送らず、日本は政府でなく自民党二階幹事長が党代表で参加しました。米国では26日に、日米首脳が親密な会談を繰り広げ、中国とは一線を引く明確な姿勢を見せたのです。

前記の第2回国際フォーラムでは、G7の中ではイタリア首相が唯一の出席者となりました。イタリア首相は、フォーラム参加者全員が付けた大きなバッジも付けず、G7の他国に恭順の意を示すような慎ましやかな態度を取りました。この裏には、次のような事情がありました。

ドイツのペーター・アルトマイヤー経済相が「一帯一路」について、次のように発言していたのです。「欧州では一帯一路について懐疑的な見方が多く、多くの人々が中国への依存を懸念している」と指摘。また、マース外相が「EUの一部の国が中国人と賢い商売をすることができると信じるならば、その結果は驚くべきものとなり、そして最終的に中国に依存していることに気づくことになるだろう」と述べるなど、「イタリアを鋭く批判した」と報じていました(『レコードチャイナ』4月22日付け)。

(※mono....中ほど略)
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偽装だった「一帯一路」

以上の記述において、中国の「一帯一路」への風当たりが大きく変わったことを理解していただけると思います。私は、最初からこの「一帯一路」に疑いの目を向けてきました。日本のメディアでは産経新聞を除いたすべての社が、社説で一帯一路参加論を打ち上げていました。

私の反対理由は、中国の国益増進が主眼であることでした。過剰在庫の鉄鋼・セメントなどの建設資材の販売先確保が目的である。同時に、地政学的利益の拡張です。平和的な手段で中国共産党の権益拡大を狙ったものでした。それは、世界の安全保障体制をひっくり返す目的でもあったのです。

(※mono....中ほど略)
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習氏はフォーラム閉幕の記者会見で、期間中に参加企業が640億ドル(約7兆円)規模の協力事業で合意したと語りました。過去、中国の「一帯一路」融資総額は4400億ドルです。これに比べて今年の640億ドルは、規模が少なすぎます。利益率の高いうま味のある融資案件が減ったことと、中国の融資能力の限界がもたらした結果と見られます。

習氏は、2年後になるはずの第3回国際フォーラム開催には触れていません。共同声明に「第3回を期待」と記しただけでした。2年前の第1回国際フォーラムと違い、やる気がなくなってきたようです。経常赤字国の中国には、荷が重い事業なのです。


■ 一路一帯の関係諸国でトラブル噴出 「社会科学上の不満(2019-02-25 00:00:59)」より
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 《 中国が推進するシルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、パキスタンやマレーシアなどの関係諸国でトラブルが噴出している。

 重い債務負担に苦しむ国が相次いでおり、中国からの借り入れを「債務のわな」と警戒する動きが広がる。習近平国家主席の提唱から5年が過ぎ、地球規模の壮大な構想は曲がり角に差し掛かっている。  》 

ここまで一部引用、続きは記事ソースをご覧ください。

http://news.livedoor.com/lite/article_detail/15866040/ ←※mono...この記事は削除されているので下の「5ch」記事を参照のこと。
引用元: ・http://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1547338067/

1ガーディス ★2019/01/13(日) 09:07:47.56ID:hFhnPGUD9>>16>>44>>92>>101>>116>>129>>141>>185>>219>>224>>246>>260>>262>>295>>305>>314>>364>>424>>433>>447>>467>>490
2019年1月12日 15時38分
時事通信社

 中国が推進するシルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、パキスタンやマレーシアなどの関係諸国でトラブルが噴出している。

 重い債務負担に苦しむ国が相次いでおり、中国からの借り入れを「債務のわな」と警戒する動きが広がる。習近平国家主席の提唱から5年が過ぎ、地球規模の壮大な構想は曲がり角に差し掛かっている。

 ◇中国の在外公館襲撃

 「中国は土地の占領と資源の収奪を目指している」。パキスタン南部カラチにある中国総領事館が2018年11月、武装集団の襲撃を受け、パキスタン人警察官や市民ら4人が死亡。分離独立を唱えるバルチスタン州の過激派「バルチスタン解放軍(BLA)」が犯行声明で、中国を厳しく非難した。

 中国の友好国であるパキスタンは「一帯一路プロジェクトの要衝」(北京の外交筋)と言われる。現在、中国西部とパキスタン南西部グワダル港を結ぶ中パ経済回廊(CPEC)の構築が進むが、襲撃が相次げば事業の遂行に影響が出かねない。

 スリランカでは中国からの借り入れで港湾を整備した結果、返済不能に陥り、中国国有企業に99年間にも及ぶ運営権を譲渡。債務のわなにはまった典型例と言われた。モルディブでは、中国の資金で住宅開発などを進め、対中債務は国内総生産(GDP)の4分の1超に膨らんだとされる。

 ◇地元にメリットなし

 東南アジアでも混迷が拡大。マレーシアでは、中国の銀行融資などで建設する東海岸鉄道線計画をめぐり、「マレーシアに何のメリットもない」(マハティール首相)と見直しの動きが出ている。ただ、一方的に中止すれば中国側に多額の違約金を払う必要があり、対応を検討中だ。

 中国は15年、日本との競争を制し、インドネシア・ジャワ島の高速鉄道建設を受注。だが、土地収用が順調に進まないことを理由に中国側が資金を出し渋り、今年5月の完成予定が少なくとも2年遅れとなっている。



AIIBの躓きで資金がない中国、慌てて投資を回収と言う流れか?それとも最初から99年の租借が目的だったのか?
日経新聞や朝日新聞、これが一帯一路の顛末だ。散々煽り記事を書いた責任はないのか?
関係国で被害にあってる国が同時に中止すればいいだけ
一国でやろうとするから抵抗できないとの書き込みに座布団1枚。

(※mono....中略)
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国の高官が賄賂に転んだ結果に過ぎない、先ずは中国から賄賂をもらい国を売った輩の処分が先。これが出来ないから先進国になれない。
法治国家が大原則の先進国、あっ!韓国も違うと言うことね。


■ 中国、「終焉」一帯一路関係国の国民が政府へ反旗「見直し要求」 「勝又壽良の経済時評(2019-01-02 05:00:00)」より
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中国の政策は、場当たり的であることがますますはっきりしてきた。笛や太鼓で騒いだ「一帯一路」が、プロジェクト対象国を債務漬けにしたことで、中国の信用はガタ落ちである。中国が、長期的な戦略で世界的に中国の影響力を強めるものであったならば、あのような露骨な形で相手国を食いものにすることをしなかったと見られる。

要するに、戦略もなければ戦術もなく、ただ財政的な弱小国へ過剰貸付をして、中国の意のままに動かすという意味でしかなかった。今、前記の債務漬けにされた諸国の国民が、一斉に「反中」色を強めて中国を攻め立てる方向に舵を切っている。中国は、思わぬ落し穴に落込んだ形だ。

『ブルームバーグ』(12月31日付)は、「一帯一路追従に反発、貧困国で汚職疑惑、有権者に反中感情の火種」と題する記事を掲載した。

(1)「インド洋に浮かぶ島国モルディブ大統領選挙で、親中派のヤミーン大統領が敗北。政権交代を果たした新政権が目にしたのは借金の山だ。ニューデリーを最近訪れたモルディブ当局者が口にしたのは、GDPの20%近くに相当するあまりにも大きな対中債務と説明不可能な前政権の『一帯一路』偏重に対する不満だ。中国の習近平国家主席が肝煎りで進める巨大経済圏構想を重視するあまり、モルディブ前政権は5400万ドル(約59億6000万円)での病院建設応札を拒否し、1億4000万ドルという水増しされた中国案を選好していた。『われわれはやけどしたのだ』とモルディブのイスマイル経済開発相は嘆く」

