前回、「8月15日」の意義についてお話ししましたが、日本の敗戦を決定づけた広島、長崎への原爆投下に関して、日本ではあまり知られていない史実があります。今回は小筆がアメリカ在住時に耳にした秘話を披露したいと思います。

 広島、長崎の悲劇を生んだ原爆を発明したのは、オッペンハイマーやアインシュタインほかユダヤ系化学・物理科学者たち(ナチスから逃れ米国へ移民した学者たち)によるマンハッタン計画でしたが、当初の“ナチスドイツ殲滅・ヒットラー必殺の目標”が、想定外に早く訪れたヒットラーの自死とドイツの降伏(5月)で、実験と投下のタイミングを失したのか、ウランとプルトニウムという二種類の核爆弾の準備を万全に整えるのに遅れたのか(7月に実験成功)、おそらくこれらの理由により、5月以降も応戦を続けていた日本に振り向けることになったそうです。
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 後になって、このことを知らされ、しかも人体実験も狙った2種2弾で、何と20数万人もの日本人非戦闘民間人を被爆即死させてしまったことが分かり、関与した多くの科学者たちは自責の念に駆られました。研究室を離れたり、ノイローゼにさいなまれたり、核の平和利用を訴える活動に転じたり…。オッペンハイマーにいたっては「日本人に深くお詫びし、死をもって償いたい」と自死を遂げました。

 こうした背景もあって、米国の原子物理学者のうちノーベル賞受賞候補者たちの多くが受賞を辞退し、代わりに、日本の湯川秀樹博士(の中性子論)に与えてほしいと陳情を繰り返したのだそうです。日本人初のノーベル賞は、核爆弾開発者達の贖罪意識がもたらせたものだったといわれたゆえんでしょう。そして、日本の降伏がもう三カ月早かったなら、原爆投下は避けられたともいえます。

日本での原発建設は米国良識派の活動の延長戦上にあった

 付言しておきますと、こうした米国の良識派で自責感の強い学者や平和主義者、一部政治家などの「原子力の平和利用」「核兵器抑止」活動の延長線上に、唯一の被爆国であった日本がありました。日本は科学技術立国による経済成長途上にもあり、そうした倫理的・技術的ノウハウを含む支援も受けて実行に移されたのが、日本における原子力発電所建設だったのです。

 もちろん、資源なき日本の工業化推進のカギを握るエネルギー源の確保と、経済成長に伴う人口移動で過疎化する地方に原子力村を造成することで、一石二鳥を狙った政治戦略もあったのです。ましてや、東西冷戦時代、中国やソ連・北朝鮮の核保有に相対する米国にとって、さらには共産圏発の核や原発の世界への拡散(特に、技術的未熟かつ低レベルの原発が及ぼす危険性の増大)を抑止するためにも、日米の技術連携が不可避であったことも忘れてはなりません。

2人の元首相の妄言に踊らされるな

 さて、その原発は3年前の3・11以降、次々と火を消し、現在、電気料金の値上げが相次いで企業の成長戦略を阻害し始めており、家計負担も増えています。この夏の電力不足と老朽火力発電機の故障・事故の恐れも叫ばれている折、国家の総力を挙げて、停止中の原発の安全確認を急ぎ、逐次再稼働させるべきではないでしょうか。

 電力会社9社のうち、黒字経営が中電、北電の2社しかない現状は国家的危機です。そろそろ、福島事故から惹起された過大過敏な反原発運動家の虚言から目覚めてほしいものです。福島はあくまで“水素爆発”であって、チェルノブイリやスリーマイルの事故と比べると、放射能漏れの絶対値は「微弱」なレベルだったことは、死者ゼロ・発病ゼロの事実が物語っております。現時点での福島の放射能数値がすでに安全範囲であることは、多くの生理医学者も認めています。

 こうしたことを、マスコミは世間に広める義務があるのではないでしょうか。いつまでも恐怖をあおり、腫れ物に触るような暴論はやめ、ウランの処理と再利用技術の先端的進化ぶりをもっと報道・解説することで、小泉純一郎・細川護煕両元首相が唱える論議が、一昔も二昔も古い妄言であることを立証すべきです。

