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ブログサーチ〔イランの核〕 |
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イラン「無制限にウラン濃縮」 核合意、事実上の離脱か 「産経新聞(2020.1.6 06:19)」より
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【ベイルート=佐藤貴生】イランは5日、欧米など6カ国と2015年に結んだ核合意をめぐり、合意で規定されたいかなる制限も順守しないとし、無制限にウラン濃縮を行うと表明した。ロイター通信などが伝えた。高濃縮ウランは核兵器への転用が可能で、昨年5月に核合意の段階的放棄を表明して以来、最も重大な内容。国際原子力機関(IAEA)との協力は継続するとしているものの、事実上核合意離脱の意思を示したとも受け取れ、米国との軍事的緊張が一段と高まる恐れがある。
(※mono....中略)
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イランは昨年5月、核合意で規定された金融、原油など経済取引の維持を合意当事国の英仏独が実行していないとして、60日ごとに段階的に履行義務を放棄。昨年11月には、中部フォルドゥの山間部の近くにある地下核施設でウラン濃縮に着手し、合意維持を目指す仏などから懸念が出た。
合意放棄の「第5段階」となる今回の内容からは、ソレイマニ司令官を殺害した米国に対抗する意思もうかがえる。イランの報復に備えて3000人の米兵を中東に増派すると決めたトランプ米政権との対立が深刻化しそうだ。
イランが核合意から離脱すれば、数カ月で核爆弾を完成させられるかもしれない──。イランが作成した極秘資料を分析している専門家が、そんな警告を発している。
イスラエルの諜報機関モサドが、1999〜2003年のイランの核開発活動を示す資料を入手したのは今年1月。それによると、イランの核開発計画は、欧米の情報当局やIAEA(国際原子力機関)の予想よりもはるかに進んでいたようだ。このため、アメリカに続きイランも2015年の核合意から離脱すれば、イランはかなり短期間で核爆弾を完成させる恐れがあるという。
2015年に欧米など6カ国とイランが締結した核合意は、イランの原子力関連活動を大幅に制限する代わりに、対イラン制裁を緩和するというものだった。ところが、ドナルド・トランプ米大統領は、イランが合意内容に違反しているとして今年5月にアメリカの離脱を発表。この11月には制裁を再開した。
現在のイランが核爆弾を完成させるためには、十分な量の兵器級核燃料(高濃縮ウラン)を製造する必要がある。核合意から離脱して遠心分離機を再稼働すれば、それは7〜12カ月で可能だと、極秘文書の分析に当たっている科学国際安全保障研究所(ワシントン)の物理学者デービッド・オルブライトは語る。
(※mono....以下長文記事は略(日本の報道サイトとは異なり、記事が削除されることはないと思われるため)、詳細はサイト記事で。)
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イラン核合意から得られる中露の戦略的利益 「WEDGE-岡崎研究所(2015.9.8)」より
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4日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、ハドソン研究所のハーマン上席研究員が、イラン核合意により中東に大パワーシフトが起きる、中露はイランとの政治経済関係を全面的に拡大し米国の影響力を削ぎながら同地域での重要なプレイヤーになるだろう、と警鐘を鳴らしています。
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すなわち、今般のイラン核合意から最大の利益を得る国はロシアと中国である。両国は既にイランを通じて影響力を確実に拡大している。モスクワ・北京・テヘラン枢軸は今や確実のものであり、これはスエズ動乱以後中東の最大のパワーシフトである。
中露は、当初からイランの核開発を支援してきた。それにもかかわらず両国は国連などで非難されるどころか、反対にオバマ政権は、安保理制裁をかけるために両国との協力に腐心してきた。中国は石油の輸入規制からの例外まで認められた。
中露は、情報技術から石油ガスに至るまで制裁解除を全面的に利用するだろう。中国はイランのエネルギー部門に既に210億ドル以上の投資をしており、制裁解除後はそれが倍になる可能性もある。中国のイラン原油輸入は現在60万BDであるが、100万BD以上になる可能性もある。
通常兵器の輸入規制も解除される。イランは凍結資産の解除により1000億ドルの資金を手にするが、中露から大量の兵器を買い付けるだろう。ロシアはSu-30戦闘機やS-400などの対ミサイルシステムなどを売ろうとするだろう。中国は、JF-17戦闘機やJ-20ステルス戦闘機、039型ソン級潜水艦や巡航ミサイルをイランに供与することができる。潜水艦や巡航ミサイルはホルムズ海峡の支配を確立するのに役立つ。