(※....中ほど略)
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(5)「ユーラシア・グループでアジアを担当しているケルシー・ブロデリック氏は、来年4月のインドネシア大統領選に向けた選挙戦では中国の投資プロジェクトに対する厳しい検証が争点に浮上する可能性があるとみている。『一帯一路にもろ手を挙げて賛同してきた現職候補に勝つため、世界中の候補者が中国への借金に対する国民の懸念を利用している』と分析。反中国を掲げ10月のブラジル大統領選で勝利したジャイル・ボルソナロ氏を例に挙げたブロデリック氏によれば、ケニアやザンビア、タイでも同じような論戦が展開される公算が大きい」

インドネシア大統領選では、中国による投資プロジェクトの当否が争点になるという。例の高速鉄道建設が問題になっているのだろうか。建設が大幅に遅れているからだ。日本の新幹線採用計画を賄賂で横取りした報いだ。事前調査もせず、日本の作成した設計図を不法入手して、それで入札に参加したあくどい遣り方である。ケニアやザンビア、タイでも同じような論争が見込まれるという。一帯一路計画は総崩れだ。

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★■ 「一帯一路」追従に反発 貧困国で汚職疑惑 有権者に反中感情の火種 「Sankei Biz(2018.12.31 08:52)」より
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 インド洋に浮かぶ島国モルディブのヤミーン大統領(当時)は8月下旬、2つの島を結ぶ長さ2.1キロメートルの海上橋「中国モルディブ友好の橋」の開通を祝った。中国勢が建設したこの橋を「明日とその先にある好機につながる入り口」だと歓迎した。

 しかし、その1カ月後の大統領選挙でヤミーン氏は敗北。政権交代を果たした新政権が目にしたのは借金の山だ。大統領時代に反対派や判事を投獄していた親中派のヤミーン氏は、この海上橋に加え、主要空港の新滑走路や住宅開発、病院の建設で中国側から巨額の借り入れを行っていた。

債務はGDP比20%


(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 中国、「一帯一路」安易な融資が招く対外負債急増「空手形乱発」 「勝又壽良の経済時評(2018-08-13 05:00:00)」より
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中国の「一帯一路」戦略は、共産党序列5位の王滬寧(ワン・フーリン)中央政治局常務委員の発案である。この王氏は、「米国覇権挑戦論」を習近平氏に勧めた人物だ。この王氏の発想法から判断して、「一帯一路」が米国覇権への挑戦として始められた「世紀の大事業」であることが分る。

昨年5月、「一帯一路」シンポジュームが北京で開催された際、欧州各国から代表が参加した。その折、共同宣言をめぐり中国が妥協せず、欧州各国は署名せず帰国した一件がある。中国が妥協を拒んだのは、「一帯一路」が中国の「米国覇権挑戦」と深く結びついていたからだ。

このような視点で「一帯一路」を見ると、経済的な合理性は二の次であり、中国の政治勢力拡大が最大目的であることが分る。実は、中国の対外負債は昨年、約5550億円も増えている。この外部調達で得た資金を、あたかも自己資金のように装ってばらまいていた。昨年、中国は日本に対して火のついた慌てぶりで、「一帯一路」参加を求めて接近してきた。

この裏には、日本を利用して資金の肩代わりを狙っていたのであろう。日本側は、こうした裏事情を察知したのか、「一帯一路に参加はするが日本のペースで」と釘を刺して、直接的な関わりを回避した。正解であった。中国の目論見では、日本を「財布」代わりに利用したかったはずである。危ないところだった。

(※mono....中略)
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政治的意図で融資する

『フィナンシャルタイムズ』(8月9日付)は、「中国、南太平洋で援助拡大 債務危機招く恐れ」と題する記事を掲載した。
+ 記事
☆ 〈FT特約〉中国、南太平洋で援助拡大 債務危機招く恐れ 「日本経済新聞(2018/8/10付)」より
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 中国は、南太平洋地域で第2位の援助供与国として地位を確立、この7年間で60億ドルのプロジェクト資金の提供を約束している。だが新たなデータは、南太平洋諸国が中国から約束された資金援助の2割弱しか受けていないことを示している。資金は主として道路や工業施設の整備に充てられている。

 シンクタンクの豪ローウィー研究所の調査報告書によると、そうしたインフラ事業は往々にして中国の影響力拡大と貿易の促進を目的に立案される。実施までに時間がかかり、市場レートより低利での融資の形を取ることが多いという。

 南太平洋地域での最大の援助供与国は依然オーストラリアで、2011~18年に67億2千万ドルの資金援助を約束し、65億8千万ドルを支出している。「中国は多くを約束しているが、そのすべてが支出されるかはまだわからない」と同研究所のアナリスト、ジョナサン・プライク氏は言う。

 太平洋の島国に対する援助総額145億1千万ドルのうち、中国は8%しか投資していないと同氏は指摘する。だが、この7年間に米国と欧州連合(EU)、フランスが関与を弱めたことで南太平洋地域への援助が約2割減ったため、中国の影響力が高まったという。国際通貨基金(IMF)も、中国による融資は債務危機の種になる恐れがあると警告している。

 プライク氏によると、バヌアツとサモア、トンガ、フィジーはそうした警告を受け、16年以降は融資による援助は受けていない。トンガが融資の債務減免を中国に求めて受け入れられなかったことで、債務問題が重く受け止められるようになったという。

 西側の一部の国は、中国の影響力に対抗すべく南太平洋諸国への援助を増やしている。ニュージーランドは「太平洋リセット」戦略の一環として、この4年間に援助予算を1.3倍強に増やした。アジア開発銀行(ADB)と世界銀行は、今後5年間で投資を3倍に増やす方針だ。

(9日付)


中国に対抗して、ADBと世銀が今後5年間で投資金額をこれまでの3倍に引上げるという。中国による「債務トラップ」を防ぐ目的である。中国の振る舞いは、こうやって次第に封じ込められてゆくはずだ。



対外純資産が減少へ

中国は、急速な経済成長を背景に、対外純資産を積み増してきた。だが、昨年は息切れして減少した。2010年以来の推移(対外純資産=対外資産-対外負債)を見ておきたい。



        対外純資産     対外資産       対外負債
2010年 1兆6842億ドル  4兆1150億ドル  2兆4308億ドル
  11年 1兆6884億ドル  4兆7345億ドル  3兆0460億ドル
  12年 1兆8663億ドル  5兆2131億ドル  3兆3467億ドル
  13年 1兆9960億ドル  5兆9861億ドル  3兆9901億ドル
  14年 1兆6027億ドル  6兆4383億ドル  4兆8355億ドル
  15年 1兆6728億ドル  6兆1558億ドル  4兆4829億ドル
  16年 1兆9503億ドル  6兆5070億ドル  4兆5566億ドル
  17年 1兆8141億ドル  6兆9256億ドル  5兆1115億ドル

この推移を見て気づくことは、対外純資産が13年をピークに減っている。その理由は、対外負債が増加していることだ。つまり、中国は猛烈に対外負債を増やしながら対外投資してきたことがよく分かる。国内経済でも債務をテコにして成長を続けてきた。それと同じことを海外で行なってきた。この債務依存の長期パターンが、すっかり中国の対外政策を狂わしたと言える。その極致が「一帯一路」計画である。国際収支の経常黒字が先細りし、対外純資産が減少に転じたのは、整合的な動きである。

企業会計に徴して言えば、対外純資産は貸借対照表である。経常黒字は損益計算書である。損益計算書で経常黒字という利益が減れば、貸借対照表で対外純資産という資産が減る関係だ。これに基づいて言えば、中国経済は要注意の段階である。経常黒字が減って対外純資産も減る事態に立ち至ったからだ。

この段階で、「一帯一路」計画がスムースに進むはずがない。発展途上国を「債務トラップ」に陥れて、狙い通り戦略地点を担保で抑えても、経済的にはなんのリターンも生まないことに変わりない。ただ、地政学的に利益が得られるとしても、戦争でも始まらない限り意味はない。だが、戦争は消耗である。何らの経済的な価値も生まないものだ。

