● 人工多能性幹細胞〔Wikipedia〕
人工多能性幹細胞(じんこう たのうせい かんさいぼう、英: induced pluripotent stem cells)とは、体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、ES細胞(胚性幹細胞)のように非常に多くの細胞に分化できる分化万能性(pluripotency)[注 2]と、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能を持たせた細胞のこと。
英語名の頭文字を採って iPS細胞(アイピーエスさいぼう:iPS cells, iPSCs)と呼ばれるほか、英語名の意訳で誘導多能性幹細胞(ゆうどう たのうせい かんさいぼう)[注 3]とも呼ばれる。 命名者の山中教授が最初を小文字の「i」にしたのは、当時世界的に大流行していた米アップルの携帯音楽プレーヤーである『iPod』のように普及してほしいとの願いが込められている
................................................
● JST山中iPS細胞特別研究プロジェクト 世界標準となるヒトiPS細胞樹立技術の完成と実用化を目指して
● CiRA(サイラ)| 京都大学 iPS細胞研究所





+ 記事
 ゲノム編集を応用して、より多くの人に適合するようにした医療用のiPS細胞(人工多能性幹細胞)について、京都大iPS細胞研究財団は26日、2023年5月にも産業界に提供を始めることを明らかにした。治験などで安全性や有効性を検証し、実用化につなげる。最終的には世界中のほとんどの人に適合させたい考えだ。

 iPS細胞を利用した再生医療では、血液などからiPS細胞を作り、筋肉や、神経などの細胞に変化させて患者に移植する。患者本人から作れば拒絶反応は避けられるが、iPS細胞の作製だけで1人あたり数千万円以上の費用と半年以上の時間がかかる。

 同財団は、拒絶反応を起こしにくい特別な「細胞の型」を持つ健康な人の血液からiPS細胞を作製して備蓄。21年末までに7人の血液から27種類を作ったが、適合するのは日本人の約4割にとどまっている。

 そこで、この割合を高めるため、ゲノム編集の応用を検討。細胞の型を決める遺伝子の一部を改変し、誰にでも使えるiPS細胞の開発を試みてきた。動物実験を重ね、医療用に提供できる見通しが立ったという。治験などでゲノム編集したiPS細胞が移植される予定だ。種類を増やして、最終的には世界中の人への適合を目指す。

同財団の山中伸弥理事長は26日、京都大で講演し、「研究開発はこれからが正念場。患者に届けるというゴールに向けて頑張りたい」と語った。

◆ ゲノム編集 =生物のゲノム(全遺伝情報)の一部を狙って改変し、特定の遺伝子の働きを変える技術。効率的な改変が可能な手法「クリスパー・キャス9」を開発した米仏出身の研究者2人は、2020年のノーベル化学賞を受賞した。

■ iPS細胞からがんを攻撃するガンマ・デルタ T細胞を作製=神戸大 「MIT Technology Review Japan(2023年3月31日)」より
/
神戸大学の研究チームは、ヒトiPS細胞から、ガンマ・デルタT細胞を作製することに成功した。ガンマ・デルタ(ɤδ)T細胞は、さまざまな種類のがん細胞を攻撃し、患者本人以外から採取したものであってもがん細胞を攻撃できる特質を持つ。こうした特質に注目して、ガンマ・デルタT細胞を体外で増幅培養してがんの免疫細胞療法に利用しようとする動きがあるが、血液から作製するガンマ・デルタT細胞の増幅力には限界があり、少数の提供者の血液から多数の患者の治療に十分な量まで細胞を増やすことは実現していない。実現すれば、ガンマ・デルタT細胞を「既製品」のように製造し、流通させることができる。

研究チームは今回、無限の増殖脳と分化多能性を持つiPS細胞に注目した。同チームは過去にガンマ・デルタT細胞からiPS細胞を作製することに成功し、そのiPS細胞が血液細胞の元となる造血幹細胞に分化する能力があることを確認している。しかし、そのiPS細胞から機能的なガンマ・デルタT細胞を作製できるかどうかは未確認のままだった。

iPS細胞から作製したガンマ・デルタT細胞は、元の細胞の提供者以外でも大腸がん細胞、肝がん細胞、白血病細胞を攻撃することが確認できた。この結果から、iPS細胞から作製したガンマ・デルタT細胞は、「別人」のがんの治療にも有効である可能性が高まったという。

研究成果は3月23日、ステム・セル・リポーツ(Stem Cell Reports)誌にオンライン掲載された。今後、がん免疫細胞療法での利用を目指す。また、iPS細胞が持つ、遺伝子操作が比較的容易という特徴から、より高度な免疫細胞療法であるCAR-T療法やTCR-T療法にも応用できる可能性があるという。

(笹田)

■ いよいよ世界初のiPS細胞の臨床研究が始まる 「ニュースを読まねば(2013.7.19)」より
/
19日、田村憲久厚生労働相は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を人に使用する臨床研究について正式に了承し、意見書を実施機関である理化学研究所などに送った。

いよいよ、世界初となるiPS細胞の人に対する臨床研究が開始される。
(※ 中略)
/
直径2ミリのシートを網膜の下に移植する。この手術は注射器で行われ、約3時間。

上記手術が終わってから数日で退院可能らしい。もちろん、退院してからも経過を調べるため、最初の1年間は1~2ヶ月ごとに視力検査などを行い、その後3年間以上は経過観察となる。

なお、研究のためであるので、この治療は患者に金銭負担はない。

手術の結果が良ければ、網膜は改善され、視野の中心が明るさを取り戻し、視力の低下を抑えることが出来るという。

但し、副作用の可能性があるので、注意が必要となる。何しろ世界初なのだから。

まだ先は長いが、この研究の成果が、あらゆる難病の患者さん達に、希望を与えられることを祈りたい。










.
最終更新:2023年08月11日 16:05