• フランス第五共和政における10回目のフランス大統領選挙である。2012年5月16日に任期満了するニコラ・サルコジ大統領の後継大統領を選ぶ選挙である。

  • 1回目の投票は4月22日で、過半数を獲得する候補者がいなかったため、5月6日に上位2名による決選投票が執行される。






■ 極右支持者の取り合いになるフランス大統領選 「ニュースを読まねば(2012.4.30)」より
  • さて、大統領選挙はすっかりニコラ・サルコジ大統領とフランソワ・オランド前第1書記の一騎打ちの様相を呈してきたが、実は両者が注目したのは、1回投票で3位についた国民戦線党首のマリーヌ・ル・ペン氏の存在だった。

得票率を見てみよう。

1位:フランソワ・オランド前第1書記。得票率28.6%
2位:ニコラ・サルコジ大統領。得票率27.2%
3位:マリーヌ・ル・ペン氏。得票率17.9%

上位2位が非常に接戦であることと、3位が多くの票を持って行っている事が分かる。そしてこの得票率は、大統領選における国民戦線の最高記録だった。

フランス国民の間では、1位と2位は予想済みだった。しかし、3位の躍進は驚きを持って迎えられたらしい。

3位となったマリーヌ・ル・ペン氏の国民戦線は、政界主流からは疎まれている存在だという。というのも、フランス共和国の建前である理念の「自由・平等・博愛」に反した政策を主張しているためだ。

■ 財政緊縮策で行き詰る欧州各国の政治・経済 求められる成長戦略併用 「孤帆の遠影碧空に尽き(2012.4.29)」より
  • 「メルコジ」曲がり角 新財政協定再交渉に警戒
5月6日のフランス大統領選の決選投票まで29日で1週間となった。最大野党の社会党候補、オランド前第1書記に対するサルコジ大統領の劣勢が続く中、債務危機対応で「メルコジ」と称されるほどの信頼関係を築き、サルコジ氏支持を公言していたメルケル独首相も、「オランド政権」誕生に備えて微妙に立場を変えつつあるようだ。

メルケル首相の報道官は27日、「誰とでも首相はうまくやっていく。それが特別な独仏友好の本質だ」と強調。サルコジ、オランド両氏のどちらが大統領となっても良好な両国関係を維持していく考えを示した。

★■ フランス大統領選:かなり危険なオランド氏 「JB press(英エコノミスト誌 2012年4月28日号)」より
  • サルコジ氏の前には山が立ちはだかっている。フランスの有権者の多くは、本能的にサルコジ氏を嫌っているようだ。ルペン氏(憂慮すべきほど善戦した)とバイル氏(残念なことに振るわなかった)は、サルコジ氏が負ける方が自派に都合がいいため、どちらもサルコジ氏を支持しないだろう。

 従って、5月初めのテレビ討論で自爆的な発言をするなどの突発事故がない限り、5月にオランド氏が勝利を収め、6月の議会選挙でも社会党が勝利を収める可能性が高い。


★■ 視点・論点 「フランス大統領選挙の論点」 「NHK解説委員室(2012.4.18)」より / 記事保護
  • フランス政治はもともと19世紀以来多数の政党が分立して合従連衡を繰り返しながら政府を構成するという伝統がありました。現在の第五共和制が1958年に成立するまでの内閣の平均寿命は一年に満たないものでした。その意味では現在の日本の事情によく似ています。これでは政治は安定しない。
それゆえ決戦投票で強い権限とリーダーシップを持つ大統領を直接国民投票の形で決め、政治をリードしていこというのが現在のフランス大統領制です。こうして選ばれた大統領は強い権限を持つリーダーです。したがって選出された大統領は首相の任免権と議会の解散権を持ち、公約の実現には大きな権限を行使します。そして五年に一回、このリーダーシップと政策の成否が問い直されるのが大統領選挙です。それはある意味で民主主義の原点でもあります。
こうしてみると、日本政治のリーダーシップの在り方を考えるうえで、フランス政治に注目することから新しい発見をすることも多いのではないかと思います。








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最終更新:2012年05月01日 14:21