(※mono....中略)
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(8)「日本のやり方はこうだ。経済が立ち後れた地域では、アジア開発銀行(ADB)や政府開発援助(ODA)が提供する発展支援を先行的に投入する。次に青年海外協力隊や人道主義的支援といった方法で現地の教育水準や生活水準、医療水準の向上を図る取り組みを進め、現地の好感と信頼を勝ち取る。これと同時に、日本企業も現地の人々の生活に関わる小規模なプロジェクトに参加し、現地の政治、経済、文化に徐々に食い込んでいく。こうして現地の経済が発展して一定の段階に到達すると、今度はADBやODAを通じて大規模なインフラ支援を行う。この段階での支援の重点は道路、電力、産業パークが中心だ」

中国は、このパラグラフに書かれていることを実行すれば、どれだけ周辺国から感謝されるか分らない。支援を受ける側に寄り添った発展プランを提示して、地道な努力を積み重ねることだ。「朝貢貿易」スタイルで上から目線の支援は反発を受けるだけ。こういう地道な積み重ねによって信頼を得ることだ。それを省いて、「世界覇権論」へと飛躍する。これが、中国式発想法の限界だろう。


■ 中国「一帯一路」パキスタンIMF支援下に入れば大計画「頓挫」 「勝又壽良の経済時評(2018-07-27 05:00:00)」より
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中国は今、「伸るか、反るか」の危ない橋を渡っている。「一帯一路」プロジェクトで、最大の工事予定国パキスタンが、金融危機でIMF(国際通貨基金)の支援を受ける見通しが濃くなっているからだ。そうなると、「一帯一路」プロジェクトは中止になる。「一帯一路」工事で2番目に多いマレーシアは、すでに財政上の理由で中止を決定した。中国にとって、にわかに雲行きが怪しくなってきた。



中国は、「一帯一路」プロジェクトの勧進元だ。資金も工事も全て中国が引き受けるという「おいしい話」である。問題は、融資の金利が割高なこと。マレーシアとの間にかわされた融資条件は、何と「年利6.5%」である。日本とインドで交わされた新幹線工事契約では、たったの「0.1%」だ。インドのモディ首相は、「タダ同然」と喜びを隠しきれない。



日本と中国では、インフラ投資の融資条件でこれだけの違いがある。中国の銀行は、国内で貸し付けるよりも好条件だが、債権回収が難しくなる「焦げ付け」を警戒するようになった。パキスタンが、今秋にもIMFから資金援助を受ける事態になると、「一帯一路」プロジェクトの両翼であるパキスタンとマレーシアが脱落する事態だ。「一帯一路」が始まって3年、最大の危機を迎える。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 中国、「駆け込み寺」日本の技術と金融が目当ての「一帯一路」 「勝又壽良の経済時評(2018-05-05 05:00:00)」より
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日中対話の主題は「一帯一路」
大赤字の欧州・中国貨物鉄道

中国は、外交の軸足をどこに置くか悩んでいる。米国とは、貿易摩擦によって深い溝が生れた。中国が誇る通信機メーカーのZTEとファーウェイは、米国政府からスパイ嫌疑で追放される始末だ。中国が、米国からスパイの懸念を持たれるのは、米中間の信頼感が消えた証拠である。中国はひところ、ウイン・ウイン関係による「米中2大国論」を喧伝していた。その米国は今や、中国を仇敵扱いである。

EU(欧州連合)では、蜜月関係にあった中独関係がすっかり冷え込んでいる。中国に技術を窃取されていることに気づいたからだ。日中関係が冷却化していた間、中国のドイツ接近に気を許した結果、「虎の子」技術をさらわれたのである。ドイツ工作機械メーカーが、中国企業の買収によって、第4次産業革命の柱となる「IoT+ロボット」の土台になることを許した。「中国にしてやられた」と悔やんでいる。これを機に、ドイツはにわかに中国との距離を置き始めている。

ドイツは、こうしてフランスと共同で、EU内で「中国警戒論」の先頭に立っている。EU加盟国28ヶ国中、27ヶ国をまとめて駐中国大使による抗議書を中国政府に突き付けた。中国が、EU分断を策していることなどを問題視したもの。ドイツは、日中関係の疎遠をうまく利用した積もりだった。現実は、中国に一杯食わされた形だ。

中国は四面楚歌の状態で再び、対日関係の見直しに入っている。その日本接近ぶりは、傍目にもおかしいほど「デレデレ」状態だ。中国は、不倶戴天のごとく日本を批判した。それが、「ニーハオ」の連発である。日本も気を許すと「第二のドイツ」になって、臍(ほぞ)をかむ思いをするだろう。


日中対話の主題は「一帯一路」

『人民網』(4月19日付)は、「『一帯一路』が中日ハイレベル経済対話の重要議題にー専門家」と題する記事を掲載した。

(※mono....中ほど大幅に略、詳細はサイト記事で)

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欧州-中国間の貨物鉄道の積み荷は、特定企業の製品が過半を占めているという。

1.米HPインクのノートパソコン

2.台湾フォックスコン(鴻海)が請け負うアップルの「iPhone」

3.スウェーデンのイケア製などの家具や洗濯機、掃除機などの家電製品

以上は、耐久消費財である。日本企業は、こういう「B2C」(耐久消費財生産)から脱して、「B2B」(部品や中間財生産)へシフトしている。人件費動向に大きく影響される生産分野から脱却した以上、「一帯一路」沿線に生産基地を設ける必要性は薄れているはずだ。こうなると、「一帯一路」の貨物鉄道利用の可能性は極めて低くなろう。

「一帯一路」の貨物便は、貨物量が少ないという本質的な悩みに直面している。中国政府の補助金が切れれば、運行不可能になる運命だ。中国政府は、この程度の需要予測も怠って、「出発進行」の笛を吹いてしまった。今さら、後ずさりできずに困惑している。そこで、日本へ頼み込んできたのだ。日本は、中国の駆け込み寺ではない。


欧中関係
■ 中国、「トロイの木馬」一帯一路は欧州分断と独仏が警戒強める 「勝又壽良の経済時評(2018-03-02 05:00:00)」より
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独仏が中国の野望に気づく
共産国家モデルを輸出する

1991年に旧ソ連崩壊によって、イデオロギー対立の時代は終わった。世界中の人々はそう固く信じてきた。あれから30年弱で、再びイデオロギー対立が表面化している。中国がGDP世界2位の座につき、2050年に世界覇権を目指すと宣言する時代となっているからだ。

中国は、かつての清国が世界経済の頂点にあったと思い込んでいる。それは、農業社会の話だ。国土が広ければ、自動的に穀物生産も増えるはず。よって、当時の中国が穀物生産で世界一の経済規模としても、それ自体に大きな意味があるわけでない。

近代工業化時代になって、生産性が飛躍的に上昇する時代に移行すると、科学技術の基盤が脆弱な中国の経済発展が遅れたのは当然のことだ。当時と現在の時代環境の差を無視して、習近平氏が2050年に世界覇権を握ると宣言することは時代錯誤も甚だしい。

(※mono....中略、詳細はサイト記事で)
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独仏が中国の野望に気づく

『大紀元』(2月23日付)は、「『一帯一路』に包囲網? 独・仏高官 対抗策検討を示唆」と題する記事を掲載した。
https://edit.djy.co.jp/2018/02/31444.html

この記事は、英BBC放送中国語電子版が2月19日報じたものを要約している。それによると、世界各国は、中国共産党が巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて、各国で影響力を拡大しようとする野心に強い懸念を示している。このほど、欧州連合(EU)有力国の高官らも、一帯一路に疑問の声を上げ、対抗策を講じる意向を示した。

このように、中国は自らが音頭をとっている「一帯一路」計画について、欧州主要国が一致して警戒してきた事実を見落としてはならない。AIIB(アジアインフラ投資銀行)を設立した頃(2015年)の欧州は、中国に対してほとんど無警戒で、AIIBを単なるビジネスチャンスとみたほど。日米は、中国の意図を見抜きこれに参加せず一線を画している。