さらに重要なことは、今後イランは、ロシア、中国の戦略的利益の増進を図るだろうということだ。ロシアの東地中海での海軍力の増進を助けるシリアのアサド大統領への一層のテコ入れもするだろう。中国は、イランを戦略パートナーに格上げし合同軍事演習を拡大するだろう。上海機構へも加盟させるだろう。また、イランは中国のシルクロード経済圏構想の前進基地になるだろう。
今回の合意がイラン核兵器開発にどういう影響を与えようとも、合意の地政学上の影響は極めて大きい。三国の枢軸ができ、中露が中東の重要プレイヤーになることは、米国の影響力を確実に侵食するものであり、その意味合いは計り知れない、と述べています。
極めて興味深い、直截な分析であり、賛同できます。今回のイラン核合意には、核兵器開発を実際に阻止できるかどうかということと中東の地政学への影響という2つの側面があることは、これまで指摘されてきていることですが、この記事は、後者の側面に注目し、中露両国がイランを通じて影響力を拡大し米国の影響力は確実に低下すると主張しています。相当の説得力があります。とくにイランが中国のシルクロード構想推進の前進基地になるとの見方には現実味があります。
イラン核合意は、これから米議会で審議されます。ケリー国務長官、オバマ大統領が議会への説得を本格化させています。他方で、イスラエルは議会に対する働きかけを強めています。米議会の今までの関心は、どちらかというと核兵器開発阻止の側面にあったので、今回のハーマンのような観点からの問題提起が、議会審議に微妙な影響を与えるかもしれません。オバマ大統領は、たとえ議会が合意を拒否する決議を送付して来ても、拒否権を行使するとしており、今のところ議会で大統領拒否を覆すために必要な3分の2は確保できないと見られています。しかし、議会が拒否の意思表示を突き付けることになれば、今後の手続きを一層複雑化することは間違いありません。
ハーマンが言う「スエズ動乱以後最大の中東のパワーシフト」にどう対処していくべきかについては、今後更に議論があるでしょうが、現時点でとりあえず重要と思われる点は次のようなことではないでしょうか。
(1)イランを中露両国に任せないで、米日欧等の諸国が、経済、政治の分野での協力を、思慮深く強化していくこと。こちら側も一定程度エンゲージしていかないと、イランを益々中露側に追いやることになってしまいます。
(2)イランとの間で、政策協議を強化すること。米・イラン間には現在外交関係はありませんが、何らかの高級レベルの定期協議の制度化が必要ではないでしょうか。日本も両国協議体制の強化を検討すべきでしょう。イランについて、ここまで決断した以上、合意の履行を見つつ、インドの国際社会での立場を正常化したように、イランとの関係も正常化する道を進む方が有利かもしれません。
(3)米国が中心になってサウジなどアラブ諸国との結束を強めること。5月のキャンプ・デイビッド会談や8月3日のケリー長官のGCC会議出席等の努力を続けることが重要でしょう。
(4)湾岸戦争の後、米国はベーカー国務長官が主導して速いペースで米露共同主催の中東和平マドリッド会議を構想し、実施しましたが、同様に、早い時期に中東全域を巻き込む何らかの会議を構想し、イランとアラブの信頼を醸成できないものでしょうか。
(5)中露の影響力拡大をバランスするため、米国は中東でのプレゼンスを維持、強化していくこと。他方、これによりアジアのリバランス政策が悪影響を受けないようにすべきことは言うまでもありません。
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イラン核合意が日本の安全保障に与えるインパクト 「浮世風呂(2015.8.29)」より
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国連安保理、イラン核合意を正式承認 制裁解除への道開く
2015年07月21日 AFP
【7月21日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)は20日、イラン核計画をめぐって結ばれた歴史的合意を承認する決議を全会一致で採択した。これにより、同国経済をまひさせてきた制裁解除への道が開かれた。
(※mono.--以下略、詳細はブログ記事で)
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7月22日付ロイターは、イラン核合意を受け「中東域内でイランとの権力争いを続けるサウジアラビアが、自国の原子力計画を加速し、将来的に核武装を可能にする核のインフラ構築に動く可能性がある」と指摘している。
イラン核開発疑惑が10年越しに解決した矢先に、今度はサウジアラビアによる核開発疑惑が浮上してしまうのだろうか。原油価格下落圧力を食い止めるための最後の手段として、中東地域で危機を演出するというシナリオだけはやめてほしいものである。
(※mono.--以下略、詳細はブログ記事で)
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◆イラン核合意を批判 イスラエルはイランを攻撃するのか?
