※ 遺伝子組み換え生物(Genetically modified organism)の英略語。
遺伝子組み換え / ハイブリッド / 遺伝子製剤

+ ニュースサーチ〔遺伝子組み換え生物〕

+ ニュースサーチ〔GMO〕

● 遺伝子組み換え生物〔Wikipedia〕
遺伝子組換え生物(いでんしくみかえせいぶつ(英: Genetically modified organism, GMO))とは、遺伝子工学の技術を用いて遺伝子を操作された生物を指す。一般には組換えDNA 技術を用い、DNA 分子に別の種類の遺伝子を組み込み、新しい組み合わせのDNA 分子を作成する。このDNA 分子を目的の生物に遺伝子導入させ、本来その生物が持っていない別の種の遺伝子を導入させたまたはその生物の持っている遺伝子を改変させた生物を遺伝子組換え生物と呼ぶ。
カルタヘナ議定書において定義されたLMO (Living Modified Organism) の日本語訳として用いられている。





■ 「天然」遺伝子組み換え作物は存在する:研究結果 「WIRDE(2015.5.26)」より
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自然のなかで、種を超えた遺伝子組み換えが行われていることが、国際的な研究チームによって発見された。しかも、この「自然な」遺伝子組み換えのメカニズムは、科学者たちが人為的な遺伝子組み換えを行うメカニズムと同じだというのだ。

サツマイモは“自然の遺伝子操作”を受けている。内部に他の種(この場合はあるバクテリア)に由来するDNAの断片を含んでいる、という意味だ。国際的な研究者チームが、『PNAS』紙上でこのことを発表している。
彼らは栽培されている約300種に加え、数種の野生の植物のゲノム分析を行い、アグロバクテリウムに由来するすべての遺伝子配列を調査した。見つかったバクテリアは、バイオ技術者たちが人為的に遺伝的変異を起こすのに利用しているものと同じものだった。
発見されたDNAは、T-DNAと呼ばれる、遺伝子導入に特化したアグロバクテリウムのプラスミドの一部だ。このDNAは、実験室で遺伝子組み換え植物をつくり出すために使われるのと同じものである。
「サツマイモの中にアグロバクテリウムのT-DNAが天然で存在していること、そして進化におけるその安定的な遺伝は、さまざまな種を隔てる障壁の間でDNAが交換される可能性があるということを示す、大変すばらしい例です」と、論文の著者の1人、ベルギーのゲント大学のリーフェ・ゲイセンはコメントしている。
「これは、遺伝子組み換えが自然においても起こるということを示しています。しかし、人間によってつくり出される遺伝子組み換え作物には、わたしたちのコントロールを外れているこの『自然の』遺伝子組み換え作物と違って、どのような特徴が植物に加わるかが正確にわかるという利点があります」
異種のDNAが植物や動物のゲノムの中で発見されるのは初めてではない。しかし、発見されたメカニズムが、研究者たちによって行われている遺伝子操作と同じだという事実は、遺伝子組み換えテクノロジーにおいても、わたしたちが何も発明していなかったことを改めて感じさせる。わたしたちはすでに自然の中で起きていることを、ただコピーしたに過ぎないのだ。
このような遺伝子組み換えが「自然」(そしてそれゆえ「健康的」で「安全」だということになる)だという事実は、遺伝子組み換え作物についての神話を打ち消す助けとなることができるだろうか? いや、それは難しいだろう。

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★ 遺伝子は異種間をどう移動しているのか-研究者が新論文 「WSJ(2015.9.18)」より
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 科学者たちは、一つの生物種の遺伝子が別の種(しゅ)へ直接飛び移ることができる道筋を発見した。自然界が遺伝子組み換え生物(GMO)を創造する際の道筋だ。

 この発見は、遺伝子組み換え作物をめぐる論争にも関係する。GMO反対派は、実験室で行われた異種間の遺伝子移動(例えば、トウモロコシにバクテリア遺伝子を挿入して、害虫に抵抗力のあるものにする)は、自然界で決して発生せず、したがって非倫理的であり、潜在的に安全でないとしばしば主張してきた

