★ 民主動揺 離党ドミノ加速も 「msn.産経ニュース(2012.11.15)」より全文コピペ

野田佳彦
 野田佳彦首相が16日の衆院解散を表明したことで、解散先送り論が大勢だった民主党内は動揺が走った。低支持率の野田首相の下で衆院選に突っ込めば、政権転落はおろか大量落選の憂き目に遭うのは明らか。自らの生き残りをかけて「第三極」政党などへの移籍を探る離党ドミノが一気に加速しそうだ。

 「国民不在の解散だ。他の野党の方々とも相談する必要があるのかなと思っている。間違った方向に党が進まないためにどんな手段があるかを模索していく」

 鳩山由紀夫元首相は14日夜、自らを支持するグループの会合後、首相を強く批判し、退陣に追い込みたいとの考えを示した。自らが離党する可能性に関しては「いろいろと考えている。まだ結論は出ていない」と明言しなかった。

 支持率が低迷する民主党は輿石東幹事長が解散を押さえ込む「重し役」となることで、衆院過半数割れまであと7人のぎりぎりの状況で、なんとか政権党に踏みとどまってきた。

 だが、輿石氏は党首討論終了後、「解散に踏み切っていいとか悪いとかじゃなくて、あとは態勢を作るしかない…」と述べ、容認する姿勢を示した。

 輿石氏も最初からすんなりと首相の解散方針を受け入れたわけではなかった。

 政府関係者によると、14日昼に首相から「16日解散」を告げられる直前まで輿石氏は現職閣僚らに電話をかけ、解散を思いとどまらせるよう説得を依頼し続けた。首相周辺は「外堀を埋める形で首相を自発的な内閣総辞職に追い込もうとしたようだ」と振り返る。

 その輿石氏も解散容認にかじを切ったことで離党予備軍のタガが外れ、一気に遠心力が働こうとしている。

 14日には閣僚経験もある小沢鋭仁元環境相が日本維新の会に合流するため離党することが発覚。大阪選出の中川治衆院議員は同夜、記者団に「次の選挙に民主党から出馬することはない」と明言した。

 離党予備軍の一人は「首相は無理やり邪魔な議員を追い出そうとしている感じだ。これから離党ドミノが始まるだろう」と大量離党を予言する。

 党内の離党予備軍は15人前後。加えて党内に慎重論が強い環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加を首相が次期衆院選の争点にすれば、より大規模な党分裂につながる可能性もある。

 TPP反対派の山田正彦元農林水産相は「首相が交渉参加を表明したら、みんなで覚悟をもって次の行動に移る」と集団離党を示唆した。

 動揺は中間派にも広がった。鹿野道彦副代表は「解散表明はあまりに唐突」と両院議員総会での首相の説明を要求した。民主党を離脱中の横路孝弘衆院議長までもが「年内解散なら違憲」とする文書を配るなど、党内は「首相批判」一色となった。

 連立を組む国民新党幹事長の下地幹郎郵政民営化担当相は記者団に「首相が何を考えているか分からない。一人で突っ走っている」と痛烈に批判した。

 首相は与党内の反対論を押し切る意向だが、衆院選に向けた準備は進んでいない。マニフェスト(政権公約)は16日にやっと素案がまとまる段階。300選挙区のうち約60が候補者擁立のメドが立たない空白区のままだ。

 「今と未来に、誠実でありたい」。こんなキャッチコピーで、民主党は15日から全国の放送局でテレビCMの放映も始める。しかし首相や細野豪志政調会長ら党執行部が出てくるカットはない。

 「懸命に生きる人たちを映し、何を政治がなすべきかを訴えるのがCMの意図だ。政治家は出ないほうが伝わる」

 馬淵澄夫政調会長代理はこう強調したが、首相らが「選挙の顔」たりえない現状を露呈したに等しい。明確な旗印を持たないままの突然の解散表明に、党の混乱は拡大するばかりだ。(赤地真志帆)






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最終更新:2012年11月15日 21:14