2015年07月31日 BLOGOS
イランの核開発に関して同国と6大国の間で14日に合意が成立しました。6大国とは国連安保理の5常任理事国とドイツです。イランは、その核開発に関して軍事転用の疑いを払しょくするような厳しい査察などの条件を受け入れました。代わりに大国側はイランに科していた経済制裁を撤廃します。この合意によって、この問題をめぐる軍事衝突の可能性が劇的に低下しました。少なくとも合意の当事国であるアメリカがイランを攻撃するシナリオは、当分の間は消えたといえます。
(※mono.--以下略、詳細はブログ記事で)
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◆イラン核合意が日本の安全保障に与えるインパクト
2015年07月16日 Newsweek japan
いわゆる「集団的自衛権の行使は合憲」という解釈の上での、一連の「安保法制」を成立させようという日本の動きは、アメリカでは大きく報じられてはいません。何よりも14日にウィーンで発表された、「イランとの核協議合意」のニュースが大きな話題になっているからです。
非常に簡単に言えば、今後15年間にわたって、イランは核兵器の製造につながる濃縮ウランの製造を制限されます。また、この点に疑念が生じた場合にはIAEA(国際原子力機関)による査察をイランは受け入れることになりました。その見返りとして、国際社会はイランに対する経済制裁を解除するというのが要点です。
今回の合意は「EU+E3(英独仏)+3(アメリカ、中国、ロシア)」とイランによるもので、オバマ大統領はウィーンでの発表の直後の臨時会見を行い、「これはあくまでイランを信頼するということではなく、イランを監視する仕組みを作ったものである」として、早速反対派の疑念を牽制しています。
その「合意反対派」であるアメリカの共和党とイスラエル、サウジなど湾岸産油国は、早速反論に出ています。ただ、その反論は「査察条件のゆるさ」など具体的な改善要求というよりも、「原理主義的な政権の下で制裁を解除するのであれば、流入したカネで核開発をするのは必至」だという主張がメインで、これでは「イランがイスラム国家という国のかたちを維持する以上は、永遠に経済制裁を続けるべき」と言っているに等しいわけです。
そうした「絶対反対」という論の背後にあるのは、まずエネルギー産業などの利害を代表して原油価格を高めに誘導したいという動機があり、その次にパレスチナやヒズボラや、イエメンのフーシー派などを支援してきたイランとの敵対関係があるわけです。
(※mono.--以下略、詳細はブログ記事で)
サウジアラビアの国債発行は2007年以降で初めてとなるわけだが、なぜこれほど財政が圧迫しているかといえば、それは“原油安”だけが原因ではない。一番の原因はやはり、「米国とイランの核合意」だろう。
(※mono.--参考リンク記事は略、詳細はブログ記事で)
中東で弱腰政策を続けるオバマがイランとの核協議で譲歩したことで、サウジアラビアやイスラエルといった中東の米同盟国は一気に危険に晒されることとなったわけである。米国としては軍事費削減という大義名分があったのだろうが、それにしてもイランの核武装の危険性を先延ばししただけの合意(譲歩)というのは、中東の米同盟諸国を見捨てたも同然であろう。まぁ、米国が自国内でエネルギー(原油やシェールガス)を自給できるようになったことが、サウジアラビアを見捨てるのに十分な動機となったことは言うまでもないだろう。
さて、そうなれば、サウジアラビアが中東のパワーバランスを維持すべく本気を出して自国の軍事力を増強するというも必然と言えよう。実際、最近のサウジアラビアの軍事費が世界的に見ても急増していることが分かる。サウジアラビアが珍しく国債を発行する理由は、やはりこの“軍事費の増加”が主な原因なのだろう。
www3.nhk.or.jp/news/html/20150714/k10010150951000.html
イラン核協議 最終合意と正式発表
7月15日 2時16分
(※mono.--以下報道記事略)
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ある程度予想されていたことではあるが、このイラン核協議の合意の結果は、「欧米側の敗北」と言っても過言ではない内容となっている。その理由は以下でも述べた通り、この合意内容ではイラン核開発をせいぜい先延ばしにする程度の効果しか期待できないからだ。今後もイランにおけるウラン製造可能な原子炉や遠心分離器の約1/3は運用され続けるのである。
(※mono.--以下参考リンク記事など略、詳細はブログ記事で)
