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★■ 学級崩壊の教室か、出欠取らぬ本会議 離席、読書、スマホ、居眠り…目を覆う国会議員のふるまい、これが「国会本会議」とは 「産経ニュース(2015.5.5)」より
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 上西小百合衆院議員が国会を「病欠」した前後の行動が問題視されて維新の党を除名されたのは記憶に新しい。上西氏は平成27年度予算案の採決を行った3月13日の本会議を「病気」で欠席した。前夜には複数の飲食店を訪れており、国会議員としての責任感の欠如を白日の下にさらした。

 維新幹部に限らず、与野党各党は「けしからん」の一色に染まった。そういう国会議員たちは当然本会議に毎回出席しているのだろう。

 ところが、驚くべきことに衆院は本会議の議員の出欠を公式に記録していない。憲法56条1項には「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」とある。「国民の選良である議員が本会議を休むはずがない」との前提で、「3分の1以上の出席」は目視で判明できるということなのだろう。

 一方、衆院のさまざまなルールを定めた衆院規則の第106条には、以下のような記述がある。

 「出席議員が総議員の3分の1に充たないときは、議長は、相当の時間を経て、これを計算させる。計算2回に及んでも、なほ、この定数に充たないときは、議長は、延会しなければならない」

 これは通常は出席者数を正確には確認していないことを意味する。国会議事堂の入り口には、議員の名前を記した「登院ランプ」がある。ボタンを押すと名前の部分が光り、登院したことを表す。ただ、ランプはあくまで議員の登院を示すだけで、本会議に出席した証拠にはならない。

 出席どころか、各議員の法案に対する賛否を確認する術も限られている。

 衆院本会議の採決には複数の方法がある。いわゆる重要法案の採決は、議員名が記された白票(賛成)か青票(反対)の札を投じる記名投票で行うので、各議員の行動を把握できる。

 ただ、一般的な法案は議長が目視で過半数か否かを確認する「起立採決」か、議長が満場一致と認めた「異議なし採決」で可決されることが大半だ。この場合、個々の議員の賛否はいちいち確認していない。

 ちなみに参院は平成10年から「押しボタン」による採決を導入しているので、デジタル化で各議員の法案への賛否は一目瞭然(りょうぜん)だ。議員が自席に着席し、名前を記した「立て札」を立てると出席が確認できる仕組みにもなっている。

 では、実際の本会議の出欠、議場での国会議員の振る舞いはどうなっているのか。4月16日午後1時から約2時間行われた衆院本会議を記者席から観察してみた。その実態は、絶句するほかなかった。

 (【】内の数字はおおよその時刻/目視で数えた空席の概数)

 【12時55分】

 本会議開会5分前。さっそく民主党のベテラン議員が堂々と携帯電話を操作している。衆院規則で携帯電話の本会議での使用は禁じているのに。開会前だからいいということか。机の下で隠れるようにタブレット端末を操作する民主党中堅議員もいる。

 【13時0分/20】

 川端達夫副議長が議場に入り、開会を宣告。町村信孝議長(後に辞任)は体調不良で欠席し、川端氏が議事を代行する。衆院規則第104条は「議長が会議を開くことを宣告するまでは、何人も議事について発言することができない」としているが、場内はざわついたままだ。

 安倍晋三首相はひな壇席に座る。最初の議題は「都市農業振興基本法案」の採決。農林水産委員会の江藤拓委員長(自民)が委員会の議事結果を報告。全会一致の「異議なし」で可決。

 【13時5分/30】

 引き続き、大手電力会社の送配電部門を発電部門から切り離す「発送電分離」を平成32年4月に実施するための「電気事業法改正案」と、29年をめどに都市ガスの小売りを全面自由化することなどを盛り込んだ「ガス事業法改正案」の審議に入る。

 宮沢洋一経済産業相による法案の趣旨説明が始まる。それが何かの合図のように10人以上が一斉に離席し始めた。

 最前列に座る民主党の若手女性議員は、真っ先に自民党議員の席へ。ある自民党議員は野党議員の席を訪ね、書類を片手になにやら話し合いを始める。与野党議員間の立ち話が実に多い。連れだって外に出ていくケースも多数。本会議は「原則」議員が全員出席するので、約束なしでもその場で直接話し合いができる好機なのか。それにしても、全く場所をわきまえていない。

 別の民主党女性議員は、民主党→維新の党→自民党の議員を次々と訪問。自民党国対幹部は所在なさげに議場内をウロウロ。自民党幹部は次々と席を離れはじめる。宮沢氏に対し「元気出せ!」の掛け声がかかり、笑いが起きる。緊張感は全くない。

 次第にやじさえ飛ばず、ざわつきだけが議場内に漂う。開会前に机の下でタブレットを操作していた民主党議員は、ついに机の上で堂々と操作を始めた。

 【13時10分/40】

 宮沢氏の趣旨説明が終わる。自民党中堅が足を組んで文庫本らしきものを読み始めた。衆院規則は「議事中は参考のためにするものを除いては新聞紙及び書籍等を閲読してはならない」と定めているが…。

