★ 労働規制緩和:「首切り自由」反対 労組が裁判所包囲−−千代田 /東京 「毎日jp(2013.5.16)」より
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 政府の解雇規制の緩和に反対する労働組合が15日、「首切り自由は許さない!」をスローガンに、東京地裁・高裁(千代田区)を包囲する行動を実施した。ナショナルセンターの全労連や全労協の加盟組合や中立の労組、個人など約100団体が共同で行った。労組が裁判所を包囲する行動は12年ぶりという。

 不当な解雇を撤回する争議などに取り組んでいる「東京争議団共闘会議」や「けんり総行動実行委員会」などが呼びかけ、実行委員会を作り実施した。実行委では、日本航空の整理解雇の裁判や派遣労働を巡る裁判で、解雇の自由を容認するような判決が相次いでいることや、安倍政権が検討している限定正社員制度の推進や解雇の金銭解決などに危機感を持ち、共同行動を企画した。

 地裁・高裁前での集会や、レッドカードを模した公正な判決を求める裁判所への請願に加え、厚生労働省前、国土交通省前でアピールをした。東京争議団共闘会議の小関守議長は裁判所前で「解雇自由を容認するような判決の流れを止め、政府の労働規制緩和を阻止しよう」と訴えた。【東海林智】


■ 日本は解雇規制が強い国・・・嘘だ!!・・ジャンジャン解雇しているぞ!! 「労働相談奮闘記 (2013.4.8)」より
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安倍政権のもとで始まった有識者会議で日本の解雇ルールは諸外国と比べ解雇がしにくい、解雇ができるルールに改めたいとの見直し論が話し合われている。労働相談の現場では事業主はやりたい放題解雇しているというのが実感だ。東洋経済オンラインに参考になる記事が載ったので紹介する。
★ 「解雇ルール見直し」に強まる反発 「東洋経済(2013.4.7)[Yahoo!ニュース]」より
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 そもそも日本では、民法で解雇の自由が認められているものの、労働契約法で解雇権の濫用が禁じられている。しかし、「濫用」が何を指すかはあいまいで、実際の整理解雇では過去の判例にのっとり、解雇回避の努力や手続きの妥当性など4要件を満たすことが、事実上の「解雇規制」ととらえられてきた。

 ただし、そうした規制が実際に厳しいかどうかは議論が分かれる。経済協力開発機構(OECD)による雇用保護規制の強さを表す指標(2008年)では、日本は30カ国中23位。米国や英国以外のほとんどの先進国より規制は弱い国とされる。

 国内の事情を見ても、「大半の中小企業では、4要件を満たさなくても、解雇は当然のように行われている」(労働法務が専門の弁護士)といわれ、企業規模による格差が指摘される。そのため一律に厳しいから緩和すべきという論調は「実態にそぐわない」との反発を招いている。


★ 労働市場の流動化目指す自民 参院選に向け政府攻撃の材料に 「J castニュース(2013.4.18)」より
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 安倍晋三政権で雇用に関する規制緩和論が加速している。推進側がいう「労働市場の流動化」か、反対陣営が叫ぶ「解雇自由化」か。参院選もにらみ、議論を呼びそうだ。
 議論に火を付けたのが政府の産業競争力会議や規制改革会議だ。「流動化」を文字通り定義すると、労働者が会社を移りやすくすること。衰退産業から成長産業への移動を円滑化することで経済成長につなげようという、アベノミクスの第3の矢「成長戦略」の柱の一つという位置づけだ。
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裁判で勝っても、多くは和解で金銭補償を得て退職

 競争力会議の人材力強化・雇用政策改革分科会主査の長谷川閑史経済同友会代表幹事(武田薬品社長)が2013年3月15日、労働契約法16条(客観的合理的理由のない解雇は無効とする)を見直し、「民法にある解雇自由の原則を労働契約法にも明記すべきだ」と主張。「再就職支援金」を払って解雇できる「金銭による解雇ルール」を提案した。
 労働契約法16条の「客観的に合理的な理由」について、過去の判例は(1)人減らしが本当に必要か、(2)解雇を避ける努力をしたか、(3)解雇する人を合理的に選んでいるか、(4)きちんとした手続きを踏んでいるか――という「4要件」を満たす必要があると、解雇を厳しく制限してきた。企業側(規制緩和論者)は、4要件のために正規雇用者が過剰に保護され、雇用の流動化を妨げていると主張。また、解雇された社員が企業を不当解雇だとして訴えた場合、判決で不当解雇と認定されても、現行法では「原職復帰」しかないが、現実に裁判で争った従業員が職場復帰して同じように働き続けるのは現実的には難しく、多くは和解で金銭補償を得て退職しているので、「金銭解決」をルール化ようと訴える。

企業側だけでなく労働者にもプラス?

 規制改革会議で提言された、勤務地や職務が限定された労働者の雇用ルールの整備や、フレックスタイム制の見直しなども「雇用の流動化」の一環だ。

 規制緩和論者は、企業側だけでなく労働者にもプラスだと強調する。厳しい解雇規制のため正社員として雇ったら犯罪でもない限りクビにできないので、企業は採用意欲を削がれ雇用に極めて慎重になる結果、職を探している失業者こそ困るという点が一つ。「正社員優遇」のもとでは、いったん正社員として雇われた者が、仕事が向いていないと思っても、辞めれば新たな職に就きにくいので、嫌々でも会社にしがみつくことになるというのが2つ目。第3に、競争力が落ちた衰退産業にしがみつくのは労働者も不幸――といった議論だ。

 もちろん、長年、終身雇用を前提に、長時間労働、若年層の低賃金、無理な転勤など労働者に無理を強いてきたという日本型雇用の実態もあり、反発は強い。正社員を切れないからリストラしやすいパート社員や派遣社員を増やすという問題も、「むしろ非正規雇用を簡単に切れることが問題」(労組関係者)との批判も出るところ。

「ブラック企業」の社名公表を参院選公約?

 こうした批判には安部首相も神経を使う。競争力会議などの議論が「解雇自由化」と報じられたこともあって、国会での答弁もブレ気味。3月28日の衆院予算委員会で「金銭によって解決をしていく、解雇を自由化していく考えはない」と答弁したが、4月2日には「(判決で)解雇無効となった場合、事後的に金銭支払いにより労働契約解消を申し立てる制度は(金銭解雇に)含めていない」として、先の答弁で否定したのは「事前型」の金銭解雇だったと、修正した。

 民主党は、連合がバックにいるというだけでなく、「参院選に向けて政府攻撃できる有効なテーマ」(同党政調関係者)とみて、「議論の舞台の政府の会議は財界代表ばかりで労働界の代表もいない」(同)といった手続き論も含め、選挙の争点にする構えも見せる。

 「参院選までは安全運転」が安部政権の基本スタンスとあって、甘利明経済再生担当相は「企業側の都合で金銭解決することは考えていない」「ここ(競争力会議など)での議論が、解雇が自由になるとのメッセージになっては困る」(9日)と、鎮静化に努める。

 自民党も若者の使い捨てが疑われる「ブラック企業」の社名公表などを参院選公約に盛り込む検討を始めている。ただ、競争力会議など有識者会議で「過激な議論」を仕掛け、与党で揉んでマイルドにして、歩留まり7割程度で実現するのが自民党の古典的な手法(霞が関筋)とも言われる。こうした議論は、日本経済再生本部(本部長・安倍首相)が6月にまとめる成長戦略に集約されるが、最終的にどんな中身になるのか、予断を許さない。










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最終更新:2013年05月19日 20:08