EU各国の「一帯一路」参加は、前記のAIIB設立当初の楽観ムードを反映したものだった。それが、警戒姿勢に転じたのは昨年5月の「一帯一路」シンポジウムである。中国の硬直的な態度に激怒、調印しないで帰国したほどだ。EU各国の中国への警戒は、この頃から始まっていた。

(1)「ドイツのジグマー・ガブリエル外相は2月17日、国際シンポジウム『ミュンヘン安全保障会議』で演説を行い、中国当局の一帯一路政策を批判した。外相は、中国当局は同政策を利用して、『中国当局は共産党政権の利益に合った世界秩序の再構築を狙っている』と述べた。また、外相は『中露はこれまで絶えず、EUの分断を企んだ』と中国当局とロシアを名指して非難し、『中露はアメとムチでEU各国に圧力をかけ続けてきた』と指摘。ガブリエル外相は、中国の一帯一路を対抗していくには、EUの資金と投資基準で東ヨーロッパ、中央アジアとアフリカでインフラ建設計画を策定すべきだと提案した」

ドイツ外相は、「ミュンヘン安全保障会議」で中ロ両国が欧州分断工作をしているとして批難した。また、中国の一帯一路に対抗していくには、EUの資金と投資基準に従い東ヨーロッパ、中央アジア、アフリカでインフラ建設計画を策定すべきだと提案した。中国マネーに頼ると、後から大変な難題を背負い込ませられると警告した。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


★ 日本が「一帯一路」協力に意欲、中国ネット「変わり身の早さに脱帽した」「日中韓の協力関係は必要だが…」 「Record China(2017.12.6)」より
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2017年12月5日、新浪によると、安倍首相は4日、中国の推進する経済構想「一帯一路」への協力を表明した。

安倍首相は4日、東京で開催された日本と中国の企業経営者らが集まる会合の席で「一帯一路」について、「(両国は)大いに協力できる」とし、アジアでのインフラ開発で日本と中国の協業に強い意欲を示した。日本のメディアは、このチャンスを有効に活用できれば、日本企業は海外市場の開拓を加速させることができると報じている。

このニュースについて、中国のネットユーザーは次のようにコメントしている。

「安倍首相の変わり身の早さに脱帽した」
「安倍晋三は一政治家として合格」
「裏がありそう。警戒すべきでは?」

「米国のお父さんは許してくれたのかい?」
「もう日本が入り込む余地はない」
「お呼びでない、としか言いようがないな」

「手を結んだり敵対したりは国家間の法則」
「協力関係を結ぶ前提は、侵略の歴史を日本が認めることだ」
「日中韓の協力関係は必要だが、日本が政治的に米国から独立することも前提だろう」

「協力は当然のこと。国力が日本の3〜4倍の中国にとって日本との協力はいい選択肢だ」
「インフラ開発は中国だけで十分。日本と協力する必要はあるのか」
「で、鉄道プロジェクトには神戸製鋼のレールを使うの?」(翻訳・編集/岡田)


★ 中国の「一帯一路」がピンチ?大型プロジェクト取り消す国が相次ぐ―米華字メディア 「Record China(2017.12.5)」より
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2017年12月4日、米華字メディア・多維新聞は、中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」について「隣国が次々と離脱し、重大な困難に直面している」と伝えた。

パキスタン、ネパール、ミャンマーの3カ国はこのほど、中国が計画していた大規模水力発電所3カ所の事業中止を発表した。これは総額200億ドル(約2兆2500億円)規模の大型プロジェクトだ。

パキスタンはインダス川流域のディアメル・バハシャダム建設に中国が提供を申し出ていた資金140億ドル(約1兆5754億円)の受け入れを拒否。ネパールは25億ドル(約2813億円)規模の水力発電事業について、合弁相手の中国企業が「重大な財務違反を犯した」として事業取り消しを決定。ミャンマーも「大型水力発電所には関心がない」と表明したという。

専門家は「今回中止された三つの案件は、それぞれ背景や原因が異なる。しかし、周辺の発展途上国は中国に大型インフラ事業を引き渡す代償は大きいと気付いたのだろう」と指摘しているとのことで、記事は「中国の『一帯一路』構想は、周辺国に長期的な植民地戦略ととらえ始められている」と伝えている。(翻訳・編集/大宮)


★■ 「一帯一路」構想に対する安倍首相のアプローチの変化は一体どこから? 「Sputnik(2017.6.11)」より
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日本の安倍首相は、つい最近まで、中国の広域経済圏構想「一帯一路」に対し、中国の経済覇権につながるとして慎重な姿勢を取ってきたが、先日思いもかけず「協力をしていきたいと考える」と発言した。

安倍首相の言葉によれば「洋の東西、その間の多様な地域を結びつけるポテンシャルを持った構想だ」との事だ。 安倍首相がこうした発言をしたのは、東京で催された第23回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)の晩さん会だった。先に首相は、若干の疑念を晴らすことができれば、日本は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に加盟する可能性も検討すると述べている。日本参加の条件は、あれやこれやの場合でも、事実上同じで、それは取引の透明性、プロジェクト参加者すべてにとっての、そして政府予算の負担でないプロジェックトへの投資の互恵性だ。

5月半ば北京で開かれた国際経済フォーラム「一帯一路」で日本代表を務めたのは、自由民主党の二階俊博,幹事長だったが、彼は中国首脳部と固いパイプを持っていることで有名だ。習近平国家主席は、二階幹事長との会談で、彼を「中国人民の古くからの友人」と呼んだ。一連の国際問題の専門家らは、この会議に他でもないこうした人物を派遣した事は「一帯一路」プロジェクトにおける中国との協力に触れた安倍首相の発言同様、日本政府が対中関係を重要視し、中国政府との関係における新しいアプローチを探っている証だと見ている。

これは、どういう事からきているのだろうか? 第一に、トランプ米大統領と習近平主席が米南部フロリダ州の大統領私邸「マール・ア・ラーゴ」で会談した事が示したように、米中関係が安定化しつつあることだ。米政府は、南シナ海での島の領有権をめぐる問題、その他の問題に関する中国政府との軋轢において、明らかに中国非難のトーンを下げた。専門家らは、北朝鮮のミサイル発射や核問題において、トランプ大統領は絶えず、中国に協力を求めている事を指摘した。「一帯一路」の会議にも米国は、代表を派遣したばかりでなく、北京の米国大使館は、このプロジェクトを担当する作業グループを作るという事だ。こうしたことから日本政府内に、対中関係について、明らかに余りにも不寛容な政策は、日本を孤立化させてしまうかもしれないとの懸念が生じた事も、十分あり得ると思われる。

そして第二に、トランプ大統領が公式に、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの離脱を宣言し、さらに「APEC(アジア太平洋経済協力)のバランス再編」戦略を放棄したことも関係している。この事は、日本政府に一定の困難を作り出している。以前、TPPに対する日本の政策は、米国の戦略に依存していたが、米政府が、グローバリゼーションや自由貿易ゾーンに対する否定的な態度を完全に示している現在、日本政府は「中国には、グローバルな経済プロジェクト作成のイニシアチブを取り、自分達の利益のためにそれを利用する能力があると考えている。
中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)プロジェクトを成功裏に実現しつつあり、その参加国数は77にまで達した。この数字は、日米主導ですでに数十年に渡り存在しているアジア開発銀行(ADB)の参加国数、67を越えている。また現在G7加盟国の中で、AIIBに加盟していないのは日本と米国だけだ。しかし5月16日、安倍首相は、CNBCのインタビューの中で、将来的に日本がAIIBに参加する可能性を除外しなかった。

そしてもう一つ、日本を中国との協力に押し出しているかなり重要な要素がある。それは、北朝鮮の止むことないミサイル実験と核プログラムだ。ロシア極東研究所日本調査センターのワレーリイ・キスタノフ所長は「日本は、北朝鮮の『脅威』を深刻に懸念し、この問題において中国の援助を期待している」と指摘し、スプートニク日本記者の問いに次のように答えた-

「日本では、北朝鮮の攻撃に対して積極的な準備がなされている。北朝鮮からの脅威及びミサイル攻撃というテーゼは、日本において、かつてなかったほど声高に叫ばれている。現在言われているのは、単なる脅威ではなく『新たなレベル』の脅威である。」

