● 国家緊急権〔Wikipedia〕
国家緊急権(こっかきんきゅうけん、独:Staatsnotstandsrecht)とは、戦争や災害など国家の平和と独立を脅かす緊急事態に際して、政府が平常の統治秩序では対応できないと判断した際に、憲法秩序を一時停止し、一部の機関に大幅な権限を与えたり、人権保護規定を停止するなどの非常措置をとることによって秩序の回復を図る権限のことである
日本国憲法においては国家緊急権に関する規定は存在しないとする見方が多数的である。憲法制定段階においては、日本側が衆議院解散時に、内閣が緊急財政措置を行えるとする規定を提案した。しかし連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は英米法の観点からこれに反対し、内閣の緊急権によってこれに対応するべきであるとした。その後の協議によって、衆議院解散時には参議院において緊急会を招集するという日本側の意見が採用された。
このため日本国憲法が国家緊急権を認めていないとする否定説、緊急権を容認しているという容認説の二つの解釈がある。また否定説は緊急権規定がないのは憲法の欠陥であるとみる欠缼説、緊急権規定の不在を積極的に評価する否認説の二つに大別される。
このうち欠缼説をとる論者は緊急権の法制化を主張し、否認説と容認説の論者はこれに反対するという構造がある。



■ 憲法に国家緊急権の規定は必要か(自民党憲法改正案批判9) 「現代社会・技術の評論・雑感(2013.10.21)」より
(※ 前中後略、詳細はブログ記事で)
/
つぎに国家緊急権規定のメリットとデメリットをみておこう。
 まず、メリットであるが、仮の事例で説明しよう。
 あるとき、大災害が起き、けが人がたくさん出た。また、一部地域が橋の崩壊で孤立した。このとき、野外病院や橋の応急修理が必要だった。もし、これを法律のもとで行うなら、「病院を作るのは厚生労働大臣の許可いる」、「橋を修理するには国道交通大臣の許可がいる」ということになる。こんな時、国家緊急権のもと、閣議で既存の法律を否定する政令を作ることができれば、病院や橋の建設も、即、着工可能になる(以上、自民党石破議員の本の事例を使用又は参考にした)。つまり、国民の保護をスピードをもって実行できるのである。

 つぎはデメリットである。
 懸念されるのは国家緊急権の濫用である。緊急事態が宣言されると、内閣は法律と同等の政令を出せる。政令とは総理が出す法律であるが、「政令には、特に法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない」(現行憲法72条6)ことになっている。しかし、緊急事態での政令は法律と同等だから、死刑を罰則とする政令さえも作れる。総理が緊急事態を安易に宣言をすると、国民保護どころか人権否定につながってしまう。私は、市民運動を対象に緊急事態か発動されるのが怖い。そして、その際、自衛隊を出動させれば戒厳事態である。

 話は変わるが、私が改正案の国家緊急権規定をみたときの気持ちを紹介しよう。
 私は一見して「これは必要なもの」と思った。それは、私が企業幹部として小規模な緊急事態に直面したからかもしれない。しかし、同時に「これはこわい規定だ」とも思った。報道などで各国のクーデターなどを知っていたからである。

 その後、私は、国家緊急権について色々勉強した。そして、韓国の歴史を知るにいたって、国家緊急権の規定は危険だと思った。
/
 終わりに私の意見を述べておく。
 私は、濫用の危険性の観点から、自民党改正案の国家緊急権規定は不要と思う。いっぽう、総理に緊急事態への対応責任を認識させるため、簡単な規定が憲法にある方がよいと思う。山崎拓(元自民党議員)の憲法改正案では「非常事態の宣言は、法律の定めるところにより、期限を定めて内閣総理大臣が行う」となっている(山崎拓『憲法改正』生産性出版、2001)。私は、おおむねこの位の規定がよいと思う。


■ 国家緊急権 「ねずさんの ひとりごと(2013.4.12)」より
/
憲法というのは、憲法のためにあるのではなく、その国の民衆の平和と安全のためにこそ存在します。
であれば、現実に我が国の隣国にそうした脅威をまき散らしている国家がある以上、当然のことながら、私たちは私たちの国の安全を図るために、実情に即した行動を採らなければなりません。

そこにいま、憲法改正論がすくなからずあり、賛成、反対とさまざまな議論がありますが、目の前にある北の脅威に対して、さて、これから議論して憲法を見直すというのでは、現実の問題として、間に合いません。

そこで登場するのが、「国家緊急権」です。
「国家緊急権」というのは、「法律や命令で規定するものではなく、「法以前に国家が本来的に持つ、憲法の枠組みを超えた権原」とされています

具体的なこの国家緊急権の発動が、国家非常事態宣言や戒厳令などで、国家は、国家の安全保障のために、憲法の一部もしくは全部の執行を一時的に停止し、緊急時への対応をすることができる、とするものです。

ところがこれに対しても国内には諸説あり、憲法の枠組みでは対応できない非常時が起ったとしても、憲法の下位に位置する法律や命令で憲法の執行を停止したり制限することは法理論的にできないとする説があります。

戦前の明治憲法では、こうした国家非常事態に際しては、天皇の非常大権の規程がありましたが、現在の日本国憲法には、この規程がありません。
ですから、国家緊急権は日本国政府は「持たない」というのが、そうした学者さんたちの論拠なのだそうです。

ところが、その日本国憲法下の日本において、かつて国家緊急権が執行された実例3つあります
昭和23年の阪神教育事件、および赤軍による昭和50年のクアラルンプール事件と、昭和52年のダッカ日航機ハイジャック事件です
(※ 前後略、詳細はブログ記事で)


■ 共産党が反対した理由 「ねずさんの ひとりごと(2013.6.21)」より
/
愛知県に、「愛知の教育を考える会」という団体があります。
教育問題を扱うだけでなく、市町村議会や、官庁に常時国旗掲揚を行うことを推進したり、商店街と連携して通り沿いに祝日国旗の掲揚などを推進している団体です。
かなり精力的に、講演会や学習会などの活動も行っています。
先日は、名古屋での中山成彬先生の講演会へのご共催をいただきました。

この会の代表を務める杉田謙一さんは、愛知県岡崎市の方です。
そして杉田さんは、今月18日、岡崎市議会において、二つの請願を行い、これが採択されました。

請願した内容は、次の2つです。
1 「尖閣諸島防衛に関する意見書提出」に関する請願
2 「北朝鮮の核実験に抗議する決議」に関する請願

ところが、この採択に真正面から反対した政党があります。
日本共産党です。
ただ、その反対の理由には、私たちは注目する必要があります。
/
では共産党がなぜ反対したか、です。
まず尖閣に関してですが、その反対理由は、日本国憲法第65条「行政権は、内閣に属する」という条文が拡大解釈されて、全ての不法入国者に対して国土防衛権が適用される危険がある、という理屈だったのだそうです。

ここが、実におもしろいところです。

つまり共産党は、日本国憲法第65条によって、日本国の行政府である内閣が「国家緊急権」を行使できることを「知っている」ということなのです。
そして「知っていて」、これに日本人が気付かないように、あらゆる機会を捉えて、たくみにこの問題から世間の耳目を逸らそうとしているということなのです。














.
最終更新:2014年06月01日 17:01