■ 湯川秀樹、原子力委を辞任(1) 「とどくとおもう Ⅱ(2012.3.22)」より

■ 反骨の平和主義者・ノーベル物理学賞受賞の益川敏英教授 「きまぐれな日々(2008.10.11)」より
  • 1955年、アインシュタインら科学者11人が核兵器廃絶を求め「ラッセル・アインシュタイン宣言」に署名した。その1人が益川さんが尊敬する日本人初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹博士だ。「湯川先生の原動力は核で人類が滅ぶ恐怖だったと思う。

■ 「原爆の日」の記事が「国賊・湯川秀樹」かよ 「kojitakenの日記(2008.8.6)」より
  • 反知識人主義(いわゆる「反知性」)もここまでくると天然記念物ものだね。


「原爆の日」にユダヤ陰謀論を撒き散らしている輩は、麻生太郎に「ナチス」呼ばわりされても仕方ないんじゃないか?

■ ヘンリー氏の陰謀論 「たんぽぽのなみだ(2008.8.9)」より
  • ヘンリー・オーツ氏、こんどは、なにを言っているのかというと、「太平洋戦争で、日本は勝てるはずだったのに、戦争指導者がユダヤとフリーメイソンの手先だから、負けてしまった」だとか、「湯川秀樹は、アメリカに原爆のデータをわたした国賊」と来たものです。
(常軌を逸している、なんてレベルじゃすまないですよ、これは...)

ヘンリー・オーツ氏ご本人だけでなく、「コメントしているかたの逝きっぷりがすごい」というご指摘もあります。

 原爆はどのように報道されたのか:鬼塚英昭 「さてはてメモ帳(2012.3.29)」より
  • 私は、このニューヨーク・タイムズの記者で国際金融寡頭勢力の回し者ローレンスの文章を読みつつ、湯川秀樹が、彼ら勢力の金をふんだんに使い、京都会議を主催し、世界連邦思想を広めようとした意味を理解した。
 原爆を日本時間の中でなく、世界時間の、否、歴史の中に位置づけようとするパグウォッシュ[Pugwash Conferences]の会議の意味を理解した。
  • 九月十二日、ニューヨーク・タイムズに、W・H・ローレンスは記事を書いた。広島と長崎は、「文明における新時代発祥の地」となったのである。
 この"発祥の地"をもとにして、恐怖を一方で煽ったのが、湯川秀樹、バートランド・ラッセル、アルバート・アインシュタインらの世界統一連邦政府構想である。

 「生きものの記録」は記録されたか補遺 惑星ソラリスの海に泳ぐイカ(10) +アインシュタインほか 「NY金魚」より
 ● アインシュタイン・湯川秀樹・オッペンハイマーのことが書かれているのだが、私が知った三人の像は裏切り者であり、黒い犬である。(monosepia)

 日本は第三次世界大戦の攻撃対象? 「2012年の黙示録(2006.8.10)」より
  • また、日本で初めてそのノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士は、戦時中に「新兵器」に関する大変重要な情報をアメリカに流したため、その論功行賞としてノーベル賞を与えられたのだという“事実”もさらりと述べられています。真偽のほどはわかりませんが、失望すると同時に大変な憤りを覚えました。
  その「新兵器」というのは今でいう原爆のことです。日本の研究所ではアメリカよりも先に基礎理論が完成していたのです。ただ、軍の機密に属することなので外部に漏れてはならないとされていたものを、「当時研究補助員であった湯川秀樹が米国に売り渡した」とあります。

【参考記事】
■ 党員教育を怠る民主党広島県第3区総支部長・橋本博明衆院議員 「広島瀬戸内新聞ニュース(2012.4.30)」より
  • なお、『晴天とら日和』の運営者のTwitterを見ていたら、梶川にエールを送っていたのを発見した(爆)。別件だけど。「トンデモのいもづる」は、地下でどこまでもつながっているようだ、と「陰謀論」風味で締めてみた(笑)。






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最終更新:2012年05月01日 00:04