そうした要素については、専門家の誰もが認めているが、中には、日本の中国への接近という変化傾向の中に「繊細な戦略地政学的ゲーム」を見て取る向きもある。ロシア外務省外交アカデミー現代国際問題研究所のエキスパート、アンドレイ・ヴォロジン氏も、その一人だ-

「これは日本の戦術ではない。日本政府の新たな地政学的戦略である。日本は、米国への自分達のネオ植民地主義的依存を気に病み始めている。安倍首相は、日本を世界の主要大国へ仲間入りさせ、米中露日クラブにしたいと考えている。当然ながら、これらの国々の間には正常な関係がなければならない、つまり競い合いと協力をうまく組み合わせなくてはならない。北朝鮮の脅威に対する憂慮の念が、こうしたグローバルな目標の中で解決されているのだ。」

絶えず変化している日中間の力関係、そしてアジア太平洋地域における新たな地政学的状況が、独自の役割を演じている。おまけに中国の対日政策は、かなり安定的なままだ。中国は、歴史的問題、その他の原則的問題においては譲歩しないが、国家間の競争を特に強化しておらず、国際空間で日本を圧迫するようなことをしていない。一方日本の中国対する態度も、一朝一夕に根本的に変わることはない。しかし日本は歩む寄りに向かい、アジアにおける自分達の戦略的ライバルへの新たなアプローチを模索しなければならない。恐らく現在、そうしたプロセスが始まったのだ。しかし何らかの決定的な変化までには、今のところまだ遠いと言える。今のところ双方は、今年中の最高首脳会談実施に関してさえ合意できておらず、来年にその作業を延期した。


★■ 習近平の「一帯一路」に吹く逆風〔岡崎研究所 〕 「WEDGE-Infinity(2017.6.8)」より
(※mono....前半略、詳細はサイト記事で)
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 しかし、外見とは裏腹に、習は一帯一路で逆風に直面している。問題の第一は、同構想の優先事項や責任主体に関してだ。各省に加えて数百もの国営企業が同構想について独自の投資計画を持っている上に、政府の支援を受けて多数のプロジェクトが異例の速さで立ち上げられた。しかし、日常的に統括する者がいない。その結果、数千の財政的に覚束ない計画が一帯一路のプロジェクトとして認可されてしまった。

 第二に、ユーラシア通商ブロックの創設というその壮大な目的に見合う、十分な数の利益になるプロジェクトは容易に見つからない。例えば、ロンドン=義烏鉄道は、船舶の倍以上の輸送コストがかかり、どの程度成功するかわからない。また、中国は高速鉄道の建設技術の輸出を考えているが、中国が短期間に何千キロもの鉄道を建設できたのは、安い労働力と住民の強制立ち退きが可能だったからで、これは外国では再現できないかもしれない。

 既に破綻しかけているプロジェクトもある。カザフスタンの製油所では、稼働能力の6%以上の原油は買えないことが判明した。中国はパキスタンでは投入資金の80%、ミャンマーでは50%、中央アジアでは30%を失うとの試算もある。

 第三に、中国の高圧的なやり方や、不穏当な政権にすり寄る手口に対して各地で批判や反対運動が起きている。2011年には、ミャンマーが中国出資の大規模ダムの建設工事を中断し、住民の喝采を受けた。スリランカでも中国資本による港湾建設を巡って論争が続いており、パキスタンでは、中国は「他国の内政不干渉」の金看板を捨て、グワダルと新疆を結ぶ中パ経済回廊の建設を妨害しないよう反対派の政治家たちに訴えた。

 諸国は巨大な中国に圧倒されることを恐れている。例えば、中国輸出入銀行の融資だけでキルギスタンの対外債務の3分の1を占める。中国の中では貧しい雲南でさえ経済規模はミャンマーの4倍だ。諸国はこうした中国からの投資を切望すると同時に恐れてもいる。

 中国もやり方を変えようとはしている。東南アジアのNGOは、中国企業が現地の批判に耳を傾け始めたと言う。中国の銀行も、より高度な基準の確保を願って、外国の政府系投資ファンドや年金基金等に一帯一路プロジェクトへの融資を呼び掛けている。北京の集まりでは、中国は一帯一路が脅威ではないことを示そうと、他のインフラ・プロジェクトと一帯一路との関連性を強調するだろう。一帯一路の列車は既に発車したが、中国は単に車内サービスの向上に努めているに過ぎない。

あまりに粗雑すぎ失敗は避けがたい

 上記解説記事は、「一帯一路」構想の現実をかなり正確に描写していると言って良いでしょう。中国のやり方は、大体こういうものだからです。日本スタンダードからすれば、あまりに粗雑すぎ失敗は避けがたいということとなるでしょう。中国でも、この構想を「10年後には誰も覚えていないでしょう」と冷たく突き放す学者もいます。「中国の対外借款はほぼすべて不良債権となる。これ以上借款を供与すべきではない」と主張する学者もいます。しかし習近平が、自分のイニシアチブで打ち出した構想が失敗するのを座視することも考えられません。習近平時代は少なくともあと5年続きます。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 馬鹿丸出しの安倍晋三:中国の一帯一路に協力だと 「独断偏見妄言録 China's Threat(2017.6.6)」より
(※mono...前数行略)
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日本では多くの場合、肯定的なニュアンスで報道される。しかし、私は、一帯一路は中国の世界制覇への野望を実現するための構想だと見ている。東に向かって、南シナ海と東シナ海を手に入れ、太平洋に出て、やがて米国を倒す。西に向かっては、一帯一路により、ヨーロッパとアフリカを征服する。
テレビに登場する中国専門家の多くは、南シナ海問題などとの関連で、中国は東アジアでの覇権を狙っていると解説するが、そんな小さな話ではないと思う。東アジア覇権ではなく世界覇権を狙っているとみなさなければ中国の政治・軍事・経済における挙動を説明できない。

その一帯一路は現在どんな状況だろうか。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)6月6日(火曜日)
       通算第5316号   <前日発行>
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習近平のシルクロードの夢と現実
現場は閑古鳥が鳴いて、免税特典を狙うだけの企業が登録
(※mono....以下引用略)

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首相、一帯一路に協力姿勢 公正さ条件
日本企業の参画、妨げず
2017/6/5 22:13 日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS05H5I_V00C17A6000000/
(※mono....以下引用略)

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閑古鳥が鳴き、経済性がないとされるプロジェクトに、なんで今頃協力姿勢を示すのか。間抜けなことこの上ない。
しかし、中国は早速歓迎の意を表明。リップサービスにはリップサービスで応じたということか?

中国、首相発言を歓迎 「一帯一路は中日協力の土台に」
2017/6/6 17:25
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO17365270W7A600C1I00000/?dg=1










★ 「一帯一路」貿易文書、英仏独など署名拒否 「産経ニュース(2017.5.17)」より
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 中国・北京で15日に閉幕した現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」国際協力サミットフォーラムで、英国、フランスやドイツ、ギリシャなど欧州連合(EU)加盟国の一部が貿易推進に関する文書への署名を拒否していたことが分かった。仏メディアが報じた。公共調達の透明性や環境基準などをめぐる欧州側の懸念が考慮されていなかったためという。

 中国外務省の華春瑩報道官は16日の記者会見で「(報道された文書は)分科会で発表された貿易協力推進に関する提案だと思われるが、各方面が自発的に参加した提案であり多くの国から支持を得ている」と述べ、報道を事実上認めた。(北京 西見由章)


■ 一帯一路フォーラム@北京(2) 「DEEPLY JAPAN(2017.5.16)」より
(※mono....日本の報道について「それはちょっと違うんじゃない?」って話。)
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ということなので、イタリア以外は無視みたいな色彩はちょいと違うと思います。そういえば、イタリアはロシア対応でも相当他と異なる態度を見せているので、現在イタリアはフリーハンド状態と言えなくもないような気がする。

