■ 空中分解の危機に晒される日本維新の会 「陽光堂主人の読書日記(2012.12.2)」より
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 今度の衆院選では多数の政党が乱立し、何が何だか判らないような状態ですが、主要政党は民自公の既成政党3党に加え、日本未来の党と日本維新の会の5つに絞られてきました。

 この中で最悪の政党はどれか、人によって判断が分かれると思いますが、問題外の民主党を除けば、自民党か日本維新の会のいずれかでしょう。公明党は、母体である創価学会の池田大作が寝たきり状態なので、往年の勢いは最早ありません。

 自民党は安倍が総裁なのでタカ派路線を突っ走り、原発の新増設も有り得るとしていますから、最も危険です。TPPや消費増税に対しては慎重に対処する振りをしていますが、政権を取ればさっさと実現してしまうでしょう。民主党が悪者になって道筋をつけてくれたのですから、わざわざ潰すような愚を犯すはずはありません。

 ここまで露骨に米国寄りの政策を並べられると、能天気な日本人も支持するのは二の足を踏んでしまいます。消去法で自民党に投票する人が多いと思いますが、過半数には届かないでしょう。そこで生きてくるのが、民自公による連立の密約です。

 万が一、民自公でも過半数に届かなかった場合は、みんなの党か日本維新の会との連携を模索することになるでしょう。この両党がどれだけ議席を伸ばすかで、政局は大きく左右されます。余り大勝ちされると困ることは言うまでもありません。

 マスコミに持ち上げられている日本維新の会ですが、内部の亀裂が次第に深まって来ています。下手をすると、投票前に空中分解するという前代未聞の珍事が発生する可能性もあります。維新の会が石原慎太郎という爆弾を抱えたからです。

 昨日付の田中龍作ジャーナルには、30日に都内で開かれた石原慎太郎との記者会見の模様が収録されています。面白いので、以下文字起こしされた部分を引用します。
   維新・石原代表 「橋下にとって竹中は神様みたいになってる」

 「維新の背後に竹中平蔵あり」。マスコミが仄聞として伝えていたが、党のトップである石原慎太郎代表がそれを明らかにした。石原氏は、竹中氏がマニフェストを書いていると認め、「大阪の連中(橋下徹大阪市長ら)が竹中を神様のようにあがめ立てている」と話したのである。30日、都内で開かれた記者会見で筆者の質問に答えた。

 田中と石原代表のやりとりは次の通り――

田中:日本維新は選挙公約として「解雇規制の緩和」「最低賃金制度の廃止」をあげている。今や労働者の3割以上が非正規で、非正規労働者の半分以上が年収200万円以下。もし維新の政策が実施されれば、彼らはパンも住宅も失うことになりはしないか?

石原:「大阪の連中(橋下大阪市長、松井府知事ら)が一所懸命考えたが、非常に未熟な所があってね…(後略)」

石原:「(賃金低下に)歯止めが効かなくなるの?」「そりゃマズイわね。未熟な所がたくさんある。(選挙公約は)骨太の何項目かにして、あとは皆で討論しようということにしていたのだが…」

田中:(橋下氏らは)世間知らずにもほどがある。

石原:「そうなんだ。(橋下が)10ページもの公約集を発表するなんて言った時、『やめろ』って言ったの。『君(橋下)が(政権公約を)作ったことは多とするけど、(中略)理念に走り過ぎる所があって、実現不可能だぞ』って。(田中の)仰る通りだと思います」。

田中:竹中(平蔵)さんが書いてるからですよ。 

石原:「そう(頷きながら)。俺、竹中って好きじゃないんだ。(会場爆笑)
あれ(竹中)が、こういうの(選挙公約を)全部書いてあるのが分かる。これ(竹中は)ね、口説の徒でしかない」。

田中:日本をズタズタにした小泉改革と同じじゃないですか。

石原:「だからね、あんまり竹中を信じるなって。『そりゃ止めろ』って言ったの。彼らにとって神様みたいになってる。コンサルタントの堺屋太一なんか首かしげてる。発言力を認められないのかなあ。これ(竹中)に対しては批判的ですよ」。

田中:石原さんの晩節を汚すことになりますよ。

石原:「そんなことさせないよ」。 (下線は引用者による)


 こういうことを平気で口にするから、石原は人気があるのです。橋下らは竹中の振り付けで踊っているだけですから、今後は竹中と石原が激突することになるでしょう。間に挟まれた橋下は、今以上に支離滅裂な言い訳をするハメに陥ります。深刻な事態に陥った時、橋下らはどちらに付くのでしょうか?

 橋下や松井は出馬しませんから、内部抗争に嫌気が差して選挙の途中で降りてしまうかも知れません。「地方の首長としての職務に専念する」とか何とか言って逃げてしまう可能性も充分にあります。

 そうなったら哀れなのが日本維新の会の素人候補者たちで、皆枕を並べて討ち死にすることになります。幹部が路線対立で分裂したら、どう頑張っても当選などできません。

 橋下らは出馬しないわけですから、石原を党首とする国政政党のコントロールなどできません。そんなことは最初から判っていたはずですが、目算が外れたということなら、石原が言うように未熟ということになります。

 日本維新の会が分裂または解党すれば、石原率いる旧太陽の党(たちあがれ日本)は、維新の会を潰すのに一役買ったことになります。彼らは自民党の別働隊ですから、最初からそうした密命を帯びている可能性もあります。自民党は長いこと政権の座にありましたから謀略に長けており、チンピラにすぎない橋下らの敵う相手ではないのです。








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最終更新:2012年12月02日 22:18