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ただ、オバマ米大統領は以前から米軍の軍縮を志向しており、此れはある程度“想定の範囲内”だったとも言えるわけである。米国は今後も、中東などの米軍を縮小し、戦力を合理化していくだろう。それは中東のみならず、東アジアに置いても同じことが言える。この米国の動きに合わせ、日本も含む米国の同盟国は、自らの国を自ら守る努力を求められるだろう。
この流れの中で、中東では、イスラエルやサウジアラビアが近い将来、堂々と核武装宣言すると見ている。
そして、東アジアにおいても、日本も核戦力を直接的または間接的に保有することになるだろう。それらの核武装は当然、米国の推奨ないし黙認の下で行われるのだ。
(※mono.--以下略)
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イラン核協議合意成立 「海洋戦略研究(2015.7.15)」より
(※mono.--前後略、詳細はブログ記事で)
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結局、米国は中東から下がり北朝鮮と同じように、イランの核開発を放っておくことになるのであろう。欧米は中東をオフショアー・バランスする位置にまで下がるのであろう。イランの核開発阻止を諦め、それを認めた上でバランスを図りたいのであろう。
そうなれば自力救済でイスラエルも、サウジも、核開発を進めることになる。
中東を巡る大国はイスラエル、トルコ、イランとなり、鼎立関係となる。
というのも、イランがS300を配備するようなことになれば、今後イランが核問題解決に向けて不誠実な対応をしたとしても、イスラエルと米国はイランに対して空爆などの軍事制裁を行うことが不可能になるからである。
つまり、イランのS300配備を認めるということは即ち、イランの核兵器開発を認めるも同じだということである。
イランと其の背後のロシアは、先日のイラン核協議におけるオバマのお花畑な“枠組み合意”にさぞやほくそ笑んでいることだろう。
当ブログで以前から「オバマはロシアの優秀なスパイである」と見做している理由は、オバマ大統領がこのようなロシアを利する売国政策をしばしば行うからだ。
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イラン核協議枠組み合意 米紙は成果を評価 「産経ニュース(2015.4.13)」より
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イランの核問題をめぐる欧米など6カ国とイランによる協議は、核開発の大幅制限と引き換えに経済制裁を解除する枠組み合意に達した。米紙は外交交渉で核の脅威を下げたと評価し、イラン紙も米国がイランに近づいていると自賛して成果を強調した。一方、協議自体に反発してきたイスラエルのメディアはオバマ米政権を酷評。6月末を交渉期限とする最終合意に向け、米イスラエル間の緊張が高まりそうだ。
ニューヨーク・タイムズ(米国) 脅威低下「重要な成果」
枠組み合意について米紙ニューヨーク・タイムズは3日付の社説で、イランが核兵器を持つという脅威を低下させることにつながるとの観点から、「重要な成果」を挙げたと論評した。
イランは1970年に核拡散防止条約(NPT)を批准した際、核兵器を入手しないと約束する一方、秘密裏にウラン濃縮計画を推し進めてきた経緯を持つ。6カ国との間で2013年に核交渉をしていた際も、高レベルのウラン濃縮を進めてきた。社説はこれらを踏まえ、「(国際社会が)イランの意図について、懐疑的になってきたのには理由がある」と述べる。
(※mono.--以下長文につきニュース記事参照。)
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ロシア、イランへのミサイルシステム禁輸を解除 「CNN(2015.4.14)」より
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(CNN) ロシアは13日、イランへの高性能のミサイルシステムの輸出を解禁した。これに対して米国や、イランと敵対するイスラエルが強い懸念を示している。
ロシアは2010年以降、イランへの制裁として地対空ミサイルシステム「S300」の売却を凍結していた。
ラブロフ外相によれば、イランの核開発問題をめぐる交渉の進展を受けて解禁に踏み切ったという。ロシア国営イタル・タス通信によると、同外相は「現時点でこのような自主的な禁輸措置の必要はなくなった」との見解を示した。
ラブロフ外相は「S300は防衛専用のシステムだ。イスラエルなど近隣諸国を危険にさらすような攻撃を目的とした設計ではない」と強調した。
これに対してイスラエルや欧米は、S300がイラン核施設への攻撃を阻止するために使われることを懸念している。