ワーキング朝食の様子だそう。習さんの両横がプーチンとラブロフ、手前には中国外相の王さん。一帯一路フォーラムに「プーチン大統領も出席」どころじゃないわけですね。


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■ 一帯一路フォーラム@北京 「DEEPLY JAPAN(2017.5.14)」より
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予定通り、北京で一帯一路フォーラムが行われた。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170514/k10010981061000.html
(※mono....報道記事引用略、詳細はブログで。)

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習さんとプーチンの他、世銀、UN、IMFなどの国際機関、イギリスは財務大臣、ドイツは経済大臣、フランスは元経済大臣が出席。

アメリカは経済補佐官を出していた。日本は二階さん。

目立つのはインドがいない。インドは、その代りということなのか、6月に行われてる最近すっかり好例になってるサンクトペテルブルク経済会議にモディ首相が行くようだ。
(※mono....以下リンク略)
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で、この会議があったから今日から世界が変わるという話でもないが、しかし、世の中変わってきていることの象徴ではあるでしょう。

破壊から建設へ、裏切りから協調へ、といった展開点にあるんじゃないですかね。

で、それを可能にしたのは、前にも書いたけど、中国とロシアが、それぞれ狸と狐のばかしあい的なことはいくらでもあるにしても、それでも互いに戦争する気はないと決意したことでしょう。

これがもたらす意味は本当に大きいと再度書いておきたい。

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■ 特殊資本主義

そういえば、資本主義の終わりなのだ、みたいなことを語る経済学者とかがいますが、私が思うに別に資本主義は終わらないのではないのでしょうか? 特殊資本主義が終わるだけで。

ではその特殊資本主義とは何かといえば、実のところ、破壊と殺戮をビルトインし、なおかつ表面ではきれいごとをいい法で網をかけるという非常に特殊な資本主義だったということじゃないでしょうかね。

であれば、言うべきことは、収益のあがる投資先のフロンティアが消滅した、ではなくて、破壊先が消滅した、ではなかろうか? 簡単に破壊できる地平が亡くなったもんで困ってる、という感じ?

騙されるんじゃない、とロシアが言論戦で踏ん張り、静かに近づいてって、金のことなら言ってね、商売しましょう、と中国が言うという、この絶妙な組み合わせによって、破壊と殺戮を組み込んだメディア誘導特殊資本主義がやりづらくなったって感じかしら。

(※mono....以下「オマケ」がありますが略、詳細はブログ記事で)


■ 国連の方から来ました。言う事聞いてください。 「パチンコ屋の倒産を応援するブログ(2017.5.14)」より
(※mono....「一帯一路」関連記事のみ転載)
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【「一帯一路」初の国際会議 あさってから北京で開催】
中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」をテーマにした初の国際会議が14日、北京で始まることになっていて、習近平国家主席は到着した各国の首脳と精力的に会談を行い、構想の実現に向けて協力を取り付けたい考えです。
~以下省略~
(2017/5/12 NHK)


この記事、露骨に一帯一路を宣伝しようと、
やたら一帯一路と今進んでいるプロジェクトの実績みたいなのを書き綴っています。

支那としちゃ経済的に行き詰まっているというのもあるので
こういう実現不可能な大風呂敷を掲げて金を集めたい
(ついでに人民解放軍が展開しやすいようにルートを確保したい)
という代物ですので、日本が相手にする理由などありません。

むしろこうした計画が失敗することを後押しする側に立つのが正しいと考えます。



2017年05月12日07時34分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

韓国を除外して開催の準備が進められてきた中国の一帯一路(陸・海上シルクロード)国際協力首脳フォーラムへの公式招待状が届いたと、韓国外交消息筋が伝えた。

これに対し韓国は国会副議長級の朴炳錫(パク・ビョンソク)共に民主党議員を代表とする代表団を派遣することにした。

14、15日に北京で開催される一帯一路フォーラムにはロシア・トルコ・フィリピン・イタリアなど28カ国の首脳級代表が出席する。中国は大統領空席状況などを理由に招待状を送らなかったが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の当選が確定すると直前に招待状を送ってきた。

消息筋によると、10日に中国の習近平国家主席の祝電があり、邱国洪駐韓中国大使が外交部を訪問した際、韓国が出席を希望するなら招待するという意思を表示し、その日夜に正式招待状が到着したという。

支那もやることがわかりやすいよねぇ~ww 疑似餌にまんまと食いつくチョンって学習しないww
クネがおねだりしていた安重根記念館を髣髴させるよね~www


■ 日本も参加して下さいアルヨ 「バンコクジジイのたわ言(2017.5.12)」より
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発車したのに、いつまでもドア開けたままで危ないと思ったら。

AIIB、ろくに走っていなかった。orz

ADBに引っ張ってもらってたんだね。


それじゃ、運転手要らないだろ。

と言うより、AIIBの運転手は免許持ってるのか?

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中国主導のアジアインフラ投信銀行は早くも苦境
2017年5月11日 11時0分
http://news.livedoor.com/article/detail/13046944/
  鳴り物入りでスタートした中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)が早くもコケ、ADB(アジア開発銀行)の存在感が増している。

産経新聞特別記者の田村秀男氏がレポートする。

(※mono....以下、行を抜き貼り)

「実際に払い込まれた出資金は定款上の資本金の7%にも満たない」

「単独融資はほとんどなく、多くはADB融資に相乗り」

「国際金融市場での決済シェアは円に逆転され・・・準備通貨シェアは2016年末で円の4分の1」

「日米両国とも、習近平政権に懐柔されかねない有力高官が多数存在する」
「日本側は親中派の多い財務官僚が北京になびきやすい」

「AIIB同様、プロジェクトは欲しいがカネは出したくない参加国だらけ」

「米欧の格付け機関がAIIB債の格付けを拒否」

「中国からの資金流出は年間で7000億ドルを超え、外準は3兆ドルまで減った」

「外準は4.6兆ドルもの外国企業や金融機関の対中債権(中国にとっては対外負債)の大半が含まれるので、ないのも同然」

「親中派のラガルドIMF専務理事」

(※mono....上記行間詳細はブログ記事で)