 自民党の田中良生氏が質問に立つ。このころになると、外に出ていく者がさらに増える。維新若手議員は雑誌を開いたまま、頭を揺らし始めた。何分たってもページはめくられない。

 民主党重鎮は明らかに深い眠りに入った。岡田克也代表と枝野幸男幹事長は自席に着席し、じっと聞き入っている。

 【13時20分/50】

 首相が答弁し、続いて宮沢氏が答弁する。携帯やタブレットを操作する者多数。自民党中堅は「歩きスマホ」のまま外へ。

 【13時25分/60】

 民主党の田嶋要氏が質問に立つ。場内を動き回る議員が減り始める。離席を反省したのかと思いきや、今度は眠り出す人が圧倒的に増えた。それに伴い、場内のざわつきも収まる。

 少なくとも30人以上が寝ている。先輩たちに比べ、お行儀の良かった当選1回生だが、演壇の目の前の席で舟をこぐ自民党議員も。最前列の民主党女性議員は相変わらず場内を行ったり来たりで、自席にほとんどいない。

 【13時35分/80】

 首相と宮沢氏が答弁。複数の自民党幹部も深い眠りにつく。睡眠、読書、スマホ操作と、思い思いの時間を過ごす議員が増える。

 この日は週刊文春と週刊新潮の発売日。そのためか、コピーを含め雑誌を読む人が多い。よほど「議事の参考になる記事」が掲載してあったようだ。自民党席の後方(ベテラン勢)に空席が目立つようになる。

 【13時50分/100】

 維新の鈴木義弘氏が質問に立つ。いつの間にか岡田、枝野両氏がいない。菅直人元首相の姿も消えた。

 開会から約1時間が経過した時点で、一度も「席を立たない」「寝ない」「関係ない本を読まない」「携帯・タブレットを使わない」といった当たり前のことを貫徹している人は早くも100人以下に。

 【14時15分/150】

 首相が答弁。場外へ消える議員が急上昇。

 【14時20分/180】

 公明党の国重徹氏が質問。公明党席から大きな拍手が起きる。これにビクッと体を動かし、驚いたように目覚める者多数。まるで目覚まし時計のよう。

 【14時30分/200】

 首相と宮沢氏が答弁。引き続き共産党の藤野保史氏が質問。とうとう谷垣禎一幹事長ら自民党三役席はすべて空席。全議員475人の4割以上が議場にいない状況に。

 【14時50分/190】

 首相が答弁。4月14日に福井地裁が関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働を認めない仮処分決定を行ったことについて初めて言及した。

 「原子力規制委員会の田中俊一委員長から、いくつかの点で事実誤認があり、新規制基準や審査内容が十分に理解されていないのではないかとの明快な見解が示されている」

 「世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発について、その判断を尊重し、再稼働を進めていくのが政府の一貫した方針だ」

 この時点で72人(川端氏を除く)の民主党席は約半分が空席。閣僚も数人しかいない。「脱原発」に力を入れる菅元首相の姿もない。

 【15時00分/180】

 議事が終了し、川端副議長が散会を宣告。終わりぐらいは着席していようとの心理か、空席が少しだけ減る。本当に少しだけ。

 川端氏が退席するのを前列の議員の多くは立って見届けるが、後方席の議員はそそくさと退席し始める。衆院規則219条は「散会に際しては、議員は、議長が退席した後でなければ退席してはならない」と明記しているが、ベテランの順法精神は相当低いようだ。


 以上が、憲法で「国権の最高機関」と位置づけられた国会のごくありふれた日常の一コマだ。記者席からは本会議場を一望できず、移動しながら目視で数えたので欠席数は正確ではない。ただ、最初から最後まで「席を立たない」「議事と関係のない本を読まない」「携帯電話・タブレットをいじらない」といった当たり前の規則を守った人は、どうみても全体の1割(47人)以下だった。無法者の集まりかと見まごうほどだ。

 学校でさえ出欠を確認するのは当たり前だ。授業中に勝手に席を立ってしゃべったり、教室を出ていったり、授業と関係ない本を読んだり、携帯電話をいじったりしている生徒を国会議員はよしとするようだ。

 ましてや国会議員には、税金で年間3000万円以上の歳費が支給される。本会議への皆勤出席は最低限の責務であり、重篤な病気や国際会議出席などの外遊などを除いて本会議に出ない選択肢はあり得ない。もし形式的な本会議への出席に意味がないというなら、ルールを変えて別のまともな議論の場を設けたらいい。

 後方支援に参加する自衛隊の海外派遣には国会の事前承認が必要だといった議論が行われているが、その肝心の国会の実態は目を覆うばかりだ。国会議員は何かあると「国会の品位」を声高に主張する。悪い冗談にしか聞こえない。(政治部 酒井充)







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