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☆ 二日目のカレーはアブナいって本当?「本当:菌の天国」 「livedoor.news[マイナビウーマン](2014.5.30)」より
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日本の国民食ともいえるカレー。「二日目のカレーはおいしい」が定番だが、正しく保存しないと食中毒になりやすいのはご存じだろうか。

スパイスのおかげで傷みにくい印象が強いが、冷めた時に菌が急激に繁殖し、食中毒を起こしやすい。常温保存はもってのほかで、しっかり煮込み直してから食べないと、アブナい食品になってしまうのだ。

■二日目のカレーは、菌の天国!

カレーの敵はウエルシュ菌だ。これは肉や魚介、野菜に付着し、カレーの中で繁殖し食中毒の原因となる。刺身など加熱していない食品なら食中毒も理解できるが、高温で煮込み、スパイスも豊富なカレーなら「菌」は死滅すると思われがちだ。

だがウエルシュ菌は100℃もの高温に耐え、煮物やめんつゆ、シチューやスープのなかでも生き延びることができるのだ。

ウエルシュ菌は住みにくい環境になると、芽胞(がほう)と呼ばれる状態に変身するのがポイントで、都合が悪くなると「種」のようになって引きこもり生活を始める。硬い殻に覆われているため、高温/冷凍/乾燥に強く、アルコール消毒すら通用しない。

ほかの菌は、カレーを煮込むあいだに熱で死滅してしまうのだが、熱に強い芽胞は100℃で1時間煮込んでもダメージを受けない。しっかり煮込んだから大丈夫!と思っていても、じつは大量の「菌のもと」が含まれているのだ。

注意すべきは余ったカレーの保存時で、温度が下がると芽胞から菌に戻る。種に例えるなら「発芽」が起きているのだ。

もとより芽胞は、過酷な環境を乗り越えるための仮の姿なので、好条件が揃えば菌に戻るのは当たり前の話だ。ウエルシュ菌の場合、カレーが43~47℃まで冷めると急激に菌体が増える。この温度では増殖速度も速く、およそ10分で2倍に増えるので、8時間後には約281兆倍となり、一晩経ったカレーはウエルシュ菌だらけになってしまうのだ。

これを知らずに食べてしまうと、だいたい12時間以内に下痢や腹痛、吐き気といった典型的な食中毒症状が起きる。ほとんどのひとは1~2日で回復し、症状が軽ければ微熱や下腹がはる膨満(ぼうまん)感で済む。生死に関わることはまずないが、スパイスをふんだんに使っていても、カレーは保存が効かない食品と心えよう。

■冷やして、煮込んで、かき混ぜて!

二日目のカレーは確かにおいしい。具の内部にも味が染み、煮崩れした具材がソースにコクを生みだすからだ。ただし「種状態」のウエルシュ菌が発芽しやすい状況なので、安全に食べるには保存方法が重要になる。ポイントを挙げると、

1. 常温保存しない

  • 短時間の保存なら、60℃以上で煮込み続ける
  • 一晩置くなら小分けして冷蔵庫で保存

2.食べる前に、全部温め直す

  • 食べる分だけレンジでチン!はNG
  • きっちり煮込んで、繁殖した菌をやっつける

3.よくかき混ぜる

  • ウエルシュ菌は酸素を嫌い、深い場所で繁殖しやすい
  • 煮込みながらよくかき混ぜ、底のほうのカレーも空気に触れさせる

ちなみにウエルシュ菌は毒素を吐き出すが、加熱すると毒性がなくなるので、やはり煮込み直すのが最良の策だ。大きな容器で保存すると、空気に触れない量が増えてしまうので、テマがかかっても小分けして冷蔵しよう。

■まとめ

  • カレーの食中毒は、ウエルシュ菌が原因
  • 種のような芽胞の状態では、100℃で煮込んでも死滅しない
  • カレーが冷める時に、芽胞から菌に戻る
  • ウエルシュ菌は8時間で281兆倍に増殖する(理論値)

カレーは冷めるのにも時間がかかるので、冬でも常温保存は避けたい。きちんと管理すればおいしく安全に食べられるので、激辛カレーで夏を乗り切ろう。

(関口 寿/ガリレオワークス)






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最終更新:2014年05月31日 07:36