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ロシア、イランへのミサイル輸出を単独で解禁 アメリカが強く非難できないわけ 「ハフィントンポスト(2015.4.14)」より
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ロシアのプーチン大統領は4月13日、ロシア製地対空ミサイルシステム「S-300」のイランへの禁輸措置を解除する大統領令に署名した。2日にアメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシア・ドイツの6カ国がイランとの間で核問題を巡る枠組み合意をまとめたのを受け、輸出の解禁に単独で踏み切った。しかし、アメリカや欧州各国は、イランとの最終合意に至るまで制裁は解除しない方針であり、反発は必至だ。
ブルームバーグによると、S-300をめぐっては、ロシアとイランは2007年に8億ドル(約960億円)相当の輸出契約を結んでいた。しかし、2010年に国連安全保障理事会決議でイランへの追加制裁を決めたことなどを受け、ロシアはS-300の輸出を禁じていた。
この輸出解禁には、ロシアのイランへの経済・軍事両面での影響力を拡大する思惑があるとみられる。ロシアのリャプコフ次官はこの日、「原油とのバーター取引を既に実施している」と言明。イランの原油と、ロシア産の穀物や機械などのバーター取引が開始されたとした。ウクライナ危機や原油価格下落で低迷する自国経済を支えるため、ロシアがイランに接近する姿勢が鮮明になった。
アメリカ国務省のハーフ報道官代行は13日、ロシアがイランにミサイルを売却したとしても、イランに対する国連安保理の制裁決議の違反には当たらないとの認識を示した。しかし、ロシアに対して「現段階での解除は建設的ではないと伝えた」と述べたという。NHKニュースはアメリカがロシアへの厳しい批判を避けた背景について、イラン核開発問題の最終合意までは今後も難しい交渉が続くことから、この問題でロシアとの対立を深めることは得策ではないという考えがあったのではないかと分析している。
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イラン核問題 常任理事国でないドイツが発言権を持つ理由 「The PAGE(2015.4.14)」より
(※mono.--前略)
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あまり知られていませんが、実はドイツとイランとの間には、密接な経済的・政治的関係があります。イランは、イラン・イスラム革命によって王制が倒れるまで、西側諸国とは友好な関係を築いていました。1950年代、米国の支援によってイランの原子力開発がスタートし、1970年代に入ると、大型原発を建設する計画も立ち上がりました。イランで最初の原子力発電所となったブーシェフル原子力発電所は、当初、ドイツのシーメンス社が設計や建設を請け負っていました。イランの原子力開発にドイツは当初から密接に関わっていたのです。
ところがイランで革命が勃発。世俗主義的な王制が打倒され、厳格なイスラム主義の国となってしまいます。革命政権の指導者であるホメイニ師は、米国やドイツ主導の原子力開発を批判し、一旦はすべての原子力プロジェクトがストップすることになり、ドイツはイランから撤退してしまいます。その後、イランは独自の核開発を模索するようになり、結果的に西側諸国との対立を招いてしまったわけです。
原子力プロジェクトからは撤退しましたが、ドイツは非常にしたたかな国ですから、米国と敵対するイランに対しても積極的に貿易を行ってきました。イランは米国から経済制裁を課せられているため、中国やインドなど、西側諸国以外との貿易が活発です。しかし、ドイツは例外で、イランの主要な取引相手のひとつとなっています。最近は制裁の強化で取引が減っていますが、一時は中国に次ぐ、大口の貿易相手国だった時期もあります。
こうした状況が重なっていることから、ドイツは当初から、イラン核問題の当事者として交渉に参加しています。ちなみに、日本も、西側諸国の方針とは一線を画してイランと積極的に取引してきた国のひとつですが、ドイツのような立ち位置にはなっていません(イランと日本はかつて共同石油開発プロジェクトを行っていました)。ドイツは今や欧州の盟主であり、米国に次いで発言力のある国です。経済的な関わりに加え、国際的な政治力の大きさも、ドイツの交渉参加に大きく影響していると考えられます。
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最終更新:2020年01月06日 13:07