+ 記事 あれだけ暴れまわった独裁国家・北朝鮮が、なんと、中国が5月14日から主宰する「一帯一路」サミットに政府側代表を送ることが判明した。招聘状を受け取っていない韓国も参加を表明。文在寅効果がこんなところに...? 韓国と北朝鮮が手を挙げた 中国では5月14日と15日に「一帯一路」(陸と海の新シルクロード)国際サミットが北京で開催される。「一帯一路」は習近平政権になってから中国が提唱したもので、中国では今年最大の行事として、今年秋に開催される第19回党大会とともに重要視している。このサミットは初めて開催されることもあるが、何よりも「アメリカが抜けたことによるグローバル経済の覇者」としての中国の役割が決定的になるからだ。 初期のころ、習近平国家主席は、韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領を取りこんで、一帯一路とAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加させるべく、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長とは首脳会談もしていないのに、わざわざ自らソウルに行ってパク・クネさんとの親密ぶりをアピールしたことがあった。 ところが2015年末の日韓合意やTHAAD配備にパク・クネ政権が賛同したことなどから、「地上で最も嫌いな国は韓国」とばかりに、中国は韓国に対する経済的締め付けを強めてきた。 だからこのたびの国際サミットに関しても韓国に招待状さえ送っていなかったのである。 だというのに、文在寅(ムン・ジェイン)氏が大統領に当選することが見込まれた5月8日、韓国が積極的に手を挙げて、参加を表明。中国は大歓迎をした。 すると、その翌日の5月9日、今度はなんと、あの北朝鮮が「政府代表を送り込んで、サミットに参加したい」と意思表明をしたのだ。 文在寅氏は大統領に当選する前から北朝鮮との融和政策を唱えており、開城(ケソン)工業団地の再開を約束している。 米中蜜月で包囲網を張られた北朝鮮は、さすがにこれ以上核ミサイル威嚇外交で周辺を脅すことは賢明ではないと思ったのだろうか。中国政府系のウェブサイトによれば、中国外交部は5月3日辺りから「参加しないか?」と誘っていたようだ。 中国が望んでいるのは北朝鮮の非核化であり、戦争ではなく対話による解決だ。 これはきれいごとではなく、中国の利益に叶うか叶わないかの問題である。 北朝鮮が核実験をすると中国が放射能汚染を受けることになり、核やミサイルによる軍事強国が隣に出来あがるのは、中国にとってありがたくない。かといって緩衝地帯を失いたくもない。もちろん北朝鮮が核を持てば、韓国も日本も持つようになることが絶対に嫌だからなのだ。 武器より「銭」を! 中国が望んでいたのは北朝鮮が改革開放することである。 だからこそ、5月1日付のコラム「中国は北にどこまで経済制裁をするか?」でも書いたように、地方人民政府が許認可権を持つ辺境貿易を許してきた。 「金持ちになった方が、武器を持つより強くなれるよ」! 「お金って、いいものだよ!」 「リッチだと、国力も上がるよ!」 それを北朝鮮に教えて、改革開放を促してきたわけだ。 金正恩の父親の金正日(キム・ジョンイル)は、改革開放に気持ちを傾けた時期があった。しかし、その意図で訪中してから間もなく他界してしまった。 息子の金正恩は、権力基盤を固めるためか、強硬な姿勢に走り、片意地を張って周辺国に危機感ばかり植え付けてきたが、あんな人物にも、「北風よりも太陽」の方がいいのだろうか。 核・ミサイル開発をやめてくれるのなら、戦争よりは対話路線の方が関係国にもいいに決まっている。 一方的な、脅迫的経済支援を相手に求めるのでなく、もし本気でグローバル経済の中に入ってくるのなら、関係国は歓迎だろう。 習近平国家主席は本日、韓国の文在寅大統領と電話会談をして、そこでも「一帯一路」への協力を呼び掛けている。もちろん、朝鮮半島の平和を具体的な行動で推進するように望むことを前提としての話だった。具体的な行動とは、言うまでもなく、THAADを配備しても、稼働させないということだ。アメリカにトランプ大統領が要求してきたTHAAD配備代金を支払わないことも、きっと含まれているだろう。 中国の野心 中国の中央テレビ局は、連日連夜「一帯一路」国際サミットで燃え上がっている。 本日(5月11日)に中国外交部の李保東副部長(外務次官)で「一帯一路」国際サミット準備委員会の秘書長が発表したところによれば、「29カ国の首脳と、130ヵ国の国家代表、および70ほどの国際組織が参加する」とのこと。 また、「一帯一路はメンバー制ではなく、いつ誰が手を挙げても受け入れる」と、中国政府通信社のウェブサイト「新華網」は説明している。 ただ、私たちは今世界がどこに向かおうとしているかに静かに目を向けなければならない。 トランプ大統領のTPP徹底から始まって、世界のグローバル経済の中心は中国に集中しつつある。1月17日のダボス会議における習近平国家主席の基調演説は、まるで「これからのグローバル経済の旗手は中国である!」と宣言しているようだった。 EUも存続が危ぶまれている。 そんな中、中国から西側の国家すべてを結びつける中国の「一帯一路」構想は、まさにシルクロード時代からの「中華民族の偉大なる復興」「中国の夢」を実現させるための国策で、ヨーロッパ諸国も熱い目を中国に注いでいる。 北朝鮮の横暴さと比べると、まるで中国が独裁国家ではないような錯覚を覚えている人もいるのかもしれないが、中国がどのような「野心」をその下に隠しているか、そして中華人民共和国という国が、どんなに「嘘で塗りかためられた中国共産党」によって建国された国であるかを見落とさないでほしい。 平和は望むところだが、言論の自由を許さない国家が覇権を手にした後の世界も考えながら、静かに考察していきたい。 [執筆者]遠藤 誉 1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書) ※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

 しかしながら、文政権の誕生は、あくまでも韓国の国内選挙の結果であり、日米をはじめ、国際社会全体が北朝鮮に対して宥和策に転じたわけではありません。実際に、北朝鮮に対する制裁強化を定めた安保理決議は今なお有効であり、仮に、中国が、「一帯一路」構想、並びに、AIIBに北朝鮮を参加させるとしますと、その行為は、当然に安保理決議違反となります。公然と対北経済支援の道を開くようなものなのですから。これまで国際社会が努力を積み重ねて構築してきた対北朝鮮経済封鎖網は、中国の”裏切り”によって水泡に帰してしまうのです。

(※mono....中略)

 韓国における文大統領の誕生を手ぐすねを引いて待っていたのは、やはり、中国であったようです。早々にTHAAD配備問題で文政権に圧力をかけると共に、経済面でも、5月14日から北京で開催される「一帯一路」サミットを前にして、北朝鮮を同構想に引き込むべく根回しを活発化させているそうです。今月初め頃から中国は、北朝鮮に対して同会議へ参加を呼びかけ、北朝鮮もこれに応えたというのですから。

(※mono....中略)
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 中国は、対北宥和路線への転換によって、国際社会の努力を水泡に帰し、そして、アメリカの期待をも裏切ることとなるのですが、その先には、西はユーラシア大陸、東は太平洋地域へと広がる広大な”中華帝国”を見ているのでしょう。”一帯一路”というネーミングにこそ、現代にあって、世界の中心は中国であり、世界にただ一つの大帝国を建設せんとする同国の野望が込められています。しかし、今般の中国による北朝鮮の取り込みは、各国の政財界、並びに、国際社会の水面下で蠢いていた様々な勢力の動きをも表面化させる切っ掛けとなるのではないかと思うのです。


★ 「一帯一路」初の国際会議 あさってから北京で開催 「NHK-newsweb(2017.5.12)」より
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中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」をテーマにした初の国際会議が14日、北京で始まることになっていて、習近平国家主席は到着した各国の首脳と精力的に会談を行い、構想の実現に向けて協力を取り付けたい考えです。
「一帯一路」は、習近平国家主席が提唱したアジアとヨーロッパをつなぐ巨大な経済圏構想で、中国政府は14日からの2日間、これをテーマにした初の国際会議「一帯一路フォーラム」を北京で開催します。

中国政府によりますと、会議には29か国の首脳と130余りの国の代表団や、70余りの国際機関などが参加するということです。

+ 続き
メイン会場の1つとなる会議場の周辺には武装した警察官が配置され、厳重な警戒態勢が敷かれています。

すでに11日、ベトナムとウズベキスタンの首脳が北京入りし、習主席はこのうちベトナムのクアン国家主席と会談を行いました。

また、会議の前後にも各国の首脳と精力的に個別の会談を行って、みずからの構想の実現に向けて理解と協力を取り付けたい考えです。

中国政府は「一帯一路フォーラム」をことしもっとも重要な外交イベントと位置づけています。

会議の最終日には共同声明を発表する予定で、中国が主導する国際会議で貿易や投資の拡大に向けどこまで具体的な道筋が示されるのか、注目されています。
岸田外相「地域の持続的発展に資する議論を」
岸田外務大臣は閣議のあと記者団に対し、政府からは松村経済産業副大臣が自民党の二階幹事長に同行してフォーラムに出席するとしたうえで、「『一帯一路』構想が、地域の持続的発展に資するものかどうか、従来から関心を持って見てきている。フォーラムが、地域の持続的な発展に資するものになるような議論となることを期待している」と述べました。
米政府が代表団派遣へ
アメリカ政府は、中国が提唱している巨大経済圏構想「一帯一路」をテーマにした初の国際会議に代表団を派遣することで合意し、貿易の不均衡の是正を求める一方で、米中両国の経済の協力関係を深めていく姿勢を強調しました。

アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席は、先月、アメリカで首脳会談を開き、100日計画を策定して、貿易の不均衡の是正に向けた具体的な道筋を示すことで一致しました。

これについて、アメリカ政府は11日、中国側によるアメリカ産の牛肉やLNG=液化天然ガスの輸入で合意するなど、農業や金融サービス、それにエネルギーに関する課題に取り組むと発表しました。