 新たな研究論文は17日、科学誌「PLOSジェネティクス」に掲載されたもので、こうした反対派の主張の根拠を揺るがすものだ。

+ 続き
 スペイン・バレンシア大学の遺伝学者で、論文の共同執筆者のサルバドール・エレーロ氏は、「自然界は常にGMOを創造していることが認識できる」と述べ、「遺伝子をある生物から別の生物に移動させるのは、それほど奇怪ではない」と語った。

 遺伝子は通常、同一の生物種の間で受け継がれて行く。親から子どもへの移動がそれで、「遺伝子の垂直伝播(VGT)」として知られるプロセスだ。しかし近年、科学者たちは「遺伝子の水平伝播(HGT)」の多くの例を発見した。遺伝子がある生物種から、同じ環境でたまたま生きている全く無関係の生物種に運ばれるプロセスだ。

 例えば、コーヒーの実を食べ尽くす害虫「コーヒーボーラー・ビートル」のゲノムの中からバクテリアの一種の遺伝子が発見された。このバクテリア遺伝子は、この昆虫がもっぱらコーヒー豆のみを食料にして生きていくのを可能にしている。バクテリアが通常、抗生物質耐性を持つのは、遺伝子の水平伝播を通じてである。

 英国の研究チームは数カ月前、人間はその進化の過程で「ジャンプする遺伝子」方式によって、バクテリアやウイルス、菌類から145以上の外来遺伝子を獲得できたという結論を出した。

 大きな謎は、これがどのようにして生じるかだ。最新の研究論文で、エレーロ氏ら研究者チームは、寄生蜂の遺伝子がチョウやガのゲノムにジャンプする(飛び移る)と考えられるルートを示唆している。

 寄生蜂の一つであるアオムシサムライコマユバチは、チョウやガの幼虫であるアオムシやケムシの体内に卵を産みつけるが、その際にハチはチョウやガの幼虫の自然免疫反応を無力化するウイルスも体内に注入している。その結果、ハチの幼虫は何ら妨害を受けないままチョウやガの幼虫に寄生できる。この過程で、ハチに属する遺伝子はまた、ウイルスにかくまわれながら、最終的に宿主であるチョウやガの幼虫に組み込まれる。

 通常、ハチの幼虫は生き残るが、チョウやガの幼虫は死ぬ。このシナリオでは、挿入されたハチの遺伝子はどこにも行かない。

 しかし時にはこのハチは、間違えて通常の宿主ではない種類の幼虫を攻撃し、卵を産み付けるかもしれない。その場合、卵はこの幼虫の体内で生き残らないが、挿入されたハチの遺伝子は非宿主の幼虫のDNAに組み込まれ、将来の世代に続くチョウの子孫に伝播される。かくして、ハチの遺伝子はチョウにジャンプするかもしれないのだ。

 このジャンプが発生すると科学者たちが知っているのは、ハチのDNAの配列がチョウやガの幼虫のゲノム内部で発見されてきたためだ。しかし、厳密なメカニズムは依然として不明だ。

 最新論文の執筆者たちは、2種のチョウ(オオカバマダラ=北米で一般的な、黒と白の斑紋があってオレンジ色の羽を持つ大型のチョウ=を含む)と、3種の幼虫(カイコを含む)でハチの遺伝子を発見したと述べている。

 通常、遺伝子が存続するのは、その遺伝子によって何らかの恩恵がある場合だ。PLOS論文によれば、ハチから獲得した遺伝子のうち2つは、ブラコウイルスという敵から幼虫を守るタンパク質を製造する。製造されたタンパク質は、幼虫に感染するブラコウイルスの能力を妨害し、ウイルスの複製能力を阻害することで、幼虫を保護しているのだという。

















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最終更新:2023年06月04日 20:27