■ エルヴィン・シュレディンガー - 生命とは何か - 岩波新書 「松岡正剛の千夜千冊(2005年6月03日)」より
(抜き貼り)
/
 この本はぼくの生命観に依代を立ててもらったような一冊だ。26歳くらいのときだったろうか。
/
そこに「生物は負エントロピーを食べて生きている」とあったのだ。
 そうか、そうなのか。生物は負のエントロピー(ネゲントロピー)を食べているのか。そうだ、これだよ、こうじゃなくちゃならない。愕然とした。もしポール・ヴァレリーがこれを読めた時代に青春期をおくっていたなら、この一行の稲妻こそが精神の一撃になったろうとおもわれる。
/
 ところが地球上の生命がせっせと活動をしているときは(開放系なので)、これとは逆の現象がおこっているように見える。生命は熱力学の原理に抵抗するかのように情報生命体としての秩序をつくり、これを維持させたり代謝させたりしているのだから、無秩序すなわちエントロピーの増大を拒否しているようなのだ。
 むろん生物の個体もやがては死ぬのだから、大きくいえば熱死を迎えることになる。しかし、そこにいたるまでが物理学の法則に沿ってはいない。生命は個体としての生物活動をしているあいだ、ずっとエントロピー(無秩序さの度合)をへらし、なんとか秩序を維持しようとしているようなのである。


■ シュレディンガーの「生命とは何か」 「寺田研究室(分子生物学研究室):早稲田大学」より
/
シュレディンガーは、『生命とは何か』で、万物はエントロピー増大の方向へ進む、しかし、生命だけは、熱力学的平衡状態にはまり込んでしまうことが ない! しかし、死んだ瞬間から、大宇宙の森羅万象と同じように、宇宙の法則に従い、エントロピーは増大の方向に向かう。

ΔG = ΔH - TΔS

熱力学のギブスの自由エネルギー変化の方程式から、温度とエントロピーの積に勝るエンタルピー変化があれば、化学反応もエントロピー縮小の方向に向 かうこともある。生命進化をこの式に当てはめると、生命進化においてエントロピーに拮抗するエンタルピーって一体何なのか? と問いかけている。
















.
最終更新:2023年08月15日 20:35