また、中国が提唱している巨大経済圏構想「一帯一路」の重要性を認めたうえで、今月14日から始まる初の国際会議に代表団を派遣することでも合意し、米中両国の経済の協力関係を深めていくとしています。

そのうえで、100日計画に続いて1年計画についても議論を始めることにしていて、ことし夏にアメリカで会合を開くとしています。

ロス商務長官は11日、記者団に対し、トランプ大統領が北朝鮮の核・ミサイル問題で、中国が協力するなら貿易面で譲歩する考えを示していたことについて、「協議の中で北朝鮮について言及はなかった」と述べ、貿易赤字の削減に努める姿勢を強調しました。
「一帯一路」とは
「一帯一路」は中国の習近平国家主席が4年前に提唱した、アジアとヨーロッパを中心に陸上と海上で東西をつなぐ巨大な経済圏の構想です。

陸上では中国からユーラシア大陸を通ってヨーロッパまでを結ぶほか、海上でも東南アジアからアフリカ、それにヨーロッパの港をつなぎ、物流ルートなどを整備するとしています。

中国は「一帯一路」を国家戦略と位置づけ、習近平国家主席や李克強首相らが経済圏に含む国々を訪問して、高速鉄道の建設や投資の拡大を表明するなど実現に向けた取り組みを強めてきました。

また、構想を実現するため、インフラ整備や資源開発などに中長期的な投資を行う「シルクロード基金」を独自に設立したほか、関係国がインフラ整備などの資金を確保できるよう国際金融機関のAIIB=アジアインフラ投資銀行の設立も主導しました。

「一帯一路」が目指す経済圏は、人口およそ44億人で、GDP=国内総生産の合計は21兆ドルに上ると言われています。

中国は、各国に対し「世界に提供する経済協力の提案だ」として参加と協力を呼びかけています。

一方、中国は経済成長が減速する中、巨大な経済圏が実現して、国内で過剰に生産した製品の販売先となるほか、中国の企業に多くの投資の機会をもたらすことも期待しています。
フォーラムに出席の29か国の首脳
中国政府は、次の29の国の首脳が「一帯一路フォーラム」に出席すると発表しています。

アジアから出席するのは、インドネシアのジョコ大統領、カンボジアのフン・セン首相、スリランカのウィクラマシンハ首相、パキスタンのシャリフ首相、フィリピンのドゥテルテ大統領、ベトナムのクアン国家主席、マレーシアのナジブ首相、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問、モンゴルのエルデネバト首相、ラオスのブンニャン国家主席です。また、ロシアからはプーチン大統領が出席します。

中央アジアからは、ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領、カザフスタンのナザルバエフ大統領、キルギスのアタムバエフ大統領が出席します。

このほか、ヨーロッパから出席するのは、イタリアのジェンティローニ首相、ギリシャのチプラス首相、スイスのロイトハルト大統領、スペインのラホイ首相、セルビアのブチッチ首相、チェコのゼマン大統領、トルコのエルドアン大統領、ハンガリーのオルバン首相、ベラルーシのルカシェンコ大統領、ポーランドのシドゥウォ首相です。

さらに、アフリカからは、エチオピアのハイレマリアム首相、ケニアのケニヤッタ大統領、南米からもアルゼンチンのマクリ大統領と、チリのバチェレ大統領が出席するほか、オセアニアからフィジーのバイニマラマ首相も出席します。

このうち、G7・主要7か国から首脳が出席するのは、イタリアだけとなります。一方、国際機関からは国連のグテーレス事務総長、世界銀行のキム総裁、IMF=国際通貨基金のラガルド専務理事なども出席する予定です。
一帯一路 主要プロジェクト
「一帯一路」では、中国が、アジアやヨーロッパなどとの間で鉄道や道路網、それに港湾の整備などを提案し複数の物流ルートの構築を進めています。

このうち、東南アジアとの間では中国南部の雲南省からラオス、タイ、マレーシアを通ってシンガポールまでつなぐ鉄道ルートの近代化を提案し、自由貿易協定を活用するための道路の建設も進めています。

また、南アジアでは中国西部の新疆ウイグル自治区からパキスタンのアラビア海を臨むグワダル港を結ぶルートを「一帯一路」の1区間と位置づけ、大規模なインフラ整備を通じて友好国パキスタンの経済成長を後押しするとともに、中東やアフリカ産の石油の輸入の近道とすることを目指しています。

一方、ヨーロッパとの間では中国沿海部とイギリスのロンドンなどを結ぶ貨物列車の運行を強化しているほか、ギリシャで、中国企業がアテネ近郊にありヨーロッパの入り口に位置するピレウス港を事実上買収し、港湾施設の拡充を計画しています。

さらに、北アフリカでもエチオピアとジブチを結ぶ全長およそ800キロ鉄道を、中国企業が電化して近代化し人や物の輸送力を強化しています。

このほか、中央アジアでもトルクメニスタンなどから中国に天然ガスを輸送するパイプラインを整備していて、中国はプロジェクトを通じて関係国との経済関係の強化を進めています。


トランプ政権が一国主義を唱え,実行に動いたことで、今回の大会開催は中国のグローバル化を決定的に高める機会になるであろう、日本ノ主催するアジア開発銀行の地位の低下は否めない、参加しないのは,アメリカと日本だけというコトになっちゃった、


中国では5月14日と15日に「一帯一路」(陸と海の新シルクロード)国際サミットが北京で開催される。「一帯一路」は習近平中国では今年最大の行事として、今年秋に開催される第19回党大会とともに重要視している。このサミットは初めて開催されることもあるが、「アメリカが抜けたことによるグローバル経済の覇者」としての中国の役割が児の大会で決定的になるからだ。

 15年末の日韓合意やTHAAD配備にパク・クネ政権が賛同したことなどから、「地上で最も嫌いな国は韓国」とばかりに、中国は韓国に対する経済的締め付けを強めてきた。だからこのたびの国際サミットに関しても韓国に招待状さえ送っていなかったのである。

 文在寅(ムン・ジェイン)氏が大統領に当選することが見込まれた5月8日、韓国が積極的に手を挙げて、参加を表明。中国は大歓迎をした。その翌日の5月9日、今度はなんと、あの北朝鮮が「政府代表を送り込んで、サミットに参加したい」と意思表明をしたのだ。文在寅氏は大統領に当選する前から北朝鮮との融和政策を唱えており、開城(ケソン)工業団地の再開を約束している。

米中蜜月で包囲網を張られた北朝鮮は、さすがにこれ以上核ミサイル威嚇外交で周辺を脅すことは賢明ではないと思ったのだろうか。中国政府系のウェブサイトによれば、中国外交部は5月3日辺りから「参加しないか?」と誘っていたようだ。中国が望んでいるのは北朝鮮の非核化であり、戦争ではなく対話による解決だ。

中国が望んでいたのは北朝鮮が改革開放することである。だから、地方人民政府が許認可権を持つ辺境貿易を許してきた。

(※mono....中略)
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本日(5月11日)に中国外交部の李保東副部長(外務次官)で「一帯一路」国際サミット準備委員会の秘書長が発表したところによれば、「29カ国の首脳と、130ヵ国の国家代表、および70ほどの国際組織が参加する」とのこと。

また、「一帯一路はメンバー制ではなく、いつ誰が手を挙げても受け入れる」と、中国政府通信社のウェブサイト「新華網」は説明している。

トランプ大統領のTPP徹底から始まって、世界のグローバル経済の中心は中国に集中しつつある。1月17日のダボス会議における習近平国家主席の基調演説は、まるで「これからのグローバル経済の旗手は中国である!」と宣言しているようだった。

中国から西側の国家すべてを結びつける中国の「一帯一路」構想は、まさにシルクロード時代からの「中華民族の偉大なる復興」「中国の夢」を実現させるための国策で、ヨーロッパ諸国も熱い目を中国に注いでいる。



















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最終更新:2020年03月22日 15:35